月 刊

全国障害者介護制度情報

ホームページ:www.kaigo.npo.gr.jp 

 

★香川県高松市で24時間介護保障になるまでの交渉経過

★労働省の介護事業者への助成金(新制度)情報

 

★4月からのヘルパー時間数アップに向け1月から交渉を

 

12月号

  99.12.29

編集:障害者自立生活・介護制度相談センター

情報提供・協力:全国障害者介護保障協議会

〜99年9月3日に以下に移転しました〜

〒180−0022 東京都武蔵野市境2−2−18−302

発送係(定期購読申込み・入会申込み、商品注文) (月〜金 11時〜17時)

        TEL・FAX 0120−870−222(フリーダイヤル)

        TEL・FAX 0077−2308−3493(フリーダイヤル)

        TEL・FAX 0037−80−4445

制度係(交渉の情報交換、制度相談)(365日 11時〜23時(土日は緊急相談のみ))

        TEL 0077−2329−8610(フリーダイヤル)

        TEL 0422−51−1566

電子メール: 

郵便

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口座名:障害者自立生活・介護制度相談センター  口座番号00120-4-28675

 

 

99年12月号 

目次

4・・・・香川県高松市で24時間介護保障になるまでの交渉経過

11・・・来年4月に向け自薦ヘルパーの時間数交渉を

12・・・労働省の介護事業者への助成金(来年度新制度)情報

13・・・介護保険での引き下がり問題で、2月7日に厚生省交渉

13・・・2000年委員会の12月7日の厚生省との話し合い報告

14・・・2000年4月より知的障害者のヘルパー制度が改正

17・・・福島市の「自薦登録ヘルパー」その後の情報

18・・・海外における障害者介助サービスモデルの研究

24・・・介護保障協議会の新役員の紹介

 

 

 

 

 

 

 

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政策研 自立支援分科会専用別冊

A4 100ページ   当会で取扱い中

99年12月11〜12日の障害者政策研究全国集会では、自立支援分科会で専用別冊を作りました。ベンチレーター(人工呼吸器)の資料や知的障害者の自薦登録ヘルパー利用の自立支援(HANDS世田谷とグッドライフ)の資料、海外の介護制度とその運動の歴史の資料、全国の介護制度一覧などを掲載しました。

当会が自立支援分科会の事務局を受け持っていますので、分科会専用別冊を御注文の方は、当会発送係TEL/FAX0037−80−4445(電話は11時〜17時)まで御注文下さい。

1冊、1000円+送料

 

制度相談・交渉の相談は夜11時まで受付中

0077−2329−8610制度係までどうぞ(11時〜23時)

月刊誌と資料集1〜6巻のCD−ROM版第2版

CD−ROMは会員2000円+送料、非会員3000円+送料でお売りいたします。

 障害により紙の冊子のページがめくりにくい、漢字が読めないという方に、パソコン画面で紙のページと全く同じ物がそのまま表示させることができるようになりました。(Windows95/98パソコンをお持ちの方むけ)MS−WORDファイル(97年10月号〜99年8月号&Howto介護保障別冊資料集1〜6巻を収録)と、それを表示させるワードビューアソフトのセットです。ハードディスクにコピーして使うので、CD−ROMの入れ替えは不用です。マウスのみでページがめくれます。読むだけでなく、たとえば、行政交渉に使う資料集や要望書の記事例をコピーして、自分のワープロソフトに貼り付けして自分用に書き換えて使うこともできます。漢字の読み上げソフトで記事を声で聞くこともできます。インターネットで最新号のword原稿も取りこめます。

 第2版から、漢字の読み上げソフト30日体験版やガイドヘルパー交渉の要望書セット、介護人派遣事業交渉の要望書セット、生活保護の大臣承認介護料申請書セット、厚生省介護保険審議会議事録(一部)を加えました。

注意:交渉をされる方、生保介護料申請される方は、必ず制度係にお電話を。追加資料や説明が必要です。

平成10年度 厚生省障害保健福祉主管課長会議資料

(障害保健福祉部の企画課と障害福祉課の2冊) 

11年度冊子は売り切れました。

10年度冊子はまだ残っていますので、値下げ、在庫処分価格にいたします。

10年度冊子(企画課と障害福祉課の2冊)在庫処分価格400円+送料

平成11年度 厚生省保護課係長会議資料11年度版 生活保護基準・生活保護実施要領を含む資料

 資料集4巻と合わせてご購入ください。生保利用者はなるだけご購入下さい。

 今年度は3月に係長会議が行われたため、基準額冊子が会議資料に掲載されています。

 生活保護を受けている方、生活保護の相談を行う団体は、必携です。市町村の保護課の係員が保護費算定等の仕事に使う「生活保護手帳」の前半部分(保護課・保護係の主管部分)と同じ内容です。(生活保護手帳後半部分の医療係の主管部分は使わないので入っていません)。家賃扶助の全国基準額表も独自掲載。

1冊、1800円(当会会員の方・定期購読の方は1200円)+送料

 

香川県高松市で24時間介護保障になるまでの交渉経過(詳細解説)

 9月号・11月号で高松市の制度情報を短く説明しましたが、今月は、交渉の詳しい経過の記事を地元の交渉団体にいただきました。

 

地方都市の高松市においてもほぼ24時間の介護制度に

高松在宅障害者の保障を考える会

那須宏生

 重度の全身性障害者である私が無謀とも思える一人暮らしを始め早3年。一人暮らし当初は当然ヘルパー時間も少なく、大変生活はきびしいものでした。もちろん市との交渉も同時に進めました。交渉当初はなかなか進展を見せなかったものの、ねばり強い交渉と介護制度相談センター相談員の適切なアドバイスにより、地方都市の高松市においてもほぼ24時間の介護制度を整えることが出来ました。このことは私を含め数人の自立障害者の行動が重い行政の腰を上げさせることが出来ると言う何よりの証明です。

 以下は3年間の大まかな交渉経過です。

 

