★障害程度区分認定調査の情報

★外出介護の資格要件が緩和&身体介護を伴う、伴わないの判断基準が出る

★制度の変わり目の今が交渉のチャンス!

8月号
2006.8.28
編集:障害者自立生活・介護制度相談センター
情報提供・協力:全国障害者介護保障協議会
〒180−0022 東京都武蔵野市境2−2−18−302
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2006年8月号    目次

   

4・・・・身体介護を伴う移動介護と、伴わない移動介護の判断基準が出る
6・・・・外出介護の資格要件が緩和
7・・・・地域生活支援事業の国庫補助額の内示が出る
8・・・・障害程度区分認定調査の情報
11・・・政令指定都市O市では半数が2次判定で区分アップ
12・・・重度訪問介護と身体介護の併用について
13・・・地域生活支援事業の正式要綱出る
17・・・障害当事者による24時間介護保障運動とヘルパー事業を全国
21・・・過疎地域で1人暮らししたい重度全身性障害者募集
24・・・全国ホームヘルパー広域自薦登録協会のご案内



制度の変わり目の今が最大のチャンス
ヘルパー時間数のアップに向けて交渉を

 制度の変わり目は交渉で大きく制度を伸ばすチャンスです。2003年の支援費制度開始時にも、多くの市町村で24時間介護保障や大幅なヘルパー制度のアップが実現しました。
 自立支援法でも、事情は同じです。ヘルパー制度も義務的経費になり、市町村行政の介護の公的責任も高まりました。
 2006年4月1日以降に1人暮らしを始めて、同時に交渉を行うと有利です。2005年12月〜2006年3月までの1人暮らし開始では、市町村のヘルパー予算が増える部分の国庫補助がつきませんでしたので、交渉が困難でした。
 2006年度以降は、自立支援法施行により、ヘルパー制度が義務的経費となるため、1年中いつの新規自立でも、国庫補助がつきます。
 交渉は今から行えます。元々1人暮らししている方も、今から4月の時間数アップに向けて交渉を行うことが可能です。(学生ボランティアが卒業等でいなくなってしまった、障害状況が変わったなどの理由が必要) 交渉をしたい方、ご連絡ください。厚生労働省の情報、交渉の先進地の制度の情報、交渉ノウハウ情報など、さまざまな情報があります。当会に毎週電話をかけつつ行った交渉で24時間介護保障になった実績が多くあります。ぜひ自治体との交渉にお役立てください。

 制度係0037−80−4445(通話料無料)11時〜23時。

交渉のやり方ガイドブック 限定販売
ヘルパーの時間数アップの交渉をする障害者に限り販売します。
 申込みは発送係0120−870−222へFAXか電話で。(交渉を行う障害当事者かどうか、制度係から電話させていただいてからお送りします。) 500円+送料

 



身体介護を伴う移動介護と、伴わない移動介護の判断基準が示される(通院用の外出介護の8/4通知)

 先月号で紹介した様に、通院に限って義務的経費のホームヘルプに外出介護が残ることになりましたが、8月4日にその外出介護の詳細の通知が出ました。
 介護保険では身体介護で通院しますが、障害ヘルパー制度では「原則は身体介護で通院を行い、例外的に一部の市町村では移動介護で通院」をしていました。(これは支援費制度前からガイドヘルパー制度で通院を行っていた市町村が多かったこと、視覚障害者の通院には視覚障害者ガイドヘルパー研修終了者があたった方が安全なこと、市町村にとっては身体介護単価で通院してもらうよりも、移動介護(身体介護を伴わない)の単価で通院してもらったほうが予算が少なくてすむことなどの理由があり、各地の自治体からの要望で厚生労働省が移動介護での通院も2003年度から認めていたため)。今回、視覚障害者団体の要望により外出介護で通院する制度が個別給付に残りました。
 また、身体介護を伴う移動介護と、身体介護を伴わない移動介護の判断の仕方についても、はっきり基準が示されました。

通知抜粋

(2)「通院介助(身体介護を伴う」の対象者の判断基準) 以下のいずれにも該当する者  
  ○障害程度区分が区分2以上である者
○障害程度区分の認定調査項目において@〜Dのいずれか一つ以上に認定されている者
    @「歩行」:「できない」
A「移乗」:「見守り等」、「一部介助」、「全介助」
B「排尿」:「見守り等」、「一部介助」、「全介助」
C「排便」:「見守り等」、「一部介助」、「全介助」
D「移動」:「見守り等」、「一部介助」、「全介助」

 この基準などを活用して、地域生活支援事業のガイドヘルパー制度でも、身体介護を伴うガイドヘルプと身体介護を伴わないガイドヘルプで単価に差をつけるように要望することをお勧めします。
(重度全身性障害者で重度訪問介護の対象にならない場合、ガイドヘルパーの利用をすることになります。重度全身性障害の場合は、家の中の身体介護よりも外出の介護がより介護が大変なため、従来の身体介護を伴う移動単価を下回ると、サービス提供をする事業所がなくなるという問題も生じます。市町村に対して、すぐに声を上げないと、10月からのガイドヘルパー制度の単価が下がってしまいます。(市町村によっては、身体介護の有り・無しの平均を取り単価を一本化する恐れが大いにあります。)

単価設定は身体介護・家事援助と変わらず

 身体介護を伴う外出介護の単価は身体介護と同じです。身体介護を伴わない外出介護は家事援助と同じです。

通知抜粋
          1単位は10円(大都市部は最高7.2%増)

  居宅介護
身体介護 家事援助等 通院等乗降介助
@居宅における身体介護
A通院介助(身体介護を伴う)
@家事援助
A通院介助(身体介護を伴わない)
〜0.5 230単位 80単位 1回につき99単位
〜1.0 400単位 150単位
〜1.5 580単位 225単位
〜2.0 655単位 市町村が特に必要と認めた場合
30分ごとに70単位
〜2.5 730単位
〜3.0 805単位
〜3.5 市町村が特に必要と認めた場合、30分ごとに70単位

