第6回社会保障審議会生活保護制度の在り方に関する専門委員会傍聴記録と解説

自薦ヘルパー推進協会本部事務局

 12/2に、第6回社会保障審議会生活保護制度の在り方に関する専門委員会が開 催されました。
 三位一体の改革の中で生活保護の補助率を3/4から2/3に変え、地方に財源移 譲する案を厚労省が出している件で、マスコミも多く来ていました。

 最初に、三位一体の改革の中で、生活保護の補助率を下げる件について事務局から 報告が行われました。厚労省は財務省や首相からの指示を受けて約2400億円を削 減することになったという経過については日付まであげて詳細に報告しましたが、対 象としてなぜ生活保護なのかということについては、明確な説明がありませんでし た。

 これを受けて、複数の委員から

  • 生活保護の補助率は当初の8/10から3/4に下がってきたが、補助率の変更によって 保護率がさがった歴史がある。 適切に行って欲しい。
  • 生活保護は法定受託事務の位置づけで、国として一律にやる業務。今回補助率をさ げることがその理念にあうのか。
  • 日本は外国に比べて、生活保護に高齢者が多い。そういういびつな構造、年金制度 の不備を改善することが必要。
  • 生活保護制度が治安を支えている面がある。治安は国家がやる問題。長い目で見る と、地域間格差、治安の不安定につながる。 この項目については補助率引き下げを やるべきではない。
  • 公的扶助はナショナルミニマムを保障する一番基本的なシステム。簡単に2/3に 下げるというが、どういう結果を想定しているか。人々の支出、労働のインセンティ ブ、社会構造にかかわってくる。どこまで考慮しているのか。
  • 生活保護の地域間格差、主要産業が低迷している地域は生活保護多い。地方に財源 を移せばいいというものではない。

という反対意見がでましたが、 厚労省は

  • 補助率を変えても国が2/3の負担するので生活保護制度が国の手をはなれたわけ ではない。保護の基本的なフレームについては国がかかわる。保護については適正化 を行う。
  • 三位一体改革の中で行っていることで、全体としての国と地方の役割分担を見直し ている。生活保護だけの議論ではない、全体の中で考えられる部分が大きい。(厚労 省だけでなく)政府全体としてどう対応するのかという問題である。

と説明し、 岩田座長が

「本日は、厚労省からの説明と委員会からの意見ということでとどめざるをえない。  この委員会に投げかけられた生活保護制度の見直しは補助率を2/3にするという ことを前提とせずにスタートして、検討の途上で仕組みが変わってしまうことにな る。この先、このことが今後の議論にネガティブにふりかかってこないか、委員会運 営を心配している。」

と、厚労省に苦言を呈する形で引き取り、議論を終了しました。

 その後、厚労省の提出した資料に基づいて説明と質疑が行われました。

 特に、「生活扶助基準額」と「消費者物価指数」「賃金」「基礎年金額」を昭和59 年から平成14年まで比較した一覧表については、 松浦委員(全国市長会)から 「生活扶助基準額はずっとあがってきている。消費者物価指数はそれほどあがってい ない、むしろ下がっている。賃金も平成10年あたりから下がっている。年金は現状維 持。
 これは何かの不満が出たときに、説得が難しい。物価や賃金が下がっている中、生 活保護についても考えないといけない。」 という意見がありました。

 また、この日は、本年最後の委員会であり、厚労省が作成した中間とりまとめ (案)について議論しました。

 これまでの検討会で主要な議論になっていた、老齢加算と母子加算についてです が、老齢加算については加算の対象になる70歳以上の高齢者と加算の対象でない70歳 未満の高齢者の消費実態を比較して特別に加算をつける合理的な根拠がないので、廃 止を見直すということになりました。また、廃止にあたっては、高齢者の社会参加の ための費用を反映させること、加算廃止による激変緩和を行うことの補足がつきまし た。
 母子加算については、ひとり親世帯における子供の養育への特別需要がある、母子 世帯への自立支援・福祉施策との連携の在り方について議論して結論をだすというこ とで、中間まとめでは結論を先送りしました。