香川県高松市の介護保障交渉の経過

高松在宅障害者の保障を考える会

 一人の障害者(那須宏生)の自立生活をきっかけに、高松市の介護保障が本格的に始まりました。彼は、全身性障害者で24時間介護が必要な障害者です。最初は、どこでも保障されている週6時間の介護保障しかありませんでした。一日の中で、介護の保障されていない時間はボランテイアをさがしながら生活をし、同時に高松市との交渉を積み重ねました。一回一回交渉の前後、介護保障協議会の相談員との電話でのアドバイスを受けながら進めました。また、一つ一つの重要な点をクリアして積み重ねた結果、24時間保障にいたったわけです。(以下、約3年間の交渉経過)

 

 

 

(ホームページでは略 紙媒体をご覧下さい)

 

 

 

まとめ

 3年あまりの交渉でよくここまで、のばせたと思います。まず市側が実状を理解し重い腰をあげるまでかなりの時間とエネルギーが費やされました。その中で那須が自立生活にチャレンジしたことが大きいと思います。那須の24時間介護が必要な現実をつきつけられたとき、その大変さを行政は認めざるをえなくなったと思います。また、全国障害者介護保障協議会の情報と細かな電話によるサポートによって実質24時間保障になったと思います。

 市側が重い腰をあげるまで、厳しい局面は幾度もありました。それにくじけず、根気強く、何度も何度も市へ足を運び話し合いを持つことが大切です。対象の障害者の窮状を真に理解させ、市の誠実な対応をひきだしてください。それにより、市側とも関係性が築かれ、本音のところで議論できるようになります。その中で、障害福祉課として社協や財政に対し、この施策の必要性を主張し、がんばってくれていることも理解でき、互いの立場を理解し、協議を重ねることで3年あまりの間で、ここまでの介護保障を確立できました。

 みなさんも地域の中で自立して生きていくという強い意志を持って戦い続けることによって、きっと明るい明日が切り開けます。共にがんばりましょう。

 

編集より:高松では、この文章を主にまとめてくださった佐々さん(筋ジスで自立生活者)と那須さん(脳性マヒ)が中心になって交渉を行いました。この2人は、地域に住む他の障害者と共に自立生活センター・高松も運営しており、現在、24時間要介護などの最重度障害者でも自立生活できるような介護派遣・ILPのシステムを整備している最中です。お隣の愛媛県松山市とも並び、今後が期待されます。

 高松での交渉は、障害者3名、健常者2名で参加、交渉で話をするのは障害者だけが行いました。また、交渉以外に、細かい打ち合わせを障害者1人だけでたびたび行いました(大人数で交渉したほうがいい項目と、小人数でじっくり説明するのがいい項目があり、使い分けをすること)。

 

資料  香川県高松市の24時間の介護制度のしくみ

1.高松市で夜間の全身性障害者自薦登録ヘルパー制度が99年9月から始まりました。毎日、午後9時から翌朝7時までの1泊を1回9000円の単価で介護を受けられる制度です。交渉によって制度化されました。

2.昼間の社協の登録ヘルパーも(交渉により)最高の人で、毎日12時間利用できるようになっています。交渉により、自薦の利用ができています。例えば、朝9時から夜9時までの12時間利用できます。

 この昼間の12時間分の登録ヘルパーの時間帯の時給単価が10月から大幅にアップしました(介護保険に向けた単価改定のため)。昼間の介護単価が1400円から1950円に、早朝と夕方の単価が1750円から2430円になりました。

 これにより、生活保護を受けていない障害者の場合でも、東京の24時間保障の自治体を超える金額になり、生保なしで実質24時間介護保障になりました。

 

 高松市で24時間要介護の単身全身性障害者は、3つの制度をこのように利用できます。

21時   0時       7時    9時              21時

(新設)全身性障害者自薦登録ヘルパー派遣事業

10時間/日

生活保護

介護

自薦登録のヘルパー

(従来のもの)単価アップ

12時間/日

 

問合せは、必ず介護保障協議会まで0422−51−1566

高松市には電話問合せしないで下さい

 

 

来年4月に向け自薦ヘルパーの時間数交渉を

 自薦のヘルパーの交渉(や委託先との話合い)は、1年中できますので、新規事業の交渉時期(4〜6月)が過ぎましたら、自薦ヘルパーの交渉を進めてください。

 ただし、補正予算・補正補助金の締切りは9月末ですので、それを過ぎると、3月までの大幅な時間数アップは交渉できません。(例えば、12月に交渉して「来月から時間数アップせよ」というのは無理。)

 しかし、9月以降の交渉でも、「4月からの時間数アップ」の交渉は可能です。これは、今年度の9〜10月に、来年度(4月からの)予算の概算要求を行ってはいるものの、ヘルパー予算の増える部分を、誰に使っていくかは、これから障害福祉課の内部で決めていくことだからです。例えば、来年度(4月から)は国の障害ヘルパー予算ベースで29%アップとなります。各自治体もこの程度は障害ヘルパーがアップします。このアップ分の予算を、全利用者に少しずつ増やす方向で使っていくのか、それとも、「命の危機のある単身の最重度の利用者」に、まず使っていくのかは、交渉でどれだけ(自分の大変な介護実態を)説明するかにかかっています。

 なお、4月以降のヘルパー予算分は、来年の9月補正などであとから動かすことも可能です。

 交渉方法がわからない方は、制度係にお電話下さい。(別冊資料集1巻「自薦ヘルパー」もお読みください)。

 

自薦登録ヘルパーや全身性障害者介護人派遣事業の交渉をあなたの市でも始めませんか?

 (実例)東京以外の24時間介護保障の地域は、すべて当会と連絡をとりつつ交渉した地域です。12時間以上の介護保障の地域のほとんども同じです。

交渉をしたい方、ご連絡ください。厚生省の情報、交渉の先進地の制度の情報、ノウハウ情報、など、さまざまな実績のある情報があります。ぜひ自治体との交渉にお役立てください。

 当会制度係0077−2329−8610(通話料無料)11時〜23時。土日もOK。午後5時以降は携帯電話への転送で対応しますので、9回以上コールしてください。夜間は、すぐに出ない時は、時間をおいてかけてください。又、昼間も制度係担当者が、他市のCIL事務所などにいる場合が多いので、その場合、ご連絡先を聞いて、制度係担当者からおかけ直しすることになっています。すぐにかけられない場合は夜おかけしますので、自宅の番号もお伝え下さい。お気軽におかけ下さい。

 定期的にご連絡いただければ、短期間で、効率的な交渉ができます。

 

