月 刊

全国障害者介護制度情報

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★四国の松山市で24時間介護保障(詳細解説続報)

  4ページ

★宮城県大和町で全身性障害者介護人派遣事業

  22ページ

★ベンチレーターと共に自立生活

  36ページ

 

11月号

  99.11.30

編集:障害者自立生活・介護制度相談センター

情報提供・協力:全国障害者介護保障協議会

〜99年9月3日に以下に移転しました〜

〒180−0022 東京都武蔵野市境2−2−18−302

発送係(定期購読申込み・入会申込み、商品注文) (月〜金 11時〜17時)

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制度係(交渉の情報交換、制度相談)(365日 11時〜23時(土日は緊急相談のみ))

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口座名:障害者自立生活・介護制度相談センター  口座番号00120-4-28675

 

 

99年11月号 

目次

4・・・・愛媛県松山市で24時間介護保障(詳細解説続報)

9・・・・松山市の自薦登録ヘルパー資料

11・・・香川県高松市で24時間介護保障(先月の記事補足)

12・・・来年4月に向け自薦ヘルパーの時間数交渉を

13・・・最新介護保険情報

      主幹課長会議に続き、12月もブロック会議が行われます

      介護保険と障害施策の関係Q&A

15・・・厚生省の障害保健福祉部の事務連絡の全文と解説

22・・・宮城県大和町で全身性障害者介護人派遣事業

23・・・大和町全身性障害者介護人派遣事業要綱

28・・・勢敬一郎さん追悼特集

       熊本市の24時間保障の97年記事再掲載

36・・・ベンチレーター(人工呼吸器)と共に自立生活

 

 

 

訃報

 介護保障協議会前副代表で九州ブロック常任委員の勢敬一郎氏が11月10日にお亡くなりになりました。勢氏は熊本市で97年度に東京以外では初めて24時間の介護制度をつくる功績を残されました。(記念記事を28ページから掲載)

 

制度相談・交渉の相談は夜11時まで受付中

0077−2329−8610制度係までどうぞ(11時〜23時)

 

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知的障害者の全国介護制度資料集

知的障害者が使っている自薦登録ヘルパーや知的障害者ガイドヘルパーの全国の制度等記事をまとめました。 

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平成10年度 厚生省障害保健福祉主管課長会議資料

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平成11年度 厚生省保護課係長会議資料11年度版 生活保護基準・生活保護実施要領を含む資料

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 今年度は3月に係長会議が行われたため、基準額冊子が会議資料に掲載されています。

 生活保護を受けている方、生活保護の相談を行う団体は、必携です。市町村の保護課の係員が保護費算定等の仕事に使う「生活保護手帳」の前半部分(保護課・保護係の主管部分)と同じ内容です。(生活保護手帳後半部分の医療係の主管部分は使わないので入っていません)。家賃扶助の全国基準額表も独自掲載。

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松山市の24時間介助保障

障害者の自立支援センター

 

 松山市では、今年度4月から単身等の全身性障害者に対して、「自薦方式による登録ヘルパー制度+自薦ガイドヘルパー(0〜8時間)」で最高20時間の新制度がスタートした。このことにより、生活保護他人介護料大臣承認を受けている障害者は、1日に24時間の介助保障が実現した。

 また、松山市では98年3月までは、ガイドヘルパー8時間+自薦登録ヘルパー6時間で14時間の制度があり、生活保護他人介護料大臣承認の4時間をあわせると、18時間の介助が保障されていた。現在は、全身性障害者に対しての最高20時間の制度と、以前からあった最高14時間の制度の2つがある。

 

制度の説明

14時間の制度(生活保護他人介護料大臣承認の4時間を加えると18時間の介助保障)

 実施される自薦登録ヘルパーの派遣時間は毎日4時間で、家事型が2時間と介護型が2時間である。また、両上肢と両下肢に重度の障害がある場合は毎日6時間となっている。その場合、家事型2時間と介護型4時間である。ガイドヘルパーは毎日8時間である。

現在、自薦登録ヘルパーの派遣を4時間受けている当センターのスタッフは1人である。

  家事型が1時間 1,300円

   (0時〜9時までと17時〜0時まで、及び、土/日/祝が1時間 1,600円) 

  介護型が1時間 1,600円

   (0時〜9時までと17時〜0時まで、及び、土/日/祝が1時間 2,000円) 

  ガイドヘルパーが時間帯曜日に関わらず1時間 1,400円

20時間の制度(生活保護他人介護料大臣承認の4時間を加えると24時間の介助保障)

 「自薦登録ヘルパー+自薦ガイドヘルパー(0〜8時間)」の2つの制度をあわせると、毎日最高で20時間の派遣が実施されている。当センタースタッフのメンバーでは、毎日24時間介助が保障されているのは6人、生活保護を利用していないため、20時間しか保障されていないのが2名である。

 

自薦ガイドヘルパーを8時間利用した日

自薦ガイドヘルパー

  8時間

自薦登録ヘルバー

12時間(注)

生活保護介護料

大臣承認 4時間

注:ガイドヘルパーは最高で毎日8時間利用できる。その場合は登録ヘルパーは12時間となる。

 

自薦ガイドヘルパーを4時間利用した日

自薦ガイドヘ

ルパー4時間

自薦登録ヘルパー

14時間

生活保護介護料 

大臣承認 4時間

自薦ガイドヘルパーを利用しない日は、自薦登録ヘルパーが20時間利用できる。

 

自薦登録ヘルパーの時間単価

 全て介護型で、曜日祝祭日は関係ない。

0時       6時    9時         17時     22時  24時

  800円

1,600円

1,400円

1,600円

800円

 

自薦ガイドヘルパーの時間単価

 曜日祝祭日、時間帯に関係なく1,400円。

 

 

交渉経過

障害者の自立支援センターの中心的メンバー(市との交渉も継続して行ってきた)であった水口英一氏が、昨年の6月に急逝されたこともあり、昨年(98年)の交渉開始は大幅に遅れ、全身性介護人派遣事業の交渉月を過ぎた10月15日であった。

 要望項目として、自薦登録ヘルパーの派遣時間の拡大、全身性障害者介護人派遣制度の立ち上げ(次年度をにらんで)、施設利用者へのガイドヘルパーの適用を上げて望んだ。

10月15日

 市役所…係長(2人)、主任

 当センター…堀内、天野、

 自薦登録ヘルパー制度の導入により、重度障害者のQOLは向上した。しかし、依然として介助不足で重度障害者の生活は、困窮していることを実例を挙げて説明していった。また、介護制度情報98年9月号の「ホームヘルプ(障害分)予算は今年度に比べ141%」という記事をコピーしていき、他の制度と違う超重点制度であると説明した。

 市側は、今年度大幅に増やしたばかりである。また、利用時間が時間単価の高い早朝と17時以降に集中して、12月で予算切れになると渋っていた。

 とりあえず15日は、10月23日の全体交渉と交渉への課長補佐の出席を約束して帰る。

10月23日

 市…課長補佐、係長(2名)、主任

当センター…堀内、中村他8名

 資料1巻より「自薦登録ヘルパー」「全身性介護人派遣事業」との違いについてをコピーして配布。

 堀内の進行で交渉は行われた。自選登録ヘルパーの派遣時間拡大について、各障害者が各自の生活の実態を説明していき、毎日4〜6時間の自薦登録ヘルパーでは介助不足で生活は困窮していると訴えていった。

話が全身性障害者介護派遣事業の立ち上げに移ったとき市の主任が、ホワイトボードに近畿地方の全身性障害者派遣事業を行っている市の状況を書いて、「いずれも松山市より派遣時間数が少ない。これでいいのならそのようにします。」と説明した。

 当センター/配っている資料をよく読んでください。私たちが要望しているのは、現在あるガイドヘルパー、自薦登録ヘルパーの上に、更に、全身性障害者派遣事業をを立ち上げることだ。そのことがホームヘルプサービス事業の国の補助でできると書いてある。

市 /この資料はどこが作ったのか。

センター/全国の障害者団体が集まって作っている団体である。厚生省交渉も頻繁に行っている。当センターも会員である。

市/この資料の内容が事実かどうか調べなければ何とも言えない。

  東京のA市、九州のB市はどこか教えて欲しい。

センター/今は言えない。松山市でも他の市町村などから介助制度について問い合わせがどんどん入ればいやでしょう。東京の本部に連絡をして松山の市役所から電話での問い合わせがあります。その時はよろしくお願いしますと、話が充分に出来るようになったら報告します。

市/東京のA市、九州のB市を報告してくれ。事実なら検討しないといけない。

 施設利用者へのガイドヘルパーの適用の件は、利用者から要望が出ていないということで話は進まなかった。

 10月23日は東京のA市、九州のB市の事実確認の後に交渉をおこなうということで終わった。

 交渉終了後制度係へ電話を入れて、交渉の経過を報告し東京のA市、九州のB市へ連絡して調整をしてくれるよう依頼した。

12月10日、制度係よりA市B市の障害福祉課の担当係長に話がついたと連絡があった。さっそく市へ電話を入れ、東京のA市、九州のB市の担当者名を報告した。

 12月後半と年明けの1月前半は市役所の都合で交渉ができず、1月25日の交渉となった。

1月25日

交渉は市役所から課長補佐・係長・主任、当センターから堀内・ ・事務局員・介助者2名で行なった。

東京のA市、九州のB市へ電話を入れてもらったことを確認したあと、24時間の公的介助保障を要望していった。また、ガイドヘルパーが毎日8時間利用できるが、毎日8時間外出することは重度障害者にとっては困難なことである。ガイドヘルパーを上限の8時間まで使わないときは、使ってないガイドヘルパーの時間分を自薦登録ヘルパーの利用できる時間分として加算できないかどうかと要望した。(ガイドヘルパーを家の中で使ってる所があると制度係から聞いていた)

 市は、予算のこともあるので難しい。また、全身性障害者介護人派遣事業も2,000年の中核市昇格まで棚上げしてくれと言ってきた。

 4時間を超える交渉であったが結論はでなかった。しかし、課長補佐から、派遣時間はのばすという確認は取り付けた。また、次回までにどのような方法が一番良いのか、お互いで考えていこうということで終わった。 

その後の事務局会議で、自薦登録ヘルパーの4時間アップと使わなかったガイドヘルパーの時間分を自薦登録ヘルパーの派遣できる時間分として運用できないかの2点を最低獲得目標にすることを確認する。

2月22日に市役所から課長補佐・係長・主任、当センターから堀内他8名の当事者と介助者で交渉を行なった。

市側から市の案が提案されてその説明があった。それは前記した自薦登録ヘルパー+自薦ガイドヘルパー(0〜8時間)で20時間の派遣であった。深夜時間の単価は安いが、生活保護他人介護料大臣承認の4時間を加えると24時間介助保障となるので了承した。

 しかし、これは障害福祉課の案の段階で、財務部の承諾はまだ得ていないということであった。また、財務部の承諾を得るには県のOKが必要なので、明日話にいくということでこの日の交渉は終わった。

 一週間経過後市の担当主任に電話して様子を聞くと、県の障害福祉課の感触は良かったという返事があり一安心した。その後10日くらい経ってから電話すると、難航しているようであった。最後の交渉日から1ヶ月以上たった3月25日の夕方、市の担当から電話が入った。市、県共にOKであるという連絡であった。それで、3月30日に話し合いがもたれることになった。

 3月30日

 市役所…係長、主任、係員

 当センター…堀内、 、事務局員、介助者(2人)

