6/4日、第12回社会保障審議会・障害者部会が開催されました。
自薦ヘルパー推進協会本部事務局
この日は、前々回の全国市長会のヒアリングの際に予定していた松浦市長(香川県 坂出市)が所要で欠席となっていたため、本日改めてヒアリングが行われました。
松浦市長は、「市長会のアンケートでは76%は統合に慎重・反対である。個人的 な意見であるが、補助金が必ずしも悪いわけではない。国に頭を下げて補助金をもら
うような感覚が悪いのであって、国が方向性を示して取り組む補助金の仕組みは必要 である。障害者の福祉は、ノーマライゼーションの理念が本当に浸透しきっているの
か、国家の理想と現実との間にはまだ差がある。国家を挙げて取り組むべき政策とし て、補助金で残したほうがいい。介護保険で格差がなくなるというが疑問で、介護保
険料も地域で格差がでてきている。」と意見陳述しました。
また、介護保険の今後の見込みについて質問が出ましたが、「介護保険の見通し は、3年ごとに見直し、赤字であれば保険料をアップする。介護保険は5兆円が20
25年には20兆円に相当な勢いでのびる。保険料負担が増えるか、介護の給付をさ げるか、あるいは消費税をあげるか。」との見解を示しました。
続いて事務局から、「障害者基本法の改正」「経済財政運営と構造改革に関する基 本方針2004(骨太2004)」について説明がありました。
特に、今日閣議決定されたという骨太の方針については、
障害者施策として
「障害者の雇用・就業、自立を支援するため、在宅就労や地域における就労の支援、 精神障害者の雇用促進、地域生活支援のためのハード、ソフトを含めた基盤整備等の
施策について法的整備を含め充実強化を図る。」
三位一体改革として
「・地方が自らの支出を自らの権限、責任、財源で賄う割合を増やすとともに、国と 地方を通じた簡素で効率的な行財政システムの構築につながるよう、平成18
年度ま での三位一体の改革の全体像を平成16 年秋に明らかにし、年内に決定する。その 際、地方の意見に十分耳を傾けるとともに、国民への分かり易い説明に配意する。」
「・全体像には、以下の点に留意しつつ、平成17 年度及び平成18 年度に行う3兆円 程度の国庫補助負担金改革の工程表、税源移譲の内容及び交付税改革の方向を一体的
に盛り込む。
そのため、税源移譲は概ね3兆円規模を目指す。その前提として地方公共団体に対し て、国庫補助負担金改革の具体案を取りまとめるよう要請し、これを踏まえ検討す
る。」
と書かれています。
「これまでは補助負担金の廃止が3兆円と言われていたが、今回の骨太では地方へ の財源委譲が3兆円ということで、補助負担金の廃止の金額はさらに大きくなる可能
性もでてきた」と村木課長が言っていました。
続いて、前回の部会で提案された高橋紘士委員、高橋清久委員、岡田喜篤委員によ る介護保険との障害者施策に関するたたき台「障害者福祉を確実・安定的に支えてい
くために〜支援費制度と介護保険制度をめぐる論点の整理と対応の方向性〜」 http://zenrenkyo.ld.infoseek.co.jp/040604syougaibukai.pdf についての説明がありまし
た。
内容は、支援費を巡る状況の変化や制度的な課題をあげて、介護保険との統合を結 論づけています。介護保険による施策と介護保険外の施策を別建てで行って、障害者
福祉全体の体系とするとしていますが、それ以上についてはこれまで指摘されてきた 課題をあげるだけで具体論はありません。
これに対して、以下のやりとりがありました。
○加藤委員(知的障害者福祉協会)
知的障害者を中心とする福祉協会としては障害者基本計画、支援費制度には理念と して賛成し、これが地域に広がることを期待している。
しかし、昨今の状況の中で、介護保険、財政難の中で、検討する必要がる。統合化 はある程度やむをえない。
ただ、3委員の提言にあったように、介護というテーマと障害者の社会参加、自立 の中身が必ずしも同じと考えられない。
今回出たイメージ図では介護保険とそれ以外の面積の比は、介護保険が大きいが、 逆ではないか。むしろ、介護保険のカバーする領域と障害の様々な根ざした特有の支
援体制が考慮されないといけない。
認定基準、障害程度区分、サービスの中身、施設サービスの種別、規模、利用者負 担の問題、大きな問題がある。この違いについて裏うちのあるしっかりした検討が必
要で、条件つきの賛成である。
とりわけ、岡田委員から指摘があったが、1億2千万人の人口で46万人の知的障 害は少ない。障害というマイナー、さらに知的障害というマイナー、今後知的障害の
人生が不利にならないように。それを前提にしてお願いしたい。
○徳川委員(身体障害者施設協議会)
前文については賛成、しかし、4p以降に問題点がある。
4pの最初に、支援費の支給量に基準がないというが、基準はある。これをないと 書いて、そのために地域差があるというのはどうか。
ケアマネジメントの制度化、高齢と障害とではケアマネジメントが違う。高齢は介 護の内容を決める。障害は、教育・雇用を含めた人生全体にかかわる。介護保険のケ
アマネジメントでは足りないと考えている。
契約制度を支える権利擁護の仕組みも、保険制度になればできるのか。介護保険は 抜きにして必要。支援費だからいらないということではない。
就労の問題も介護保険、支援費とは別の問題で、必要なことである。
二階建てという考えも一つの選択肢だが、我々は全く新しい介護保険制度の選択肢 を提唱している。「(1)支援費制度をこのまま継続する方向」「(2)介護サービ
スを介護保険制度に組み入れる方向」だけではなく、(3)として全く新しい保険制 度を視野にいれる。二階建ては疑問に感じる。
6p。「自己決定の尊重と自立した日常生活の支援」とあるが、支援費ではおこなわ れていないのか、介護保険ならできるのか。全てにおいて支援費に対する正確な見方
が必要である。
私たちは介護保険に反対ではない、積極的に取り組んでいる。それゆえに支援費の 状況に正確に基づいた文章にして欲しい。
委員にお願いしたのは、メリット・デメリットではなくて、思想的な面で障害者施 策がどうあるべきか教えていただきたい。
○高橋清久委員(国立精神・神経センター)
支援費の支給量の決定の基準がないということについて、確かに支給の基準は決 まっているにしても、やはり地域差を生ずるような細かいところでは十分に整備され
ていない。
ケアマネジメントの制度化について、障害者のケアマネジメントは現在、手法とし て使われていて、ある面では有効である。しかし、精神障害者の分野では制度化され