 なお、通知全文はホームページに掲載しています。



外出介護の資格要件が緩和

 また、外出介護のヘルパー資格要件ですが、規制緩和され、介護福祉士や1〜3級研修修了者でも従事可能になっています。
 また、9月30日時点の日常生活支援研修や視覚・知的・全身性の各移動介護の研修修了者であれば、障害種別に関わらず従事可能になっています。
(ただし、1・2級・介護福祉士以外は、身体介護を伴う移動介護では、3割単価ダウン、身体介護を伴わない移動介護では1割単価ダウン)。
 この基準も、地域生活支援事業のガイドヘルパー制度の資格要件緩和の交渉に役立ちます。同じ外出のサービス内容で資格や単価が違うというのは市町村としては取りにくい選択です。すでに特別な市町村独自のガイドヘルパー資格等の要件を打ち出している市町村では、早急にこの通知を参考に考え直すよう交渉をした方がいいでしょう。(市町村の独自研修が義務付けになると事業所の選択が事実上できなくなり、重度の障害者ほど困る事態になります)。

通知抜粋

5 従業者の要件について

  1.  介護福祉士
  2.  介護職員基礎研修修了者
  3.  居宅介護従業者養成研修1、2級課程修了者
  4.  居宅介護従業者養成研修3級課程修了者
  5.  支援費制度において身体介護、家事援助又は日常生活支援に係る業務に従事した経験を有する者
  6.  平成18年9月30日において、従来の視覚障害者外出介護従業者養成研修、全身性障害者外出介護従業者養成研修、知的障害者外出介護従業者養成研修を修了した者
  7.  従来の視覚障害者外出介護従業者養成研修、全身性障害者外出介護従業者養成研修、知的障害者外出介護従業者養成研修に相当する研修として都道府県知事が認める研修を修了した者

    ※ 4〜7の者がサービス提供を行った場合には「通院介助(身体介護を伴う場合)」は30%、「通院介助(身体介護を伴わない場合)」及び「通院等乗降介助」は10%の減算を行う

 



地域生活支援事業の国庫補助額の内示が出る

 10月から移動支援事業(ガイドヘルパーなど)や日常生活用具などが移行する、地域生活支援事業ですが、7月末に厚労省より各都道府県、市町村に対し国庫補助額の内示が出ました。(額は4月から3月までの18年度1年分のものです)。
 この補助金額をもとに、日常生活用具、コミュニケーション支援などとの予算の配分や、移動支援事業のガイドヘルパー単価や支給決定の基準などを設定していく市町村も多いと思われます。各都道府県・市町村でどのくらいの補助額が出ているのか、確認が必要です。9月はじめごろまでには各市町村で10月からの制度の単価や予算が決まります。
 例として東京の18万人の人口の市の例では約2000万円の内示となっています。この中からさまざまな種類の事業を行う必要があり、予算の余裕はあまりありません。
 各市町村とも、地域生活支援事業の予算が少ないため、全身性障害者は極力、重度訪問介護で外出してもらうように支給決定するなどの方針を立てつつあります。しかしながら、家族同居の重度全身性障害者などは短時間の外出介護利用があり、外出の前後でもサービスを使っていないことがあります。そのような1〜2時間のみの外出を重度訪問介護のような低い単価で受けてくれる事業所はほとんどありません。該当する障害者は、市町村と交渉をして今までと同じ身体介護を伴う外出介護単価で地域生活支援事業のガイドヘルパー制度を行うよう、要望してください。特に障害が非常に重いなどの理由で近所に対応できる事業所がなく、遠方の事業所を使っている場合などは、単価が下がるとヘルパー人材確保ができなくなり、現在のサービスを引き続き受けられなくなる可能性が高いです。



障害程度区分認定調査の情報

 障害程度区分の認定調査が各地で行われています。認定調査を受けてみて、「内容に不安を感じた」との障害者からの相談も多数届いています。 不安を感じた内容の例としては、

  • 調査員から調査目的の説明が無く、調査が始まった。
  • (障害者が)「調査票の内容を見せて」と言ったのに見せてもらえなかった。
  • 調査員に一方的に問いかけられ、それにひたすら答え続けなければならない点はとても苦痛だった。
  • とにかく内容がわかりにくい(何のために聞かれているのかわからない)。
  • そういう状況なので、調査員の「へ〜そうなんだ〜」というようなあいまいな受け応えにさえ恐怖を感じた。
  • どのような判定結果になったのか聞いても教えてくれない。
  • 当然質問を受けると思っていた項目の質問がなかった。恐らく調査員の判断で省略されたのだと思われるが、調査が終わるまで、それがわからない。

等です。

 このような例に対し、窓口に認定調査の方法を改善するよう要望し改善された例を紹介します。
 A市の障害者団体では、調査を受けて不安を感じた当事者の訴えをもとに、市の障害福祉課に、質問項目の一覧と、「どういう質問があってどういうやり取りであったか・質問を飛ばされたた項目・問題発言」を全部書き出し、市の障害福祉課に渡し、改善を求めました。
 A市は、介護保障も含め、障害者福祉に熱心な窓口だったので、すぐに担当者から連絡が来て、補足調査の名目で再度認定調査を行うことで解決しました。(調査内容で明らかに不明な点がある場合や、誤りがあると認められる場合は市町村の担当者が必要に応じて調査結果に対する不備修正や、再調査ができるとなっている。この場合は、質問されなかった項目があった(調査の欠落)にあたる事項があったとのこと。詳しくは「認定調査員マニュアルU」をお読みください)。

