★中部地方・九州で10月から24時間介護保障実現

★制度の変わり目の今が交渉のチャンス!

10月号
2006.10.28
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2006年10月号    目次

   

4・・・・中部地方で24時間介護保障
5・・・・宮崎県A町で24時間介護保障
5・・・・4市で24時間介護利用者のヘルパー時間数が引き下がる
7・・・・ALS等で重度度訪問介護が15%加算にならないミスが多発
8・・・・重度訪問介護、30分単位での利用も可能に
9・・・・重度訪問介護Q&A
10・・・過疎地域で1人暮らししたい重度全身性障害者募集
11・・・重度訪問介護研修が中部、東北、近畿でも10月実施可能に
12・・・障害当事者による24時間介護保障運動とヘルパー事業を全国に
16・・・全国ホームヘルパー広域自薦登録協会のご案内



中部地方で24時間介護保障

 中部地方で24時間の介護制度を行う市町村がなかったX県のZ市で24時間介護交渉が実現しました(重度訪問介護744時間)。
 24時間介護利用の全身性障害者をCILが支援して交渉しました。
 9月はじめから介護保障協議会と毎週のように細かく打ち合わせして資料などを作って交渉に当たりました。(3年前にも交渉していたが、まったく時間は伸びなかった)。
 9月までは、1日12時間の制度をCILの関係事業所の負担で24時間の介護に引き伸ばして、24時間365日の介助をつけていました。10月から重度訪問介護になり単価が下がることで、事業所が大赤字になり、このままでは倒産・廃業もありえるということになりました。事業所は引き伸ばしは不可能になるということを市と利用者に伝え、24時間利用の利用者は「引き伸ばしをしてくれないのなら、今の事業所は遠すぎるので、近所の事業所に変更したい」と市に伝え、「そのためには24時間の支給がないと事業所から介護者が派遣されない」ということで交渉に入りました。
 24時間の1分単位の介護内容の資料を作り、まず24時間誰かががついていないと生きていけないということを市の課長等と両者確認しました。
 その後、いろいろな交渉ノウハウに基づく確認を取っていき、具体的な資料も出し、命に関わる緊急性も訴え、時には市に面会拒否されても、夕方まで待って夜話し合いを行い、部長との交渉に持ち込み、今回の結果になりました。

交渉して同様に適切なヘルパー制度に制度を伸ばしたい方へ。 交渉ノウハウはきわめて重要なものですので、制度係フリーダイヤル0037−80−4445にどんどんお電話ください。



宮崎県A町で24時間介護保障

   宮崎県A町で24時間介護保障(重度訪問介護744時間)が長い交渉の末に実現しました。九州で6市町村目、九州では今まで5市で24時間介護保障の例がありますが、町村では初です。
 詳しい交渉経過などは来月号以降で掲載します。



鹿児島市、名取市、岡山市、熊本市で24時間介護利用者のヘルパー時間数が引き下がる

 自立支援法の10月制度改正で、支給決定に介護保険的な考え方を取り入れた、鹿児島、熊本、岡山、宮城県名取の各市で、24時間介護の必要な障害者のヘルパー時間数が大きく引き下がっています。1日24時間の制度が10時間程度(今までの半分)になったところもあります。(例:市は24時間の介護がないと生きていけない状態の1人暮らしの障害者が複数いるということは認めているが、熊本の基準を参考に1日10時間の制度に引き下げた)。
 命に関わる状況なので、緊急に事業所が24時間の介護を引き続き提供している状態ですが、市が制度を元に戻さないと、事業所もサービス中止し、命に関わります。
 障害ヘルパー制度の国の理念を理解していない一部の市がこのような間違いを起こしています。これらの市では現在障害者と市の交渉が行われています。

この4市が間違った理由

 厚生省が「支給決定基準」を各市町村に作ることを指示したのを受け、国庫負担基準の1.3倍(熊本の例)などを支給決定基準にし、これに収まらない1人暮らしの24時間介護利用者などに対しても、「非定形向けの支給決定基準」を作り、国庫負担基準の2倍程度を一律の上限としました。
 厚生労働省は「非定形に上限を設けるのはおかしな話」と言っています。
 これらの市の中には介護保険行政の経験者が、障害福祉行政の担当になったため政策を誤った市や、そういった市をモデルに基準を導入した市もあります。