 内容の説明、確認が行われた中で問題点が2点でてきた。介助者の活動時間が1日8時間まで、1週間40時間までということである。介助者の活動時間を1日8時間までと限定されると、泊まりの介助が非常に使いにくくなる。市は、労働基準法の決まりだからと譲らない。しかたなく、問題を残したまま4月1日からスタートすることになった。 

松山市が介助者の活動時間について、1日8時間までだという件について制度係へ相談した。制度係の担当者も、なぜ松山市が8時間にこだわるのか分からない。東京では障害者の生活時間に合わせた時間帯で派遣している、ということであった。

 その後何回も市役所に行き交渉するが、労働基準法で決まっているからと聞き入れてくれない。別冊資料2巻の「東京の介護制度の使い方A」24時間要介護者の場合をコピーしていき東京の例を説明しても、検討しますというあいまいな返事だった。それで、4月20日に介助者への説明会を開催してもらい、当事者も参加して交渉することにした。そのような時に労働法に詳しい介助者が労働基準局へ行き、登録ヘルパーには労働基準法は適用されないことを聞いてきた。

4月20日の説明会では、登録ヘルパーには労働基準法は適用されないとの労働基準局の見解を紹介すると、市側も難色は示したものの了解した。このことにより東京のように、障害者の生活時間にあわせた介助ローテーションがくめるようになった。また、週40時間の件も弾力的に運用するようになった。

 

ご注意(松山市に直接問い合わせはしないでください)

問い合わせは、障害者の自立支援センターか全国障害者介護保障協議会0077−2329−8610へ。くわしい説明ができます。市への直接問いわせはさけてください。

松山市の資料

  脳性マヒ等全身性障害者に対するホームヘルプの

  利用時間拡大について

1.主旨

 脳性マヒ等全身性障害者に対して、ホームヘルプサービス(ガイドヘルプサービスを服含む)の利用時間を1日当り最大20時間の利用を可能とする。

2.拡大時期

 平成11年4月1日

3.脳性マヒ等全身性障害者の定義

  下記のいずれにも該当するもので、かつ松山市がそれと認めたものとする。

 @ 両上肢及び両下肢(又は体幹)に各々2級以上の障害を有する者

 A 特別児童扶養手当等の支給に関する法律(昭和39年法律第134号)第26条の

   2に規定する特別障害者手当の受給者又はこれと同等の障害を有する者

 B 松山市民であり、18歳以上の単身の身体障害者又は身体障害者のみの世帯

 C ヘルパーを自ら推薦できる者

 

4.ヘルパーの定義

  下記のいずれにも該当するもので、かつ松山市がそれと認めたものとする。

 @ 脳性マヒ等全身性障害者の推薦があること

A 心身ともに健全である者

 B 身体障害者の福祉に理解と熱意を持っている者

 C 施設が主催する研修に年1回以上出席し、介護に必要な知識、能力、経験を有する

   者

 D 当該障害者の配偶者、親族、同居人でない者。

5.内容

 @ 時間拡大については現行の国のホームヘルプサービス事業の範囲内にて行う。

  その種類は2つに分かれ、1つは家事援助・身体介護の区分にとらわれないホームヘ

  ルプサービス、もう1つは外出時におけるガイドヘルプサービスとする。

 A 障害者は1日20時間の範囲において、自薦式のホーム、社協ホーム、ガイドの各

  サービスを自由に、必要な時間帯に利用できるものとする。但し、社協からの派遣に

  ついては平成10年度中の利用時間を基準とし、ガイドについては1日最大8時間の

  利用とする。

 B 統括する事業者が自薦ヘルパーに支払う賃金の基準は下記の通りとする。

0  6 9 12 17 22 24


800円 1,600円 1,400円 1,600円 800円

 C 活動記録簿は日をまたがっての記入は避けるものとする。

 

 

 

編注:松山市の記事はこれで終わりです。

今号では、98年以降の交渉経過を掲載しましたが、98年以前の交渉経過(毎日18時間保障にした経過)については、資料集1巻「自薦登録ヘルパー」および3巻「ガイドヘルパー」をご覧ください。

 

香川県高松市で24時間介護保障(先月の記事補足)

 今月号で詳細解説をすると予告をしました、高松市の記事は、都合により12月号で掲載します。今月号では、先月号の記事の補足を掲載します。

 9月号では高松市で夜間の全身性障害者自薦登録ヘルパー制度が始まったと紹介しました。毎日、午後9時から翌朝7時までの1泊を1回9000円の単価で介護を受けられる制度です。交渉によって制度化されました。

 夜間だけでなく、高松市にはすでに昼間の社協の登録ヘルパーも(交渉により)最高の人で、毎日12時間利用できるようになっています。交渉により、自薦の利用ができています。例えば、朝9時から夜9時までの12時間利用できます。

 この昼間の12時間分の登録ヘルパーの時間帯の時給単価が10月から大幅にアップしました(介護保険に向けた単価改定のため)。昼間の介護単価が1400円から1950円に、早朝と夕方の単価が1750円から2430円になりました。

 これにより、生活保護を受けていない障害者の場合でも、東京の24時間保障の自治体を超える金額になり、生保なしで実質24時間介護保障になりました。

 

 高松市で24時間要介護の単身全身性障害者は、3つの制度をこのように利用できます。

21時   0時       7時    9時              21時

(新設)全身性障害者自薦登録ヘルパー派遣事業

10時間/日

生活保護

介護

自薦登録のヘルパー

(従来のもの)単価アップ

12時間/日

 

 高松市の交渉は24時間用介護の単身全身性障害者を含む、2人の単身の全身性障害者が中心になって行い、当会スタッフが(香川の地元出身という関係で)継続的に全面サポートを行いました。この経過については、来月号で再度詳しく掲載します。

 高松では介護制度を作る活動と平行して自立生活センターの設立も同じメンバーによって行われ、最重度障害者への介助派遣のシステムも徐々に整備されつつあります。

 

 

 

来年4月に向け自薦ヘルパーの時間数交渉を

 自薦のヘルパーの交渉(や委託先との話合い)は、1年中できますので、新規事業の交渉時期(4〜6月)が過ぎましたら、自薦ヘルパーの交渉を進めてください。

 ただし、補正予算・補正補助金の締切りは9月末ですので、それを過ぎると、3月までの大幅な時間数アップは交渉できません。(例えば、12月に交渉して「来月から時間数アップせよ」というのは無理。)

 しかし、9月以降の交渉でも、「4月からの時間数アップ」の交渉は可能です。これは、今年度の9〜10月に、来年度予算の概算要求を行ってはいるものの、ヘルパー予算の増える部分を、誰に使っていくかは、これから障害福祉課の内部で決めていくことだからです。例えば、来年度は国の障害ヘルパー予算ベースで29%アップとなります。各自治体もこの程度は障害ヘルパーがアップします。このアップ分の予算を、全利用者に少しずつ増やす方向で使っていくのか、それとも、「命の危機のある単身の最重度の利用者」に、まず使っていくのかは、交渉でどれだけ(自分の大変な介護実態を)説明するかにかかっています。

 なお、4月以降のヘルパー予算分は、来年の9月補正などであとから動かすことも可能です。

 交渉方法がわからない方は、制度係にお電話下さい。(別冊資料集1巻「自薦ヘルパー」もお読みください)。

自薦登録ヘルパーや全身性障害者介護人派遣事業の交渉をあなたの市でも始めませんか?

 (実例)東京以外の24時間介護保障の地域は、すべて当会と連絡をとりつつ交渉した地域です。12時間以上の介護保障の地域のほとんども同じです。

交渉をしたい方、ご連絡ください。厚生省の情報、交渉の先進地の制度の情報、ノウハウ情報、など、さまざまな実績のある情報があります。ぜひ自治体との交渉にお役立てください。

 当会制度係0077−2329−8610(通話料無料)11時〜23時。土日もOK。午後5時以降は携帯電話への転送で対応しますので、9回以上コールしてください。又、昼間も制度係担当者が、他市のCIL事務所などにいる場合が多いので、その場合、ご連絡先を聞いて、制度係担当者からおかけ直しすることになっています。すぐにかけられない場合は夜おかけしますので、自宅の番号もお伝え下さい。お気軽におかけ下さい。

 定期的にご連絡いただければ、短期間で、効率的な交渉ができます。

 

 

 

最新介護保険情報(99年11月)

10月の主幹課長会議に続き、12月もブロック会議が行われます

 厚生省障害保健福祉部では、介護保険と障害施策の適応関係等について、自治体に周知徹底するために10月27日に主幹課長会議を行いました。(各都道府県・政令指定都市・中核市の障害福祉担当課長が出席する会議)。その後、都道府県等から質問が多数寄せられたため、12月7、9、10、14、15、17日の6回に分けてブロック会議を行い、小人数ずつで再度説明を行うことになりました。

(10月27日の会議で出された介護保険と障害施策の適応関係等についての事務連絡については、次々ページに全文と解説を掲載しています。ここに載っていないさらに細かい質問は各自治体から厚生省に照会され、その都度厚生省内で会議をして案ができていきます。12月〜2月にかけて細かい点が決まっていきますので、細かな点は、当会にお問い合わせ下さい。)

 なお、10月27日の課長会議の質疑応答で、全身性障害者で現状のヘルパー時間数が引き下がる人に対する対応方法の質問で、厚生省側の説明が、(複数の自治体側職員の受け取り方で)限定的に対応するといったイメージで聞こえた部分があったことについて、当会で厚生省側の説明者に確認を取りました。実際は、担当者は「限定的に」とは説明しておらず、その意図もないということでした。この点の(聞こえ方の)誤解が複数の自治体側にあったのは確かなので、ブロック会議では分かりやすく(国会付帯決議や大臣答弁も使って)説明するように要請し、約束していただけました。

 

現時点介護保険と障害施策関連で厚生省内で検討が終わっていない、主な問題点)について

 

Q1.介護保険の判定で「要介護度5」以外の(要介護度4や3の)全身性障害者は、障害ヘルパーから「上乗せ」するというのは理論的におかしな事にならないか?

A.障害保健福祉部が大蔵に予算要求した時の内部の話では、要介護度5で足りない人を想定して説明したそうですが、実施段階では要介護度5以外(引き下がる実数では要介護度4や3の方が多い)でもヘルパー等の時間数が引き下がる人には障害ヘルパー等から「出さざるを得ないだろう」ということで、出す方向で検討されると予想されます。(正式には決まっておらず、これから検討になります。)

 

Q2.下肢障害のみなどの障害者はヘルパー時間数が引き下がっても救済されないのか?

A.すでに文書で引き下げないと決まっているのは全身性・知的・視聴覚障害だけです。下肢障害のみでも引き下がる人はいるので、主な議題にして交渉中ですが現時点ではきびしい情勢です。随時報告します。

 

Q3.要介護5で月36万円の全額をヘルパーに利用できないのか?