 また、上記以外については、

  • 生活保護制度については、一般国民の生活水準との関連においてとらえられるべき である。
  • 1類(食費・被服費等の個人費用)と2類(光熱水費等の世帯費用)の割合では消 費実態と比べて1類が相対的に高く、多人数世帯ほど基準額があがる傾向があるので これを是正する。
  • 生活保護の7割が単身世帯であることを踏まえ、単身世帯については別途の生活扶 助基準の設定を検討する。
  • 5年間に一度の頻度で生活扶助基準の妥当性を検討する。
  • 生活扶助の基準については、現状では民間最終消費支出を使っているが、物価、賃 金、年金の動向についても加味した方式を検討する。

が指摘されました。

 また、今後の議論として以下の項目があげられました。

  • 相談体制の在り方について
  • 保護の要件等の在り方について
  • 自立支援の在り方について
  • 保護施設の在り方について
  • 地域間調整の在り方、その他生活保護の適正な制度・運用の在り方について

 全国公的扶助研究会が委員会の委員あてに、「生活保護制度改正についての申し入 れ」を行い、傍聴者にも申入書が配布されました。

  • 保護開始時に保有できる現預金や資産の緩和
  • 扶養義務の範囲は生活保持義務(夫婦間や、親と未成熟の子との間の扶養義務)関 係の範囲とすること
  • 生活保護の単位は原則として個人とすること
  • 教育扶助は高校教育までとすること
  • 生業扶助の充実を図ること
  • 現場関係者や当事者の声を直接聞く場を設けて欲しい

などを要望しています。

※委員会の詳細は傍聴メモをごらんください。傍聴しながらのメモで、正確さを欠く 部分もありますので、それを踏まえてご覧ください。  

傍聴メモ

ご注意

 これは傍聴者の個人の要約メモですので、細かい発言内容に間違いや抜けも多いと思います。あくまで全体の流れの雰囲気を感じる参考にとどめてください。

 転用はお断りいたします。順次訂正していきますのでほかの方にお知らせする場合はホームページアドレスのみお知らせください。繰り返しますがこれは短時間で個人がまとめたメモですので、委員各自の発言内容を正確に反映できていませんので、これをもとに各委員に対し抗議や批判を行うようのないようにお願いします。

 正式議事録は厚生労働省ホームページに掲載予定です(各委員のチェックが入ったあとになりますので少し遅れての掲載となります)。

■岩田座長

 ただいまより、第6回を開催します。
 事務局から委員の出席状況と資料説明

■ 事務局

 麻生、石橋、八田委員が欠席  京極委員が遅刻

■ 岩田

 生活保護の国庫補助率の見直しが報道されている。この委員会の議論に関連するので、事務局から資料がでている。説明を。

■事務局

 経緯ですが、6月に閣議決定された平成18年までに4兆円の国庫補助負担金の見直しを行う。今年度は1兆円の見直しをするよう総理から指示がでた。
 厚労省には2430〜2500億円の削減をするよう指示がでた。
 これを受けて厚労省の見解をまとめたのが配付資料。

 社会保障施策の後退を招かないよう、地域間格差が生じないように行う必要がある。
 16年度は2455億円の廃止・縮減を行う。
 生活保護費、児童扶養手当については3/4の補助率を2/3にする。
 三位一体改革の中で行われる。
 自治体の必要とする財源についても同時に行う。      

■?委員

 生活保護の補助率は8/10から7/10になって、3/4になった。
 補助率の変更によって保護率がさがった歴史がある。
 適切に行って欲しい。

■大川委員(横浜市福祉局ソーシャルワーカー)

 生活保護は法定受託事務の位置づけになった。国として一律にやる。今回補助率をさげることが理念にあうのか。
 生活保護は高齢者受給が多い。これは外国に比べて多い。そういういびつな構造をどうするのか。
 医療扶助も多い。これをどう解決するか。
 年金制度の不備を改善する。医療扶助の問題を解決する。

■ 松浦委員(全国市長会社会文教委員会委員長)