改善した点は
調査員が質問を開始する前に
 1、どういう目的で調査するのか
 2、今日の調査の流れ
 3、不明な点、不安な点が出たら、随時申出ていいということ
 4、目安の時間
これらを説明することになった。

質問については
1、できるだけ質問順序に沿って質問し、順番を変えるときはその旨を伝えて了承を得ること
2、判断のわかりにくい調査項目(例えば「移動」とか「座位保持」)は、判断の仕方を説明すること
3、特記事項は、それを書くことを伝えること
4、可能な限り、どういう項目判定になったかを伝えること
5、調査員の判断で項目質問を省略する時は、その項目を省略する旨を必ず伝えた上で、当事者の了解を得て省略すること
このように行うことになりました。

 後日、A市の障害福祉担当者から、交渉した障害者団体に「指摘されないと気づかなかった。それに、調査を行う側も初めてなので不安を感じながらやっている。できる限り努力するのでまた何かあれば言って下さい」との連絡がありました。
 また、皮膚疾患、夜間鼻マスク呼吸器利用など、調査員から一見してわからない医療項目等で、調査員が気づかない(調査員も知らないためわからない)ために質問をされなかったという事例もあります。

 このような例を見てもわかるように、調査サイドのミスがあったとしても、障害当事者サイドからはまったく点検できない調査は、そのこと自体、問題があります。
 もし、A市の交渉前の状態のように行われている認定調査があれば、各市町村の障害者団体で内容を具体的に調査し市町村と交渉を行うことをお勧めします。

審査会での区分審査について

 区分調査で、自由に文書で記入する「特記事項」をできるだけ詳しく書くよう努力している市町村では、1次判定結果に対し軒並み審査会で区分が上がっているようです。区分1を区分3にする例や、区分3を区分5にするなどの2段階アップも珍しくないようです。
 また、進行性の神経難病のケースでは、状態を医師の意見書から判断して区分を上げ、さらに特記事項や医師意見書だけでは障害進行のスピードなど肝心な状況がわからない点があるので、次回判定は状況に応じて認定調査を早めるよう申し添えをつけたような例もあります。(予想より早く重度化した場合、区分を上げる必要が生じるため)。
 このような例からも、特記事項と医師意見書が重要ということがよくわかります。審査会では、個人名などの情報は原則非公開で、「調査表、1次判定結果、特記事項、医師意見書」のみを材料に審査されますので、特記事項と医師意見書の文章は審査委員への影響が予想以上に大きくなっています。  逆の例もあります。特記事項がほとんど書かれていない場合や、医師意見書も主治医が障害等級診断をした時の身体調査票の丸写しのような意見書を出している例などは、1次判定のままの区分となります。
 実際に困っている状況や、障害の特性などは、調査項目からだけでは全部は伝わりません。不安な点などは調査員に伝え特記事項にどんどん書いてもらいましょう。



政令指定都市O市では半数が2次判定で区分アップ

 O市における審査終了者2273件のうちの二次判定変更の状況では、ほぼ半数が二次判定でランクアップしています。詳しくは、ホームページをご覧ください。(情報提供:リソースセンターいなっふ)

区分判定についての新しい厚生労働省からの情報

厚生労働省の障害福祉のホームページに以下2つの情報が加わりました

  • 平成18年7月27日「障害者自立支援法に基づく障害程度区分認定のための医師意見書の記入方法及び医師意見書記載事例について」
  • 平成18年7月27日「障害程度区分の医師意見書について(情報提供その2)」

詳しくは当会ホームページをご覧ください。



重度訪問介護の詳細について

・重度訪問介護と身体介護の別事業所利用の場合の併用について

 朝はA事業所で1時間身体介護を利用し、夕方はB事業所で日常生活支援(重度訪問介護)5時間利用などの障害者の場合、今までは2種類の類型の支給決定が認められていました。10月以降どうなるかですが、厚生労働省で結論はまだ検討中です。できるともできないとも決まっていません。
 引き続き各障害者団体が交渉中です。課長会議前の8月下旬ごろまでには支給決定に関するQ&Aが出るので、その中に盛り込まれます。
 そのほか、外出問題、1日3時間問題、区分3の利用者の問題も、近日確定します。決まり次第お知らせします。



地域生活支援事業の正式要綱出る

 10月より、日常生活用具や移動支援事業(ガイドヘルパー制度など)が地域生活支援事業に移行しますが、その要綱が示されました。
 なお、地域生活支援事業は市町村や都道府県が自由に制度を設計できますので、この要綱はあくまで国が示す例示という位置づけです。
 例えば、都道府県は地域生活支援事業でヘルパー制度の国庫負担基準オーバーした市町村に欠損額の一部を補助することができるという要綱になっていますが、厚生労働省幹部によると「地域生活支援事業は自由に制度設計できるので、県がオーバー分を全額補助してもかまわない」とのことです。  

