入院中の外出や外泊時に重度訪問介護や同行援護が利用可能という国の通知が出る。
筋ジス病院等の療養介護利用者も重度訪問介護で外出できます。

 

入院中の外出や外泊時に重度訪問介護や同行援護が利用OKという国の通知がやっと出ました。去年12月の取りまとめで国から統一見解を出すと決定していたものです。

これまで、何十年も、認める市町村も認めない市町村もあって、「認められていない市町村の障害者が困っているからなんとかせよ」と、障害者の団体から国に要望があったものです。

今回の通知では、視覚障害者の同行援護のほかに、重度訪問介護と行動援護も網羅して通知されています。

 

                     障障発0628第1号

平成28年6月28

  都道府県

各 指定都市  障害保健福祉主管部(局)長 殿

中 核 市

         厚生労働省社会・援護局      

 障害保健福祉部障害福祉課長

( 公 印 省 略  )

 

入院中の医療機関からの外出・外泊時における同行援護等の取扱いについて

 

同行援護、行動援護及び重度訪問介護(以下「同行援護等」という。)は、「障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律に基づく指定障害福祉サー ビス等及び基準該当障害福祉サービスに要する費用の額の算定に関する基準」(平成 18 年厚生労働省告示第 523 号)において、利用者の外出時における移動の援護等を提供するものとされている。

医療機関に入院した障害者等が、外出及び外泊時において同行援護等を利用することについては下記のとおりであるので、御了知の上、管内市町村、関係団体、関係機 関等への周知徹底を図るとともに、その運用に遺漏がないようにされたい。

なお、本通知は、地方自治法(昭和 22 年法律第67 号)第245条の41項の規定に基づく技術的な助言であることを申し添える。

 

同行援護等の対象となる障害者等が医療機関に入院するときには、入退院時に加え、入院中に医療機関から日帰りで外出する場合、1泊以上の外泊のため医療機関と外泊先を行き来する場合及び外泊先において移動の援護等を必要とする場合は、同行援護等を利用することができる。

 

通知pdfはこちら

 

 

■入院中の医療機関からの外出・外泊時における同行援護等の取扱いに関するQ&A追加

 

自宅に帰りたいのにヘルパーが見つからず何年にもわたって長期入院している障害者も、筋ジス病院(旧国立療養所筋ジス病棟)等の病院の療養介護利用者も、重度訪問介護で外出や外泊が可能に

 


今回の入院中に重度訪問介護で外出や外泊が可能となるの国の通知をうけて、地域移行支援の団体から質問があり、厚労省に詳しく聞きました。筋ジス病院などの療養介護対象者も、外出や外泊を重度訪問介護で使えるそうです。「病院」ならどんな病院でも対象だそうです。(入所施設の「療養介護」利用者は施設なので対象外。施設は外出も含めて施設が24h担当するという別のルールが残っているからだそうです。これは今後の課題だそうです)。

これは病院に長期入院中の障害者には大きなニュースです。

 

上手く制度を使えば、社会的入院を脱し、自宅に帰ることや自立生活が可能に

 

全国の筋ジス病院にいる、筋ジスやALSやSMAなどの障害者にとって、また、一般の病院に長期間入院中の頚損等の障害者(特にヘルパーが見つからず入院を継続せざるを得ない障害者)にとって、大改革とも言えます。これで、自分専用のヘルパーを徐々に雇用して重度訪問介護資格をとってもらえば、病院から地域に帰ることも1人ぐらしも可能になります。(まずは週1回の外出から初めて、徐々に回数を増やしたり、宿泊体験を行なったりが可能です。申請は入院前市町村に対して行います。自立の時期が近づけば、市町村と相談し、相談支援事業所にサービス等利用計画を作ってもらい、毎週宿泊体験を行えるような重度訪問介護の支給量に増やしてもらう方法がとれます)。

 

すぐに重度訪問介護を申請できます。支援団体はこの情報を伝えましょう

 

地域移行支援や自立支援を行う団体にとっても、大きなニュースです。筋ジス病院などに長期入院中の重度障害者で自立を希望している障害者などに、重度訪問介護の申請を呼びかけましょう。まずは支給決定基準内の時間数ならば、申請すれば簡単に支給決定が出ます。また、各地の筋ジス病院の入院者や病院のケースワーカー等の地域移行支援スタッフにこの情報を教えてあげて下さい。

通常の病院にいる頚損やALSの方々(家に帰れず、病院を転々としている場合や、山の老人病院に送られた人も多い)も同じく重度訪問介護を外出や外泊に使えます。経済的な問題で自宅に帰ることを諦めていた障害者も、徐々に外出練習からはじめて毎週重度訪問介護を使ってヘルパーを少しずつ確保していき、自宅に帰る事ができます。

たとえば、吸引が必要な重度の障害者であっても、毎週1回日曜などに8時間の定期外出利用をすることで、自薦ヘルパーもまずパートで定期雇用でき、ヘルパーに介護方法を覚えてもらうことができ、自立時にそのヘルパーが障害者といっしょに、ほかの新規雇用ヘルパーに介護方法を教えるといった方法も取れるでしょう。
 入所施設にいる人は、今回の制度の対象ではありませんが、例えば、いったん自立希望地域の病院に転院し、重度訪問介護を使って外出や外泊をしていくといったことも可能です。

 

通常、月数十時間までは、申請すればすぐに決定されます

 

 各市町村(入院前市町村に申請)の支給決定の基準は様々ですが、申請したら交渉なしに数十時間はすぐに決定されると思われます。

(例えば移動支援が通常月40時間の市町村なら、重度訪問介護での外出も月40時間まではすぐに決定されることなどが想定されます)。時間数を増やしていくには、地域移行や自立の予定などを市町村と話し合いながら交渉が必要になります。

例えば、CIL(自立生活センター)のILP(自立生活プログラム)やピアカウンセリングに介護費用自己負担で通う金銭負担もなくなります。重度訪問介護(所得が年金だけの障害者など低所得なら自己負担無料)で病院から自由に外出できます。

病院からの外泊も重度訪問介護でできます。病院からの自立にむけた宿泊体験や研修旅行なども重度訪問介護で自己負担なしにできるようになります。

 

国庫負担基準超過市町村にとっては利用者が増えることがプラス

 

余談ですが、重度訪問介護の国庫負担基準は区分6で月46万円あり、重度訪問介護を外出のみに使う利用者が増えると、国庫負担基準ギリギリや基準オーバーの市町村にとっては市町村の最終負担が減るという財政的に嬉しい事になります。

(なお、入院者のヘルパー制度の負担は、入院前市町村が負担(申請もそちらへ)ですので、病院の地元の市ではありません)

 

今回の通知を出したことで、全国の自治体から厚労省に質問が多いので、(たとえば入院中の人が他の病院に受診するときはヘルパー制度使えるのかなど)近日、厚労省からQ&Aの追加が出るそうです。

 

 


 

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