今までの制度は

 2002年までは厚生省は全国課長会議資料で「ヘルパー制度に一律の上限を設ける市町村に対してはただちに強力に指導すること」と毎年書いていました。2003年度から支援費制度になっても、ヘルパー制度に上限はなく、国の障害ケアマネジメント研修では「障害者個々人が自立して生活できるような支給決定を行う」としています。

 現在も、厚生労働省の担当係は「ヘルパー制度に上限はない」「障害ヘルパー制度の理念は、個々人の状況に合わせて、障害者個々人が自立して生活できるような支給決定を行うこと」と言っています。
 これに対し、今回間違ったこれらの自治体では、1人暮らしで24時間人がついていないと命が危ない最重度者に対しても一律に上限を設けています。たとえば、「朝2時間・昼1時間・夜2時間・入浴1時間・外出1時間・寝返り介護2時間」といった上限基準を作り、「ヘルパー制度はこの時間数以上は一切出さない」といった間違った制度運用を方針としています。しかも飛び石介護を重度訪問介護で決定するという2重の間違いをしています。
 これらの政策を誤った自治体は、早急に上限をなくして、個々人の状況に応じてヘルパー制度を支給決定するように変えるべきです。  



ALS等の気管切開呼吸器利用者で重度訪問介護が15%加算にならないミスが多発

 重度訪問介護の単価は、区分6は(区分5以下に対して)7.5%加算、重度包括対象者は15%加算となっています。15%加算は、制度担当者がALSで人工呼吸器を利用している人を念頭にして作った制度です。
 これにもかかわらず、全国のかなりの市町村で、人工呼吸器利用のALSなど口頭での会話の困難な障害者に、15%加算を設定せずに7.5%加算を決定していることがわかりました。
 この理由として、重度障害者等包括支援の対象者の基準として、認定調査項目「6-3-ア意思の伝達」が「ときどき伝達できる」又は「ほとんど伝達できない」又は「できない」と認定された場合とされていますが、意思伝達装置(パソコンと専用入力装置・ソフト)を使用すれば意思伝達が可能な場合に、「意思の伝達可能」と判定されることが多いようです。
 厚生労働省によると、これは誤りで、パソコン等で意思伝達ができるとしても、スイッチがずれることもあり、100%いつ何時でも(特定の介助者ではなく万民に対して)意思伝達ができる状態でなければ、「意思伝達できる」ではなく「ときどき伝達できる」とすべきで、15%加算になります。
 日常生活支援に対し、重度訪問介護は区分6で10%ほど単価が下がって家事援助並みの低単価になっています。ALSなどの呼吸器利用者は単価が下がると、ヘルパー人材が確保できないので、(区分5以下の平均1500円台の制度に)15%加算をつけることで、単価を9月までの日常生活支援なみに設定しています(それでも人工呼吸器利用者には低すぎる単価ですが)。
 15%加算の制度は障害者団体の運動によるものです。市町村が間違って7.5%加算のままでは、ヘルパー単価が下がり、最重度に対応できる人材確保できませんので、事業所の選択がますますできなくなります。注意して受給者証を確認してください。



重度訪問介護、30分単位での利用も可能に
(1日に5時間30分と6時間30分の2回使う場合など)

 重度訪問介護は1回当たり長時間利用向けのサービスのため、1時間単位の単価設定しかない制度です。しかし、厚生労働省は1日2回の利用をするなどの特殊な場合に限って、30分単位での利用も認める方針変更をしました。
 たとえば、午前に4時間30分のサービスと、夜に5時間30分のサービスを行った場合、事業所は合計して10時間で請求可能です。 (加算時間帯が別々の場合などにどう請求するかなどの細かいことは、10月中に細かい請求ルールに関する事務連絡等が出ます。)
 ただし、熊本市が、30分の巡回型介護を2回利用で重度訪問介護1時間で請求するように利用者と事業所に求めるという制度悪用(日中に2時間以上のサービス利用がある全身性障害者に対して決定)をしたため、厚生労働省は指導しました。
 現在、重度訪問介護の1回あたりの最低利用時間について、どのようなルールを作るかについて、検討されている最中です。重度訪問介護は長時間向けのサービスのため単価が家事援助並みに低くなっています。これを短時間細切れで使うことは制度の悪用です。

[訂正しました。]



重度訪問介護 Q&A 回答:介護保障協議会

Q 重度訪問介護の2人介護の請求方法ですが、長時間のサービス利用者が入浴時だけ2時間の2人介護となりますが、2人目の単価はどうなりますか?