てない故にそれが使えない、普及していない実情がある。
ケアマネジメントを使うための財政的な問題があって、十分な機能を果たせていな い。そういう機能が十分にはたされていない。
権利擁護の仕組み、一応はできているとしても、まだまだ内容的には、いろんな事 例には現場的な問題がたぶんに残されている。そういう理解をしている。
地域生活、就労、重症障害者への対応、現状をみると、就労は希望者が多いが、実 際に就労しているものの数が少ない。精神疾患の場合、十分なサポートシステムがな
い、まだ、十分な対応がなされていない。
○高橋紘士委員(立教大学)
文章に誤解をまねいた配置があったと思って聞いていた。
支援費においても契約制度なので、契約を支援する仕組みは必要である。基礎構造 改革で利用援助事業ができ、地域福祉権利擁護事業として実施されている。また、成
年後見人制度も改正された。しかし、それを上手く活用する仕組みができていない。 支援費は第三者契約を容認するような形で運用されている。そういう問題意識があ
る。
ケアマネジメントも同じ。介護保険はケアマネジメントではない、居宅介護支援事 業である。その中の一部でケアマネジメントが使われている。ここでは障害者の自己
決定を支援するケアマネジメントとして使っている。介護保険でもそういう理念があ るが、ここでは識別してケアマネジメントを使っている。
支給量の基準はあるが、勘案事項の運用のありかたが必ずしもうまくいっていな い、再検討する必要がある。
新しい保険制度の構想と言う議論が必要というのは、個人的には同感。介護保険か ら支援保険へ。しかし、現在の時点で、ここに書き入れるのは躊躇した。現実的な現
在の政策判断で。
イメージ図の面積で、介護保険が大きいのはたまたま、絵の書き方の問題。理念 的、制度の仕組みはつめていきたい。具体的、補完的に。
障害者の生活支援は障害者福祉だけではできない。 私の考えは所得保障が必要、地 域生活を支える住宅手当、ヨーロッパではある。一部自治体では生活保護の住宅補助
を使っている。施策の組み合わせで、この議論の中であらために浮き彫りになる。
6pの「自己決定の尊重と自立した日常生活の支援」については、高齢者の介護保 険にむけて書いている。介護保険も、在宅・自立支援を言っていた。現実では施設志
向になっている。介護保険部会も一人暮らし高齢者を考えるという方向性を出してい る。従来は家族同居の高齢者を考えていた。そういうことを書きいれた。
指摘された誤解を招く部分については意見を踏まえてより工夫をする。
○岡田委員(川崎医療福祉大学)
徳川委員の思想を明確にといす指摘はうれしいことである。この報告書では支援費 で高らかに謳われた事を失われないようにしたい。これに、皆さんの賛同を得た。
基準がないことについては、知的障害者、障害児では多い。ある市ではショートス テイが3日、隣の市では1ヶ月となっている。支給決定については共通化を進めてい
く。
ケアマネジメント制度化にはこだわった。知事会がいっているケアマネジメントは 介護保険のケアマネジメントにいれるということで、これは納得できない。本来は
ソーシャルワーク、この議論を今後高めるべき。
権利擁護の仕組みは、支援費の中で奇妙な気持ちをもっている。知的障害では自己 決定でできないで代理でよくなっている。支援費は自己決定を理念として掲げたの
に、それを簡単に代理といっていいのか。しかも、誰が代理人になれるかの要件も決 めていない。
地域生活の保障というが、地域とは何かが語られていない。グループホームなら地 域と言うことには懸念をもっている。
イメージ図については介護保険とそれ以外のどちらが大きいではなくて、議論の中 で徹底的に明らかにしていって欲しい。
第三の保険、私も考えたが、今の国民の議論の中で現実的か、ためらいがある。
知的障害や精神の状況で自己決定ができない人に、成年後見人制度でやればいいと 簡単にいうが、しかし、いったん成年後見制度を使えば、本人のいかなるものについ
ても後見人が決定する。そこは慎重にかんがえないといけない。
“自立”という言葉も簡単に使ってきた。自立生活運動で謳われた自立の意味、ど んな援助、介護を受けていても自分の生活を自ら決める、主体的に生きることであ
る。
高齢者の自立支援は自分ができるように支援する、これはあやまりで、主体的に生 きること。ここで使われている言葉は今後、概念を深めて欲しい。
○松友委員(育成会)
基本的なところを確認したい。5pが介護保険との関係になるが、介護のサービス を介護保険に組み入れる場合、介護の範囲をどうするかということがでてくる。
ここで議論されている統合、組み入れという介護保険制度は現在の介護保険制度は 手直しするのか、全くしないか。介護保険制度をドラスチックに変えるのは難しいと
思うが。
介護と言う表現になじまない、知的障害は介護という言葉をあまり使ってこなかっ た、また、身体障害では介助という言葉を使ってきた流れもある。名称自体を変えて
欲しいという私たちの会の希望がある。「支援保険」、名称だけでなく内容も。今の 介護保険をそのままにして、入らない部分を別建てでやるのか。そうではなく介護保
険も変えるのか。どちらか。
○高橋清久委員(国立精神・神経センター)
介護保険の中も変えて、統合する。突き詰めては議論していないが。現在の障害者 を介護保険にそのままあてはめることは難しい。今後の議論でどのような内容にして
いくか。その結果、介護保険では不十分であるならば名称変えることもある。
○高橋紘士委員(立教大学)
ステージ、段階がある。第1〜3のステージ、まず障害の給付について深めていっ て、介護保険にくみいれていく、その中で支援保険に変わっていく。
ピッチャーがキャッチャーにいきなりユニフォームを替えろとはいえない。しか し、やがては一緒にチームでやるのなら、それも要求していく。
要介護認定も障害に適する認定に変える。障害者施策から障害福祉に変わってい く。さ様々なハンディ、ユニバーサルな仕組みになっていく。時間的な経過と今後の
介護概念の検討の中でどういうふうにしていくか。
○妻屋委員(全脊連)
改革の方向で、ケアマネジメントの導入、精神障害の福祉、サービスの計画的な整 備という改革の方向性がでている。しかし、選択肢が2つしかでてない。もう一つ、
支援費を改革する方法がある。たたき台は誘導的な書き方である。