 削減されたものは一般財源で補填されることを前提に話をする。
 私は今年はペルーなどの南米の3カ国に行った。
 治安が悪い、生活保護制度、医療保険制度はない。
 地域間格差を是正するというが、地域間格差が逆にできる。治安が悪くなる。治安は国家がやる問題。
 長い目で見ると、地域間格差、治安の不安定につながる。
 この項目についてはやるべきではない。
 補助金がダメといっているわけではない。国と地方をつなぐ大事なパイプ。
 国家の根幹にかかわる問題。生活保護については反対。

■ 岩田座長

 制度の見直しをこの委員会で始めた。このようになると、委員会をどのように進めていくか不安になる。
 今回、ご報告いただいて、意見をいうということでとどめたい。3人の意見は私たち全体の意見と思って、事務局は考慮を。

■事務局

 国が2/3の負担する、関係なくなるわけではない。保護の基本的なフレームについては国がかかわる。保護については適正化を行う。国の手をはなれたわけではない。

■松浦委員

 国の財政状況悪い。税源論にたって、このようになっている。地方も財政状況悪い。一般財源化で地方にお金が回るとしても、治安などの影響、地域格差がでてくる。

■ 事務局

 三位一体改革の中で行っている。厚労省対象予算の11兆のうち8割が医療、生活保護、年金などの制度的な経費。全体の見直しをしないといけない。
 例えば、精神障害者の問題についても、地域のサービスを充実させることで対応できる。

■松浦委員

 24時間ヘルパーを付けるといっても国は制限をかけている。そうするとあとは自治体の負担。それ以上はできない。
 国も財源がない、地方もない。
 生活保護は治安の問題につながってくる。やめられるものならやめたほうがいい。これは後でしまったということになる。  

■後藤委員(国立社会保障・人口問題研究所)

 公的扶助はナショナルミニマム。余裕のある人から資源の移転を受けられる。一番基本的なシステム。簡単に2/3にというのがでてくるが、どういう結果を想定しているか。
 人々の支出、労働のインセンティブ、社会構造にかかわってくる。どこまで考慮しているのか。
 支出に関しては一国の中で移転が行われるべき、そういう観点を大事にして欲しい。

■大川委員

 生活保護の地域間格差は今でもある。財源を移すといいというものではない。主要産業が低迷している地域は生活保護多い。
 地域格差、経済格差が有る中で、どのような支援をしていくのか。地域に財源移行するとすむ問題でない。

■布川(静岡大学人文学部教授)

 反対意見が多い。これは継続して議論してもらえるのか。これで終わりなのか。

■ 岩田座長

 本日は、説明とご意見ということでとどめざるをえない。
 この委員会に投げかけられた見直し、2/3にするということを前提でなくスタートして、途上で仕組みが変わる。
 この先、今、基準の問題を議論しているが、このことが今後の議論にネガティブにふりかかってこないことを考えている。

■事務局

 全体としての国と地方の役割分担。生活保護だけの議論ではない、全体の中で考えられる部分が大きい。政府全体としてどう対応するのか。

■ 松浦委員

 補助率を下げることには反対の意見。しかし、三位一体改革の中で、地方にお金がおりてくると思う。善良な市長としてはそれは、生活保護にきちんと使いたい。

■ 岩田座長

 全ての市で、きちんと使われるようになって欲しい。
 今日はこれでとどめたい。

■事務局

 資料1pは、生活扶助、消費者物価指数、賃金、基礎年金改定率を昭和59年から平成14年にまでの一覧。
 2pは非保護世帯・高齢・単身の消費支出。生活保護世帯を自治体に協力をお願いしてピックアップして家計簿調査をした。
 高齢者加算は70歳以上から。加算があるほうが、消費水準が高くなっている。
 p5は母子世帯についてのデータ。母親と子供2人が平均的な姿。  

■岩田座長

 ただいまの資料についてのご意見、質問は。

■布川委員

 加算の分類の関係が分からない。
 高齢者のところでは、2類相当のところに、保健医療の支出が入っている。これは老齢加算ではないか。

■事務局

 加算は世帯で着目しているのではなく、個人に出している。
 実際には1類、2類とわけて出しているのではなく、どのように使うかは個人の自由。これは支出の結果をこちらで分類した表。