A 2人目は基本1600円/h(第1時間目)からスタートします。(これに時間帯加算・地域加算があります)。

Q 重度訪問介護は1回1時間などの短時間の利用は可能ですか?

A 短時間の利用は原則としてできません。重度訪問介護は連続8時間の利用を想定して8時間連続勤務の場合のヘルパー日給を元に1時間単価を決定しています。このため、区分5の場合は家事援助よりも低い単価となっています。重度訪問介護は、長時間サービス向けの制度です。1回当たりの時間が短い利用は、身体介護で実施すべきです。

 なお、何時間以上が長時間のサービスで、何時間以下が短時間のサービスかは特に明文規定はありません。
 当会では、1回3時間以下の短時間の利用は原則として禁止するように(3時間未満は、身体介護と家事援助で対応するように)厚生労働省に要望中ですが、どうなるか、まだわかりません。

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過疎地域で1人暮らししたい重度全身性障害者募集

 全国2000市町村のうち、多くの市町村では、1人暮らしの長時間要介護の全身性障害者がいないため、ヘルパー制度が伸びていません。24時間介護が必要でも1日6時間程度しかヘルパー制度が出ない市町村は全国の市町村の7割程度にものぼります。
 これを解決するためにバックアッププロジェクトを行います。1人暮らしの重度の全身性障害者が住んできちんと交渉している都道府県では1日16時間や24時間介護の必要な障害者が1人暮らしをしています。このような障害者がいる地域では交渉によりヘルパー制度が伸び、1日16時間や24時間の制度ができている市町村があります。
 そのような市町村では、「ヘルパー制度の上限」という古い考え方が行政内でなくなり、「その障害者が自立して地域で生活するためにどのようなサービスが必要か考えて支給決定する」という国の障害ヘルパー制度の理念に沿った制度に変わっていきます。これにより、1人暮らしの最重度の障害者だけではなくそれ以外の障害者もヘルパー制度を必要な水準まで受けやすくなっていきます。(実際に、10年前に1人暮らしの最重度障害者が交渉して24時間介護保障ができている市では、健常者家族1名と最重度全身性障害者が同居している世帯でも16〜24時間のサービスが受けられるようになっている事例があります)。

 当会では、47都道府県のどの市町村に住んでいても、同じように必要な人に必要なサービスが受けられるように制度改善の交渉の方法の支援や、重度全身性障害者等の「最初の1人」の自立支援(主に1人暮らし)を技術的、財政的に(介護費用)サポートしています。
 現在、長時間のヘルパー制度のない(主に過疎地の)市町村にお住まいで1人暮らしをしたい全身性障害者を募集します。1日16〜24時間の介護が必要な方を想定していますが、それ以外の方もお問い合わせください。



重度訪問介護ヘルパー研修が中部、東北、近畿の各地方でも10月実施可能に

 9月号で紹介した関東の自治体の事例(日常生活支援研修を行っていた研修事業者が変更届を出すことで対応)を参考に、近畿、中部、東北の各県でも障害者団体が交渉し、同じ方法で10月から重度訪問介護研修が実施できるようになりました。各県とも、正式な県の要綱ができる前に研修実施可能です。