主なものを紹介します。

移動支援事業(ガイドヘルパー等について)
(別記4)
移動支援事業
1  目的
  屋外での移動が困難な障害者等について、外出のための支援を行うことにより、地域における自立生活及び社会参加を促すことを目的とする
2  事業内容
  (1)  実施内容
    移動支援を実施することにより、社会生活上必要不可欠な外出及び余暇活動等の社会参加のための外出の際の移動を支援する。
  (2)   実施方法
    各市町村の判断により地域の特性や個々の利用者の状況やニーズに応じた柔軟な形態で実施すること。なお、具体的には以下の利用形態が想定される。
    ア  個別支援型
      個別的支援が必要な者に対するマンツーマンによる支援
    イ  グループ支援型
      (ア) 複数の障害者等への同時支援
(イ) 屋外でのグループワーク、同一目的地・同一イベントへの複数人同時参加の際の支援
    ウ  車両移送型
      (ア) 福祉バス等車両の巡回による送迎支援
(イ) 公共施設、駅、福祉センター等障害者等の利便を考慮し、経路を定めた運行、各種行事の参加のための運行等、必要に応じて支援
  (3)  対象者
    障害者等であって、市町村が外出時に移動の支援が必要と認めた者とする。
  (4)   サービスを提供する者
    サービスを提供するに相応しい者として市町村が認めた者とする。
3  留意事項
  (1)  指定事業者への事業の委託
    サービス提供体制の確保を図るため、市町村は、
・ 新制度における居宅介護など個別給付のサービス提供を行う指定事業者
・ これまで支援費制度で移動介護のサービス提供を行っている指定事業者
  などを活用した事業委託に努めること。
また、市町村が作成した委託事業者リストから利用者が事業者を選択できるような仕組みとすることが適当であること。
  (2)  突発的ニーズへの対応
    急な用事ができた場合、電話等の簡便な方法での申し入れにより、臨機応変にサービス提供を行うこと。
  (3)  サービス提供者については、平成15年3月27日障発第0327011号厚生労働省社会・援護局障害保健福祉部長通知「居宅介護従事者養成研修等について」を活用するなど、その資質の向上に努めること。また、利用者の利便性を考慮し、他の市町村への外出等に支障を生じないよう配慮するとともに、代筆、代読等障害種別に配慮したサービス提供に努めること。

最後の部分の、平成15年3月27日障発第0327011号通知「居宅介護従事者養成研修等について」は1〜3級研修なども含む全ヘルパー研修に関する研修受講免除時間などが記載された通知です。この部分は移動介護研修のみを指したものではありません。移動介護研修が9月までで廃止されるので、「各市町村独自で移動介護研修を実施してその受講者しか移動支援事業(ガイドヘルパー)になれない」という誤った案を検討している市町村もあるようです。そうなると、数年後には事実上事業所を選択できなくなります。交渉して考え方を個別給付の外出介護にあわせることをお勧めします。

国庫補助オーバーした市町村への補助

(別記10)
その他の事業
○ 実施事業
(5)  重度障害者に係る市町村特別支援事業
  ア  目的
    訪問系サービス利用者全体に占める重度障害者の割合が著しく高く訪問系サービスの支給額が国庫負担基準を超えた市町村のうち、利用者全体に占める重度障害者の割合が著しく高い市町村に対し、都道府県が一定の財政支援を行うことにより、重度の障害者の地域生活を支援することを目的とする。
  イ  事業内容
    (ア)  以下のいずれにも該当する市町村に係る訪問系サービスの支給額のうち、訪問系サービスの国庫負担基準を超過した額について助成する。
      a 訪問系サービスの全体の利用者数に占める重度訪問介護対象者の割合が25%を超えるなど著しく高い場合
b 訪問系サービスの支給額が国庫負担基準額を超過している場合
    (イ)  助成する額の範囲についてaに掲げる人数にbの額を乗じた金額の一定割合とする。
      a 該当する市町村の重度訪問介護の利用者数から、訪問系サービスの全体の利用者数に全国の重度訪問介護対象者の割合(10%程度)を乗じて得た数を控除した数
b 重度訪問介護の障害程度区分4、5、6の国庫負担基準額の平均間差程度
 *区分4、5、6の国庫負担基準額の平均間差程度とは、5万円台です。

 この要綱は国庫負担基準を超えた市町村向けに、県が地域生活支援事業の予算の中から補助できるという制度の国の案です。この要綱(例示の扱い)にとらわれずに県の判断で国庫負担基準オーバー下市町村にオーバー分の全額を補助することも可能です。全国の障害者団体の交渉状況では、国庫補助オーバーしている金額が少ない(300万以下の)地方の県では、障害者団体の県交渉で、県が全額助成に前向きの回答をしています。一方で、「国の責任であるから、この事業を行うつもりはない」という回答の県もあります。

ヘルパー制度対象外の障害者へのサービス

(別記6)
その他の事業
○ 実施事業
(10) 生活サポート事業
  ア  目的
    介護給付支給決定者以外の者について、日常生活に関する支援・家事に対する必要な支援を行うことにより、障害者の地域での自立した生活の推進を図る。
  イ  事業内容
   

(ア) 実施方法

介護給付支給決定者以外の者であって、日常生活に関する支援を行わなければ、本人の生活に支障をきたすおそれのある者に対して、市町村の判断により、居宅介護従事者等を居宅に派遣し、必要な支援(生活支援・家事援助)を行う。

   

(イ) サービスを提供する者

サービスを提供するに相応しい者として市町村が認めた者

  ウ  留意事項
    (ア) 利用者の状態に応じ、自立訓練等の他の福祉サービスを活用するための調整等を行うこと。
    (イ) 利用者への支援の必要性の変化に応じたサービス提供を行い、自立生活への助長に努めること。

 介護保険制度でも、2000年の制度開始時に要介護認定から外れた非該当者(それまでヘルパー制度を使っていた高齢者)にヘルパーサービスを提供するために、これと同様の制度が行われています。障害の制度でも同じものが地域生活支援事業に入っています。各地の障害者団体の入院時の介護の交渉で、この制度を短期入院時に適用させようと交渉している団体もあります。(コミュニケーション支援事業を使う例もあります)。