A.状況が変わるかもしれません。ヘルパー時間数が引き下がる全身性障害などについては36万円全額をヘルパーに利用できるようになるかもしれません。現在障害福祉課の内部で検討が行われています。外部からの圧力でストップにならないように、まだ口外しないようにしてください。実現すれば、介護保険で毎日3時間(自分たちで指定事業者になれば毎日8時間も可能)のヘルパー利用ができるようになります。現状の介護時間数に上乗せするには交渉が必要です。詳しくは9月号21ページのQ&Aをご覧下さい。

 

 

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月刊誌と資料集1〜6巻のCD−ROM版第2版

CD−ROMは会員2000円+送料、非会員3000円+送料でお売りいたします。

 障害により紙の冊子のページがめくりにくい、漢字が読めないという方に、パソコン画面で紙のページと全く同じ物がそのまま表示させることができるようになりました。(Windows95/98パソコンをお持ちの方むけ)ワープロのワードファイル(97年10月号〜99年8月号&Howto介護保障別冊資料集1〜6巻を収録)と、それを表示させるワードビューアソフトのセットです。ハードディスクにコピーして使うので、CD−ROMの入れ替えは不用です。マウスのみでページがめくれます。読むだけでなく、たとえば、行政交渉に使う資料集や要望書の記事例をコピーして、自分のワープロソフトに貼り付けして自分用に書き換えて使うこともできます。漢字の読み上げソフトで記事を声で聞くこともできます。

 第2版から、漢字の読み上げソフト30日体験版やガイドヘルパー交渉の要望書セット、介護人派遣事業交渉の要望書セット、生活保護の大臣承認介護料申請書セット、厚生省介護保険審議会議事録(一部)を加えました。

注意:交渉をされる方、生保介護料申請される方は、必ず制度係にお電話を。追加資料や説明が必要です。

*視覚障害者向けにはテキストファイルのメールマガジンもお送りしています。

厚生省の障害保健福祉部の事務連絡の全文

 先月号で一部紹介した10月27日の厚生省の障害保健福祉部の事務連絡の全文です。左に原文、右に当会による解説を掲載しました。

事 務 連 絡

平成11年10月27日

 都道府県

各 指定都市 障害福祉主管部(局) 御中

  中核市

厚生省大臣官房障害保健福祉部

企画課・障害福祉課

介護保険制度と障害者施策との適用関係等について

 介護保険法(平成9年法律第123号)については、平成12年4月1日より施行されることとなっているが、介護保険制度と障害者施策(身体障害者施策及び知的障害者施策をいう。以下同じ。)の関係や身体障害者及び知的障害者(以下「障害者」という。)への適用等については、現時点での考え方は次のとおりであるので、御了知の上、管下市町村等関係方面への周知方や関係事業者等に対する指導等、必要な準備を進めていただくよう、御配慮願いたい。

なお、上記取扱いの詳細に関しては、平成12年度予算編成過程において所要の検討を経た上で、介護保険法施行後の障害者施策における取扱いについて、おって、正式の通知を発出する予定であるのでご了知願いたい。

 

1.介護保険制度と障害者施策との適用関係の基本的な考え方について

(1)介護保険制度と障害者施策との適用関係については、障害者についても、40歳以上の者は、原則として介護保険の被保険者となる。

 ただし、次の@〜Eの施設に入所又は入院している者については、当該施設から介護保険におけるサービスに相当する介護サービスが提供されていること、当該施設に長期に継続して入所又は入院している実態があること等の理由から、介護保険法施行法第11条及び介護保険法施行規則第170条の規定により、当分の間、介護保険の被保険者とはならないこととされている。

@ 身体障害者福祉法(昭和24年法律第283号)第30条に規定する身体障害者療護施設

A 児童福祉法(昭和22年法律第164号)第43条の4に規定する重症心身障害児施設

B 児童福祉法第27条第2項の厚生大臣が指定する国立療養所等(重症心身障害児(者)病棟又は進行性筋萎縮症児(者)病棟)

C 心身障害者福祉協会法(昭和45年法律第44号)第17条第1項第1号に規定する福祉施設

D 国立及び国立以外のハンセン病療養所

E 生活保護法(昭和25年法律第144号)第38条第1項第1号に規定する救護施設

(2)65歳以上の障害者が要介護又は要支援状態となった場合(40歳以上65歳未満の者の場合は、その要介護又は要支援状態の原因である身体上又は精神上の障害が加齢に伴って生ずる心身上の変化に起因する特定疾病によって生じた場合。(以下「特定疾病による場合」という。)には、要介護又は要支援認定を受け、介護保険から介護保険法に定める保険給付を受けることができる。その際、障害者施策と介護保険とで共通するサービス(以下「在宅介護サービス」という。)については、介護保険から保険給付を受けることとなるので、支給された介護給付と重複する障害者施策で実施されている在宅介護サービスについては、原則として提供することを要しない。また、障害者に対する在宅介護サービスの適切な提供を行う上で、当該障害者の要介護状態等の把握を行うことが必要となるので、65歳以上(特定疾病による場合は40歳以上65歳未満)の障害者が、在宅介護サービスを利用しようとする場合は、介護保険法に基づく要介護等認定申請を行うよう、適切な情報提供を行うとともに、貴管下市町村に対する周知方に努められたい。

 なお、事業者が介護保険の保険給付として在宅介護サービスの提供を行うためには、「指定居宅介護サービス等の事業の人員、設備及び運営に関する基準」(平成11年3月31日厚生省令第33号。以下「居宅サービス基準」という。)の要件を満たし、指定居宅サービス事業の指定等を受けることが必要であるので、念のため、申し添える。

(3)一方、障害者施策で実施されている在宅サービスのうち、ガイドヘルプサービスや各種の社会参加促進事業など介護保険の保険給付にはないサービスについては、引き続き障害者施策から提供される。

なお、これらの障害者施策で実施されている在宅サービスについては、介護保険制度における居宅介護サービス費区分支給限度額の対象となる居宅介護サービスとならないので念のため申し添える。

(4)施設サービスについては、介護保険施設と障害者施設とでは、それぞれ目的、機能が異なっており、これらに照らして、障害者施設への入所(通所を含む。)が必要であると認められる場合には、介護保険法に定める保険給付を受けることができる場合であっても、障害者施設への入所(通所を含む。)が認められる。

2.在宅サービスについて

 介護保険制度と障害者施策の適用関係等の概算については1.に示したところであるが、在宅サービスの種類ごとの介護保険制度との適用関係等は、以下のとおりである。

(1)ホームヘルプサービス(訪問介護)

@ 適用・給付関係について

 ホームヘルプサービスについては、原則として介護保険と共通するサービスであるので、65歳以上(特定疾病による場合は40歳以上65歳未満)の障害者が要介護又は要支援の状態となった場合は、要介護等認定を受け、介護保険の保険給付としてサービスを受けることとなる。

 ただし、ガイドヘルプサービスについては、介護保険の保険給付にはないサービスなので、1.(3)において述べたとおり、引き続き障害者施策から受けることとなる。

 なお、ホームヘルプサービスにおいては、介護保険法の保険給付に比べてより濃密なサービスが必要であると認められる重度の脳性まひ者や脊髄損傷者などの全身性障害者や、コミュニケーション援助等固有のニーズに基づくサービスが必要であると認められる聴覚障害者及び視覚障害者並びに知的障害者については、社会生活の継続性を確保する観点から、介護保険では対応できない部分について、引き続き障害者施策から必要なサービスを提供することができるよう、平成12年度概算要求において所要の要求を行っているところである。

A 介護保険の指定訪問介護事業者の指定等について

 現に障害者に対してホームヘルプサービスを提供している事業者が、65歳以上(特定疾病による場合は40歳以上65歳未満)の障害者に対し、介護保険法施行後も保険給付の対象として、引き続きホームヘルプサービスを提供するためには、介護保険法に基づく指定を受ける必要があるので、その旨、管下市町村及び事業者に対して周知されたい。

 なお、法人格を有しない等により、居宅サービス基準の指定訪問介護事業者の要件を満たされない場合であっても、居宅サービス基準の基準該当訪問介護サービスとして特例居宅介護サービス費の支給対象となるので、管下市町村及び関係者に周知されたい。

 なお、指定訪問介護事業者の指定等を受けるためには、老人福祉法第14条第1項の規定に基づき老人居宅生活支援事業の届出が必要であることから、上記指定等に当たっては、併せて当該届出を行うよう指導されたい。

(2)デイサービス(通所介護)

@ 適用・給付関係について

 デイサービスについては、65歳以上(特定疾病による場合は、40歳以上65歳未満)の障害者が、要介護又は要支援の状態となった場合は、要介護等認定を受け、介護保険の保険給付としてデイサービスを受けることとなる。

 ただし、障害者施策で行われている身体障害者デイサービス事業にあっては創作的活動及び社会適応訓練、知的障害者デイサービス事業にあっては文化的活動及び社会適応訓練といった障害者に固有のサービスを提供していることから、例えば、加齢に伴う特定疾病による障害を有する40歳以上65歳未満の障害者や65歳以前から引き続いて障害者施策で実施されているデイサービスを受ける者等が、こうしたサービスを希望し、これらの固有のサービスの提供が必要であると認められる場合には、障害者施策のデイサービスの利用を認めても差し支えない。

A 介護保険の指定通所介護事業者の指定等について

 身体障害者デイサービス事業又は知的障害者デイサービス事業(以下「障害者デイサービス事業」という。)を行う事業者が介護保険の指定通所介護事業者の指定を受け、又は基準該当通所介護事業者として市町村に登録されて通所介護を提供する場合には、障害者に対するサービス提供に支障が生じないようにする必要がある。

 このため、障害者デイサービスを行う事業者に対し、指定通所介護事業者の指定を受け、又は基準該当通所介護事業者として通所介護を提供するに当たっては、当該デイサービスを提供する事業所の利用定員のうち、その過半が障害者の定員枠となるよう指導されたい。

 なお、指定通所介護事業者の指定等を受けるためには、老人福祉法第14条第1項の規定に基づき老人居宅生活支援事業の届出が必要であることから、併せて当該届出を行うよう指導されたい。

(3)ショートステイ(短期入所生活介護)

@ 適用関係について

 ショートステイについても、65歳以上(特定疾病による場合は、40歳以上65歳未満)の障害者が要介護又は要支援の状態となった場合は、要介護等認定を受け、介護保険の保険給付を受けることとなる。

 ただし、障害者が障害者施策で実施されているショートステイの利用を希望し、かつ、身近に介護保険の短期入所生活介護事業所がない場合などやむを得ない事情がある場合には、障害者施策のショートステイの利用を認めても差し支えない。

A 介護保険の指定短期入所生活介護事業者の指定等について

 居宅サービス基準における指定短期入所生活介護事業の基準においては、@空床利用ができる施設としては特別養護老人ホームが、A併設型の施設としては特別養護老人ホーム、養護老人ホーム、病院、診療所、介護老人保健施設又は特定施設入所者生活介護の指定を受けている施設(有料老人ホーム及びケアハウス)が、B単独型施設としてはその利用定員が20人以上のものが指定の対象とされており、障害者施設は、いずれの指定の対象にもならない。

 しかしながら、今後改正が予定されている居宅サービス基準の基準該当短期入所生活介護に係る基準においては、社会福祉施設に併設する利用定員が20人未満の施設においても、必要な人員を確保し、専用の居室を設ける等の措置を講じた上で、基準該当短期入所生活介護事業の基準を満たす場合には、介護保険法上の基準該当居宅サービスとして保険給付の対象とすることとしている。このため、障害者施設に併設する施設を基準該当短期入所生活介護に活用することも可能であるので、その旨、管下市町村に周知されたい。

 なお、障害者施設の併設施設が提供するサービスが上記の基準該当居宅サービスとして保険給付の対象となる場合においても、障害者に対するサービス提供に支障が生じないようにする必要があることから、基準該当居宅サービス事業者としてショートステイを提供するに当たっては、そのショートステイを提供する事業所の利用定員のうち、その過半が障害者の定員枠となるよう、事業者に対して指導されたい。

 

(4)補装具及び日常生活用具

 介護保険の対象となる福祉用具の品目としては、平成11年3月31日厚生省告示第93号及び第94号により、貸与品目として、車いす、車いす付属品、特殊寝台、特殊寝台付属品、じょく瘡予防用具、体位変換器、手すり、スロープ、歩行器、歩行補助つえ、痴呆性老人徘徊感知機器、移動用リフト(つり具の部分を除く)が、購入費支給品目として、腰掛便座、特殊尿器、入浴補助用具、簡易浴槽及び移動用リフトのつり具の部分が、それぞれ定められたところであるが、障害者施策における補装具及び日常生活用具と介護保険の福祉用具の関係については、以下のとおりとする。