障害当事者による24時間介護保障運動とエンパワメント方式のヘルパー事業を全国に

 80〜90年代より、長時間介助の必要な障害者や高度な介護が必要な障害者の団体は、行政などの派遣するヘルパーは介助が満足にできなかったため、自分たちで介助者を雇い、団体を作り重度全身性障害者にも十分対応できる介助サービスを行ってきました。また、行政交渉を行い西日本の人口30万人以下のいくつかの市や東京都内を中心に、24時間の介助制度を作り上げてきました。
 これらの自立生活センター等の団体は、特に早くから団体が立ち上がっていた東京で、療護施設の中でも最も重度の障害者の地域での1人暮らし支援を行ったり、市内で最も大変な状態の障害者の支援を行ったりと、他の団体が行わない先進的な運動を当事者の視点で行ってきました。その支援は利用者のエンパワメント方式(総合的な社会生活力などが向上して行くの方式)で、利用者からも行政からの評価も高く、国のモデル事業もこれらのセンターに委託されるなどノウハウと実績を積んできました。

長時間要介護障害者などが運営する介助サービスのシステムと
24時間介護保障制度を全国2000市町村に作ろう

 2003年からは障害ヘルパーも介護保険と同様、事業者市場が自由化されました。さまざまな事業者がホームヘルプなどのサービスを提供し、障害者は自由に事業者を選択できるようになりました。ホームヘルプサービスを行いたい事業者は、一定の基準を満たせば、都道府県が指定するようになりました。指定を受ければ、市町村境や県境を超えてサービス提供ができるようになりました。
 この制度改正にあわせて、介護保障協議会とJILほかの協力で、全国の自立生活センター空白地域をなくし適切な水準の団体を育てることを目的とし、研修や財政面で支援する自薦ヘルパー推進協会が作られました。全国の空白地域への立ち上げから10年にわたる長期間の団体のレベルアップ支援を行っています。

 介護保険や障害ヘルパーの指定事業者になってヘルパー事業を行うと、十分な運営費が保障され、団体職員の人件費や運営費に十分な保障ができます。この仕組みを使って更なるサービス水準アップや制度を改善していく運動を行い、社会を変えていこうという計画を全国各地で行っています。長期目標として、10年かけて全国に1000事業者を作り、ほぼすべての市町村をサービス地域に入れること、24時間要介護の障害者の自立支援を行い、行政交渉し、24時間介護保障を全国2000市町村で作り出すことを目標にしています。
 その次は、知的・精神・身体(視覚・聴覚・盲ろう・肢体・内部)・難病および重複の全障害種別の参加を得て、全ての障害種別にエンパワメント方式の介助サービス等を提供(当事者が主体的に)していくシステムを計画しています。
 また、全国2000市町村の多くで24時間に近い介護保障ができた際には、全国で予算が確保されますので、国に対してパーソナルアシスタント制度(労働・通勤・通学・運転・一時入院などでもヘルパー利用を制限されない24時間介護保障で全国一律制度)を作っていく計画です。

研修の事例

東京の団体の半数では24時間介助保障を交渉して作り、24時間の専従介助者による介助サービスを行い、人工呼吸器利用の24時間要介助の全身性障害者などを施設などから一人暮し支援できています。一人暮しの知的障害者や精神障害者への介助サービスや自立支援も行なっています。もちろん短時間の介助サポートもできます。いずれも個別ILプログラムや様々な支援を(自立生活をしている長時間要介助の)障害者役員が管理し健常者のスタッフなどを部下として雇い(障害者と健常者で)運営しています。これら団体は2000年ごろから市から障害ヘルパーを委託されており、収入は(今までの障害者団体に比べると)相当大きなものになります。それにより能力の高い職員を育成してきており、全国の新しい団体への研修面での支援などを行っています。
 通常、このような水準の団体になるために、どれくらいの研修期間や運営期間が必要かというと、平均10年以上の研修期間(実地研修としての小規模団体運営期間含む)が必要です。まずは個人で自薦ヘルパーを利用して経験をつみ、さまざまな種類の大小の研修を自主的に受けていきます。数年で団体を立ち上げて実際に自立支援活動を行いながら、毎週のように先進団体に相談しながら運営していきます。
 この流れの最初の1年で行うことは、たとえば、社会経験や障害者運動の経験の長い障害者で自薦ヘルパー利用の経験も十分ある場合は、まずは近隣自立生活センターで1000時間(1〜2年)程度の職場実習形式の研修からスタートします。2年目から小規模団体を立ち上げ、まず1人目の自立支援(施設や親元からの一人暮しの支援)を団体として行います。この際などにも事細かに研修先の団体にアドバイスを仰ぎながら進めます。こうして2人目、3人目と進み、ILP、ピアカンなども講座型から個別研修形までこなし、介護制度交渉も行ない、専従介助者を確保していって介助サービス体制を強固にしていきます。この間も外部の講座などには出来るだけ参加します。これで最短の団体で4年ほどで、平均で10年で上記のような総合的なサービスが行なえるようになります(実績)。なお、遠方で1000時間の職場実習研修ができない地域の方には、通信研修(後述)とさまざまな研修をミックスして同等の研修時間を確保する必要があります。
 一方、社会経験や経験や自薦ヘルパー利用の経験がない場合は、まずはこれらの経験を5年ほどかけて行うところから始めます。その際、能力に応じて、数年で小規模団体の立ち上げをしながら同時進行で研修期間を進む場合もあります。

