平成21年度当初予算の概算要求

厚生労働省は、平成21年度当初予算の概算要求を8月末に財務省に提出し、ホームページ等で公表しました。

障害保健福祉部の要求額は1兆0238億円(他局計上予算を除く)で、そのうち「個別給付による福祉サービス」(介護給付と訓練等給付の合計、地域生活支援事業や自立支援医療を含まない)の要求額は5231億円(+286億円、+5.8%)です。現段階での厚労省は、この増加分で、サービス利用量の拡大を賄いつつ、平成21年4月の報酬改定をやりくりする考えです(イメージとしては、サービス利用量が5.8%以上伸びる見込みならば、介護報酬が全体平均でマイナス改定となる)。この概算要求を財務省が査定し、年末に政府案として決定されることになります。

なお、支援費制度の頃と違って在宅福祉と施設福祉が1つの勘定科目で計上されているため、ホームヘルプサービスの内訳金額はわかりません。

自立支援法施行後の予算額の変遷(補正予算を除く)

 

障害保健福祉部の予算

介護給付+訓練等給付の予算

※ホームヘルプや施設など

※義務的経費

平成17年度

(支援費制度)

当初予算

7525億円

3769億円

平成18年度

(自立支援法)

概算要求

前年度の当初予算に

比べて+9.5%を要求

 

前年度の

当初予算

に比べて

8.1%が

認められた

 

前年度の当初予算に

比べて+9.9%を要求

 

前年度の

当初予算

に比べて

9.6%が

認められた

 

8237億円

4143億円

当初予算

概算要求の98.7

が認められた

概算要求の99.7

が認められた

8131億円

4131億円

平成19年度

(自立支援法)

概算要求

前年度の当初予算に

比べて+11.2%を要求

 

前年度の

当初予算

に比べて

10.7%が

認められた

 

前年度の当初予算に

比べて+7.2%を要求

 

前年度の

当初予算

に比べて

8.3%が

認められた

 

9038億円

4430億円

当初予算

概算要求の99.6

が認められた

概算要求の101.0

が認められた

9004億円

4473億円

平成20年度

(自立支援法)

概算要求

前年度の当初予算に

比べて+5.9%を要求

 

前年度の

当初予算

に比べて

6.7%が

認められた

 

前年度の当初予算に

比べて+9.1%を要求

 

前年度の

当初予算

に比べて

10.6%が

認められた

 

9532億円

4882億円

当初予算

概算要求の101.8

が認められた

概算要求の101.3

が認められた

9700億円

4945億円

平成21年度

(自立支援法)

概算要求

前年度の当初予算に

比べて+5.5%を要求

 

 

???

 

 

前年度の当初予算に

比べて+5.8%を要求

 

 

???

 

 

1兆0238億円

5231億円

当初予算

???

???

???円

???億円

また、国から市町村と都道府県へ配分される地域生活支援事業の統合補助金の要求額は450億円で、前年度から50億円の増額要求です。ただし、平成20年度予算でも50億円の増額を要求したものの、財務省から認めてもらえませんでした。一方で、平成20年度予算は、概算要求から政府案までの間に与党から「抜本的見直しに向けた緊急措置」が提案されて、利用者負担の軽減などで「介護給付+訓練等給付の予算」がさらに増額されたという事情もありました。ですので、今回の増額が政府案で認められるかは不透明です。

 

地域生活支援事業の予算

※ガイドヘルプなど

※裁量的経費

平成18年度

概算要求

200億円

/6ヵ月予算

当初予算

200億円

/6ヵ月予算

平成19年度

概算要求

400億円

/12ヵ月予算

当初予算

400億円

/12ヵ月予算

平成20年度

概算要求

450億円

/12ヵ月予算

当初予算

400億円

/12ヵ月予算

平成21年度

概算要求

450億円

/12ヵ月予算

当初予算

???円

/12ヵ月予算

これとは別に、厚労省職業安定局(福祉施策ではなくて雇用施策の担当部局)が、介護の人材確保のために概算要求で110億円を計上しています。

◆雇用管理改善の担当者として、実務経験1年以上の1級ヘルパーを新たに雇用した場合に、勤続6ヵ月で「70万円×3人まで」を事業所に助成

◆フリーターや退職者などの未経験者を常勤の介護職員として新たに雇用した場合に、勤続6ヵ月で「25万円×3人まで」、勤続1年で「さらに25万円×3人まで」を事業所に助成

なお、「骨太の方針2006」の方針に基づき、今回の概算要求でも社会保障費を2200億円切り詰め、(高齢化に伴う自然増8700億円との差し引きで)伸びを6500億円に抑える概算要求基準(シーリング)が課せられています。これに対して厚労省は、政府管掌健康保険に投入する国費1000億円を健康保険組合や共済組合に肩代わりしてもらう、などで対処する方針です。

◆「平成21年度障害保健福祉関係概算要求の概要」はこちら(PDFファイル、144KB

◆厚生労働省全体の平成21年度概算要求はこちら(厚労省HP)

過去の厚労省予算関連記事

◆平成20年度 当初予算概算要求 当初予算案

◆平成19年度 当初予算概算要求 当初予算案

◆平成18年度 当初予算概算要求と当初予算案 補正予算案

◆平成17年度 当初予算概算要求 当初予算案 補正予算案

◆平成16年度 当初予算概算要求 当初予算案

 

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