@ 補装具

 介護保険で貸与される福祉用具としては、補装具と同様の品目(車いす、歩行器、歩行補助つえ)が含まれているところであり、それらの品目は介護保険の保険給付として給付されることとなる。しかし、車いす等保険給付として貸与されるこれらの品目は標準的な既製品の中から選択することになるため、医師や更生相談所等により障害者の身体状況に個別に対応することが必要と判断される障害者については、これらの品目についても、身体障害者福祉法に基づく補装具として給付して差し支えない。

A 日常生活用具

 日常生活用具については、障害の状況に応じて個別に適合を図るものではないことから、介護保険の保険給付の対象となる品目(特殊寝台、特殊マット、体位変換器、歩行支援用具、移動用リフト、特殊尿器、入浴補助用具、便器及び簡易浴槽)については、介護保険から貸与や購入費の支給が行われることとなる。

 介護保険の福祉用具の対象となっていない品目については、引き続き日常生活用具給付等事業として給付等が行われる。

 

3.施設サービスについて

(1)適用関係について

 施設サービスについては、上記1.のとおり、それぞれの施設の目的や機能に照らして、入所(通所を含む。)の必要性が認められる場合には、介護保険の保険給付を受けられる者であっても、障害者施設への入所(通所を含む。)が認められるものであるが、具体的には以下のような取扱いとする。

@ 障害者施設に入所している者について

ア)身体障害者更生施設、知的障害者更生施設

 65歳以上(特定疾病による場合は40歳以上65歳未満)の障害者が、介護保険の保険給付を受けられる者であっても、更生訓練等を受けることを希望し、入所の必要性が認められる場合は、継続して入所することが可能である。

イ)身体障害者授産施設、知的障害者授産施設

 65歳以上(特定疾病による場合は40歳以上65歳未満)の障害者が、介護保険の保険給付を受けられる者であっても、引き続き必要な訓練を行い、就労の場の提供を受けることを希望し、入所の必要性が認められる場合は、継続して入所することが可能である。 

ウ)身体障害者療護施設

 身体障害者療護施設の入所者は、上記1.(1)のとおり介護保険の被保険者とならないものであり、65歳以上(特定疾病による場合は40歳以上65歳未満)になっても、継続して入所することが可能である。

A 介護保険の居宅サービスを利用している障害者による障害者施設の通所利用について

ア)身体障害者更生施設、知的障害者更生施設

 専門的な更生訓練等の必要があると認められる場合には、通所利用が可能である。

イ)身体障害者授産施設、知的障害者授産施設

 必要な訓練を行い就労の場を提供する必要があると認められる場合には、通所利用が可能である。

ウ)身体障害者療護施設通所型

 機能を維持し又は機能の減退を防止するための訓練や養護を行う必要があると認められる場合には、通所利用が可能である。

B 介護保険の保険給付を受けられる者が障害者施設に入所しようとする場合について

 

 介護保険の保険給付を受けられる者であっても、身体障害者更生施設、身体障害者授産施設、身体障害者療護施設、知的障害者更生施設及び知的障害者授産施設への入所を希望する場合については、それぞれの施設の目的や機能に照らして、入所の必要性があると認められる場合には、それぞれ入所が可能である。

 

4.身体障害者療護施設等入所者の介護保険サービスの利用について

 身体障害者療護施設等の入所者については、上記1.(1)のとおり、介護保険の被保険者とならない。

 しかし、身体障害者療護施設等を退所すれば介護保険の被保険者となるものであり、要介護又は要支援認定を受ければ、介護保険施設に入所(要介護認定を受けた場合に限る。)し、又は在宅で介護保険の居宅サービスを利用することができる。

 

5.介護保険法の施行に伴う障害者サービスの提供体制の整備について

 介護保険法の施行後においても、若年障害者に対し、介護保険と遜色のないサービスが提供できる体制の整備を図られたい。

 特に、ホームヘルプサービスについては、必要な事業量等をできる限り把握し、それに対応したホームヘルパーの確保等必要なサービス提供体制の整備について、管下市町村等に対し指導されたい。また、視覚障害者、聴覚障害者、知的障害者等の固有のニーズに応じた適切なサービスが提供できるよう、質の確保にも留意されたい。

  (解説)

「事務連絡」は、「通知」とは違い、通知よりも強制力のないものや細かいことを厚生省から自治体に知らせる場合、また、今回は、まだ詳細が決まっていないものを概略のみ連絡する場合に使われている用語。

この事務連絡は、10月27日の主管課長会議で各都道府県・政令指定都市・中核市の障害福祉担当課長に配られた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

療護施設などの6種の施設に入所している障害者は介護保険に入らないことになります。

 

  (解説)

 

 

 

 

 

 

 

 

65歳以上の障害者がヘルパー等介護制度を利用したいという場合には、まず介護保険の要介護認定を受けることになります。

40〜64歳の特定疾患も同じです。

 

 

 

 

 

ガイドヘルパーは65歳以上になっても利用できます。

高齢者が全身性の障害手帳を取っても利用できます。

 

 

 

 

 

 

  (解説)

 

 

 

 

 

 

 

 

全身性や知的障害の場合は必要ならば介護保険と平行して障害ヘルパーを利用できます。

 

 

 

 

障害ヘルパー委託先の社協や福祉法人などが介護保険対象になった障害者に引き続きヘルパー派遣するには、県の介護保険指定を取る必要があります。

 

 

 

 

 

 

  (解説)

 

 

障害のデイサービス利用者は介護保険対象になっても障害のデイサービスを使える場合があります。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

障害のショートステイ利用者は介護保険対象になっても障害のショートステイを使える場合があります。

 

  (解説)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

障害者施設が介護保険対象者にショートステイを提供するには、県の指定は取れないので、市町村指定の基準該当サービスを受ける事になります。

 

 

 

 

 

 

 

 

改造の必要な車椅子が必要な障害者は、介護保険対象になっても、障害の補装具制度を利用できます。

  (解説)

 

 

ワープロ等、日常生活用具で介護保険の品目に入ってないものは、日常生活用具から引き続き受けられます。

一方、リフトや浴槽は日常生活用具から受けられなくなり、介護保険で受けることになります。

 

 

 

 

 

介護保険の対象になる障害者で障害者施設に入所している場合、左のような条件を満たせば、老人ホームなどに移らなくてもかまいません。

 

 

 

 

 

 

 

 

  (解説)

介護保険の対象になる障害者で障害者施設に通所している場合、左のような条件を満たせば、やめなくてもかまいません。

 

 

介護保険の対象になる障害者で新たに障害者施設に入所することもできます。

 

 

 

 

 

 

 

療護施設入所中は介護保険対象外ですが、施設を出たら介護保険ヘルパーなどを利用できます。

 

 

 

介護保険と遜色のないサービスが提供できるように(特にホームヘルプサービスの事業量)、市町村に指導するように書かれています。コピーして交渉に使えます。

*最後の5番については、コピーして、来年度4〜6月のヘルパー予算交渉にぜひ使ってください。

 

 

 

宮城県大和町で全身性障害者介護人派遣事業

(97年8月実施)

町村では、東京以外で初

毎日4時間×1450円の制度

 人口2万3000人の宮城県大和(たいわ)町で97年8月(要綱上は8月20日)から介護人派遣事業が実施されている事が分かりました。大和町は仙台市の北に位置します。全国的に、町でこのような制度が実施されることは(利用者があまりいないので)珍しく、東京都以外では町で派遣事業が実施されるのは初のことです。(東京都では都が強制実施させたので基本的に全区市町村で制度がある)。

 宮城県では、全身性障害者団体の交渉により、97年4月から介護人派遣事業の県の要綱が整備されています。県の要綱では、毎日1390円×毎日4時間となっており、大和町でも、97年8月に制度がスタートした時は、県の基準通り毎日1390円×毎日4時間の制度で始まり、その後99年度に1450円に単価アップしています。

 今回、大和町で派遣事業が実施されているとの情報を送ってくださったのは宮城県名取市の団体です。大和町役場によると、町では利用者が1人いるそうです。当会に今まで情報が入っていなかったので、当会に関係のない当事者または行政職員が制度化したようです(ちなみに情報が2年も入らなかったのも全国初のことです。今までは当会の直接・間接の関係者が交渉して制度ができていました)。

 宮城県の関係者の方で、大和町の制度開始時にかかわった方の情報をおもちの方がいましたら。当会にぜひ御連絡下さい。

 

 次ページから大和町の制度要綱・要領を掲載します。町村で交渉している方は、ぜひ町村の担当役職に見せる参考資料としてお使い下さい。

 

 

大和町全身性障害者介助人派遣事業実施要綱

(目的)

第1 この要綱は常時介助が必要な在宅の全身性障害者に対し、障害者自らが選定した介助人を派遣しケアサービスを提供することにより、障害者の生活の安定を図るとともに自立と社会参加を促進することを目的とする。

(事業主体)

第2 事業の実施主体は、大和町とする。ただし、事業の一部を社会福祉法人大和町社会福祉協議会等に委託することができる。

(事業内容)

第3 町は、在宅の全身性障害者に対し、ホームヘルプサービス事業で供与される基本的な便宜の合間で必要と認められる身体介助の提供のため、当該障害者が自ら選定した介助人を派遣する。

(対象者)

第4 対象者は、大和町内に居住する常時介助を必要とする在宅の全身性障害者で、次の各号のいずれにも該当し、町長が派遣の必要性があると認められたものとする。

(1) 身体障害者手帳の交付を受けた18歳以上のもの

(2) 両上肢、両下肢(又は体幹)のいずれにも障害が認められる肢体不自由1級の者

(3) 単身者、夫婦ともに障害者又は家族等の介助が得られない者

(介助人)

第5 介助人は対象者の選任により、社会福祉法人大和町社会福祉協議会に登録しようとする者で、町長が適当と認める者とする。ただし、対象者の3親等以内の親族は除く。

(費用負担)

第6 介助人の派遣を受けた対象者は、別表の基準により、便宜の供与に要した費用を負担するものとする。

第7 この要綱の実施に関し、その他必要な事項は町長が別に定める。

附則

この要綱は、平成9年8月20日から実施する。

 

大和町全身性障害者介助人派遣事業実施要領

(趣旨)

第1 この要領は、他の法令等に定めのあるもののほか、大和町全身性障害者介助人派遣事業の事務取扱について、必要な事項を定めるものとする。

(定義)

第2 この要領において、「実施要綱」とは「大和町全身性障害者介助人派遣事業実施要綱」をいう。

(対象者)

第3 「実施要綱」第4に定める対象者の要件のうち、「家族等の介助が得られない者」とは、同居家族がいても、高齢等の理由により介助が得られない場合等をいう。

2 対象者の決定に当たっては、当該障害者の身体その他の状況及びその置かれている環境を十分調査の上、決定するものとする。

(介助人)

第4 対象者の選定する介助人について、町長が適当と認めたときは登録することになるが、必要に応じて当該介助人の代替役に充たる「従たる介助人」の選定・登録も行うものとする。

2 町長は、登録した介助人に対し研修を実施するなど、介助人の身体性障害者福祉の理解と介助を適切に実施する能力の向上に努めるものとする。

3 派遣される介助人については「実施要綱」第5に規定されているものとするが、町長は、従来のホームヘルプサービス事業の「サービス運営チーム」及びケースサービス検討会等を活用し、当該障害者に合った介助方法等について介助人に必要な指導を行うものとする。