誰でも一番心配しているのは、2階建て方式、例えば100歩ゆずって介護保険とし ても、2階建ては税財源になる。支援費になって税財源が足りない。どういう方向に
なるのか。高橋委員は大丈夫といったが。
岡田委員から見積もりをまちがったという話があったが、ここで誰が保証するの か、担保が見ない。この案に欠陥がある。
サービスの格差をなくすことの保証もここにはない。誰がどういう保障するか書か ないと納得できない。
障害者は急激な変化をきらう。これを頭にいれて欲しい。入院している人が転院し て欲しいと言われると、精神的にたえられない。安易にこっちにいくというはできな
い。それを考えて欲しい。
○高橋紘士委員(立教大学)
二階建ての部分で介護保険から外れた部分の将来的な財政的な不安があれば、これ は議論したい。介護保険が残って、税が先細りではこまる。保証はないが、介護保険
とリンクしたことによって担保される、その点は行政側のサジェッションもあった。 そうであるならばこの方向でいけばいいのではないか。格差をなくすという保証はな
いが、しかし、それを確実に見通せる方法を今後の議論の中でしたい。
○丹下委員(障害者雇用部会)
安定的な財源確保のためには、介護保険制度との統合が選択肢であると読める。そ うであるならば、介護保険にくみいれれば安定ではない。安定と考える基本的な考え
があると思う。介護保険にいれた場合、誰がどれほど負担するのか、どれだけ負担す ると安定的か。第三号被保険者を作るのか。
○高橋紘士委員(立教大学)
20歳から保険料というのは当然である。個人的な積算であるが、十分な費用を捻 出できる費用が確保できる。それは今日は明らかにはしない。
国民全体が負担する。事業者も負担する。一部の問題ではなく、皆、社会的に障害 を受ける可能性をもっている。その場合の負担、それをどうするのか。
○長尾委員(精神科病院協会)
3人の委員のかたには精神障害者のこともいれていただいている。4pで精神障害 者を対象とすることを書いている。これは支援費に入ってから介護保険にいくのか、
介護保険に直接入るのか。
求めたいのは今は精神は遅れている。三障害同レベルに持っていくことをもりこん でいただきたい。
○猪俣委員(自治体病院協議会)
制度の安定的な継続と、精神障害の福祉の問題を考えると、3人の委員に基本的に 賛同する。
イメージ図があるが、介護以外のサービスがどう必要なのか。今の要介護認定では できない。そこを煮詰めて、具体的に提示できるとイメージの共有がしやすい。
統合の具体的な課題については、こうしたほうがベターだと踏み込んでいかない と、障害者は不安である。第二段の案を期待したい。
○福島委員(東京大学)
先ほど、妻屋委員が誘導的といった。以前にも私は言ったが、Aの長所と短所、B の長所と短所を出さないと、選択できない。今日は支援費の欠点と、介護保険の長所
しかない。支援費の長所と介護保険のマイナス面をだして網羅的に検討すべきであ る。
議論の最終的な段階で、統合を具体的に決断すべきだと思うが、加藤委員からも内 容についての具体的な要望が出ている。しかし、内容を決めていたら時間がないとい
う議論もある。
最初に結論ありきではない、最初に基本的な問題点のすり合わせは必要である。基 本的な部分を抽出して、そこを守っていきますよということがないと。とにかく財政
だけの理由では決断がしにくい。基本的な柱、譲れない部分、基本的な価値をどう見 出すのか。統合でも、会社の合併でも、やっていて白紙撤回になることもある。会社
のリストラでなく、障害の場合は人生のリストラなる。後戻りできる保障も欲しい。 2009年度に伸ばす、2006年は試行実施で2009年から本格実施ということ
も考えられる。
今の段階で白から黒に変わる、基本的な部分も不透明ということでは、決断はでき ない。人生をかけている障害者の立場になると基本的な条件を明示するのが最大限の
ルールである。
○笹川委員(日盲連)
介護保険に組み入れられない事業は具体的に何か。
介護保険にいれるとしても、問題点が8点あがっているが、それでいいのか。もっ と具体的な問題点があるのではないか。
○高橋清久委員(国立精神・神経センター)
介護の範囲は議論したが、この審議会の場で議論いただくほうがより明確になる、 そういう結論になった。
自立に向けたいろいろなサービス、これを介護といっていいか。この介護の範囲は 将来にはきちんとしないといけない。3人の段階では詰められなかった。
上記のようなやりとりがなされ、教護部会長から、「今日はあまり議論の時間がな かったので、次回6/18に障害者団体のヒアリングも含めて議論を深める。支援費
の課題については、介護保険で解決するもの、そうでないもの、介護保険以外で整備 するものが一緒になっているので整理する。たたき台をもとに、委員から出た意見を
いれて6/25のとりまとめ案を作る。」ということが示されました。
第12回社会保障審議会・障害者部会 傍聴メモ
※これは傍聴者のメモであり、議事録ではありません。細かい数字の間違いや委員の意図を正確に表現できていない箇所もありますので取り扱いご留意下さい。
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■京極部会長
本日は、前回ヒアリングできなかった市長会からヒアリングをお願いしたい。
■ 間課長補佐(企画課)
全国市長会からは松浦稔明坂出市長。 委員の交代がある。日本医師会から出ていた西島委員が、野中委員に交代された。
嵐谷、亀井、君塚、新保、末安、堂本、長井委員が本日の欠席。
資料の確認。「資料1 論点整理」「資料2 前回までの議事概要」「資料3 障害者基本法の一部を改正する法律の概要(主な改正点)」「資料4 経済財政運営と構造改革に関する基本方針2004(骨太方針2004)<抜粋>」それと、資料番号入っていない一枚の紙がある。
岡田委員・高橋清久委員・高橋紘士委員提出資料。「障害者福祉を確実・安定的に支えていくために〜支援費制度と介護保険制度をめぐる論点の整理と対応の方向性〜」と題されている。
加藤委員提出資料もある。
前回の議事録は次回になる。
■京極部会長
全国市長会のヒアリングの後に、前回、指名した3人の委員からだされた叩き台の考え方を説明していただく。
松浦市長、10分くらいで。
■松浦市長(坂出市)
前回も話があったが、市長会で介護保険と障害者施策の今後についてアンケートを行った。統合に反対と慎重で76%。
私の考えかたは市長会の考えと必ずしも同じではないことを前提に話をする。