 

労働省の介護事業者への助成金(来年度新制度)情報

介護保険事業者以外も対象? 600万円程度を受給可能

 労働省で8月に概算要求されていた、2000年度の介護事業者への新しい助成金制度の詳細が少し明らかになってきました。労働省では、不況対策として、これから伸びていく業種への労働移動(衰退業種から解雇された労働者を、先の明るい業種に就職してもらう)を狙って、いくつかの助成金制度を創設しています。来年度は、介護保険が始まるので、介護サービスなどの福祉サービスの業種に「初年度の従業員の給与の3分の1を事業主に助成する」制度を作ることになりました。(2000年度のみの制度となるか、数年は継続されるかは不明)。

 助成対象は最高6人までの従業員(1人でも可)で、パートも含まれます。配食サービスなど、介護保険の対象外になっているサービスの業種も計画に含まれているので、介護保険の指定事業者以外の介護等事業者にも助成される模様です。

 仮に常勤介護者6人の場合600万円程度が受給できます。

 また、パートも助成対象という事です。詳細が不明なので確かなことはわかりませんが、仮に週に数時間のパートでもOKならば、障害者個人や小規模な団体でも(雇用保険に入って)介護者6人の人件費の3分の1の助成を受けられるかもしれません。(これと似た労働省の助成金では、事務所家賃など設備投資に300万円以上を使うこと、という条件があり、これがつくかどうかで個人で事業所を作って利用できるかどうかが決まります。今後の情報に注目してください)。

 いずれにせよ、生保の大臣承認介護料や自薦登録ヘルパー・全身性障害者介護人派遣事業など自薦の介護制度がないと意味がありません。これらの制度がない地域は、早急に交渉に取り組んでください。

 これらの制度がある地域では、自立生活センター等の事務所の立ち上げ経費を捻出できます。(1年しか助成されないので、立ち上げ経費の借金返済のみに使うのが正しい。このような助成金は、3月末事業開始ならば、12月ごろ入金されるのが普通なので、その間の敷金や事務所家賃は、一口10万円などの出資者を募るなどの方法で借金するのが普通です。)

 なお、この制度の詳細は、3月ごろに決まります。それまでは、上記の情報は、変更になることもあります。(なお、今年度中に事業開始する(した)方は、次ページ広告の制度の方を利用できます。)

 

 

介護保険での介護制度時間数引き下がり問題で、

2月7日に厚生省交渉(自由参加型)を行います

 2000年委員会で2月に公開の交渉を行う予定です。全国の方がご自由に参加できる予定です。ぜひ御参加ください。(現在、全身性障害以外のヘルパー時間引き下がり問題と生活保護の介護料との関係の問題などが解決(確定)していません)。

とき:2000年2月7日(月)午後3時半〜5時   紹介議員:堀利和議員

場所:東京都千代田区の参議院会館(地下鉄有楽町線の永田町駅下車すぐ。

      :東京駅からならJR山手線有楽町駅で地下鉄に乗換。階段です)

2000年委員会の12月7日の厚生省との話し合い報告

 12月は、いわゆる引き下がり問題について、@全身性以外の下肢障害のみなどの場合の問題と、A全身性の場合の細かな点について話をしました。@の全身性以外は、ヘルパーの時間数が引き下がるかもしれない状況なので、毎日3時間以上のヘルパー利用の例や、介護は必要でないが、単身で週2回前後の家事ヘルパーを利用しているケースを出して、介護保険準備室と再度話しをするように要請しました。Aについては、大筋で引き下げないということは確定していますので、生活保護の大臣承認介護料とも関係する「要介護時間数の決定は介護保険ではなく今後も障害福祉課が(例えばAさんは毎日16時間と)決定する」との確認、これから制度を作る自治体への支援の方法などを話しました。

 A番についてはほぼ解決しましたので、今後、問題が残っているのは、@の全身性以外の引き下がり問題と、Aのうちの生活保護の介護料の問題で、どちらも1〜2月に検討・決定されますので、引き続き話し合いを行います。

不況対策の新規事業助成金のご利用を支援します

 政府の不況対策の施策で、新規事業に対する助成金が作られています。2000年度予算でも99年度に比べ、3倍増になっています。政府の60万人雇用創出計画のうち、この助成金で6万人を雇用する計画です(1箇所6人として1万事業所に助成。助成金は99年1月から始まって、5月に1500事業所が計画認定済み)。この助成金は、法人格は不要です。民間財団の助成等とは違いますので、実態があって書類を正しく出せば、100%助成決定となります。

介護サービス事業者も助成対象 700万円程度の助成金受給が可能

 当会では介護サービス事業等を行う事業者向けの申請の書類の雛型など、全手続の書類を用意しました。助成を受けたい方には、完全に助成を受けられるまでのコンサルティングサービスを提供できますので、まずはお問い合わせ下さい。

TEL0077−2329−8610制度係まで(11時〜23時)。

 

 

 

2000年4月より知的障害者のヘルパー制度が改正 〜軽度(手帳B)の知的障害者もヘルパー制度の対象に〜

自立生活センター・グッドライフ

(政策研資料より転載)

 現在、国の知的障害者に対するヘルパー制度の要綱には、「派遣対象者」として次のように書かれています。

「重度の心身障害のため日常生活を営むのに著しく支障がある重症心身障害児(者)、精神薄弱児(者)、身体障害児の属する家庭であって、心身障害児(者)又はその家族が、心身障害児(者)の介護サービスを必要とする場合とする。」

 ここに3つの大きな問題が含まれています。

 @対象者が「重度」の知的障害者(療育手帳のA)に限定されていること。

 A本人よりも家庭に対するヘルパー派遣が基本になっていること。

 Bこの要綱自体厚生省児童家庭局から出されたものであり、障害児と知的障害者が同じ要綱で扱われていること。

 これらの点について中央児童福祉審議会は今年1月に次の意見を出しました。「ホームヘルプサービスについては、現在、心身障害児(者)ホームヘルプサービス事業として、重度の障害児(者)の家族支援を中心とした制度になっているが、知的障害者本人も利用する制度として、障害児のホームヘルプサービスと分離するとともに、対象者の障害の程度についての要件緩和を検討する必要がある。」 これを受けて厚生省は来年度予算要求の中で「本人支援を含めた利用対象者の拡大」という方針を出しています。

