障発第0326005号
平成15年3月26日
都道府県知事
各 指定都市市長 殿
中核市市長
厚生労働省社会・援護局障害保健福祉部長通知
特定日常生活費等の取扱いについて
指定身体障害者更生施設、指定身体障害者療護施設、指定特定身体障害者授産施設及び指定知的障害者通勤寮については、被服費、日用品費(指定知的障害者通勤寮については、食材料費を含む。)のほか、その他の日常生活においても通常必要となるものに係る費用であって、その入所者に負担させることが適当と認められるものについて、特定日常生活費として、その支払を利用者から受けることができるとされている。(指定身体障害者更生施設等の設備及び運営に関する基準(平成14年厚生労働省令第79号)第15条第3項(第47条及び第59条において準用する場合も含む。)、指定知的障害者更生施設等の設備及び運営に関する基準(平成14年厚生労働省令第81号)第57条第3項)。
また、居宅支援事業者の指定基準上、徴収可能な費用として列挙されている(身体障害者福祉法に基づく指定居宅支援事業者の人員、設備及び運営に関する基準(平成14年6月厚生労働省令第78号)第49条第3項、第70条第3項)、知的障害者福祉法に基づく指定居宅支援事業者等の人員、設備及び運営に関する基準(平成14年6月厚生労働省令第80号)第49条第3項、第70条第3項、第87条第2項)(以下「居宅指定基準」という。もののほか、その他の日常生活においても通常必要となるものに係る費用であって、その利用者に負担させることが適当と認められるものについて、特定費用として、その支払いを利用者から受けることができることとされている。
その基本的な取扱いについては下記のとおりであるので、御了知の上、管内市町村、関係団体、関係機関等にその周知徹底を図るとともに、その運用に遺憾のないようにされたい。
記
1 特定日常生活費の取扱い
(1)特定日常生活費における「その他の日常生活費」の趣旨
「その他の日常生活費」は、入所者の自由な選択に基づき、施設が指定施設支援の提供の一環として提供する日常生活上の便宜に係る経費がこれに相当する。
なお、事業者又は施設により行われる便宜の供与であっても、サービスの提供に直接関係のないもの(入所者の贅沢品や嗜好品の購入等)については、その費用は「その他の日常生活費」とは区別されるべきものである。
(2)「その他の日常生活費」の受領に係る基準
「その他の日常生活費」 の趣旨にかんがみ、施設が入所者から「その他の日常生活費」の徴収を行うに当たっては、以下に掲げる基準が遵守されなければならないものとする。
@ 「その他の日常生活費」の対象となる便宜と、支援費支給の対象となっているサービスとの間に重複関係がないこと。
A 支援費支給の対象となっているサービスと明確に区分されないあいまいな名目による費用の受領は認められないこと。したがって、お世話料、管理協力費、共益費、施設利用補償金といったあいまいな名目の費用の徴収は認められず、費用の内容が明らかにされる必要があること。
B 「その他の日常生活費」の受領については、入所者に事前に十分な説明を行い、その同意を得なければならないこと。
C 「その他の日常生活費」の受領は、その対象となる便宜を行うための実費相当額の範囲内で行われるべきものであること。
D 「その他の日常生活費」の対象となる便宜及びその額は、当該事業者又は施設の運営規程において定められなければならず、また、サービスの選択に資すると認められる重要事項として、施設の見えやすい場所に掲示されなければならないこと。ただし、「その他の日常生活費」の額については、その都度変動する性質のものである場合には、「実費」という形の定め方が許されるものであること。
(3)「その他の日常生活費」の具体的な範囲
@ 入所者の希望によって、身の回り品として日常生活に必要なものを施設が提供する場合に係る費用
A 入所者の希望によって、教養娯楽として日常生活に必要なものを施設が提供する場合に係る費用
(4)留意事項
@ (3)の@に掲げる「身の回り品として日常生活に必要なもの」とは、一般的に入所者の日常生活に最低限必要と考えられる物品(例えば、歯ブラシや化粧品等の個人用の日用品等)であって、入所者の希望を確認した上で提供されるものをいう。
したがって、こうした物品を施設がすべての入所者に対して一律に提供し、すべての入所者からその費用を画一的に徴収することは認められないものである。
A (3)のAに掲げる「教養娯楽として日常生活に必要なもの」とは、例えば、施設がサービスの提供の一環として実施するクラブ活動や行事における材料費等が想定されるものであり、すべての入所者に一律に提供される教養娯楽にかかる経費(共用の談話室等にあるテレビやカラオケ設備の使用料等)につて、「その他の日常生活費」として徴収することは認められないものである。
2 特定費用の取扱い
(1)特定費用における「その他の日常生活費」の趣旨
この「その他の日常生活費」は、利用者の自由な選択に基づき、事業者が指定居宅支援等の提供の一環として提供する日常生活上の便宜に係る経費がこれに該当する。