今日、時事通信でも統合で固まったというニュースが流れていた。
私は地方分権が本当にいいかどうか。まちづくり、範囲をひろげると県づくり、それをひろげて国づくりになる。補助金という制度は有効、有益な制度だと思っていた。
補助金がだめだと言われる。総務大臣にも意見を言ったが、補助金が頭を下げる補助金だからだめなので、それは情けない考え方。市民・国民の税金であるという認識に欠けている。それがわかっていれば、補助金を頭をさげてもらいにいくという感覚はなくなる。
障害者の福祉は、ノーマライゼーションの理念が本当に浸透しきっているのか、国家の理想と現実との間には差がある。国としても、大事な政策として、国家を挙げて取り組むべき政策である。補助金で残したほうがいい。
介護保険という形でこれをやると、地域によって格差が出てくる。介護保険料は地域によって相当違ってきている。
私は国がこの制度をきちんと、地域づくり、県づくり、国づくりの観点から障害者福祉の補助金を残して、国・地方が相談、協議しながらやっていくことと考えている。
障害者施策、ノーマライゼーションの理念と本質とはかなり差があると言うのは、障害者の地域によって差がでる、厚いところと薄いところがある。施策の重点度がちがう。グループホームなど地域の中で支援することになった時に、支援費は円滑にはいかなかった。他のことを犠牲にしてもやらないといけない、ノーマライゼーションの理想は障害者が我々と同じようにつきあっていける、それが理想、サービスをそこまでしないといけない。
制度は遠慮がちに使う人、普通に使う人、めいっぱい使う人、いろいろな人がいる。めいっぱい使うと言う事が目立つと、ねたみ意識にも繋がる。そういうことも心配している。
国民の補助金として援助していくとともに、ノーマライゼーションを、いかに啓発を市民にはかっていくか、そういう施策を図っていかないと上手くいかない。
そういうことがあって、私は、障害者サービスの統合には時期尚早に○をつけた。
私もこの分野は専門ではないので、これくらいにして、後は質問を受けたい。
■京極部会長
ありがとうございました。質問があれば。
■妻屋委員(全脊連)
市町村では介護保険制度は本当のところはどうなのか。見込みは。赤字になるのかどうか。今はどうか、今後はどうか。
先ほどの話では一般財源化に反対されている。今の話を聞いて、全国の市長が福祉に詳しい人だと、一般財源化するとその地域の向上する、詳しくないところではどうすればいいかわからない。詳しくないところが多い、70%はそういうところ。障害当事者は各市長に詳しい人を求めている、しかし、そうはいかない。その場合、補助金は正しいと思う。それはどうか。
■松浦市長(坂出市)
介護保険の見通しは、3年ごとに見直す、私のところはあげた。極端の赤字はだせないので上げていく。民間の会社だと累積赤字で倒産になるが、行政制度だからそれはなくて保険料がアップする。
2025年には介護保険は20兆円に、今は5兆円。相当な勢いでのびる。保険料負担が増えるか、介護の給付をさげるか、あるいは消費税をあげるか、そういうふうになると思う。
福祉を手厚くする市長といっても、我々は税を預かっている、いろいろな人から徴収する。何が公平か。障害者に税をたくさん使うことが公平か。失業者も昨今多い、障害者のために金をとるのかということになる。そのへんのバランスが難しい、各市長は悩んでいる。
■妻屋委員(全脊連)
補助金のほうがやりやすいか。
■松浦市長(坂出市)
国として取り組む事が、地方の主権をおかすことにはならない。大事な問題には取り組むべき。補助金をやめると、サービスの低下になりかねない危険性がある。国がバランス、全国を見ながらやるのがいいのではないか。
■高橋紘士委員(立教大学)
全国市長会では身体障害者の関係費を一般財源化するべきと提言に入っている。市長会の意思ではないのか。松浦市長は積極的に反対したのか。
■松浦市長(坂出市)
自分の意見としては終始一貫変わっていない。
■高橋紘士委員(立教大学)
同じ意見は少数なのか。
■松浦市長(坂出市)
アンケートを見ると、全国市長会の提言に書かれていることと一致しない。個別の各論では意見がある。補助金をやめることに賛成の市は、頭をさげるというイメージをもっているところで、補助金は悪い制度と考える。補助金を充実してほしいと言う市長もいて、私も一緒に陳情にいったこともある。
複雑な、単純にはいかない問題である。国の三位一体改革はあるが、単純に賛成というかというと、そうではない。
■高橋紘士(立教大学)
市長の意見は法定受託事務に戻せと言うことか。
■松浦市長(坂出市)
専門的なことは詳しくない。補助金の制度を残して、補助金であっても、地方からはいろんな意見がでてくる。それでいい。
■笹川委員(日盲連)
貴重な意見をありがとうございます。市長会は慎重派をいれて76%だという、一方、知事会は三位一体に賛成の人が多い。県と市町村の意見の違いはあるのか。
■松浦市長(坂出市)
それは良くわからないが、知事会の資料を昨日読んでいた。
一つは我々は直接タッチしていて、県はワンクッションある。その辺の感覚の違いがあるのだと思う。
市長会でも、知事会と意見を一緒にしたほうがいいという考えもあるが、私の考えはいちいちする必要がない。
■京極部会長
市長会のアンケートは統合に慎重という意見が54%だった。しかし、中身がわからない、一般財源化が本当にあるのか、動きがみえてこないという理由で、過半数は所属政党なしといったところで、それが一番多い。市町村の中でもきめかねている。
■松浦市長(坂出市長)
政党を支持することではない。
三位一体でおこっていること、700兆円の借金があって、市町村は毎年予算減らしている。今年の予算が見えない。基金の取り崩しもやっている。三位一体の改革がこのままでいけばいいという首長はいない。来年、再来年はまずこのままではいかない。
我々は行政の立場で、介護保険の統合をとことん反対をするわけでない。しかし、介護保険と統合するなら、何をやっておかないといけないか、それが見えていない。統合を決めるのは政治、行政は決まればやらないと。
私の信念を、今、聞かれると先ほどの返事になる。
■安藤委員(聾唖連盟)
貴重な意見ありがとうございます。市長の話を聞いて勇気づけられた。
介護保険と障害者の統合に反対と慎重が76%。これは障害者施策の内容を分析したものか、そうでなく手続き的に見えていないという消極的な反対なのか。