 具体的な要綱の内容などは未定ですが、2つの点で画期的な制度改正になると思われます。

 @知的障害者が「障害の程度によらず」ヘルパー制度を利用できるようになること

 A知的障害者が自分のニーズや意志に基づいたヘルパー派遣を受ける道が開かれたこと

 さらに厚生省の担当者は「本人支援」の中身として余暇活動での利用、コミュニケーション支援、相談・助言などを挙げています。

 私たちグッドライフのメンバーもピープルファースト話し合おう会の当事者と共に、厚生省の担当者と話し合いを重ねており、その中で今後新要綱や課長会議などの文章に対して、以下の3点を要望として出していきたいと考えています。

 @自立生活をしている知的障害者などニーズの高い利用者に対して、サービス量の上限を設けず、ニーズに応じたヘルパー派遣を行なうこと。

 A外出などの不定期な利用が実際に可能となる制度にすること。

 B知的障害者ときちんと関係がもてるヘルパーが派遣されてくるよう、自薦登録ヘルパー方式などを認めること。

 これらの課題については、今後対厚生省以上に各自治体に対して強く要求していかなければなりません。言うまでもなくヘルパー制度の実施主体は市町村であり、国が要綱改正しても市町村の要綱が変わらなければ、制度は利用できないということになってしまいます。

 現在既に知的障害者の生活支援を行なっている地域では、今から市町村の担当者と話し合いをして「国が要綱を改正すれば私たちの市でも改正します」といった合意をつくっていく必要があると考えています。

 なおホームヘルパーとは別枠でのガイドヘルパーの制度化は、厚生省では2001年以降の課題とされました。身体障害者については国レベルでガイドヘルパーが制度化されているため次のような利点があります。

 @家族と同居していても費用負担を本人所得で計算するため、所得の少ない人は費用負担なしで利用できる。

 Aもともと不定期な利用のための制度であり、ホームヘルパーに比べ外出時などの利用がしやすい。

 B外出などに慣れた介護者が必要とされることから、ヘルパーの自薦登録方式が広く行なわれている。

 このような利点を知的障害者も活用できるよう、今後厚生省に対してガイドヘルパーの制度化を提案していくべきと考えています。

※「本人支援」という言い方は、現在「家族支援」が制度の基本となっているために使われている。制度が本人を支援することが基本になれば、「本人支援」という言い方は無くなり、逆にレスパイトサービスなどを「家族支援」の施策として整理することになる。「本人支援」と「家族支援」を施策として分け、両方を伸ばしていくという考え方が必要である。

〈自立生活センターグッドライフでは、東京都東久留米市で5年前の設立当時から、身体障害者だけでなく知的障害者の生活支援を行なっています。ヘルパー制度(東久留米市では軽度の人も利用できる)や、都の緊急一時保護制度などを使ってグッドライフがヘルパーを確保し派遣しています。

 現在東久留米市では自立生活をしている知的障害者が4人、家族と同居している知的障害者に対しても多数介助派遣を行なっています。〉

 

(編注:グッドライフでは自薦登録ヘルパーを毎日9〜10時間利用している1人暮しの知的障害者の自立支援も行っています。他にもHANDS世田谷でも同様の自立支援が行われています。この2つの自立生活センターの知的障害者への自立支援の資料は政策研の自立支援分科会専用別冊に詳しく掲載されています。下記広告をご覧下さい。)

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政策研 自立支援分科会専用別冊A4 100ページ

99年12月11〜12日の障害者政策研究全国集会では、自立支援分科会で専用別冊を作りました。ベンチレーター(人工呼吸器)の資料や知的障害者の自薦登録ヘルパー利用の自立支援(HANDS世田谷とグッドライフ)の資料、海外の介護制度とその運動の歴史の資料、全国の介護制度一覧などを掲載しました。

御注文の方は、当会発送係TEL/FAX0037−80−4445(電話は11時〜17時)まで御注文下さい。

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知的障害者の全国介護制度資料集

知的障害者が使っている自薦登録ヘルパーや知的障害者ガイドヘルパーの全国の制度等記事をまとめました。 

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福島市の「自薦登録ヘルパー」その後の情報

 福島市では、交渉により、毎日8時間の「自薦登録ヘルパー」利用者が1人います。その後も障害者団体と市の間で定期的に懇談会が行われており、来年度からは広がりが期待される情勢です。以下、ILセンター福島の情報紙より転載させていただきました。

ホームヘルプサービスの改善に関する懇談会報告

 11月4日、腰の浜会館において「ホームヘルプサービスの改善に関する懇談会」が開かれ、利用者10数名が参加し、市からは障害福祉係長と担当者が出席されました。今回は来年度から実施を予定している「自薦登録ヘルパー」について、福島市の考えを聞きました。その内容は次のようなものでした。

・自薦登録ヘルパーは男性ヘルパーを確保しやすいなどその必要性を認識している

・来年度からは市社協ばかりではなく、他の団体への委託を勧めていく

・自薦登録のポイントになる「研修前の活動を認める」ことと「ヘルパーのローテーション方式と固定方式を選択できるようにする」ことを委託団体に指導していく

・複数の団体への委託によって、サービスを競い合い向上が期待できる

 現在、自薦登録ヘルパーの利用者は市内に1人だけですが、ともすれば特例であるかのように扱われています。まだはっきりとしないこともありますが、来年度からは必要な人は誰でも利用できるようになることが期待されます。ホームヘルプサービスのより一層の向上のために、これからも懇談会を続けていきます(後略)

 

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交渉団体会員(正会員にあたる)募集

 介護保障協議会の正会員にあたる、団体会員(交渉団体会員)を募集しています。

 (自立生活している全身性障害者が1人以上いる団体・個人に限ります。)

 年会費は(月刊誌の送付先)3個所まで年6000円です。相談会員と同じサービス(月刊誌送付とフリーダイヤルでの相談利用可能)を複数の方に提供いたします。(3人以上は1人追加ごと+年2000円)