■松浦委員

 社会の公平感。疑問が投げかけられた時に数字ほど説得力のあるものはない。生活扶助はずっとあがってきている。消費者物価指数はそれほどあがっていない、むしろ下がっている。
 賃金も平成9年あたりから下がっている。年金は現状維持。
 これは何かの不満が出たときに、説得が難しい。物価、賃金が下がっている。生活保護についても考えないと。

■岩田座長

 深くは議論しなかったが、中間とりまとめの議論になるが、相対基準に何を尺度とするのか。民間最終消費支出、物価、賃金のどれにするのか、そのところと関連してくる。

■松浦委員

 58年の意見具申では、賃金や物価はあくまでも参考という文言があるが、これに対しては取り扱い変えてもいいのではないか。

■岩田座長

 どのくらい均衡しているかは、58年を下敷きに議論してもらっている。しかし、58年通りにやらないといけないわけではない、一番合理的なやり方を議論する。前回は、民間最終消費支出が妥当ではないかという意見だった。
 加算は1類に準ずるとしてきたが、高齢者加算は個人、母子加算は世帯の状況で付けている。
 この加算をとった時に、生活の状況が変わるかどうかを議論している。最低生活をわってしまわないか。
   家計調査は一年の平均。全国消費実態調査より安定していると見ることができる。

■ 後藤委員

 1類について。
 母子世帯の消費支出の生活扶助相当額の出し方はわからない。

■事務局

 生活扶助相当の1類、2類については、調査の中で共同経費なのか、個人経費なのかを聞きながら按分している。
 我々としてはp5の生活扶助相当額を重視している。

 これまでの資料と比較してみると、教育費の支出が低い。

 母子世帯がどういう消費行動をしているか押さえながら、子供のためにどのように使っているのか。教育、将来のための投資は必需品ではないか。

■岩田座長

 生活保護は6pの表の形で表現するのは難しい。減免や払わないで良い費用もある。
 総収入と総支出という形をとると、銀行へ預け入れ、引き出しするだけでカウントされて、見た目はふくらんでしまう。  
 これまでの議論をまとめながら、事務局で中間とりまとめの案を作っていただいた。
 事務局から説明を。

■事務局

  • 生活保護制度については、一般国民の生活水準との関連においてとらえられるべき。
  • 1類と2類では1類が相対的に多く、多人数世帯ほど基準額があがるので、是正する。
  • 7割が単身世帯であり、単身世帯は別途の生活扶助基準の設定を検討する。
  • 5年間に一度の頻度で生活扶助基準の妥当性を検討する。
  • 民間最終消費支出は近年、安定していないので、消費者物価指数の伸びを用いることが妥当。
  • 老齢加算については、特別な需要があるとは認められず廃止の方向で検討する。
  • 年金受給者と非受給者を区別して取り扱うこと
  • 母子加算は特別の需要があることや、自立支援、他施策も含めて検討。

■大川委員

  • 年金受給者と非受給者を区別して取り扱うこと

    については議論がなかったような気がするが。

■ 事務局

 委員会の中で2回ほどご意見をいただいている。

■ 後藤委員

 用語の問題で”高齢者世帯の社会的費用”ではなく”高齢者世帯の社会活動にかかわる費用”としないと誤解を招く

■京極委員(日本社会事業大学)

 5の今後の議論の進め方は”自立支援の在り方について”が最初に来るべきではないか。

■ 事務局

 軽視するわけではない。第3回の委員会で議論の順番で、このような順で議論するということであげた。
 自立支援は重要だと思っている。

■京極委員

 議論の順序と論点の整理の仕方は違うので。自立支援は最初に出した方がいい。

■ 田中委員(全国救護施設協議会会長)

 救護施設における老齢加算は代理受領をしているから、施設が受領しているが、そのまま個人に現金支給している。
 施設にあっては、社会参加のため、個人裁量の面が強い。社会参加は在宅・施設を問わず重要。
 計算上の比較では加算がなくてもいいというが、これを見直す場合、社会参加の面も考慮して考えて欲しい。
 救護施設の中に、全体の5%が老齢加算を受けている。施設における文化的な生活の享受、社会参加に貢献している。そこは配慮を。