私たちは障害福祉は行政の責任の下で行われると考える。そういう意味で慎重になって欲しい。市長会の慎重である意味は。
■松浦市長(坂出市)
そのへんの考え方を整理する時に、前回の議事録を読んだが、宮城県の知事が介護保険で障害者を含めると連帯感が強まるとおっしゃった。それは両面あると思う。連帯感は、障害者に理解が深まる面があるが、一方、制度をめいっぱい使う、適正に使う人、遠慮がちに使う人がでる。めいっぱい使われると地域連帯ではなく、ねたみ意識につながる。
介護保険と統合しても、しなくても慎重にやっていく。もとは税金、それを念頭においてやっていかないと。
■京極部会長
時間もありますので。貴重なご意見をありがとうございます。
ここからは今後の障害保健福祉に関する制度の在り方について議論したい。
最初に事務局から。
■村木課長
お手元の資料3を。障害者施策についていくつか大きな動きがあった。障害者基本法の改正が議員立法され、5/25に成立、6/4本日施行である。前回の国会に提出されて廃案になったが、今国会は全党一致で成立した。
基本理念で差別禁止を明示した。都道府県や市町村の障害者計画が義務規定に変わったこと。
地域における作業活動の場において、支援、必要な施策を講じること。小規模作業所の位置づけがなされた。
もう一つ報告事項。「資料4 経済財政運営と構造改革に関する基本方針2004」。資料番号はいっていないものもあるので、両方をみていただきたい。
今日の朝の閣議で決定された。
資料4。「人間力の抜本的強化」のところに障害者のことがはいっている。「障害者の雇用・就業、自立を支援するため、在宅就労や地域における就労の支援、精神障害者の雇用促進、地域生活支援のためのハード、ソフトを含めた基盤整備等の施策について法的整備を含め充実強化を図る。」
これまで雇用の関係は入っていたが、障害者福祉の充実が骨太に入ったのははじめて。非常に広範囲な書き方をしていただいた。
資料番号が入っていない方。「地域の真の自立」のところに、「三位一体の改革」について書かれている。重要なところに下線を引いている。
(資料読み上げ)
・地方が自らの支出を自らの権限、責任、財源で賄う割合を増やすとともに、国と地方を通じた簡素で効率的な行財政システムの構築につながるよう、平成18
年度までの三位一体の改革の全体像を平成16 年秋に明らかにし、年内に決定する。その際、地方の意見に十分耳を傾けるとともに、国民への分かり易い説明に配意する。
・全体像には、以下の点に留意しつつ、平成17 年度及び平成18 年度に行う3兆円程度の国庫補助負担金改革の工程表、税源移譲の内容及び交付税改革の方向を一体的に盛り込む。
そのため、税源移譲は概ね3兆円規模を目指す。その前提として地方公共団体に対
して、国庫補助負担金改革の具体案を取りまとめるよう要請し、これを踏まえ検討 する。
これまでは廃止が3兆円と言われていたが、今回の骨太では財源委譲が3兆円になった。廃止の金額はさらに大きくなる可能性もでてきた。
今後、地方公共団体に対して具体案が求められている状況である。
■京極部会長
大きな流れがでてきている。この部会の議論が政策に反映される世に事務局は努力をお願いしたい。
今回は今後の障害保健福祉に係る制度の在り方について、高橋清久委員、高橋紘士委員、岡田委員にまとめていただいた。
精力的におこなっていただいた。代表して高橋清久委員より。
■高橋清久委員(国立精神・神経センター)
前回の部会で、依頼を受けた。今後の福祉制度の方向性について意見をとりまとめた。
障害者福祉を安定的に支えていくために、介護保険と障害者施策の論点整理で6pにまとめている。
最初に前文、基本的な考え方を最初のページにまとめた。これに書いたものに沿って話をする。
(資料「障害者福祉を確実・安定的に支えていくために」の前文読み上げ )
■京極部会長
前文の説明をした。視覚障害のかたもいらっしゃるので、資料を読んで、コメントを。
■高橋清久委員(国立精神・神経センター)
検討した内容別に話する。 読ましていただく。
(資料の「1.障害者福祉制度と介護保険制度の経緯」「2.支援費制度を巡る状況の変化」の読み上げ)
こういう支援費をめぐる状況があると分析した。
次に制度的な問題を検討して8つの課題がある。
(資料の「3.制度的な課題」の読み上げ)
この8つの課題を改革していく方向性について、「4.援費制度改革の方向性」である。
(資料の「4.援費制度改革の方向性」の読み上げ)
(資料の「5.介護保険制度との関係」の読み上げ)
これが私ども、委員がまとめた内容です。以上です。
■岡田委員(川崎医療福祉大学)
強調すべき点について、説明する。
発足したばかりの支援費制度について、何故という疑問は思った。
しかし、支援費の予想に反したもの、知的障害者のサービス、著しいサービスの拡大があった。
これは私にも責任がある、知的障害の分野を担う委員としてきているが、知的障害が46万とされているが、実際はもっと多いはずである。日本では人口の0.36%であるが、諸外国では1.5%となっている。これを声に大にしていってこなかった。責任感じている。
障害児に関する施設を利用契約制度にする、精神障害に関する福祉的な対応など、著しく不備な点がある。今後、急速な整備が必要で、財源の外枠の拡大は必要である。
支援費の思想性を絶対に失わない、介護保険の成熟と共に解決しないといけない。
こういったものができてあらためて、公共の責任、本来的な措置のあり方が問われる。老人、児童の虐待の問題など、行政が措置を発動しやすい仕組を作る、これは高橋紘士先生からいわれてから気付いたことだが、賛同した。
■高橋紘士(立教大学)
以前から、障害者のリーダーや地域で暮らしている人から介護保険では施設に戻らないといけなくなるという不安、懸念を直接うかがう機会をもっている。その重みがある上で支援費と介護保険の統合への反対をされていることは深く現状認識している。しかし、支援費を継続する事が、地域生活を奪ってしまうのではないか、将来的な危惧をしている。
松浦市長との判断とは逆で、三位一体改革、財政悪化は支援費の地域への流れをとめている。100億円の財源不足はそれを象徴している。
安定的な財源確保をして、介護保険は地域格差を縮小した。財源が困難といわれる過疎地域で介護サービスをのばしてきた。介護サービスについては適切に介護保険を活用する。現在の段階での政策選択ではセカンドベスト、最良な選択肢はない、様々なものの中で現実的な選択肢である。