 会員の義務は特にありません。2年ごとの常任委員会選挙で投票をしていただきます。

 当会の厚生省交渉の方針や会の運営方針を「各自治体と介護制度の交渉をしている団体や個人」に決めていただくための会員システムです。交渉団体会員専用の情報誌も後々計画していますので、交渉を行っている方はぜひ御連絡下さい。専用用紙がありますのでお送りします。詳しいことを説明します。 (交渉を行っている団体かどうか等、常任委員会での入会審査あり)  入会用紙請求は TEL/FAX0120−870−222 発送係まで。

 

 

 

 

(政策研自立支援分科会専用別冊より抜粋転載。全文は自立支援分科会専用別冊(1000円)に掲載されています。今月号3ページの広告をご覧下さい。)

今月号では、スウェーデンの記事の前半を掲載します。後半は1月号で掲載します。

 

海外における障害者介助サービスモデルの研究

−イギリス、カナダ、スウェーデンのモデルを中心に−

ヒューマンケア協会 研究員

鄭 鍾 和(チョン ヂョン ハ)

はじめに

 障害者の介助サービスの登場は、施設福祉から地域福祉への展開プロセスのなかで生まれてきたと言って過言ではない。従来の介助サービスは、施設における長期ケアを基本施策にしていたことから、重度の障害者は施設収容を余儀なくされてきた。また、その介助サービスの提供形態も一方的介護行為によって行われ、当事者の意志に関係なく、受動的介護サービスに留まっていた。その後、施設福祉から地域福祉へと変遷を経て、施設から地域生活をすることが可能となり、今日では重度障害者も介助サービスの資源を得て、自立生活を送ることができるようになった。このような結果は、自立生活運動によって勝ち取った成果であり、地域における介助サービスの提供システムも従来のホームヘルパー派遣制度から自薦型介助サービス利用方式に変わりつつある。さらに、最近の高齢化社会による制度改革の中で従来の税方式の介護サービスが社会保険方式に変わっているのも注目すべき動向である。一方、最近の諸外国における障害者の介助サービスは、従来のホームヘルパー派遣制度から自薦型介助サービスに変わりつつあり、このような動向は、世界各国に広がりつつある。

 ヒューマンケア協会は、こうした、国際動向や日本における制度改革、介護保険導入という変革期を迎え、3年間にわたる海外における障害者介助サービスのモデル研究を行ってきた。本稿は、海外における障害者介助サービスモデル研究成果の一部であり、本研究の目的は、介助サービスにおける当事者主体の追求と共に、日本における介助サービス当事者モデル確立にその目的がある。本稿では、イギリス、カナダ、スウェーデンの3カ国を中心に、介助サービスモデルについて考察していきたい。

(編注:イギリスとカナダの記事は略)

3.スウェーデンにおける障害者介助サービス(STIL:スティル方式)

 (1)伝統的ホームヘルプ・サービスとその仕組み

 他の福祉国家同様、スウェーデンも、地方自治体の責任による、高齢者や障害者のための公的ホームヘルプのサービスについては比較的進んだ制度を持っている。この制度はできてから半世紀以上になるが、元々は幼児を持つ母親が病気になった場合の緊急支援措置だった。このサービスは後に、家族のいない高齢者が施設に入らず、できるだけ長く一人暮らしができるように援助することへの支援策として発展する。これらのサービスを運営・管理したのはソーシャルワーカーであり、これまで障害者はクライエントではあっても、コンシューマではなかった。どんな援助を、どのように、いつ、誰の援助を必要とするのかの決定に、障害当事者はほとんど関われなかったのである。

 (2)直接給付の概念

 従来のサービスに代わる選択肢の一つが直接給付システムであり、直接給付システムにおけるコンシューマは、目的限定の補助金または支払い証明を受け取り、それを既存のサービスに使うことができる。従来のサービスの受け手は地方自治体による社会的サービス管理のもとで無力であったのに対して、直接給付の受け手はさまざまなサービス・プロバイダーと交渉してサービスを契約し、もっといいサービスが他で受けられると思えばプロバイダーを変えたりする購買力を持っている。即ち、直接給付は自分自身の責任による選択の自由によってコンシューマに力を与えるのに対し、従来のサービスはコンシューマを受動的な対象に貶めてしまうのである。弱者の立場から自分自身の運命の主人公への変身は、障害者自身の日々の自己管理生活に多大な影響を与えた。

 直接給付は自立生活の哲学に見事に合致している。つまり、ヨーロッパの自立生活運動は従来のサービスを段階的になくし、直接給付の制度に代える立法を求めるようになったのである。個人が私的に介助者を雇うために直接給付を受ける人々、その家族、そして研究者は口を揃えて、直接給付を可能とし、サービスの質が極めて良くなったという。但し、これまで、従来のサービスと直接給付とのコストを比較する公式な調査データは極めて乏しい。しかし、スウェーデンの歴史経験からすると、直接給付を資金源とする1時間当たりのサービスは、地方自治体のホームヘルプ・サービスが提供するサービスの約70%のコストで済むという結果が出ている。直接給付が比較的安いコストでより良いサービスを産み出すのであれば、どうして世界中で従来のサービスをはるかに超える直接給付が行われないのだろうか。スウェーデンの直接給付の歴史をこれから簡単に述べるが、それが多少は答えになる。

 (3)ストックホルム自立生活協同組合(STIL)の歴史変遷

 1982年に、ラツカ氏によって使われはじめた「パーソナル・アシスタンス」という言葉は以後、他の国にも浸透していく。しかし、当時のプロジェクトには周りの強い反対があり、スタート時点で簡単ではなかったことは歴史的教訓である。例えば、次のような事柄である。

 @労働組合は、組合員が搾取されるのではと恐れていた。数年後の調査で、直接給付による障害者で働いている介助者の労働条件は肉体的・精神的に見ても地方自治体派遣のホームヘルプ・サービスのヘルパーよりも100%近く良好なことが明らかになった。

 A大規模な障害者団体が直接給付システムを要求するグループにストップをかけようとした。いわゆるクラスター・ハウスである。つまり、共通の介助スタッフが生活する部屋をとりまくようにアパートが並び、スタッフは24時間待機するというシステムに、多くのエネルギーと威信をつぎ込んできた人々である。