 

通信研修参加希望者を募集中(受講料無料です)

 障害当事者が主体的に事業を行うための研修システムとして、通信研修と宿泊研修を組み合わせた研修を準備しています。推進協会の理念にそった当事者団体を作るという方は受講料無料です。内容は、団体設立方法、24時間介助サービスと個別自立プログラム、介護制度交渉、施設等からの自立支援、団体資金計画・経理・人事、指定事業、運動理念などなど。現在、通信研修の参加者を募集しています。

くわしくはお問合せ下さいフリーダイヤル0037−80−4455(推進協会団体支援部10時〜22時)へ。

通信研修参加申込書(参加には簡単な審査があります)

団体名(            )

郵便番号・住所 名前 障害者/健常者の別&職名 Tel Fax メール
           
           
           
           
           
           

推進協会団体支援部 FAX 042-452-8029まで (次ページも参照してください)

各団体からの研修参加者の人数について

 通常、推進協会の主催する合宿研修には、障害者の役員・中心的職員で長時間要介助の方と、健常者の介護コーディネーターの両方の参加が希望です。団体ごとに2〜5人は参加してほしいと考えています。

参考資料:推進協会が通信研修を行う団体・個人の理念の条件です
(今すぐできなくても、力がついてきたら、必ずやるという理念を持っていただけるのでしたら対象になり得ます。研修を行い、出来るようになるまでバックアップします。)

推進協会支援団体基準について

(1) 運営委員会の委員の過半数が障害者であり、代表及び運営実施責任者が障害者であること。
 介助保障の当事者団体(介助を必要とする方自身で運営する団体)ですから、なるだけ介助ニーズの高い方を運営委員会にいれていくようにしてください。団体設立後数年たち、より重度の方が自立した場合などは、なるだけ運営委員会に加えて下さい。
(2) 代表及び運営実施責任者のいずれかが原則として長時間要介助の障害者であること。
 代表者及び運営実施責任者(事務局長)は、なるだけ、介護ニーズの高い方がなり、介護ニーズの低い方は例えば事務局次長としてバックアップする等の人事を可能な限り検討して下さい。また、団体設立後数年経ち、より重度の方が自立した場合などは、可能な限り役員に登用して役職としてエンパワメントしていってください。
(3) 24時間介助保障はもとより、地域にいる障害者のうち、最も重度の人のニーズに見あう介助制度を作ることを目的とする組織である。
 例えば、24時間の人工呼吸器を使って一人暮らししている方、24時間介助を要する知的障害者の単身者、重度の精神障害者の方、重複障害者、最重度の難病の方、盲ろう者など、最も重度の方に対応していくことで、それ以外の全ての障害者にも対応できる組織になります。
(4) 当事者主体の24時間の介助サービス、セルフマネジドケアを支援し、行政交渉する組織である、もしくはそれを目指す団体である。
 24時間の介助サービスを行うには、市町村のホームヘルプサービスの利用可能時間数上限を交渉して毎日24時間にする必要があります。交渉を行うには一人暮らしで24時間つきっきりの介助を要する障害者がいる事が条件となります。このプロジェクトではホームヘルプ指定事業の収益を使い、24時間要介助障害者の一人暮らしを支援、実現し、市町村と交渉することを義務づけています。ただし、その力量のない団体には時間的猶予が認められています。この猶予の期間は相談の上、全国事務局が個別に判断します。
(5) 自立生活運動及びエンパワメントの理念を持ち、ILプログラム、ピアカウンセリングを今後実施すること。
 介助サービスは利用者自身が力をつけていくというエンパワメントが基本です。具体的には介助サービス利用者に常に個別ILプログラム+個別ピアカウンセリングを行います。
(6)