介護保険とそれ以外の障害施策を組み合わせると二本立ての仕組みになる。一般財源化で一本は消えて、介護保険だけがのこるという懸念、不安があるが、そうはならない。介護保険は半額は税金で半額は保険料。地方分権型の仕組み。それが確立するとそれを補完する別立ての仕組みは一般財源化にはならない。これは詳しく説明が必要なので、これについては別の機会に。
介護保険は高齢者施策として既に動いている、障害特性にあっていない。これについては積極的に検討しないといけない。地域にいる人を施設に後戻りさせない。精神病院の72000人、知的障害者がこれから地域でくらせる、尊厳をもってくらせる制度的な仕組み、皆様との協働の中で作っていきたい。そして、厚労省が政策的な責任を持つ。支援費はそれがなかったのが問題だった。
■京極部会長
今まで議論してきた中で、これまでの経緯、支援費の課題、今後の方向性について大きな視点から整理した。
社保審には、障害者部会と介護保険部会がある。ピッチャーとキャッチャーの関係で、障害者部会−ピッチャーがボールを投げないと介護保険部会は受け止めない。ここで議論がまとまらないと、試合開始のサイレンがならない。議論じたいが始まらない。
細かい制度設計は議論の中でやれる。
介護保険制度は発足は2000年だが、法律は97年にできた。細かい点は3年間議論した。方向性を今どうするか。
委員の意見で印象的なのはユニバーサルな仕組みということ。最初は介護保険もユニバーサルの考えでできた。
これまで谷間におちている人も介護保険の基準を満たせば利用できる。
言うなれば、バリアフリー的な介護保険からユニバーサル型の介護保険に変わると言うこと。
皆さんから意見を聞いて、議論を進めていきたい。
まず、資料の提出のある加藤委員から。
■加藤委員(知的障害者福祉協会)
知的障害者福祉協会で検討してきた経緯があって、見解としてまとまったので、報告させていただく。
知的障害者を中心とする福祉協会としては障害者基本計画、支援費制度には理念として賛成し、これが地域に広がることを期待している。
しかし、昨今の状況の中で、介護保険、財政難の中で、検討する必要がる。統合化はある程度やむをえない。
ただ、3委員の提言にあったように、介護というテーマと障害者の社会参加、自立の中身が必ずしも同じと考えられない。
今回出たイメージ図では介護保険とそれ以外の面積の比は、介護保険が大きいが、逆ではないか。むしろ、介護保険のカバーする領域と障害の様々な根ざした特有の支援体制が考慮されないといけない。
認定基準、障害程度区分、サービスの中身、施設サービスの種別、規模、利用者負担の問題、大きな問題がある。この違いについて裏うちのあるしっかりした検討が必要で、条件つきの賛成である。
とりわけ、岡田委員から指摘があったが、1億2千万人の人口で46万人の知的障害は少ない。障害というマイナー、さらに知的障害というマイナー、今後知的障害の人生が不利にならないように。それを前提にしてお願いしたい。
■京極部会長
知的障害者福祉協会の資料には具体的な提案がかかれている。
■徳川委員(身体障害者施設協議会)
3人の委員、ご苦労様でした。感謝申し上げる。
前文については賛成、しかし、4p以降に問題点がある。
4pの最初に、支援費の支給量に基準がないというが、基準はある。これをないと書いて、そのために地域差があるというのはどうか。
ケアマネジメントの制度化、高齢と障害とではケアマネジメントが違う。高齢は介護の内容を決める。障害は、教育・雇用を含めた人生全体にかかわる。介護保険のケアマネジメントでは足りないと考えている。
契約制度を支える権利擁護の仕組みも、保険制度になればできるのか。介護保険は抜きにして必要。支援費だからいらないということではない。
就労の問題も介護保険、支援費とは別の問題で、必要なことである。
二階建てという考えも一つの選択肢だが、我々は全く新しい介護保険制度の選択肢を提唱している。「(1)支援費制度をこのまま継続する方向」「(2)介護サービスを介護保険制度に組み入れる方向」だけではなく、(3)として全く新しい保険制度を視野にいれる。二階建ては疑問に感じる。
6p。「自己決定の尊重と自立した日常生活の支援」とあるが、支援費ではおこなわれていないのか、介護保険ならできるのか。全てにおいて支援費に対する正確な見方が必要である。
私たちは介護保険に反対ではない、積極的に取り組んでいる。それゆえに支援費の状況に正確に基づいた文章にして欲しい。
委員にお願いしたのは、メリット・デメリットではなくて、思想的な面で障害者施策がどうあるべきか教えていただきたい。
■京極部会長
3人の委員に答えていただいて、次のかたに。
■高橋清久委員(国立精神・神経センター)
支援費の支給量の決定の基準がないということについて、確かに支給の基準は決まっているにしても、やはり地域差を生ずるような細かいところでは十分に整備されていない。これは私見だが。
ケアマネジメントの制度化について、障害者のケアマネジメントは現在、手法として使われていて、ある面では有効である。しかし、精神障害者の分野では制度化されてない故にそれが使えない、普及していない実情がある。
ケアマネジメントを使うための財政的な問題があって、十分な機能を果たせていない。そういう機能が十分にはたされていない。
権利擁護の仕組み、一応はできているとしても、まだまだ内容的には、いろんな事例には現場的な問題がたぶんに残されている。そういう理解をしている。
地域生活、就労、重症障害者への対応、現状をみると、就労は希望者が多いが、実際に就労しているものの数が少ない。精神疾患の場合、十分なサポートシステムがない、まだ、十分な対応がなされていない。
二回建ての問題。これは高橋先生から。
■高橋紘士委員(立教大学)
文章に誤解をまねいた配置があったと思って聞いていた。
支援費においても契約制度なので、契約を支援する仕組みは必要である。基礎構造改革で利用援助事業ができ、地域福祉権利擁護事業として実施されている。また、成年後見人制度も改正された。しかし、それを上手く活用する仕組みができていない。支援費は第三者契約を容認するような形で運用されている。そういう問題意識がある。
ケアマネジメントも同じ。介護保険はケアマネジメントではない、居宅介護支援事業である。その中の一部でケアマネジメントが使われている。ここでは障害者の自己決定を支援するケアマネジメントとして使っている。介護保険でもそういう理念があるが、ここでは識別してケアマネジメントを使っている。
支給量の基準はあるが、勘案事項の運用のありかたが必ずしもうまくいっていない、再検討する必要がある。