 クラスター・ハウス(介助者付きの住宅)では、介助は自分の家でなければ得られず、町中や仕事場、あるいは旅行中は受けられない。また、障害者は介助者を共有しなければならず、どの介助者にいつ介助してもらうかを決めることができない。従って、女性の場合、トイレなど一番人に見られたくない部分についても男性の介助者に介助してもらわなければならないことからプライバシー的に傷付けられたこともあるという。さらに、介助者は障害者全員が共有するわけなので、介助者の方で誰のニーズを優先するか決めなければならない。たとえば、お客が自宅に来ていて、コーヒーを出すのに介助者の手助けが必要でも、他の障害者がトイレに行く時は、その介助が終わるまで待っていなければならない。クラスター・ハウスの生活は施設の生活と似た部分が多い。

 B当事者主体方式に対する抵抗は、障害者、特に高齢障害者からもあった。高齢障害者は、自分で介助者を募集し、訓練し、スケジュールを組み、管理もしなければならないという考え方に反発した。誰か他の人が責任を持ってほしいと考え、他の人に代わって決定をしてもらったが、結局のところ生活そのものも自分で管理できなくなるということを理解しなかった。

 Cソーシャルワーカーや自治体の職員の多くも彼らを止めさせようとした。障害者に自分の生活に責任が持てることはできないと考えたからである。また、障害者が自分で介助者を雇うようになったら、自分の仕事がなくなると恐れたのかもしれない。

 D左翼政党(スウェーデンの福祉国家を打ち立てた政党)も彼らに大いに疑惑を抱いた。障害当事者グループが、公的ホームヘルプ・サービスを批判し、私的ヘルパー制度を打ち出したことは、福祉国家に対する挑戦と受け取ったからである。保健や児童保護、障害者サービスなどを国家が独占していることに反対し、個々人がイニシアティブをとることを望んでいる保守党に、当事者グループが影響されていると思い込んだからである。当事者グループは、福祉国家の理念を支持していること、私的に介助者を雇う費用を国に負担してもらう必要があることを説明した。

 こうした議論を立ち上げた1980年代後半は、東ヨーロッパや中部ヨーロッパ諸国が、中央の計画によって国民の個別のニーズを満足させる仕事の重圧に耐え切れず、徐々に崩壊しつつあった頃だった。

 ラツカ氏グループの政治的信念は、すべての国民に一定のニーズの満足度、即ち、ただ生きのびるだけではなく、固有の資源を発達させることが可能なレベルに到達できる経済手段を保障すること、これは国家の責任であるということであり、国家の役割は枠組みや規則を作ることであって、商品やサービスの生産まで独占してはならないと主張した。

 (4)STIL(ストックホルム自立生活協同組合)の勝利

 ラツカグループは、4年間に及ぶロビー活動、論文の執筆、講演会の開催を経て、スティル方式は、1987年遂に、パイロット・プロジェクト(試行事業)をスタートさせることに成功した。これまでホームヘルプ・サービスを使っていた22人が、介助者を雇い、訓練し、スケジュールを組み、介助サーヒスを管理した。STILの事務局は、障害者が雇用主になる際に必要な書類作成などを担当した。スティルモデルが広く政治的関心を呼んだ結果、93年、国会は私的介助システムの必要性の高い人々に対する直接給付を保証する法律を成立させた。いわゆる、パーソナル・アシスタンス法である。法案の提出に際して社会問題担当相は、STILとアドルフ・ラツカの名を出し、法案には「自立生活とSTILモデルの精神が充満している」と述べている。この直接給付システムによって、生活の質が大幅に向上したために、法案は「世紀の障害者改革」と呼ばれている。現在では、かつて熱心に法案に反対していた人々も理解が深まり、中には障害者問題を完全に解決したとまで言う人もいるという。

 (5)スウェーデンパーソナル・アシスタンス法(LASS)

 パーソナル・アシスタンス法は、資格のある人々に、国税を資金源とする国立の社会保険基金から現金の支払いを受ける権利を与えている。社会保険基金は、スウェーデン国民なら基金財政状態に関わりなく権利として受け取ることができる。老齢年金や健康保険の給付金、勤労女性への保障、入院保障などの割当資金を含む。この法律が、過去10年間スウェーデンの行政機能や財政責任を中央政府から地方政府へと移す傾向とは明らかに逆であることを示している。パーソナル・アシスタンス法における給付条件は下記の通り。

 @給付対象者の年齢は0歳〜65歳までである。政府はこの制限について、私的介助の必要は年齢と共に増加するが、財政上私的介助の必要な人全員に給付ができるほどの余裕はないという理由を挙げている。したがって、65歳以上で個人介助の必要な人は、地方自治体の高齢者ホームヘルプ・サービスによってサービスを受けることになる。

 A週に最低20時間、トイレや食事、コミュニケーションなど「生活に不可欠」なニーズの介助を有する人が対象となる。日常生活に最低20時間以上の介助が必要な人は、家事、子供やお年寄りの世話、仕事、レジャーなどについての介助を追加申請することができる。

 Bニーズの評価は社会保険基金の事務所でソーシャルワーカーが行う。その決定に対し、不服の場合は行政裁判所に不服申し立てを行うことが可能である。

 介助者が一人では済まない場合、24時間以上の給付を受けることもできる。例えば、小さい子供がいる母親で、夫が仕事で旅行中のような場合、シャワーを浴びるのに一人の介助者が必要で、その間に子供の面倒を見てくれる介助者がもう一人必要になるかもしれない。一般的に言うと、評価を担当するソーシャルワーカーを説得するには、事前に自分の言い分を整理しておき、ソーシャルワーカーの反論を予想しておくと役に立つ。STILでは、会員にソーシャルワーカーとの面談の準備をさせるコースを提供している。

 評価の基準に標準的なものはない。申請者とソーシャルワーカーとで意見が食い違う場合、医者の意見が大きな力を持つ。

 年齢制限と週に20時間介助サービスが必要最低限の条件であるため、スウェーデンの人口850万のうち直接給付を受けている人は比較的少ない。定義にもよるが、私的介助を必要とする人は10万人程度と推定されているが、現在、資格を得ている人は7500人に過ぎない。直接給付を受ける権利を得た人は、それぞれ、毎月給付を受けるが、金額は月の必要介助時間数に1時間当たりの経費をかけたものになる。1時間当たりの経費はスウェーデン政府が毎年1回、定めるが、介助者への報酬、社会保険料、管理費などすべての経費を含む金額である。管理費については2つに分かれる。