障害当事者による24時間介護保障運動とエンパワメント方式のヘルパー事業を全国に

 80〜90年代より、長時間介助の必要な障害者や高度な介護が必要な障害者の団体は、行政などの派遣するヘルパーは介助が満足にできなかったため、自分たちで介助者を雇い、団体を作り重度全身性障害者にも十分対応できる介助サービスを行ってきました。また、行政交渉を行い西日本の人口30万人以下のいくつかの市や東京都内を中心に、24時間の介助制度を作り上げてきました。
 これらの自立生活センター等の団体は、特に早くから団体が立ち上がっていた東京で、療護施設の中でも最も重度の障害者の地域での1人暮らし支援を行ったり、市内で最も大変な状態の障害者の支援を行ったりと、他の団体が行わない先進的な運動を当事者の視点で行ってきました。その支援は利用者のエンパワメント方式(総合的な社会生活力などが向上して行くの方式)で、利用者からも行政からの評価も高く、国のモデル事業もこれらのセンターに委託されるなどノウハウと実績を積んできました。

長時間要介護障害者などが運営する介助サービスのシステムと
24時間介護保障制度を全国2000市町村に作ろう

 2003年からは障害ヘルパーも介護保険と同様、事業者市場が自由化されました。さまざまな事業者がホームヘルプなどのサービスを提供し、障害者は自由に事業者を選択できるようになりました。ホームヘルプサービスを行いたい事業者は、一定の基準を満たせば、都道府県が指定するようになりました。指定を受ければ、市町村境や県境を超えてサービス提供ができるようになりました。
 この制度改正にあわせて、介護保障協議会とJILほかの協力で、全国の自立生活センター空白地域をなくし適切な水準の団体を育てることを目的とし、研修や財政面で支援する自薦ヘルパー推進協会が作られました。全国の空白地域への立ち上げから10年にわたる長期間の団体のレベルアップ支援を行っています。

 介護保険や障害ヘルパーの指定事業者になってヘルパー事業を行うと、十分な運営費が保障され、団体職員の人件費や運営費に十分な保障ができます。この仕組みを使って更なるサービス水準アップや制度を改善していく運動を行い、社会を変えていこうという計画を全国各地で行っています。長期目標として、10年かけて全国に1000事業者を作り、ほぼすべての市町村をサービス地域に入れること、24時間要介護の障害者の自立支援を行い、行政交渉し、24時間介護保障を全国2000市町村で作り出すことを目標にしています。
 その次は、知的・精神・身体(視覚・聴覚・盲ろう・肢体・内部)・難病および重複の全障害種別の参加を得て、全ての障害種別にエンパワメント方式の介助サービス等を提供(当事者が主体的に)していくシステムを計画しています。
 また、全国2000市町村の多くで24時間に近い介護保障ができた際には、全国で予算が確保されますので、国に対してパーソナルアシスタント制度(労働・通勤・通学・運転・一時入院などでもヘルパー利用を制限されない24時間介護保障で全国一律制度)を作っていく計画です。

研修の事例

東京の団体の半数では24時間介助保障を交渉して作り、24時間の専従介助者による介助サービスを行い、人工呼吸器利用の24時間要介助の全身性障害者などを施設などから一人暮し支援できています。一人暮しの知的障害者や精神障害者への介助サービスや自立支援も行なっています。もちろん短時間の介助サポートもできます。いずれも個別ILプログラムや様々な支援を(自立生活をしている長時間要介助の)障害者役員が管理し健常者のスタッフなどを部下として雇い(障害者と健常者で)運営しています。これら団体は2000年ごろから市から障害ヘルパーを委託されており、収入は(今までの障害者団体に比べると)相当大きなものになります。それにより能力の高い職員を育成してきており、全国の新しい団体への研修面での支援などを行っています。
 通常、このような水準の団体になるために、どれくらいの研修期間や運営期間が必要かというと、平均10年以上の研修期間(実地研修としての小規模団体運営期間含む)が必要です。まずは個人で自薦ヘルパーを利用して経験をつみ、さまざまな種類の大小の研修を自主的に受けていきます。数年で団体を立ち上げて実際に自立支援活動を行いながら、毎週のように先進団体に相談しながら運営していきます。
 この流れの最初の1年で行うことは、たとえば、社会経験や障害者運動の経験の長い障害者で自薦ヘルパー利用の経験も十分ある場合は、まずは近隣自立生活センターで1000時間(1〜2年)程度の職場実習形式の研修からスタートします。2年目から小規模団体を立ち上げ、まず1人目の自立支援(施設や親元からの一人暮しの支援)を団体として行います。この際などにも事細かに研修先の団体にアドバイスを仰ぎながら進めます。こうして2人目、3人目と進み、ILP、ピアカンなども講座型から個別研修形までこなし、介護制度交渉も行ない、専従介助者を確保していって介助サービス体制を強固にしていきます。この間も外部の講座などには出来るだけ参加します。これで最短の団体で4年ほどで、平均で10年で上記のような総合的なサービスが行なえるようになります(実績)。なお、遠方で1000時間の職場実習研修ができない地域の方には、通信研修(後述)とさまざまな研修をミックスして同等の研修時間を確保する必要があります。
 一方、社会経験や経験や自薦ヘルパー利用の経験がない場合は、まずはこれらの経験を5年ほどかけて行うところから始めます。その際、能力に応じて、数年で小規模団体の立ち上げをしながら同時進行で研修期間を進む場合もあります。

 

通信研修参加希望者を募集中(受講料無料です)

 障害当事者が主体的に事業を行うための研修システムとして、通信研修と宿泊研修を組み合わせた研修を準備しています。推進協会の理念にそった当事者団体を作るという方は受講料無料です。内容は、団体設立方法、24時間介助サービスと個別自立プログラム、介護制度交渉、施設等からの自立支援、団体資金計画・経理・人事、指定事業、運動理念などなど。現在、通信研修の参加者を募集しています。

くわしくはお問合せ下さいフリーダイヤル0037−80−4455(推進協会団体支援部10時〜22時)へ。

通信研修参加申込書(参加には簡単な審査があります)

団体名(            )