新しい保険制度の構想と言う議論が必要というのは、個人的には同感。介護保険から支援保険へ。しかし、現在の時点で、ここに書き入れるのは躊躇した。現実的な現在の政策判断で。
イメージ図の面積で、介護保険が大きいのはたまたま、絵の書き方の問題。理念的、制度の仕組みはつめていきたい。具体的、補完的に。
障害者の生活支援は障害者福祉だけではできない。私の考えは所得保障が必要、地域生活を支える住宅手当、ヨーロッパではある。一部自治体では生活保護の住宅補助を使っている。施策の組み合わせで、この議論の中であらために浮き彫りになる。
6pの「自己決定の尊重と自立した日常生活の支援」については、高齢者の介護保険にむけて書いている。介護保険も、在宅・自立支援を言っていた。現実では施設志向になっている。介護保険部会も一人暮らし高齢者を考えるという方向性を出している。従来は家族同居の高齢者を考えていた。そういうことを書きいれた。
指摘された誤解を招く部分については意見を踏まえてより工夫をする。
■岡田委員(川崎医療福祉大学)
加えるものはないが、あえて申し上げる。
徳川委員の思想を明確にといす指摘はうれしいことである。この報告書では支援費で高らかに謳われた事を失われないようにしたい。これに、皆さんの賛同を得た。
基準がないことについては、知的障害者、障害児では多い。ある市ではショートステイが3日、隣の市では1ヶ月となっている。支給決定については共通化を進めていく。
ケアマネジメント制度化にはこだわった。知事会がいっているケアマネジメントは介護保険のケアマネジメントにいれるということで、これは納得できない。本来はソーシャルワーク、この議論を今後高めるべき。
権利擁護の仕組みは、支援費の中で奇妙な気持ちをもっている。知的障害では自己決定でできないで代理でよくなっている。支援費は自己決定を理念として掲げたのに、それを簡単に代理といっていいのか。しかも、誰が代理人になれるかの要件も決めていない。
地域生活の保障というが、地域とは何かが語られていない。グループホームなら地域と言うことには懸念をもっている。
イメージ図については介護保険とそれ以外のどちらが大きいではなくて、議論の中で徹底的に明らかにしていって欲しい。
第三の保険、私も考えたが、今の国民の議論の中で現実的か、ためらいがある。
知的障害や精神の状況で自己決定ができない人に、成年後見人制度でやればいいと簡単にいうが、しかし、いったん成年後見制度を使えば、本人のいかなるものについても後見人が決定する。そこは慎重にかんがえないといけない。
“自立”という言葉も簡単に使ってきた。自立生活運動で謳われた自立の意味、どんな援助、介護を受けていても自分の生活を自ら決める、主体的に生きることである。
高齢者の自立支援は自分ができるように支援する、これはあやまりで、主体的に生きること。ここで使われている言葉は今後、概念を深めて欲しい。
■松友委員(育成会)
基本的なところを確認したい。5pが介護保険との関係になるが、介護のサービスを介護保険に組み入れる場合、介護の範囲をどうするかということがでてくる。
ここで議論されている統合、組み入れという介護保険制度は現在の介護保険制度は手直しするのか、全くしないか。介護保険制度をドラスチックに変えるのは難しいと思うが。
介護と言う表現になじまない、知的障害は介護という言葉をあまり使ってこなかった、また、身体障害では介助という言葉を使ってきた流れもある。名称自体を変えて欲しいという私たちの会の希望がある。「支援保険」、名称だけでなく内容も。今の介護保険をそのままにして、入らない部分を別建てでやるのか。そうではなく介護保険も変えるのか。どちらか。
■高橋清久委員(国立精神・神経センター)
介護保険の中も変えて、統合する。突き詰めては議論していないが。現在の障害者を介護保険にそのままあてはめることは難しい。今後の議論でどのような内容にしていくか。その結果、介護保険では不十分であるならば名称変えることもある。
■高橋紘士委員(立教大学)
ステージ、段階がある。第1〜3のステージ、まず障害の給付について深めていって、介護保険にくみいれていく、その中で支援保険に変わっていく。
ピッチャーがキャッチャーにいきなりユニフォームを替えろとはいえない。しかし、やがては一緒にチームでやるのなら、それも要求していく。
要介護認定も障害に適する認定に変える。障害者施策から障害福祉に変わっていく。さ様々なハンディ、ユニバーサルな仕組みになっていく。時間的な経過と今後の介護概念の検討の中でどういうふうにしていくか。
■京極部会長
今までいただいた意見も3委員のまとめを踏み台に中間まとめにしていく。皆さんの意見を盛り込める。
8つの課題は、介護保険で解決するもの、そうでないもの、介護保険以外で整備するものが一緒になっている。それは整理する。
■妻屋委員(全脊連)
改革の方向で、ケアマネジメントの導入、精神障害の福祉、サービスの計画的な整備という改革の方向性がでている。しかし、選択肢が2つしかでてない。もう一つ、支援費を改革する方法がある。たたき台は誘導的な書き方である。
誰でも一番心配しているのは、2階建て方式、例えば100歩ゆずって介護保険としても、2階建ては税財源になる。支援費になって税財源が足りない。どういう方向になるのか。高橋委員は大丈夫といったが。
岡田委員から見積もりをまちがったという話があったが、ここで誰が保証するのか、担保が見ない。この案に欠陥がある。
サービスの格差をなくすことの保証もここにはない。誰がどういう保障するか書かないと納得できない。
障害者は急激な変化をきらう。これを頭にいれて欲しい。入院している人が転院して欲しいと言われると、精神的にたえられない。安易にこっちにいくというはできない。それを考えて欲しい。
■京極部会長
委員にたいしてものだけでなく、国に対する質問もあるので。
■高橋紘士委員(立教大学)
二階建ての部分で介護保険から外れた部分の将来的な財政的な不安があれば、これは議論したい。介護保険が残って、税が先細りではこまる。保証はないが、介護保険とリンクしたことによって担保される、その点は行政側のサジェッションもあった。そうであるならばこの方向でいけばいいのではないか。格差をなくすという保証はないが、しかし、それを確実に見通せる方法を今後の議論の中でしたい。
■京極部会長
保証というのは誰も保証するものではない、我々がんばって国を動かしていく。支援費も同じ。もっと前向きに考えて、政治も含めて考えていく。