@サービス・プロバイダーの事務所維持費、職員の給料、会計費用などの経費

A個々の介助利用者の経費。たとえば、介助者が在宅でない場合の交通費、利用者が旅行したり、外食したりする場合に介助者に必要な映画観覧代や食事代などである。

 スウェーデンのパーソナル・アシスタンス法は、この種の管理費を給付対象に含めた唯一のシステムである。

 サービス・プロバイダーはプログラムの運営経費として1時間20クローネを請求する。そうすると、直接給付の受給者のほとんどが、個別の管理費に当てるお金が残らなくなる。STILは組織が大きく、経験も一番長いため、STILが徴収する事務経費を現在の1時間10クローネに抑えている。お陰でSTILの会員は介助者に高い賃金を支払う。直接給付の受給者は、給付金を使ってサービス・プロバイダーから介助サービスを買うこともできるし、自分で私的に介助者を雇うこともできる。受給者の約7割が地方自治体からサービスを購入しており、1割は民間企業からサービスを購入している。さらに15%は協同組合に加わることで介助を自分たちで組織化しており、また5%は自分たちで組合を作って、組合が介助者を雇う形をとっている。

 受給者の中で協同組合に入る人の割合は着実に増え続けている一方、地方自治体からサービスを買う人は減り続けている。その理由は、地方自治体は社会保険基金の定めたレート通りに代金を請求するので、受給者には付き添いの介助者に関する経費を払うだけのお金が残らないという事実にあると考えられる。もう一つの理由は、地方自治体からサービスを買った利用者が、ホームヘルプ・サービスと個人介助サービスとの違いをほとんど感じていないのが原因だと考えられる。

 自治体のサービスを買っても、数名のワーカーから選べるだけで、スケジュールについては利用者は何も言えない事が多いのである。直接給付の受給者は毎月、先月に受けた介助の時間数の説明をしなければならない。自分で介助者を雇う人は支払った額の詳細な説明書を社会保険基金に提出しなければならない。

 社会保険基金からの給付金を使い切っていない利用者でも、ただちに未使用額の返還を求められるわけではなく、6カ月たっても未消化の場合は基金に返還される。毎月の給付金を節約して残すくらいでないと生活に余裕がなくなる。例えば、旅行をする時は介助者に1日18時間分の介助料を支払うが、社会保険基金からは1日15時間分の介助料しか受けられない。つまり旅行前か、後に介助時間数の節約をしないと、旅行はできない。

 直接給付は多くの介助利用者の生活を革命的に変えた。改革が成功するカギは、個々の介助予算の管理である。個人の介助予算を管理するのは、誰でもなく、自分自身である。介助時間をどのように割り振り、どれくらい介助料を支払えるかを決断するのも個人である。この責任は介助利用者側にとってある程度の能力を要求される。

 

(編注:この続きは全国障害者介護制度情報1月号に掲載します。)

 

■参考引用・文献

1)障害当事者が提案する地域ケアシステム「英国コミュニティケアへの当事者の挑戦」日本財団・ヒューマンケア協会発行、1998.1

2)当事者主体の介助サービスシステム「カナダ・オンタリオ州におけるセルフマネジドケア」ヒューマンケア協会・日本財団発行、1999.1

3)世界の障害者介助サービスの現状と課題「介助料直接支給システム(DF)と介助利用者協同組合システムから学ぶ」ヒューマンケア協会・日本財団発行、1999.8.30

編注:上記の本(参考引用・文献)は以下で販売されております。

ヒューマンケア協会

TEL 0426−46−4877

FAX 0426−46−4876

 

 

 

介護保障協議会の新役員の紹介

 全国障害者介護保障協議会では、2年ごとの常任委員選挙が10〜11月にかけて交渉団体会員による投票で行われ、以下の方が新しい常任委員になりました。また、新常任委員会で、新しい役員(右端の欄)が決まりました。

地域

名前

兼職・地域団体

介護保障協議会新役職

北海道

花田貴博

サポートネットワーク(札幌市)

副代表

北陸

篠田隆

自立生活支援センター・新潟

関東

横山晃久

HANDS世田谷

代表

関東

川元恭子

自立生活センター・小平

事務局長

東海

渡辺正直

静岡障害者自立生活センター

近畿

村田敬吾

自立生活センター・ほくせつ24(大阪府茨木市)

中国

光岡芳晶

自立生活センター・米子

副代表

四国

中村久光

障害者の自立支援センター(松山市)

監査

九州

田上支朗

熊本市在宅障害者の介護保障を求める会

今後ともよろしくお願いいたします。

 

 

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全身性障害者の職員募集中(専門職候補者)

全国障害者介護保障協議会/介護制度相談センターでは、全身性障害者の「制度相談員」(専門職)候補生を募集します

選考期間 問合せは随時受付。1人の希望者に対し、数ヶ月かけて選考を行う予定。

募集人数 1〜2名募集します

対象者  介護制度が毎日必要な全身性障害者(できれば、すでに単身生活されている方)

年  齢 20〜40歳

収  入 給与+年金+特別障害者手当+東京都の手当で月30万円以上。

住  宅 アパートを探すサポートをします。普通1〜2日で見つかります。

     住宅改造の制度(6項目で2百数十万円上限)があります。

介  護 長時間の介護制度がありますので、介護体制は安定しています。

労働時間 基本は週休2日。土日に全国的な障害者団体の行事や、集中講座などがある場合は出席します(代休あり)。1日6〜7時間勤務(障害に対応できるように時間数を決める)。

選考ポイント

@やる気のある人、自分の知識や仕事の方法の技術を高めていける方 A体力のある人、

B同僚との間で良いコミュニケーションと協力関係を保つことができる方

 ご質問・お問合せはお気軽に 通話料無料0077−2329−8610まで。11時〜23時 *当会は介護制度や障害当事者組織を全国各地に作る事を目的としていますので、その地域に必要な方はお断りさせていただいています。ご了承下さい。

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CIL用 NPO法人「定款・規約」セット(紙資料とフロッピーディスクのセット)一般:1000円+送料 会員・定期購読の方:700円+送料