郵便番号・住所 名前 障害者/健常者の別&職名 Tel Fax メール
           
           
           
           
           
           

推進協会団体支援部 FAX 042-452-8029まで (次ページも参照してください)

各団体からの研修参加者の人数について

 通常、推進協会の主催する合宿研修には、障害者の役員・中心的職員で長時間要介助の方と、健常者の介護コーディネーターの両方の参加が希望です。団体ごとに2〜5人は参加してほしいと考えています。

参考資料:推進協会が通信研修を行う団体・個人の理念の条件です
(今すぐできなくても、力がついてきたら、必ずやるという理念を持っていただけるのでしたら対象になり得ます。研修を行い、出来るようになるまでバックアップします。)

推進協会支援団体基準について

(1) 運営委員会の委員の過半数が障害者であり、代表及び運営実施責任者が障害者であること。
 介助保障の当事者団体(介助を必要とする方自身で運営する団体)ですから、なるだけ介助ニーズの高い方を運営委員会にいれていくようにしてください。団体設立後数年たち、より重度の方が自立した場合などは、なるだけ運営委員会に加えて下さい。
(2) 代表及び運営実施責任者のいずれかが原則として長時間要介助の障害者であること。
 代表者及び運営実施責任者(事務局長)は、なるだけ、介護ニーズの高い方がなり、介護ニーズの低い方は例えば事務局次長としてバックアップする等の人事を可能な限り検討して下さい。また、団体設立後数年経ち、より重度の方が自立した場合などは、可能な限り役員に登用して役職としてエンパワメントしていってください。
(3) 24時間介助保障はもとより、地域にいる障害者のうち、最も重度の人のニーズに見あう介助制度を作ることを目的とする組織である。
 例えば、24時間の人工呼吸器を使って一人暮らししている方、24時間介助を要する知的障害者の単身者、重度の精神障害者の方、重複障害者、最重度の難病の方、盲ろう者など、最も重度の方に対応していくことで、それ以外の全ての障害者にも対応できる組織になります。
(4) 当事者主体の24時間の介助サービス、セルフマネジドケアを支援し、行政交渉する組織である、もしくはそれを目指す団体である。
 24時間の介助サービスを行うには、市町村のホームヘルプサービスの利用可能時間数上限を交渉して毎日24時間にする必要があります。交渉を行うには一人暮らしで24時間つきっきりの介助を要する障害者がいる事が条件となります。このプロジェクトではホームヘルプ指定事業の収益を使い、24時間要介助障害者の一人暮らしを支援、実現し、市町村と交渉することを義務づけています。ただし、その力量のない団体には時間的猶予が認められています。この猶予の期間は相談の上、全国事務局が個別に判断します。
(5) 自立生活運動及びエンパワメントの理念を持ち、ILプログラム、ピアカウンセリングを今後実施すること。
 介助サービスは利用者自身が力をつけていくというエンパワメントが基本です。具体的には介助サービス利用者に常に個別ILプログラム+個別ピアカウンセリングを行います。
(6)

身体障害に限らず、今後研修を積み、他の障害者にもエンパワメント方式のサービスを提供することを目標にしていること。

(注:個別ILプログラム等のエンパワメント方式のサポートや研修を行わずに、単にヘルパー派遣のみを知的・児童・身体・精神の各障害向けにすることは推進協会としては禁止しています。誤解がおきやすいので特に注意)

 



過疎地域で1人暮らししたい重度全身性障害者募集

 全国2000市町村のうち、多くの市町村では、1人暮らしの長時間要介護の全身性障害者がいないため、ヘルパー制度が伸びていません。24時間介護が必要でも1日6時間程度しかヘルパー制度が出ない市町村は全国の市町村の7割程度にものぼります。これを解決するためにバックアッププロジェクトを行います。1人暮らしの重度の全身性障害者が住んできちんと交渉している都道府県では1日16時間や24時間介護の必要な障害者が1人暮らしをしています。このような障害者がいる地域では交渉によりヘルパー制度が伸び、1日16時間や24時間の制度ができている市町村があります。そのような市町村では、「ヘルパー制度の上限」という古い考え方が行政内でなくなり、「その障害者が自立して地域で生活するためにどのようなサービスが必要か考えて支給決定する」という国の障害ヘルパー制度の理念に沿ったものに変わっていきます。これにより、1人暮らしの障害者だけではなくそれ以外の障害者もヘルパー制度を必要な水準まで受けやすくなっていきます。
 当会では、47都道府県のどの市町村に住んでいても、同じように必要な人に必要なサービスが受けられるように制度改善の交渉の方法の支援や、重度全身性障害者等の「最初の1人」の自立支援(主に1人暮らし)を技術的、財政的に(介護料)サポートしています。
 現在、長時間のヘルパー制度のない(主に過疎地の)市町村にお住まいで1人暮らしをしたい全身性障害者を募集します。1日16〜24時間の介護が必要な方を想定していますが、それ以外の方もお問い合わせください。



全国ホームヘルパー広域自薦登録協会のご案内

(介護保険ヘルパー広域自薦登録保障協会から名称変更しました)略称=広域協会
フリーダイヤル  0120−66−0009
フリーダイヤル 

自分の介助者を登録ヘルパーにでき自分の介助専用に使えます
対象地域:47都道府県全域

介助者の登録先の事業所のみつからない方は御相談下さい。いろいろな問題が解決します。

 全身性障害者介護人派遣事業や自薦登録ヘルパーと同じような登録のみのシステムを支援費ヘルパー利用者と介護保険ヘルパー利用者むけに提供しています。自分で確保した介助者を自分専用に制度上のヘルパー(自薦の登録ヘルパー)として利用できます。介助者の人選、介助時間帯も自分で決めることができます。全国のホームヘルプ指定事業者を運営する障害者団体と提携し、全国でヘルパーの登録ができるシステムを整備しました。介助者時給は今までの制度より介助者の給与が落ちない個別相談システムです。