※ケースサービス検討会・・・医師、訪問看護婦、保健婦、理学療法士、ホームヘルパー等、当該障害者に関係するスタッフによる会議

4 介助人は、対象者に対して介助提供を行った時は、別に定める様式による「活動記録月報」を作成し、町長あて報告するものとする。

(介助内容)

第5 対象者に対しての日常の基本的な身体的介助及び家事援助については現行のホームヘルプサービス事業によるホームヘルパーによって供与されるものであるが、本事業における介助内容については、ヘルパーによって行われる身体的介助の不足分の充当に加え、専ら「入浴・排せつ・家事等の調理及び介助・洗濯・掃除」等の基本的介護以外で障害者に必要と認められるサービス(体位変換、水分補給、排せつ(小)、外出介助等)について提供するものとする。

(介助の提供)

第6 町長が介助人の派遣を決定したときは、対象者に介助人を派遣する。

2 町長は、原則として介助人派遣の当該月の日数×4(時間)を限度として「介助券」を対象者に交付するものとする。

3 介助時間については、原則として1日当たり4時間の介助を行うものとするが、対象者の必要な介助量に応じて、1時間単位の介助提供もできるものとする。

4 前項の場合、対象者自らのマネジメントにより、1日当たりの介助時間を変更して介助提供を受けることもできるものとする。

5 対象者は必要な介助を受けることにより、活動時間を記入した「介助券」を交付するものとする。

(介助料の支払)

第7 介助人は、「介助券」と「活動記録月報」を1か月まとめて町長に提供するものとする。

2 町長は、提出された書類を審査し、適正と認められる場合は1時間につき1,450円を支払うものとする。

3 介助を提供した介助人が複数に及ぶ場合は、「主たる介助人」が「従たる介助人」の委任を受けることにより、第1項の行為を取りまとめて行うこともできるものとする。

(費用負担及び報告)

第8 対象者は、「実施要綱」に定めた基準によりサービスの提供に要した費用を負担するものとし、費用負担する者は、当該対象者又はその者が属する世帯の生計中心者とする。なお、第6の3により1時間単位の派遣を認めた場合の費用負担額については、別表に定めた金額とする。

2 町長は、前項の費用負担者の所得状況により費用負担額を決定し、費用負担者あて通知するものとする。

3 町長は、必要に応じ「介助券」の使用状況を対象者に報告させるものとする。

(留意事項)

第9 介護人は、その介護を行うにあたって、個人の人権を尊重し、その身上に関する秘密を守らなければならない。

(その他)

第10 町長は、本事業と現行のホームヘルプサービス事業との連携に十分努めることとする。

附則

この要領は、平成9年8月20日から施行する。

附則

この要領は、平成11年4月1日から施行する。

 

大和町全身性障害者介助人派遣事業運営要領の一部を改正する要領

 大和町全身性障害者介助人派遣事業運営要領(平成9年8月20日施行)の一部を次のように改正する。

 第7条第2項中「1,390円」を「1,450円」に改める。

 別表を次のように改める。

別表(運営要領第8の2関係)

大和町全身性障害者介助人派遣事業

   費用負担基準表

利用者世帯の階層区分

利用者負担基準額(1時間当たり)

生活保護法による被保護世帯(単給世帯を含む)

生計中心者が前年所得税非課税世帯

生計中心者の前年所得税課税年額が

10,000円以下の世帯

250

生計中心者の前年所得税課税年額が

10,001円以上30,000円以下の世帯

400

生計中心者の前年所得税課税年額が

30,001円以上80,000円以下の世帯

650

生計中心者の前年所得税課税年額が

80,001円以上140,000円以下の世帯

850

生計中心者の前年所得税課税年額が

140,001円以上の世帯

930

附則

この要領は、平成11年4月1日から施行する。

 

 

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TEL0077−2329−8610制度係まで(11時〜23時)。

 

 

交渉団体会員(正会員にあたる)募集

 介護保障協議会の正会員にあたる、団体会員(交渉団体会員)を募集しています。

 (自立生活している全身性障害者が1人以上いる団体・個人に限ります。)

 年会費は(月刊誌の送付先)3個所まで年6000円です。相談会員と同じサービス(月刊誌送付とフリーダイヤルでの相談利用可能)を複数の方に提供いたします。(3人以上は1人追加ごと+年2000円)

 会員の義務は特にありません。2年ごとの常任委員会選挙で投票をしていただきます。

 当会の厚生省交渉の方針や会の運営方針を「各自治体と介護制度の交渉をしている団体や個人」に決めていただくための会員システムです。交渉団体会員専用の情報誌も後々計画していますので、交渉を行っている方はぜひ御連絡下さい。専用用紙がありますのでお送りします。詳しいことを説明します。

(交渉を行っている団体かどうか等、常任委員会での入会審査あり)

入会用紙請求は TEL/FAX0120−870−222 発送係まで。

質問は TEL0077−2329−8610制度係まで(11時〜23時)。

 

 

 

 

勢敬一郎さん追悼特集

 介護保障協議会前副代表で九州ブロック常任委員の勢敬一郎氏が11月10日にお亡くなりになりました。51歳でした。勢氏は熊本市で97年に、東京以外では初めて24時間の介護保障制度をつくるなどの功績を残されました。

 筋ジストロフィーでかなり重度になっていましたが、人工呼吸器の情報が最近まで入らなかったため、2年前に大きな病気をして以降、活発な活動が不可能になり、昨年当会スタッフが人工呼吸器の話しをしたときにはもう導入のための体力が残っていませんでした(この状況は私たちは後から聞きました)。近年、介護内容がかなり大変なものになり、介護者の負担が少しでも減ればと、狭い畳の家の生活から、広くて車椅子で生活できる家へ引っ越しを決め、住宅改造の費用や生活保護での転居費などを保護課と話し合いをして解決した矢先、風邪の悪化により救急車で病院に運ばれ、翌日未明に亡くなりました。人工呼吸器を利用していなかったため、日常的に血中酸素濃度が低かったようで、病院でも生きているのが不思議だと言われたそうです。

 私たちは、大変反省しています。人工呼吸器利用者が自立生活している札幌や静岡や東京に住んでいたなら死ななくてよかったということは、私立ちの経験から確実に言えることです。人工呼吸器利用のレベルになると、ある程度の介護制度とともに、専従介護者などの介護体制が必要で、学生や他の職業片手までのの介護アルバイトなどでは対応できません。あとから聞いたことですが、熊本市では、他に長時間要介護の男性障害者がいなかったため、専従体制が組めませんでした。介護内容がそれほどしんどいものでない障害者の場合は、一人でも、週4回の介護に入ってもらう形で専従体制を組むなどができますが、勢氏は介護内容が重度すぎたため、介護者に週4回介護に入ってもらう体制は無理で、もう1人長時間要介護の障害者が必要でした。または、介護派遣を行う事務所を作り、専従の介護者が週2回は事務所で介護コーディネーター等として働き、週2回は介護に入るという体制などなら何とかなったかと思います。勢氏は、東京のような最重度の障害者にも介護派遣できるセンターを作らねばと言っていたそうです。しかし、活動できるスタッフがそろわなかったため、いままで実現しませんでした。

 私たちは、介護制度にのみ注目した活動を従来行っており、介護制度だけ充実したらあとは要介護の障害者による介護派遣できるセンターが自然にできて、解決していくものだという幻想を持っていました。今後は、介護制度だけでなく、人工呼吸器の普及や介護派遣を最重度の人にも専従態勢でできる当事者組織の設立の後押しにも首を突っ込んでいかなければと考えています。すでに、香川県高松市と愛媛県松山市の場合は、関係者と協力を取りつつ少しずつ当会スタッフがセンターの研修の提案などをし、実際に始めていますが、もっといい方法がないか、JILとも協力して考えて実行していきたいと思います。  (この8行の文責:代表 横山晃久・事務局長 川元恭子)

 

 勢さんの活躍によりできた熊本の制度の記事を記念に再掲載することにしました。(次ページから)    

以下に、97年度の記事を再掲載します(この記事はHowto介護保障別冊資料集1巻「自薦登録方式のホームヘルプサービス事業」に収録中です)

 

熊本市で(実質)24時間介護保障に

自薦登録ヘルパー毎日14時間!

 九州の熊本市で、自薦登録のヘルパー方式で、毎日14時間の介護が得られるようになりました(97年5月より)。すでに、介護人派遣事業も4月より毎日3時間に伸びており、生活保護の介護料(1日4時間相当)とあわせ、ほぼ24時間(注1)の保障がされるようになりました。

熊本市では、3年前から、「重度障害者の介助保障を考える会」/「ヒューマンネットワーク熊本」の勢敬一郎氏(当会の全国代表者会議委員)が交渉していました。交渉の結果、1年前の96年6月より毎日14時間派遣は、障害福祉課の方針としては決定していました。しかし、委託先の福祉公社にヘルパー登録するのに「3級研修」の義務づけがあったため、研修を受けた1名しか登録できず、週40時間までしか利用できていませんでした。この後も、研修をクリアするための交渉を行い、97年5月より「先に働き始め、研修は後でOK」という形で解決し、数人の介護者をヘルパーとして登録できるようになりました。現在ヘルパーは週98時間(毎日14時間)利用できるようになっています。

熊本市の自薦登録ヘルパー時間数

95年度

96年度

97年度

なし

週40時間

週98時間

別表   熊本市の自薦登録ヘルパ−の規定(要綱には載っていない)

派遣対象

現行ヘルパ−で対応出来ない者

時間帯

朝8時〜夜10時

時間制限

最大14時間

派遣時間

1回4時間、登録ヘルパ−1人当たり週40時間(最大1日8時間)

時給

平日昼間1200円〜休日夜間1850円

研修

介護経験者に対しては3級研修の実技面は免除する(講義25時間のみ)

ヘルパー登録でき

る者

3級研修(の講義のみ)を終了した者。ただし先に登録して働き始め、8ケ月以内に3級研修(の講義のみ)を受けるのもOK

熊本市では、95年度に交渉でガイドヘルパーを制度化し、96年度は全身性障害者介護人派遣事業を制度化、同時に自薦登録ヘルパーを週40時間にし、97年度には自薦登録ヘルパーを週98時間(毎日14時間)にしました。

この間、多いときで週1回、少ないときでも月に1回ほど、市役所に通い、交渉の続きの懸案について市の係長や課長と話しをしていきました。熊本では、交渉は障害者(24時間要介護)1人・介護者1人で行っています。このスタイルは、東京や大阪府や中国地方の制度の伸びている多くの市で行っている方法と同じです。交渉の進展には、交渉当事者の介護ニーズの高さが深く関連してきます。

96年度にできた介護人派遣事業は、熊本市のホームヘルプ事業の派遣時間帯(朝8時から夜10時)を避けるように、夜10時から、翌朝8時までが、対象の時間帯となりました。これは、障害福祉課が財務に予算要求したときに、財務が「どうして従来のヘルパー事業でできないのか」と難色を示したため、「深夜は派遣事業、それ以外はヘルパー事業」、という色分けをする事で、予算を通したといういきさつがあります。

96年度、交渉では、「介護人派遣事業で昼間の派遣ができない以上、福祉公社のヘルパーに自分の介護者を登録するから、自分のところにヘルパーとして派遣せよ」という方向で話しをしていきます。この過程で、@福祉公社は障害が重度過ぎてヘルパーは派遣できないと言い、A3級研修を受け終わって登録している現状のヘルパーが介護できないのに、研修を受けていない自分の介護者は介護の技能を有していると市に認識させ、Bホームヘルプ事業では、本来介護をできる人材の確保は市の責任であると確認を取っていき、Cその前に、24時間介護者が付きっ切りでないと生活・生存ができないと十分な説明・説得で何度もニーズの確認を取り、Dホームヘルプ事業は、長時間必要な人には長時間派遣しなくてはならない制度であり、厚生省は派遣時間に上限を作らないように指導しているという事を認識させ、ることで、市の担当課を徐々に説得していきました。この間、当会とも、綿密に(週1回から月1回のペースで)連絡を取り、市との話し合いを進めました。