 自立生活センターの例で定款と規約・細則例をまとめました。定款は細かいことまで載せると変更時には再登記が必要になるなど、作成時に気をつける点がたくさんあります。この定款セットではこの点をクリアしているものを解説とともに掲載。ワープロで団体名や理事の定員などを自分の団体に合わせて書き換えれば、そのまま使うことができます。

 パソコン・ワープロの機種とTEL(あればメールアドレス)を注文の紙にお書き下さい。各社ワープロ専用機のフロッピーへの変換も行えます。御相談下さい。なお、WindowsパソコンのWORDなら、罫線入り文書で見れます。MACにはEメールでお送りします。

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介護人派遣事業の交渉の要望書セット(無料)資料集2巻もお読みください  (東京・静岡・大阪の派遣事業の要綱と厚生省の見解等の解説つき)

 名前・団体名を書き込んでそのまま市町村の課長などに出せる要望書セットです。

交渉の市への申込み方法等は、要望書セットの1枚目で解説しています。

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 まず発送係に申込みください。無料でお送りします。後日、制度係から説明のお電話をいたします。(できましたら、資料がお手元についたら制度係にお電話下さい。)必ず説明を聞いてから進めてください。交渉期間中は、毎月、制度係フリーダイヤル0077−2329−8610に連絡を取ってください。

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初めての申請の市の方は、当会制度係と連絡を取りつつ進めてください。

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1巻 自薦登録方式のホームヘルプサービス事業

325ページ 1冊2600円(+送料)   99年3月発行改定第4版

第1章 全国各地の自薦登録ヘルパー

全国の一覧表・熊本市・東久留米市・保谷市・大阪府茨木市・四国の松山市と高松市・千葉県・埼玉県・大阪府の通知・兵庫県尼崎市・札幌市・浦和市・千葉県柏市と市川市

第2章 あなたの市町村で自薦登録の方式を始める方法

自薦登録ヘルパー方式のすすめ・自薦方式に変えていく方法 その1・その2(改訂版)・介護人派遣事業と自薦登録ヘルパーの違い・研修を解決する方法

第3章 海外の介護制度 パーソナルヘルパー方式

デンマークオーフスの制度・スウェーデンの制度・エーバルト・クロー氏講演記録

第4章 ヘルパー制度 その他いろいろ

費用の保障で人の保障が可能・福岡県の状況・市役所のしくみ・厚生省の情報

資料1 自治体資料

東京都世田谷区の推薦登録ヘルパー料

資料2 厚生省の指示文書・要綱

6年度・8年度・9年度・10年度厚生省主管課長会議資料(自薦登録ヘルパーについて書かれた指示文書)・厚生省ホームヘルプ事業運営の手引き・厚生省ホームヘルプサービス事業の要綱255号・260号・ヘルパー研修の要綱・97年度の通知・ホームヘルプサービス事業実務問答集・ホームヘヘルプ個別援助計画・ホームヘルプ補助金要綱

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2巻 全国各地の全身性障害者介護人派遣事業

250ページ予定 1冊2200円(+送料)  99年8月発行改定第4版 

 全国の介護人派遣事業一覧表(最新版)・全国各地の全介護人派遣事業の最新情報と要綱や交渉経過など資料が満載。以下の全自治体の資料があります。

1静岡市・2東京都・3大阪市・4神奈川県・5熊本市・6兵庫県 西宮市・7宝塚市・8姫路市・9尼崎市・10神戸市・11岡山市・12宮城県と仙台市・13滋賀県・14新潟市・15広島市・16札幌市・17埼玉県・18来年度開始の4市・19フィンランドの介護制度資料・20東京都の新制度特集・21千葉県市川市・22兵庫県高砂市・23静岡県清水市・24大津市+99年度実施の市

 ほかに、介護者の雇い方・介護人派遣事業を使って介護派遣サービスを行う・介護者とのトラブル解決法・厚生省の情報 などなど情報満載  全242ページ

Howto介護保障 別冊資料 

3巻 全国各地のガイドヘルパー事業

100ページ 1冊1200円(+送料)  99年3月発行改定第2版 

 全身性障害者のガイドヘルパー制度は現在3300市町村の1割程度の市町村で実施されています。このうち、特に利用可能時間数の多い(月120時間以上)数市についての解説を掲載。また、これから制度を作る市町村が要綱を作る場合の参考になる要綱事例などを掲載。厚生省の指示文書も掲載。 交渉の要望書セット(ガイドヘルパー用)も掲載

1・2・3巻の案内は前ページをご覧ください。下記の資料集1〜6巻は介護保障協議会・介護制度相談センターの会員・定期購読者は表記の3割引サービス)

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4巻 生活保護と住宅改造・福祉機器の制度 

170ページ 1冊2000円(+送料)  99年1月発行改定第2版 

 生活保護、生活福祉資金、日常生活用具などを紹介。このうち、生活保護内の制度では、介護料大臣承認・全国の家賃補助・敷金等・住宅改造・高額福祉機器・移送費・家財道具の補助・家の修理費、の制度を詳しく紹介。各制度の厚生省通知も掲載。

 生活福祉資金を使った住宅改造や高額福祉機器の購入には、この本の該当の章を丸ごとコピーして保護課に持っていってください。

 生活保護を使って自立したい方は必ず読んでください。

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5巻 障害当事者団体の財源の制度

134ページ 1冊1400円(+送料)   好評発売中 

<この5巻のみ、障害者主体の団体・障害者本人のみに限定発売とします>

 全国で使える労働省の障害者雇用促進制度助成金の詳細・ホームヘルプ事業の委託を受ける・市町村障害者生活支援事業の委託を受ける・障害低料第3種郵便の方法・資料(NPO法・介護保険の指定・重度障害者を自立させるマニュアル)など。

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6巻 介護保険と関係情報

 160ページ   1冊1400円(+送料)   99年3月発行

 介護保険の総合解説、障害者団体が介護保険でヘルパー派遣等ができる指定団体になる方法・基準、介護保険関連で障害者団体と厚生省の話合いの経過等

 東京都作成資料「介護保険指定団体の基準」を掲載。

(上記の資料集1〜6巻は介護保障協議会・介護制度相談センターの会員・定期購読者は3割引サービス   1・2・3巻の案内は前ページをご覧ください。

 

すべての資料集とも、注文は、発送係へ。

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