利用の方法
  広域協会 東京本部にFAXか郵送で介助者・利用者の登録をすれば、翌日から支援費や介護保険の自薦介助サービスが利用可能です。東京本部から各県の指定事業者に業務委託を行い支援費の手続きを取ります。各地の団体の決まりや給与体系とは関係なしに、広域協会専門の条件でまとめて委託する形になりますので、すべての契約条件は広域協会本部と利用者の間で利用者が困らないように話し合って決めます。ですから、問い合わせ・申し込みは東京本部0120−66−0009におかけください。
 介助者への給与は介護型で時給1500円、家事型1000円、日常生活支援で時給1300〜1420円が基本ですが今までの制度の時給がもっと高い場合には今までの時給になるようにします。また、夜間の利用の方は時給アップの相談にのります。介助者は1〜3級ヘルパー、介護福祉士、看護士、日常生活支援研修修了者などのいずれかの方である必要があります。ただし、支援費制度のほうは、14年3月まで自薦ヘルパーや全身性障害者介護人派遣事業の登録介護人として働いている場合、県知事から証明が出て永久にヘルパーとして働けます。2003年4月以降新規に介護に入る場合も、日常生活支援や移動介護であれば、20時間研修で入れます。

詳しくはホームページもごらんください http://www.kaigoseido.net/2.htm

東京地区の身体介護時給が1900円にアップ

(身体介護を伴う移動介護も同単価。詳細はお問い合わせください)

自薦介助者にヘルパー研修を実質無料で受けていただけます

 広域協会では、障害当事者主体の理念の3級ヘルパー通信研修も行なっております。通信部分は自宅で受講でき、通学部分は東京なで3日間で受講可能です。3級受講で身体介護に入ることができます。
 日常生活支援研修は、東京会場では、緊急時には希望に合わせて365日毎日開催可能です。2日間で受講できます。東京都と隣接県の利用者は1日のみの受講でかまいません(残りは利用障害者自身の自宅で研修可能のため)。日常生活支援研修受講者は全身性移動介護にも入れます。3級や日常生活支援の研修受講後、一定時間(規定による時間数)介護に入った後、参加費・交通費・宿泊費を全額助成します。

このような仕組みを作り運営しています
仕組み図

お問合せは TEL 0120−66−0009(通話料無料)へ。受付10時〜22時 
みなさんへお願い:この資料を多くの方にお知らせください。 介護保険ヘルパー広域自薦

登録保障協会 発起人(都道府県順、敬称略、2000年4月時点)

名前 (所属団体等)
花田貴博 (ベンチレーター使用者ネットワーク)
篠田 隆 (自立生活支援センター新潟)
三澤 了 (DPI日本会議)
中西正司  (DPIアジア評議委員/全国自立生活センター協議会)
八柳卓史  (全障連関東ブロック)
樋口恵子  (全国自立生活センター協議会)
佐々木信行 (ピープルファースト東京)
加藤真規子 (精神障害者ピアサポートセンターこらーる・たいとう)
横山晃久  (全国障害者介護保障協議会/HANDS世田谷)
益留俊樹  (NPO自立生活企画/NPO自立福祉会)
川元恭子  (全国障害者介護保障協議会/CIL小平)
名前 (所属団体等)
渡辺正直  (静岡市議)
山田昭義  (DPI日本会議/社会福祉法人AJU自立の家)
斎藤まこと (名古屋市議/共同連/社会福祉法わっぱの会)
尾上浩二  (障害者総合情報ネットワーク)
森本秀治  (共同連)
村田敬吾  (自立生活センターほくせつ24)
光岡芳晶  (特定非営利活動法人すてっぷ)
栗栖豊樹  (CILてごーす)
佐々和信  (香川県筋萎縮性患者を救う会)
藤田恵功  (土佐市在宅重度障害者の介護保障を考える会)
田上支朗  (NPO重度障害者介護保障協会)