結果、96年6月より、前記の週40時間使えるようになったわけです。その後、「研修は講義の25時間のみ」という線まで説得し、「先に登録、後から研修」でいくという事で、97年度5月より毎日14時間の制度が使えるようになりました。

熊本市では、現在、以下の3制度が使えます。(単身の24時間要介護障害者が対象)

3制度の1日あたりの派遣時間数

 

利用時間帯

自薦登録ヘルパ−

14時間

朝8時〜夜10時

全身性障害者介護人派遣事業

 3時間

夜10時〜翌日朝8時

他人介護大臣承認

 4時間

(深夜に利用)

合計(1日あたり)

21時間

注1:時間数は21時間だが、夜間単価や休日単価を採用しているため、東京の一部の24時間保障の市(八王子市や町田市)より、介護者の給与合計は高くなっている。事実上は、24時間保障がされていると言える。(東京都の24時間保障の約半数の市は、家政婦協会委託で、さらに、夜間単価を採用していないため、ヘルパー制度の単価は1200円台が多い。逆に東久留米市・小平市など市直接登録の市区は、単価が高い)。

 

熊本市での登録ヘルパーの報酬単価(下線部が関係個所)

(財団法人熊本市福祉公社ヒューマンライフのヘルパー報酬料金表)

(報酬金額)

サービス区分

1時間当たりの報酬金額

時間区分

平日

土曜日、日曜日、休日 及び年末年始

家事援助サービス

@ 9:00〜18:00

900円

1,100円

A 6:00〜 9:00

18:00〜22:00

1,100円

1,350円

B 上記以外

1,300円

1,600円

介護援助サービス

@ 9:00〜18:00

1,200円

1,500円

A 6:00〜 9:00

18:00〜22:00

1,500円

1,850円

B上記以外

1,800円

2,200円

備考 1 休日とは、国民の祝日に関する法律(昭和23年法律第178号)

第3条に規定する日をいう。

2 年末年始とは、12月29日から翌年1月3日までをいう。

(交通費)

区分

支給金額

1 登録ヘルパーがサービスを行うために自宅から対象者宅まで移動するにあたって、公共交通機関を使用し、かつ、その運賃を負担した場合

 往復の実費(最も経済的な経路で、かつ、低額な方法を用いた場合の運賃とする。)

2 登録ヘルパーがサービスを行うために自宅から対象者宅まで移動するにあたって、私用の自転車、原動機付自転車、自動二輪車又は自動車を使用した場合。

 ただし、区分1に規定する公共交通機関を使用する場合を除く。

サービス1回につき260円

3 その他

区分1及び区分2の規定に準じて、理事長が別に定める。

以下、交渉を行った勢敬一郎氏による、障害福祉主管課と交渉を始めてから、3年間の交渉の経過資料です。

1年目でガイドヘルパーを、2年目で全身性障害者介護人派遣事業を実施させ、3年目で自薦登録ヘルパー方式での派遣を実施させていく、大まかな経過が書かれています。

熊本市での交渉経過

勢敬一郎

6年度

平成6年6月

 熊本市障害福祉課 課長、係長同席

 現在の介護制度の現状と今後の方針についての話し合い

市は、ヘルパ−派遣の週2回4時間程度の派遣時間を、派遣時間制限を撤廃しているので順次増やしていく、全身性障害者ガイドヘルパ−については作りたいと思っているとの回答であった。

平成7年1月

 市長、市民局長、福祉部長、福祉事務所長同席

登録ヘルパ−を障害者自薦(介護経験者)の場合研修免除と全身性障害者ガイドヘルパ−の要望書をだす。

全身性障害者ガイドヘルパ−に関しては新年度から実施を発表する。

 

7年度

平成7年6月

 全身性障害者ガイドヘルパ−制度始まる。

ヘルパ−自薦あり、時間制限なし、行き先制限あり、時給940円(来年度から介護

単価になる見込み)。

平成7年8月

 熊本市に脳性まひ等全身性障害者介護人派遣事業の要望書を提出する。

県に対しても介護人派遣事業の必然性を訴え、この頃から交渉に関しては介護者H氏と2人で行う。

平成7年10月

 なかなか交渉が進まず福祉事務所長に直訴する。

現在の介護状況とボランティア確保の困難で死活問題である等、緊急性を必要としていると、直訴する。福祉事務所長はこれからは介護はボランティアではなく、行政が保障していくと、同調される。

平成7年11月

 脳性まひ等全身性障害者介護人派遣事業を来年度に向けて計画中と発表

   

平成8年1月

 脳性まひ等全身性障害者介護人派遣事業の要綱案決まる

脳性まひ等全身性障害者介護人派遣事業の時間帯以外は現行ヘルパ−制度でやる事になった。

 

      

8年度                         

平成8年5月

 脳性まひ等全身性障害者介護人派遣事業が始まる。          

派遣時間2時間、派遣時間帯22時〜8時、時給1500円   

平成8年6月

 私の介護にマッサ−ジが入るため、常勤ヘルパ−からヘルパ−の仕事じゃないと断られ、現行ヘルパ−で対応出来ないと言う事で、自薦登録ヘルパ−で1日8時間週40時間で始まる。ただし3級研修を義務づけられた

平成8年8月

 全身性障害者介護人派遣事業の派遣時間と単価アップの要望書を提出する。

平成9年3月

 現在ボランティア介護でやっている所を、全身性障害者介護人派遣事業でやって行くと福祉部長が財務と交渉すると言ってくれた。だが局長裁定までいったが駄目になった。                  

 

 

9年度             

平成9年4月

 全身性障害者介護人派遣事業の派遣時間が3時間になった。

                  

平成9年6月

 自薦登録ヘルパ−で1日14時間になった。

 研修を受けたヘルパ−から断られ、仕事が出来る介護経験者に対して研修義務にごだわるのはおかしいと、市と交渉してきて市は認めたが、福祉公社が認めず別表(前出)のようになった。

(当会・注:項目で書かれているのは、実際に役所に交渉にいった回数ではありません。役所の担当係長や課長との話し合いは、毎月2〜3回、コンスタントに行って、このように制度ができています。)

 

 

 

注意:熊本市役所に直接電話で問い合わせをしないでください。制度の詳しい情報や資料がほしい方は、当会・制度係(通話料無料0077−2329−8610)へ。交渉の都合で、皆さんの市の職員から熊本市に問い合わせが必要な場合は、先に根回ししますので、必ずご連絡ください。

 

97年の記事の転載は以上(要綱は省略)

(現在は、熊本市では、自薦ヘルパー毎日14時間の利用者はいなくなりました。)

 

 

 

 

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 まず発送係に申込みください。無料でお送りします。後日、制度係から説明のお電話をいたします。(できましたら、資料がお手元についたら制度係にお電話下さい。)必ず説明を聞いてから進めてください。交渉期間中は、毎月、制度係フリーダイヤル0077−2329−8610に連絡を取ってください。

注文は  発送係 TEL・FAX0120−870−222

.            電話は平日11〜17時

 

 

 

読者のみなさんへ

 当会(介護保障協議会)では、人工呼吸器の利用をもっと全国の最重度障害者に紹介していく必要があると考え始めています。海外の先進国の自立生活障害者は人工呼吸器を電動車椅子に載せ、国際的な活動にもどんどん参加しています。一方、日本では人工呼吸器を利用しないために貴重な命を落とす最重度障害者が多くいます。

 以下は、ベンチレーター使用者ネットワークから、障害者政策研究全国集会(12月11〜12日)の自立支援分科会(当会が分科会事務局)用にいただいた原稿を転載させていただきました。

各障害者団体にお願い。

 御賛同いただけるようでしたら、ぜひ、機関紙等に御転載いただけないでしょうか。原稿は御指定の大きさの用紙に出力してお届けできます。フロッピーやEメールでもお送りできます。当会ホームページからも取りこめます。

 

 

ベンチレーター(人工呼吸器)と共に自立生活

ベンチレーター使用者ネットワーク(J.V.U.N.) 代表 佐藤きみよ

 

1 ベンチレーターとは…

 ベンチレーター(人工呼吸器)とは、自発呼吸のできない人の肺に空気を送り込む機械(道具)で、ALS(筋萎縮性側索硬化症)、筋ジストロフィー、ポリオ、高位頚髄損傷、脳性マヒ、側わん、脳血栓、肺胞低換気症候群、睡眠時無呼吸症候群など、さまざまな障害をもつ人々がベンチレーターを使用しています。日本の在宅人工呼吸(Home Mechanical Ventiration,略してHMV)においては、筋ジストロフィー等による神経筋疾患の障害が一般的ですが、アメリカでは自立生活運動の先駆者であった故エド・ロバーツをはじめポリオ障害の人が多いのです。障害の種別を問わず、肺の呼吸する力が弱い全ての障害者に必要なものです。

2 日本のバックグラウンドと自立生活

 1970年代後半から、日本の社会福祉や医療のあり方は、ノーマライゼーション理念の普及や、障害をもつ当事者による自立生活運動の大きな広がりによって、施設(病院)収容主義から、脱施設化へと大きく変化してきました。

 そして90年代に入ってから、ベンチレーターをつけた子どもやベンチレーター使用者が先駆的に在宅生活を実践し初め、高額な人工呼吸器の自己負担や無に等しい在宅生活の支援体制など、厳しい現実を社会問題化し、同時に医療・福祉制度が整いさえすれば、ベンチレーター使用者も在宅生活が可能なんだということを実証してきました。

 しかし、今もって日本のベンチレーター使用者の多くは、病院や療養施設に隔離収容されたままです。在宅での介助・医療的ケアの保障、「ベンチレーターは生命維持装置」という偏見の根強さ、ベンチレーターについての情報不足など、さまざまな問題がクリアされていないからです。

 ほとんどのベンチレーター使用者が社会の環境さえ豊かになれば、病院や施設に隔離されないで地域の中で生活したいと願っています。

 今まで自立生活運動は、いい意味で脱医療化を目指してきましたが、ベンチレーター使用者にとってはさらに、医療変革までもその活動の視野に含めなくてはならないでしょう。

 現在では健康保険の診療報酬も初期に比べて大幅にアップされ、人工呼吸器のレンタルが可能になりました。それまでは、障害当事者が300万円もする人工呼吸器を自費で購入したり、病院の協力により無償で貸し出されていたのです。バックアップ体制も充実してきており、在宅人工呼吸を実施する病院やディーラーは24時間体制で、故障や緊急時に備えたバックアップ体制を整えています。ですから今ではベンチレーターを使用していても、比較的安心して自立生活を行えるようになっています。また、気管カニューレや吸引チューブ等の消耗品も健康保険の診療報酬内で自己負担なしで購入することもできますし、人工呼吸器回路をはじめとした、ピンセット、Yガーゼ等のガス滅菌も病院やディーラーに依頼することもできます。

 まずは自分の呼吸障害をよく理解すること。そして、自分のベンチレーターの種類や換気量等の設定値をきちんと自己管理して介助者に伝え、医師の指導のもと、吸引等の医療的ケアや人工呼吸器のセットアップなどを専従の介助者がマスターできるように研修を行えば、自立生活は必ず実現できるのです。また、病院や療養施設よりも在宅生活の方が、安全性においてもコスト的にみても優れているのです。

3 ベンチレーターをつける時期は?