身体障害に限らず、今後研修を積み、他の障害者にもエンパワメント方式のサービスを提供することを目標にしていること。

(注:個別ILプログラム等のエンパワメント方式のサポートや研修を行わずに、単にヘルパー派遣のみを知的・児童・身体・精神の各障害向けにすることは推進協会としては禁止しています。誤解がおきやすいので特に注意)

 



全国ホームヘルパー広域自薦登録協会の理念

47都道府県で介助者の自薦登録が可能に 障害施策の自薦登録ヘルパーの全国ネットワークを作ろう

 2003年度から全国の障害者団体が共同して47都道府県のほぼ全域(離島などを除く)で介助者の自薦登録が可能になりました。
 自薦登録ヘルパーは、最重度障害者が自立生活する基本の「社会基盤」です。重度障害者等が自分で求人広告をしたり知人の口コミで、自分で介助者を確保すれば、自由な体制で介助体制を作れます。自立生活できる重度障害者が増えます。(特にCIL等のない空白市町村で)。
 小規模な障害者団体は構成する障害者の障害種別以外の介護サービスノウハウを持たないことが多いです。たとえば、脳性まひや頚損などの団体は、ALSなど難病のノウハウや視覚障害、知的障害のノウハウを持たないことがほとんどです。
 このような場合でも、まず過疎地などでも、だれもが自薦登録をできる環境を作っておけば、解決の道筋ができます。地域に自分の障害種別の自立支援や介護ノウハウを持つ障害者団体がない場合、自分(障害者)の周辺の人の協力だけで介護体制を作れば、各県に最低1団体ある自薦登録受け入れ団体に介助者を登録すれば、自立生活を作って行く事が可能です。一般の介護サービス事業者では対応できない最重度の障害者や特殊な介護ニーズのある障害者も、自分で介護体制を作り、自立生活が可能になります。
 このように様々な障害種別の人が自分で介護体制を組み立てていくことができることで、その中から、グループができ、障害者団体に発展する数も増えていきます。
 また、自立生活をしたり、自薦ヘルパーを利用する人が増えることで、ヘルパー時間数のアップの交渉も各地で行なわれ、全国47都道府県でヘルパー制度が改善していきます。
 支援費制度が導入されることにあわせ、47都道府県でCIL等自立生活系の障害当事者団体が全国47都道府県で居宅介護(ヘルパー)指定事業者になります。
 全国の障害者団体で共同すれば、全国47都道府県でくまなく自薦登録ヘルパーを利用できるようになります。これにより、全国で重度障害者の自立が進み、ヘルパー制度時間数アップの交渉が進むと考えられます。
47都道府県の全県で、県に最低1箇所、CILや障害者団体のヘルパー指定事業所が自薦登録の受け入れを行えば、全国47都道府県のどこにすんでいる障害者も、自薦ヘルパーを登録できるようになります。(支援費制度のヘルパー指定事業者は、交通2〜3時間圏内であれば県境や市町村境を越えて利用できます)。(できれば各県に2〜3ヶ所あれば、よりいい)。 全国で交渉によって介護制度が伸びている全ての地域は、まず、自薦登録ヘルパーができてから、それから24時間要介護の1人暮らしの障害者がヘルパー時間数アップの交渉をして制度をのばしています。(他薦ヘルパーでは時間数をのばすと、各自の障害や生活スタイルに合わず、いろんな規制で生活しにくくなるので、交渉して時間数をのばさない)
自薦ヘルパーを利用することで、自分で介助者を雇い、トラブルにも自分で対応して、自分で自分の生活に責任を取っていくという事を経験していくことで、ほかの障害者の自立の支援もできるようになり、新たなCIL設立につながりがります。(現在では、雇い方やトラブル対応、雇用の責任などは、「介助者との関係のILP」実施CILで勉強可能)
例えば、札幌のCILで自薦登録受け入れを行って、旭川の障害者が自分で介助者を確保し自薦登録を利用した場合。それが旭川の障害者の自立や、旭川でのヘルパー制度の時間数交渉や、数年後のCIL設立につながる可能性があります。これと同じことが全国で起こります。(すでに介護保険対象者の自薦登録の取組みでは、他市町村で自立開始や交渉開始やCIL設立につながった実例がいくつかあります) 自薦登録の受付けは各団体のほか、全国共通フリーダイヤルで広域協会でも受付けます。全国で広報を行い、多くの障害者に情報が伝わる様にします。
自薦登録による事業所に入る資金は、まず経費として各団体に支払い(各団体の自薦登録利用者が増えた場合には、常勤の介護福祉士等を専従事務員として雇える費用や事業費などを支払います)、残った資金がある場合は、全国で空白地域でのCIL立ち上げ支援、24時間介護制度の交渉を行うための24時間要介護障害者の自立支援&CIL立ち上げ、海外の途上国のCIL支援など、公益活動に全額使われます。全国の団体の中から理事や評議員を選出して方針決定を行っていきます。
 これにより、将来は3300市町村に全障害にサービス提供できる1000のCILをつくり、24時間介護保障の全国実現を行ない、国の制度を全国一律で24時間保障のパーソナルアシスタント制度に変えることを目標にしています。