全国ホームヘルパー広域自薦登録協会の理念

47都道府県で介助者の自薦登録が可能に 障害施策の自薦登録ヘルパーの全国ネットワークを作ろう

 2003年度から全国の障害者団体が共同して47都道府県のほぼ全域(離島などを除く)で介助者の自薦登録が可能になりました。
 自薦登録ヘルパーは、最重度障害者が自立生活する基本の「社会基盤」です。重度障害者等が自分で求人広告をしたり知人の口コミで、自分で介助者を確保すれば、自由な体制で介助体制を作れます。自立生活できる重度障害者が増えます。(特にCIL等のない空白市町村で)。
 小規模な障害者団体は構成する障害者の障害種別以外の介護サービスノウハウを持たないことが多いです。たとえば、脳性まひや頚損などの団体は、ALSなど難病のノウハウや視覚障害、知的障害のノウハウを持たないことがほとんどです。
 このような場合でも、まず過疎地などでも、だれもが自薦登録をできる環境を作っておけば、解決の道筋ができます。地域に自分の障害種別の自立支援や介護ノウハウを持つ障害者団体がない場合、自分(障害者)の周辺の人の協力だけで介護体制を作れば、各県に最低1団体ある自薦登録受け入れ団体に介助者を登録すれば、自立生活を作って行く事が可能です。一般の介護サービス事業者では対応できない最重度の障害者や特殊な介護ニーズのある障害者も、自分で介護体制を作り、自立生活が可能になります。
 このように様々な障害種別の人が自分で介護体制を組み立てていくことができることで、その中から、グループができ、障害者団体に発展する数も増えていきます。
 また、自立生活をしたり、自薦ヘルパーを利用する人が増えることで、ヘルパー時間数のアップの交渉も各地で行なわれ、全国47都道府県でヘルパー制度が改善していきます。
 支援費制度が導入されることにあわせ、47都道府県でCIL等自立生活系の障害当事者団体が全国47都道府県で居宅介護(ヘルパー)指定事業者になります。
 全国の障害者団体で共同すれば、全国47都道府県でくまなく自薦登録ヘルパーを利用できるようになります。これにより、全国で重度障害者の自立が進み、ヘルパー制度時間数アップの交渉が進むと考えられます。
47都道府県の全県で、県に最低1箇所、CILや障害者団体のヘルパー指定事業所が自薦登録の受け入れを行えば、全国47都道府県のどこにすんでいる障害者も、自薦ヘルパーを登録できるようになります。(支援費制度のヘルパー指定事業者は、交通2〜3時間圏内であれば県境や市町村境を越えて利用できます)。(できれば各県に2〜3ヶ所あれば、よりいい)。 全国で交渉によって介護制度が伸びている全ての地域は、まず、自薦登録ヘルパーができてから、それから24時間要介護の1人暮らしの障害者がヘルパー時間数アップの交渉をして制度をのばしています。(他薦ヘルパーでは時間数をのばすと、各自の障害や生活スタイルに合わず、いろんな規制で生活しにくくなるので、交渉して時間数をのばさない)
自薦ヘルパーを利用することで、自分で介助者を雇い、トラブルにも自分で対応して、自分で自分の生活に責任を取っていくという事を経験していくことで、ほかの障害者の自立の支援もできるようになり、新たなCIL設立につながりがります。(現在では、雇い方やトラブル対応、雇用の責任などは、「介助者との関係のILP」実施CILで勉強可能)
例えば、札幌のCILで自薦登録受け入れを行って、旭川の障害者が自分で介助者を確保し自薦登録を利用した場合。それが旭川の障害者の自立や、旭川でのヘルパー制度の時間数交渉や、数年後のCIL設立につながる可能性があります。これと同じことが全国で起こります。(すでに介護保険対象者の自薦登録の取組みでは、他市町村で自立開始や交渉開始やCIL設立につながった実例がいくつかあります) 自薦登録の受付けは各団体のほか、全国共通フリーダイヤルで広域協会でも受付けます。全国で広報を行い、多くの障害者に情報が伝わる様にします。
自薦登録による事業所に入る資金は、まず経費として各団体に支払い(各団体の自薦登録利用者が増えた場合には、常勤の介護福祉士等を専従事務員として雇える費用や事業費などを支払います)、残った資金がある場合は、全国で空白地域でのCIL立ち上げ支援、24時間介護制度の交渉を行うための24時間要介護障害者の自立支援&CIL立ち上げ、海外の途上国のCIL支援など、公益活動に全額使われます。全国の団体の中から理事や評議員を選出して方針決定を行っていきます。
 これにより、将来は3300市町村に全障害にサービス提供できる1000のCILをつくり、24時間介護保障の全国実現を行ない、国の制度を全国一律で24時間保障のパーソナルアシスタント制度に変えることを目標にしています。

全国ホームヘルパー広域自薦登録協会の利用者の声

★(関西) 24時間介護の必要な人工呼吸器利用者ですが一般事業所はどこも人工呼吸器利用者へヘルパー派遣をしてくれないので、広告で募集した介助者に全国広域協会の紹介でヘルパー研修を受講してもらい、全国広域協会を利用しています。求人紙での求人募集方法のアドバイスも受けました。介助者への介助方法を教えるのは家族が支援しています。

★(東日本の過疎の町) 1人暮らしで24時間介護が必要ですが、介護保障の交渉をするために、身体介護1日5時間を全国広域協会と契約して、残り19時間は全国広域協会から助成を受け、24時間の介助者をつけて町と交渉しています。

★(東北のA市) 市内に移動介護を実施する事業所が1か所もなく、自薦登録で移動介護を使いたいのですが市が「事業所が見つからないと移動介護の決定は出せない」と言っていました。知人で介護してもいいという人が見つかり、東京で移動介護の研修を受けてもらい全国広域協会に登録し、市から全国広域協会の提携事業所に連絡してもらい、移動介護の決定がおり、利用できるようになりました。

★(西日本のB村) 村に1つしかヘルパー事業所がなくサービスが悪いので、近所の知人にヘルパー研修を受けてもらい全国広域協会に登録し自薦ヘルパーになってもらいました。

★(北海道) 視覚障害ですが、今まで市で1箇所の事業所だけが視覚障害のガイドヘルパーを行っており、今も休日や夕方5時以降は利用できません。夜の視覚障害のサークルに行くとき困っていましたら、ほかの参加者が全国広域協会を使っており、介助者を紹介してくれたので自分も夜や休日に買い物にもつかえる用になりました。

★(東北のC市) 24時間呼吸器利用のALSで介護保険を使っています。吸引してくれる介助者を自費で雇っていましたが、介護保険の事業所は吸引をしてくれないので介護保険は家事援助をわずかしか使っていませんでした。自薦の介助者がヘルパー資格をとったので全国広域協会に登録して介護保険を使えるようになり、自己負担も1割負担だけになりました。さらに、今年の4月からは支援費制度が始まり、介護保険を目いっぱい使っているということで支援費のヘルパーも毎日5時間使えるようになり、これも全国広域協会に登録しています。求人広告を出して自薦介助者は今3人になり、あわせて毎日10時間の吸引のできる介護が自薦の介助者で埋まるようになりました。求人広告の費用は全国広域協会が負担してくれました。介助者の時給も「求人して介助者がきちんと確保できる時給にしましょう」ということで相談のうえ、この地域では高めの時給に設定してくれ、介助者は安定してきました。

 
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