 側わん、頚椎損傷、脳性マヒ、筋ジストロフィーなど、どんな障害であっても、1)肩で呼吸をしている、2)長く話すと頭に酸素が不足してボーッとする、3)夜中に頭痛がして目覚める、4)朝起きたときや午前中に頭痛がする、5)1日中眠さやだるさが続く、6)朝の目覚めが悪い、7)眠っているときに呼吸が(イビキなどが)止まっている、などのいずれかの症状があれば一度呼吸検査を受けることを勧めます。また、7)極度にやせていることなどもポイントになります。

 二酸化炭素の血中濃度の正常値は通常35〜40mmhgですが、これを超えるようでしたら、ベンチレーターの必要性があると考えられます。しかし数値だけで判断することはできません。通常の呼吸では酸素不足になるため、肩や体全体で無理な呼吸をすることで正常値にしていることもあるからです。肩や体全体で呼吸している状態は、障害のない人でいうと1日中24時間マラソンをしているのと同じ身体状況と考えられるでしょう。

 ベンチレーターはできるだけ早めに、できるだけ体力のあるうちにつけるべきです。カゼをひいてタンがだせず、呼吸困難になり意識のなくなった状態で強制的につけられるよりも、はるかにリスクが少ないからです。

 日本では、こういった呼吸障害に関する正しい知識をもったドクターはほんとうに少ないので、自分自身で自分の障害を知っておくことが何よりもの自己防衛となります。

4 自分にあったベンチレーターを選ぶ

 ベンチレーターをつけるというイメージは、気管に穴をあけ、ベッドの上で一生機械につながれて生きるというイメージが未だに強くあります。しかし医療の進歩により、様々な身体状況にあったベンチレーターが開発されてきています。

 呼吸障害の初期症状の人だと、ベンチレーターを24時間使用しなくとも夜間だけの使用、そして気管切開をせず鼻マスクから呼吸をすることもできるのです。一昔前まではベンチレーターと言えば、大きな冷蔵庫ほどもある機械でしたが、90年代に入って小型のポータブルベンチレーターが数多く販売されるようになりました。

 ほとんどの機種が外部バッテリーと接続することにより、バッテリーの容量によって12〜24時間の作動が可能です。

 以下のような人工呼吸器があります。使用者は(あるいは将来使用する可能性のある人は)どの呼吸器を使用しているのか(これからするのか)、機器によってどんな長所と短所があるのかをドクターに詳しく聞き、理解しておく必要があります。

(1)ボリュ−ムベンチレーター(従量式陽圧人工呼吸器)

                機器商品名…PLV-100,コンパニオン2801,LP-10など

1回換気量を設定し肺に陽圧の圧力をかけるベンチレーター。さまざまな呼吸障害に対応する一般的な人工呼吸器です。

     ※インターフェイス(換気接点)は気管カニューレや鼻マスク、口マスク等

(2)BiPAP(バイレベル従圧式陽圧人工呼吸器)

                   機器商品名…Bipap,など

2段階に吸気圧を設定できる陽圧式ベンチレーター。主に、筋ジストロフィーの夜間の呼吸補助のために使用われます。

     ※インターフェイスは鼻マスク、口マスク等(気管切開はしない)

(3)CPAP(持続性従圧式陽圧人工呼吸器)

持続的に一定の陽圧を肺に与えることで自発呼吸を補助するためのベンチレーター。主に、睡眠時無呼吸症候群などによる呼吸補助に使われます。

     ※インターフェイスは鼻マスク、口マスク等(気管切開はしない)

(4)胸郭外陰圧式人工呼吸器

肺に陰圧の圧力をかけて呼吸させるベンチレーター。主に、ポリオ後期障害による呼吸補助のために使われます。(故エド・ロバーツ氏が使用していたのはこの中の「鉄の肺」です)

 ※陰圧なのでインターフェイスは必要なし

 

5 ベンチレーターはリースができる

 10年ほど前までは、ベンチレーターはまだリースができませんでした。そこで、在宅人工呼吸をする人たちは、みんな自費で1台300_万円もするベンチレーターを購入していました。私自身も施設にいるときに将来自立生活をするときを夢見て、コツコツと年金をためベンチレーターを購入しようと考えていました。マンションを売って購入した方もいます。あるいは良心的な病院が好意で貸し出してくれることもありました。

 現在では健康保険の診療報酬が大幅にアップしリース可能になりました。

6 専門知識をもち理解のあるドクターを探す

 リースは、販売会社→病院→使用者という流れで貸し出されます。在宅人工呼吸の医療機関は、地域の小さな診療所でも可能です。大きな病院で呼吸検査や気管切開などを行い、身体や呼吸状態が安定期にはいれば、地域の小さな病院や診療所に移行するとよいでしょう。ちなみに私が利用している医療機関は、地域の小さな内科診療所です。

 ほとんどの医療機関では、未だにベンチレーターに対する正しい知識や情報が不足しており、とにかく理解のある、つまり専門知識と同じくらいに障害者の声に十分に耳を傾けてくれるドクターを探す必要があります。それと同時に、医療の場面でも障害者こそが専門家であるという視点にたち、情報収集やネットワークづくり、ベンチレーターの自己管理が大切になります。

7 吸引器を利用する

 気管切開をしベンチレーターをつけると吸引をする必要があります。切開したばかりのころは、タンの量も回数(1日30〜50回にもなる)も多いものですが、月日がたち、身体状況や呼吸状態がおちついてくると、1日20回くらいにだんだんと減っていきます。吸引器は機種もいろいろありますが、おもにバキュエイド(販売者は大同ほくさん)やミニック(新鋭工業)などが多く使われています。バキュエイドは比較的小型で軽いものです。ミニックは3WAY電源で、家庭用交流電源、内臓バッテリー、車のシガレット電源からの作動ができます。

 吸引器は今年度から日常生活用具の給付対象になりました。自宅用と外出用の吸引器2台を持つと便利です(故障時のバックアップもかねて)。停電時に備えて、手動式吸引器ツインポンプ(販売者はIMI)があるといいです。

8 吸引は医療的ケア?

 気管にたまったタンを吸引する行為を「医療的ケア」と呼ばれていることは、みなさんご存じの方も多いと思います。しかし吸引は医師から指導を受ければ誰にでも行える簡単なケアです。私たちは吸引ケアを医療行為とは言わず、日常生活行為と呼んでいます。私自身は10年以上も自分の手で吸引をしています。タンがどこにあるのか、どうすればきれいにタンがとれるのか、など自分でやるとよくわかりますし、苦しまずに吸引が行えます。手が動かせる方は人にやってもらうよりも、自分で吸引をするのがよいでしょう。

9 ベンチレーターの管理

 ベンチレーターの管理について、私の場合は北海道大同ほくさんが窓口になっています。24時間体制で故障やトラブルの対応にあたっています。また月に1度の定期点検ではディーラーの方が訪問され、ベンチレーターの点検をしてくれます。オーバーホールも年に1度行いますが、このときはディーラーが代替器を届けてくれます。何かトラブルが起きたときは、すぐに病院やディーラーに連絡することも大切ですが、まず利用者自身がベンチレーターのしくみ、トラブルの起こりそうなパーツや対応の仕方などを学ぶ必要があります。ベンチレーターは、まさに自分の体の一部なのですから。

10 介助体制

 私の自立生活の介助体制については現在札幌市の制度では1日12時間分が保障されていますので、3〜4人の介助者を有料で雇っています。足りない部分はボランティアや友人で埋めています。1日24時間使用のベンチレーター使用者にとっては、吸引やベンチレーターのトラブルを考えると24時間の介助体制が必要なことはいうまでもありません。

 支援体制についていうと、例えばベンチレーターのエアホースが抜けてしまった時などは本人がパニックを起こしてうまく指示が出せない場合もあるかもしれません。そんな時のために専従介助者の少なくとも一人には、使用者本人と同等程度のベンチレーターに関する知識を学んでおいてもらい、トラブル時の緊急対応をしてもらう必要があります。そのためには、介助者と使用者がいっしょに学習会をもちベンチレーターに関する知識をみにつけましょう。

11 ベンチレーターが突然故障したら?

 ベンチレーター使用者の在宅にかかせないのは、アンビューバックという手動式人工呼吸器です。これは、バックを人の手で押すことで、肺に空気を送り込むという簡単に利用できるものです。これがあれば、ベンチレーターにトラブルがおきても一時的な対応が可能です。一人が手動の人工呼吸器をおし、もう一人が早急にトラブルが起きたことを病院やディーラーに知らせることができます。在宅のポータブルベンチレーターは丈夫にできており、定期点検やオーバーホールを行っていれば故障することはほとんどありません。しかし、万が一の対応をしておく必要があります。

 

12 気管切開の気管カニューレが抜けてしまったら…

 在宅人工呼吸の中ではさまざまな予期しない出来事も発生します。そのひとつの中に、気管カニューレが抜けてしまうということがまれにあります。そして、これは自発呼吸のできない1日24時間使用のベンチレーター使用者にとっては、致命的な事故になってしまいます。その際、専従介助者がカニューレを気管に挿入することを知らなかったために大きな事故につながることがあります。(本人は、パニックになっていて、しかも発声ができない状況だと指示の出しようがありません)

 このようなときのために、日頃から専従介助者にドクターのカニューレ交換時に立ち合ってもらい、さらにドクターからカニューレ交換のやり方を教えてもらい習得しておく必要があります。日頃から、専従介助者と事故発生時のトラブル処理について何度も話しあっておきましょう。

13 ベンチレーターをつけたら声がでないという神話

 ベンチレーターをつけてしまうと声がでなくなるという話をよく耳にします。私の場合は気管切開をし25年くらいベンチレーターをつけていますが、声が出なかったのは最初の2〜3年だけでした。カニューレをカフ(気管への誤飲を防ぐためにカニューレに風船のようなものがついている)付きからカフなしにしてからは、どんどん声がでるようになりました。ベンチレーターをつけた友人たちも、みんなカニューレの口を閉じたり開いたりしながら、あるいはベンチレーターから送られてくる呼吸にあわせて、おしゃべりしています。

 またスピーチカニューレというものもありますが、これは合う人と合わない人がいるので、一番自分が話やすい方法がきっとありますのでみつけてみてください。

 発声ができるのは、笛と同じです。笛は穴を塞ぐことできれいな音がでます。それと同じように喉に穴があいたままだと声はでないのです。気管の穴を塞いで声帯に空気が送られてはじめて発声できるのです。障害が進行して喉の筋肉が動かせなくなった場合を除いて、ほとんどの人が発声することが可能です。ベンチレーターをつけること、イコール声をなくすというのは、まったくの神話なのです。

14 ベンチレーターをつけての外出

 ベンチレーターを付けたからといって、一生部屋の中で生きていく必要はありません。電動車椅子の後部にコンパクトな載せ台をつけたり、座位のとれない人だとストレッチャー式の車椅子をオーダーメイドで作り、下部にベンチレーターを積めるようにすればいいのです。私の場合は24時間ベンチレーターをつけ、寝台式車椅子に乗ることで、以前よりずっと体力もつき行動範囲が広がりました。映画を見にいったり、旅行をしたりと今日も元気に外出を楽しんでいます。