全国ホームヘルパー広域自薦登録協会の利用者の声

★(関西) 24時間介護の必要な人工呼吸器利用者ですが一般事業所はどこも人工呼吸器利用者へヘルパー派遣をしてくれないので、広告で募集した介助者に全国広域協会の紹介でヘルパー研修を受講してもらい、全国広域協会を利用しています。求人紙での求人募集方法のアドバイスも受けました。介助者への介助方法を教えるのは家族が支援しています。

★(東日本の過疎の町) 1人暮らしで24時間介護が必要ですが、介護保障の交渉をするために、身体介護1日5時間を全国広域協会と契約して、残り19時間は全国広域協会から助成を受け、24時間の介助者をつけて町と交渉しています。

★(東北のA市) 市内に移動介護を実施する事業所が1か所もなく、自薦登録で移動介護を使いたいのですが市が「事業所が見つからないと移動介護の決定は出せない」と言っていました。知人で介護してもいいという人が見つかり、東京で移動介護の研修を受けてもらい全国広域協会に登録し、市から全国広域協会の提携事業所に連絡してもらい、移動介護の決定がおり、利用できるようになりました。

★(西日本のB村) 村に1つしかヘルパー事業所がなくサービスが悪いので、近所の知人にヘルパー研修を受けてもらい全国広域協会に登録し自薦ヘルパーになってもらいました。

★(北海道) 視覚障害ですが、今まで市で1箇所の事業所だけが視覚障害のガイドヘルパーを行っており、今も休日や夕方5時以降は利用できません。夜の視覚障害のサークルに行くとき困っていましたら、ほかの参加者が全国広域協会を使っており、介助者を紹介してくれたので自分も夜や休日に買い物にもつかえる用になりました。

★(東北のC市) 24時間呼吸器利用のALSで介護保険を使っています。吸引してくれる介助者を自費で雇っていましたが、介護保険の事業所は吸引をしてくれないので介護保険は家事援助をわずかしか使っていませんでした。自薦の介助者がヘルパー資格をとったので全国広域協会に登録して介護保険を使えるようになり、自己負担も1割負担だけになりました。さらに、今年の4月からは支援費制度が始まり、介護保険を目いっぱい使っているということで支援費のヘルパーも毎日5時間使えるようになり、これも全国広域協会に登録しています。求人広告を出して自薦介助者は今3人になり、あわせて毎日10時間の吸引のできる介護が自薦の介助者で埋まるようになりました。求人広告の費用は全国広域協会が負担してくれました。介助者の時給も「求人して介助者がきちんと確保できる時給にしましょう」ということで相談のうえ、この地域では高めの時給に設定してくれ、介助者は安定してきました。

 
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