■ 京極委員

 救護施設の実態は田中委員から報告があった。施設の運用として、個人に加算がいっているというが、施設の入所している人に加算とは関係なく、小遣いをだすのが普通。障害者の授産施設はそうしている。
 救護施設のありかたと、一般論では別。

■ 田中委員

 これについては、救護施設の在り方の中でも議論したい。

■ 布川委員

 これまでの議論でどこまで深められたのか。60歳以上と70歳以上で特別な需要があるかどうかという議論をしてきた。60歳でも病気の人がいるし、70歳でそうでない人もいる。同じ特性の人を比べないと。何歳から始めるかという議論、額が多い少ないの議論であっても、高齢のニーズのそのものがなくて加算を廃止するという結論は疑問である。
 廃止を明言するなら、そこから起こってくる問題についても明確にすべきである。

■ 岩田座長

 廃止と言うことで結論づけることができるかどうか。  

 老齢加算を残すとしたら、年金受給者に限定して残すべきという意見があったと思う。年金を払った人へのプレミアムとして。
 もしそれをやるなら議論しないといけない、難しい議論。  

■大川委員

 ここまで議論したか。廃止の方向でまとめていいのか疑問。  

 老齢加算が最低生活の中で役にたっている現状も報告されている。それも踏まえて欲しい。  

 もちろん、財政審で老齢加算、母子加算を見直せということで委員会が始まっていることはわかるが、廃止でまとめてしまうのではなく、議論の経過についてまとめるべき。

■京極委員

 廃止であるなら、一定の部分を考慮して欲しいという議論だったと思う。それが、社会参加的な費用という意見になった。
 年金受給者だけに加算を認めるという議論は、生活保護制度の根幹に係わる問題。老齢加算のところにいれるのは適当ではない。今後の大きな問題。   

■岩田座長

 現状の制度を廃止するのはできるだけさけたいとは私も思う。
 中間とりまとめは議論した結果を残すものではあるが、いつまでも議論していてもしかたない。
 加算を内部に取り込んで膨らますということもあるし、児童扶養手当のように外の制度とリンクさせて生活保護から外すということもある。
 生活保護は生活の本体を保障するもの。生活保護にでると何もないということも問題。
 絶対的な基準があるわけではないので、どんな資料をもってきても、判断しにくい部分がある。
 家計調査を見ると、加算が、若干の余裕部分として、生活をなめらかに回しているような気もする。しかし、生活保護は最低生活の保障なので。

■ 京極委員

 これはかなりデータをだして議論している。生活扶助の議論をしてきた。医療扶助も入っていると言い始めるとわからなくなる。
 従来の”加算”で対応するやり方は古くなってきている。

■ 岡部委員(東京都立大学人文学部教授)

 加算という体系を使わず、1類や他の扶助の中でやっていく。廃止ということだけでなく、内容を精査をして、対応できるようにやっていく。そういう考え方では京極委員とは差がない。

■岩田座長

 本来では1類できちんと評価できていればいい。しかし、マーケットバスケットというカロリーで評価されている。
 社会参加の評価は難しい。
 高齢者に対して、大幅に困らない、また実態とはずれない、そういう工夫をする必要がある。

■大川委員

 老齢加算にこだわるわけでない。しかし、この文章では経過が見えない。これまでムダなお金をだしてきたというようにも見える。
 入院、入所の問題も提起された。
 一般国民に対する説明の文書になる。もう少し詳しく。  

 これまでの高齢者加算に相当する特別な需要はなかったけれど、社会参加の費用や他の様々な議論があったという文章にする、結果的に加算がなくなってもこれまでの議論が十分説明ができる文章になる。

 医療扶助などの本来あるべき制度で担保するという意見もあった。

■ 岩田座長

 一般の高齢者世帯との均衡を図れるような水準を議論してきた、決して加算だけの問題ではない。  加算だけのことで言ってしまっても。
 大川委員の指摘で表現を変えると言うことではどうか。

■事務局

 老齢加算について、社会的費用としてふれさせていただいたのはこれまでの議論の結果。
 しかし、1類、一時扶助にいれたら良いなどいう意見は個々の意見があったが、それについては意見の集約はなされていないと事務局では考えている。それでこのような表現にした。
 今回の議論を踏まえて事務局修正するが、その点について考慮して欲しい。