15 自立生活センターが幅広い情報提供を

 ベンチレーターは「生命維持装置」であり重症の人が付けるものというイメージがまだまだあります。が、実は車椅子やメガネと同じ「日常生活用具」なのです。2年前のアメリカ・セントルイスでの国際会議に参加した時、ポリオでスタスタと歩いている女性がいました。彼女は夜間だけ口からベンチレーターを使用していると話してくれました。「ベンチレーターをつけると体中のパワーがみなぎるの」と笑顔で答えてくれました。そうなのです。ベンチレーターをつけることは決してマイナスではなくプラスなのです。私がこれまで出会ってきたベンチレーター使用者たちは、みな口々に「ベンチレーターをもっと早くつけていればあんなに苦しい思いをしなくてよかった」といい、道具と共存しながら自分らしい人生を送っています。このことを私は多くの人に知ってほしいのです。

 全国の自立生活センターがベンチレーターに関する正しい情報を幅広く提供できるようになることを願っています。 

ベンチレーター使用者ネットワーク(J.V.U.N.)の紹介

 J.V.U.N.は1990年に発足し、「ベンチレーター使用者のための通信-アナザボイス」を通してネットワークを広げてきました。初期の頃は、札幌/北海道を中心とした活動でしたが、今では全国的なネットワークとなっています。会員はベンチレーター使用者を中心に、障害当事者、ベンチレーター使用者の在宅生活に関心のある医療・福祉の専門家、ベンチレーターのディーラーやメーカー、そして一般の人々などです。

 J.V.U.N.の目標は、ベンチレーターは「生命維持装置」ではなく、メガネや補聴器、車イスと同じように「生活のための道具」としてポジティブなイメージを伝えていくこと。そして、一人でも多くのベンチレーター使用者が地域の中で暮らせる社会を創り、ひとりひとりのベンチレーター使用者をサポートしていくことです。

 J.V.U.N.では、長期ベンチレーター使用者は人工呼吸療法のエキスパートだと考えています。というのは、ベンチレーター使用者は、日々ベンチレーターと共に生活しさまざまな問題に直面しながらそれをクリアして生活しているからです。他の誰よりも自分の呼吸をよく管理しベンチレーターについての知識と方法を獲得しているからです。ベンチレーター使用者と医療・保健・福祉の専門家が力を合わせることで、人工呼吸療法やHMV(在宅人工呼吸療法)への社会環境づくりはさらに前進することでしょう。

アナザボイスとは…

 アナザボイスは、年4回季刊発行しているニュースレターで、社会の底辺に位置しマイノリティー(少数派)な存在であるベンチレーター使用者が、社会に向けて“Another Voices…もうひとつの声”を発信しています。

 主な記事は、ベンチレーター使用者の旅行、自立生活、福祉機器や医療機器の情報、入院・在宅生活のケアについて、ベンチレーターをつけた子どもたちの統合教育、寝台式車イスで入れるお店の紹介などです。 在宅生活をめざす当事者や、HMVにコミットしている医療・福祉の専門家が、体験と情報を分かち合うために発行されているユニークなニュースレターです。

 

ベンチレーター使用者ネットワーク連絡先

 〒003-0021 札幌市白石区栄通15-2-34-1

  TEL/ FAX 011-857-3769

 

99年12月11〜12日の障害者政策研究全国集会(場所:東京都新宿区の戸山サンライズ)の2日目の自立支援分科会で、ベンチレーター使用者ネットワークの佐藤きみよさんによるベンチレーター利用についてのスピーチがあります。ぜひ御参加ください。宿泊は近隣ホテル等を御自分でお取り下さい。戸山サンライズは満室です。

 今年の自立支援分科会は、分科会専用の別冊資料を作ります。ベンチレーターの資料や知的障害者の自薦登録ヘルパー利用の自立支援の資料、海外の介護制度資料などを掲載します。参加者以外には有料でおわけします。当会が自立支援分科会の事務局

を受け持っていますので、分科会専用の別冊資料を御注文の方は、当会発送係TEL/FAX0037−80−4445(電話は11時〜17時)まで御注文下さい。

価格は1000円以下を予定しています。12月12日以降になります。

 

 

(下記の資料集1〜6巻は介護保障協議会・介護制度相談センターの会員・定期購読者は3割引サービス)

Howto介護保障 別冊資料   

1巻 自薦登録方式のホームヘルプサービス事業

325ページ 1冊2600円(+送料)   99年3月発行改定第4版

第1章 全国各地の自薦登録ヘルパー

全国の一覧表・熊本市・東久留米市・保谷市・大阪府茨木市・四国の松山市と高松市・千葉県・埼玉県・大阪府の通知・兵庫県尼崎市・札幌市・浦和市・千葉県柏市と市川市

第2章 あなたの市町村で自薦登録の方式を始める方法

自薦登録ヘルパー方式のすすめ・自薦方式に変えていく方法 その1・その2(改訂版)・介護人派遣事業と自薦登録ヘルパーの違い・研修を解決する方法

第3章 海外の介護制度 パーソナルヘルパー方式

デンマークオーフスの制度・スウェーデンの制度・エーバルト・クロー氏講演記録

第4章 ヘルパー制度 その他いろいろ

費用の保障で人の保障が可能・福岡県の状況・市役所のしくみ・厚生省の情報

資料1 自治体資料

東京都世田谷区の推薦登録ヘルパー料

資料2 厚生省の指示文書・要綱

6年度・8年度・9年度・10年度厚生省主管課長会議資料(自薦登録ヘルパーについて書かれた指示文書)・厚生省ホームヘルプ事業運営の手引き・厚生省ホームヘルプサービス事業の要綱255号・260号・ヘルパー研修の要綱・97年度の通知・ホームヘルプサービス事業実務問答集・ホームヘヘルプ個別援助計画・ホームヘルプ補助金要綱

Howto介護保障 別冊資料 

2巻 全国各地の全身性障害者介護人派遣事業

250ページ予定 1冊2200円(+送料)  99年8月発行改定第4版 

 全国の介護人派遣事業一覧表(最新版)・全国各地の全介護人派遣事業の最新情報と要綱や交渉経過など資料が満載。以下の全自治体の資料があります。

1静岡市・2東京都・3大阪市・4神奈川県・5熊本市・6兵庫県 西宮市・7宝塚市・8姫路市・9尼崎市・10神戸市・11岡山市・12宮城県と仙台市・13滋賀県・14新潟市・15広島市・16札幌市・17埼玉県・18来年度開始の4市・19フィンランドの介護制度資料・20東京都の新制度特集・21千葉県市川市・22兵庫県高砂市・23静岡県清水市・24大津市+99年度実施の市

 ほかに、介護者の雇い方・介護人派遣事業を使って介護派遣サービスを行う・介護者とのトラブル解決法・厚生省の情報 などなど情報満載  全242ページ

Howto介護保障 別冊資料 

3巻 全国各地のガイドヘルパー事業

100ページ 1冊1200円(+送料)  99年3月発行改定第2版 

 全身性障害者のガイドヘルパー制度は現在3300市町村の1割程度の市町村で実施されています。このうち、特に利用可能時間数の多い(月120時間以上)数市についての解説を掲載。また、これから制度を作る市町村が要綱を作る場合の参考になる要綱事例などを掲載。厚生省の指示文書も掲載。 交渉の要望書セット(ガイドヘルパー用)も掲載

1・2・3巻の案内は前ページをご覧ください。下記の資料集1〜6巻は介護保障協議会・介護制度相談センターの会員・定期購読者は表記の3割引サービス)

Howto介護保障 別冊資料 

4巻 生活保護と住宅改造・福祉機器の制度 

170ページ 1冊2000円(+送料)  99年1月発行改定第2版 

 生活保護、生活福祉資金、日常生活用具などを紹介。このうち、生活保護内の制度では、介護料大臣承認・全国の家賃補助・敷金等・住宅改造・高額福祉機器・移送費・家財道具の補助・家の修理費、の制度を詳しく紹介。各制度の厚生省通知も掲載。

 生活福祉資金を使った住宅改造や高額福祉機器の購入には、この本の該当の章を丸ごとコピーして保護課に持っていってください。

 生活保護を使って自立したい方は必ず読んでください。

Howto介護保障 別冊資料 

5巻 障害当事者団体の財源の制度

134ページ 1冊1400円(+送料)   好評発売中 

<この5巻のみ、障害者主体の団体・障害者本人のみに限定発売とします>

 全国で使える労働省の障害者雇用促進制度助成金の詳細・ホームヘルプ事業の委託を受ける・市町村障害者生活支援事業の委託を受ける・障害低料第3種郵便の方法・資料(NPO法・介護保険の指定・重度障害者を自立させるマニュアル)など。

Howto介護保障 別冊資料 

6巻 介護保険と関係情報

 160ページ   1冊1400円(+送料)   99年3月発行

 介護保険の総合解説、障害者団体が介護保険でヘルパー派遣等ができる指定団体になる方法・基準、介護保険関連で障害者団体と厚生省の話合いの経過等

 東京都作成資料「介護保険指定団体の基準」を掲載。

(上記の資料集1〜6巻は介護保障協議会・介護制度相談センターの会員・定期購読者は3割引サービス   1・2・3巻の案内は前ページをご覧ください。

 

すべての資料集とも、注文は、発送係へ。

 申込みTEL/FAX 0120−870−222

ご注文はなるべくFAXで(@住所A名前B注文品名C郵便番号DTELE会員価格か一般価格か をご記入ください)。料金後払い。郵便振込用紙を同封します。内容に不満の場合、料金不要です。着払いで送り返しください。TELは平日11時〜17時に受付。

 

当会の電子メールアドレスは  @ インターネット:

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です。なお、ABは、定期的には見ていないので、TEL/FAXにも「送った」とご連絡を。

 

 

月刊 全国障害者介護制度情報 定期購読のご案内定期購読 月250円

全国障害者介護保障協議会/障害者自立生活・介護制度相談センターでは、

「月刊 全国障害者介護制度情報」を毎月発行しています。

 1.3.5.7.9.11月は(40〜52ページ)

 2.4.6.8.10.12月は(20〜32ページ)(このほかに広報版はJIL発行「自立情報発信基地」の中のコーナーとしてお送りする月もあります)

電話かFAXで発送係に申し込みください。

相談会員 月500円(定期購読+フリーダイヤル相談)

 定期購読のサービスに加え、フリーダイヤルで制度相談や情報交換、交渉のための資料請求などができるサービスは月500円(相談会員サービス)で提供しています。フリーダイヤルで制度相談等を受けたい方はぜひ相談会員になってください。(ただし団体での申込みは、団体会員=年1万円(初年度は月833円)になります)。

申し込みは、発送係まで。

発送係の電話/FAXは 0120−870−222(通話料無料)

 なるべくFAXで(電話は月〜金の11時〜17時)

FAXには、「(1)定期購読か正会員か、(2)郵便番号、(3)住所、(4)名前、(5)障害名、(6)電話、(7)FAX、(8)資料集1巻2巻3巻を注文するか」を記入してください。(資料集を購入することをお勧めします。月刊誌の専門用語等が理解できます)

 介護制度の交渉を行っている方(単身等の全身性障害者に限る)には、、バックナンバー10ヶ月分も無料で送ります(制度係から打ち合わせ電話します)。「(9)バックナンバー10ヶ月分無料注文」と記入ください。

入金方法 新規入会/購読される方には、最新号会員版と郵便振込用紙をお送りしますので、内容を見てから、年度末(3月)までの月数×250円(相談会員は×500円)を振り込みください。内容に不満の場合、料金は不要です。着払いでご返送下さい。

単身等の全身性障害の方には、資料集1巻「自薦登録ヘルパー」を無料で差し上げます(会費入金時の振込用紙記入欄か電話/FAXで申込みください)。

(*入会者全員にお送りするサービスは99年4月までで終了しました)

資料集1〜6巻の案内は前ページをご覧下さい。

編集人 障害者自立生活・介護制度相談センター

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