二階建ては、車の両輪。お酒にたとえると、支援費は5000円で何杯飲めるかの一杯飲み、介護保険はボトルキープ。一杯飲みとボトルキープの二つで飲める。2つがあることが保証になる。
三委員に保証をもとめても。
■妻屋委員(全脊連)
三委員にもとめているわけでない。
■丹下委員(障害者雇用部会)
一点だけ、安定的な財源確保のためには、介護保険制度との統合が選択肢であると読める。そう解釈してよいか。
そうであるならば、介護保険にくみいれれば安定ではない。安定と考える基本的な考えがあると思う。介護保険にいれた場合、誰がどれほど負担するのか、どれだけ負担すると安定的か。
■高橋紘士委員(立教大学)
介護保険の1号保険料は、その地域のサービスを推計して決める。1号は17%、2号33%、残りの半分の税部分は決算主義に事後的に決定される。
■丹下委員(障害者雇用部会)
そういうことではなく、3号被保険者を作るのか。
■高橋紘士委員(立教大学)
20歳から保険料というのは当然である。個人的な積算であるが、十分な費用を捻出できる費用が確保できる。それは今日は明らかにはしない。
国民全体が負担する。事業者も負担する。一部の問題ではなく、皆、社会的に障害を受ける可能性をもっている。その場合の負担、それをどうするのか。
■長尾委員(精神科病院協会)
3人の委員のかたには精神障害者のこともいれていただいている。4pで精神障害者を対象とすることを書いている。これは支援費に入ってから介護保険にいくのか、介護保険に直接入るのか。
求めたいのは今は精神は遅れている。三障害同レベルに持っていくことをもりこんでいただきたい。
■猪俣委員(自治体病院協議会)
制度の安定的な継続と、精神障害の福祉の問題を考えると、3人の委員に基本的に賛同する。
イメージ図があるが、介護以外のサービスがどう必要なのか。今の要介護認定ではできない。そこを煮詰めて、具体的に提示できるとイメージの共有がしやすい。
統合の具体的な課題については、こうしたほうがベターだと踏み込んでいかないと、障害者は不安である。第二段の案を期待したい。
■福島委員(東京大学)
短い時間に具体的な資料をだしていただいて、お礼を申し上げる。
先ほど、妻屋委員が誘導的といった。以前にも私は言ったが、Aの長所と短所、Bの長所と短所を出さないと、選択できない。今日は支援費の欠点と、介護保険の長所しかない。支援費の長所と介護保険のマイナス面をだして網羅的に検討すべきである。
議論の最終的な段階で、統合を具体的に決断すべきだと思うが、加藤委員からも内容についての具体的な要望が出ている。しかし、内容を決めていたら時間がないという議論もある。
国交正常化、会社の合併についても言えるが、最初に結論ありきではない、最初に基本的な問題点のすり合わせは必要である。基本的な部分を抽出して、そこを守っていきますよということがないと。とにかく財政だけの理由では決断がしにくい。基本的な柱、譲れない部分、基本的な価値をどう見出すのか。統合でも、会社の合併でも、やっていて白紙撤回になることもある。会社のリストラでなく、障害の場合は人生のリストラなる。後戻りできる保障も欲しい。2009年度に伸ばす、2006年は試行実施で2009年から本格実施ということも考えられる。
今の段階で白から黒に変わる、基本的な部分も不透明ということでは、決断はできない。人生をかけている障害者の立場になると基本的な条件を明示するのが最大限のルールである。
■京極部会長
今日は時間ない。次回もあるので。
■広田委員(精神医療サバイバー)
精神障害は介護保険に行く不安がある。財源がないといっているが、そういう不安をとりのぞくことが大事ということを指摘したい。
その上で京極部会長に聞きたい。ピッチャーはいつまでにキャッチャーに投げるのか。
■京極部会長
6/25にこの部会の中間まとめをやって、介護保険部会に投げたい。
今回の努力いただいたたたき台を皆さんの議論で盛り上げて、中間まとめにしたい。この案がそのまま投げられると言うことではない。
■笹川委員(日盲連)
資料にでているのだと思うが、介護保険に組み入れられない事業は具体的に何か。
18日の障害者団体のヒアリングはどの範囲までなのか。
介護保険にいれるとしても、問題点が8点あがっているが、それでいいのか。もっと具体的な問題点があるのではないか。
■京極部会長
それはこの部会で議論して。
介護以外のサービスについては、起草委員が具体的には書いていない。考え方については説明を。
■高橋清久委員(国立精神・神経センター)
介護の範囲は議論したが、この審議会の場で議論いただくほうがより明確になる、そういう結論になった。 自立に向けたいろいろなサービス、これを介護といっていいか。この介護の範囲は将来にはきちんとしないといけない。3人の段階では詰められなかった。
■京極部会長
物足りない、これから本格的な議論になるが、時間もあるので。
6/25の中間まとめには反映させたい。
今後の大きな方向性を示すものである。これまでの障害者部会の議論を踏まえ、介護保険だけなく、ライフステージに応じたサービス、教育、住まいのありかたも含めて。
障害者施策は福祉施策の中でもむずかしい、理論的、思想的にも深めないといけない。
最後に事務局より説明を。
■間課長補佐(企画課)
次回はヒアリングを予定。本審議会の委員の6つの障害者団体、日身連、日盲連、聾唖連名、全家連、日盲連、全脊連、育成会、そして福島委員から要望のあった、JD、DPI、これから正式な連絡をする。
6/18。午後1時。経済産業省1118号。
■京極部会長
最後に部長からひとこと。
■塩田障害保健福祉部長
貴重な提言ありがとうございます。委員から重たい意見をいただいて、対応を考えたい。福島委員からメリット、デメリットを出してフェアな選択をという意見が出た。その通りだと考える。
6月中におおまかな方向性のコンセンサスを得る。私たちはピッチャーで、介護保険はキャッチャー。第一球で終わりではない。攻撃したり、守ったり、長い長い道のりがある。市長のご意見もあった。市町村、都道府県、経済界、障害者団体、いろんな話をきいて、大きな方向性を出していきたい。
誰が責任をもつかという話があったが、それは法律にどう書かれるかである。最後は国会できめていただく。
支援費は予算の範囲での補助、予算の確保が明言されていない。欠陥をもっている。これをどう書くかが最後の大きな課題となる。
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