■京極委員

 老齢加算の廃止と社会参加費用については並列に書いてはどうか。
 年金受給者とそうでない人を分けてというところはかなり無理がある。これは外して、今後の議論の進め方ではないか。

■布川委員

 個別の需要が全員にない訳ではない、1類で普遍化されるかわからない。特別な需要をもっている。今でも68歳でも例外的に加算がつけられている。
 具体的に条件が下がらないのように、そういう検討もしておかないと、激変緩和どういうことなのか、廃止だけでは。

■京極委員

 加算ができてきた経過がある。生活扶助に足していくやり方。状況によって変わる。
 介護保険などもできている。

■岩田座長

 個別のニーズに応じた特別需要は、一時扶助の中である。

■ 事務局

 議論の結果を踏まえて、対応したい。

■岩田座長

 現行でも対応している一時扶助がある。

■事務局

 世帯類型、加齢に伴うということで無差別平等に付くという加算と、臨時需要、被災、入院、入学という特殊需要の一時扶助、という体系になっている。一扶助については限度内においてワーカーが判断して認めていく。
 今回の議論は、母子、老齢ということで無差別につくということが良いかどうかということだった。
 扶助基準の全体体系の中で見直しを考えている。

■ 根本委員(神奈川県立保健福祉大学保健福祉学部)

 物価との関連。
 一般国民との相対性を確保するための方策として民間消費最終支出があった。これが、とりまとめでは、物価を用いることになっている。相対性と矛盾する。国民の生活の質の向上を担保しない。
 戦後、ずっと採用してきた相対性を追求するべき。

■京極委員

 年金の改定とのバランス等ということにしてはどうか。年金は物価にリンクしているが、かならずしもそのまま下がってはいない。

■ 松浦委員

 専門的な議論はよく分からない。
 消費をもとに考えるのか。
 もう一つは財源論を考えるときに、納税者の理解を得る仕組み。消費者物価、賃金がさがって、生活保護基準はそのままなのかという率直な意見がでてくる。学問的な議論ではない。

■ 岩田座長

 この委員会のテーマとして議論すべき問題。しかし、まだ議論がつまっていない。
 次回、もう1回開催させていただくか。文言修正か。
 民間消費最終支出をベースに、物価、賃金も考慮する。

■京極委員

 まだ、物価指数でスライドするということまで議論していない。今、言われたような表現でいいのではないか。

■事務局

 5年ごとに見直すと言うことは年金のやり方を参考にということ。

■ 岩田座長

 5年ごとの見直しは民間最終消費支出で、その間は物価スライドでということか。

■事務局

 そういう方式を検討してはどうかと

■松浦委員

 年金と比較するのはいいが、年金は皆さんがかけているもの。生活保護とは意味合いが違う。

■根本委員

 消費者物価指数ののびを用いることはこれまでの方式をおおまかに変えるもの。
 最終消費支出でマイナスがでても、政治的な配慮で据え置きということもできる。

■ 岩田座長

 今の議論は十分つまっていない。松浦委員のご提案もあって、年金、賃金、物価でいくのかということがある。
 短期間でやっているので、
 もしくは、もう1回来週やってまとめるのか。

■京極委員

 国民にとってわかりやすいものにする。その方向で検討する。

■ 岩田座長

 基本的には民間最終消費支出だが、物価、賃金などの社会情勢があってそれに加味する。

■事務局

 最終消費支出がマイナスになるということに受けて、物価指数をいれてはという提案。

■ 根本委員

 58年の具申は非常にわかりやすい考えだった。それが、現状にあわなくなってきたというところが問題。
 プラスになった、マイナスになったというのが問題ではない。

■岩田座長

 今日の議論を踏まえて、文言修正して、検討課題ということで表現させていただく。

■事務局

 次回の日程、1月の中旬から下旬をめどに開催する。

■京極委員

 相談の問題。福祉事務所の担当者は行政の中でたらいまわしになっている。担当者が社会福祉主事をどれだけ持っているのか。きちんとした自立支援ができているのか。
 全国調査が無理なら、定点観測でもお願いしたい。

HOMETOP戻る