なお、事業者により行われる便宜の供与であっても、サービスの提供と関係のないもの(利用者の贅沢品や嗜好品の購入等)については、その費用は「その他の日常生活費」とは区別されるべきものである。
(2)「その他の日常生活費」の受領に係る基準
「その他の日常生活費」の趣旨に鑑み、事業者が利用者等から「その他の日常生活費」の徴収を行うに当たっては、以下に掲げる基準が遵守されなければならないものとする。
@ 「その他の日常生活費」の対象となる便宜と、支援費支給の対象となっているサービスとの間に重複関係がないこと。
A 支援費支給の対象となっているサービスと明確に区分されないあいまいな名目による費用の受領は認められないこと。したがって、お世話料、管理協力費、共益費、施設利用補償金といったあいまいな名目の費用の徴収は認められず、費用の内容が明らかにされる必要があること
B 「その他の日常生活費」の受領については、利用者に事前に十分な説明を行い、その同意を得なければならないこと。
C 「その他の日常生活費」の受領は、その対象となる便宜を行うための実費相当額の範囲内で行われるべきものであること。
D 「その他の日常生活費」の対象となる便宜及びその額は、当該事業者の運営規程において定められなければならず、また、サービスの選択に資すると認められる重要事項として、事業所の見えやすい場所に掲示されなければならないこと。ただし、「その他の日常生活費」の額については、その都度変動する性質のものである場合には、「実費」という形の定め方が許されるものであること。
(3)各サービス種類ごとの「その他の日常生活費」の具体的な範囲
@ デイサービス(居宅指定基準第49条第3項関係)
・ 利用者の希望によって、身の回り品として日常生活に必要なものを事業者が提供する場合に係る経費
・ 利用者の希望によって、教養娯楽として日常生活に必要なものを事業者が提供する場合に係る費用
A 短期入所(居宅指定基準第70条第3項関係)
・ 利用者の希望によって、身の回り品として日常生活に必要なものを事業者が提供する場合に係る経費
・ 利用者の希望によって、教養娯楽として日常生活に必要なものを事業者が提供する場合に係る費用
B 知的障害者地域生活援助(居宅指定基準第87条第2項関係)
・ 利用者の希望によって、身の回り品として日常生活に必要なものを事業者が提供する場合に係る経費
・ 利用者の希望によって、教養娯楽として日常生活に必要なものを事業者が提供する場合に係る費用
(4)留意事項
@ (3)の@からBに掲げる「身の回り品として日常生活に必要なもの」とは、一般的に利用者の日常生活に最低限必要と考えられる物品(例えば、歯ブラシや化粧品等の個人用の日用品等)であって、利用者の希望を確認した上で提供されるものをいう。
A (3)の@からBに掲げる「教養娯楽として日常施活に必要なもの」とは、例えば、事業者がサービスの提供の一環として実施するクラブ活動や行事における材料費等が想定されるものであり、教養の談話室等にあるテレビやカラオケ設備の使用料等について、「その他の日常生活費」として徴収することは認められないものである。
3 「その他の日常生活費」と区分されるべき費用の取扱い
預り金の出納管理に係る費用については、「その他の日常生活費」と区別されるべき費用である。預り金の出納管理にかかる費用を入所者から徴収する場合には、
イ 責任者及び補助者が選定され、印鑑と通帳が別々に保管されていること、
ロ 適切な管理が行われていることの確認が複数の者により常に行える体制で出納事務が行われること、
ハ 入所者との保管依頼書(契約書)個人別出納台帳等、必要な書類を備えていること等が満たされ、適正な出納 管理が行われることが要件となる。
また、入所者から出納管理に係る費用を徴収する場合にあっては、その積算根拠を明確にし、適切な額を定めることとし、例えば、預り金の額に対し、月当たり一定割合とするような取扱いは認められないものである。
預り金の出納管理にかかる費用のほか、「その他の日常生活費」と区別されるべき費用としては、入所者個人の希望による嗜好品、贅沢品の購入に係る費用、入所施設における入退所時の送迎に係る費用、などが考えられる。
4 利用者等に金銭の支払いを求める場合の考え方
指定施設支援及び指定居宅支援の提供に要する費用として支援費に含まれるものについては、利用者から徴収することはできない。支援費の対象に含まれない費用については、利用者から金銭を徴収することが可能とされている。
また、利用者から金銭を徴収することができるのは、当該金銭の使途が直接当該利用者の便益を向上させるものであって当該利用者に支払を求めることが適当であるものに限られるものである。金銭の支払いを求める際は、当該金銭の使途及び額並びに利用者に金銭の支払を求める理由について書面によって明らかにするとともに、利用者の同意を得なければならないものである。
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