月 刊

全国障害者介護制度情報

障害者自立生活・介護制度相談センター/全国障害者介護保障協議会

11月号

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No.64

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目次

2・・・・厚生省交渉が大成功

2・・・・東京都の全身性障害者介護人派遣事業の情報について

3・・・・札幌市で自薦登録ヘルパーが一部実現

6・・・・埼玉県浦和市で自薦登録が一部実現

10・・・浦和市の交渉要望書

16・・・ヘルパー制度を自薦の登録方式に変えていく具体的な方法

24・・・制度を使った介護者の雇い方

27・・・自薦登録ヘルパー等で介護者をどう活用していくか

31・・・介護という仕事と介護者の位置に関して

34・・・厚生省交渉の報告(10月20日・障害福祉課・保護課)

39・・・厚生省交渉の報告(10月15日・企画課)

42・・・静岡市の「全身性障害者登録ヘルパー制度」が発足して2年

47・・・インターネットで全国の介護制度情報や厚生省の通知等を紹介

 別冊・・・新潟市の新制度

 

入会キャンペーン中。(特典付き)くわしくは47ページを

 

厚生省交渉が大成功!

 10月15日と20日に全国障害者介護保障協議会として始めて厚生省交渉を行いました。15日のケアガイドライン関係(企画課)、20日の介護保険の障害者65歳問題(障害福祉課・保護課)とも大成功に終えました。

 10月の交渉の結果、以下の確認をとりました。

@介護保険が始まっても大臣承認介護料はなくなりません

A65歳以上の障害者が介護保険を受け始めても、現状のサ

ービス水準は確保されるという確認を取りました

Bケアガイドライン関係は都道府県で専門家のケアマネージ

ャーを作らないように足止めしました

 くわしくは、後のページで掲載しています。

 全国障害者介護保障協議会の交渉方針は、「専門家主導の政策等おかしい点は徹底的に抗議し、障害当事者による現実的な提案を厚生省と責任もって継続協議し実現していく」という形です。交渉も経験豊かなスタッフのもと、絶好調でのスタートとなりました。また、今回の交渉の課題については、継続的に厚生省との事務折衝を今後も行うことになりました。また、通常の施策(自薦登録ヘルパーや介護人派遣事業・ガイドヘルパーなど)に関する交渉も、年3回程度(次回は主管課長会議の前の1月頃を予定)行っていきます。

 10月の5日、20日の2回の交渉の内容については34ページからを参照ください。

 

東京都の全身性障害者介護人派遣事業の改正の全情報は、1月号に掲載します。今すぐ詳しい情報を知りたい方は電話で制度係までお問い合わせください。全情報があります。

 また、東京都の当事者でこの制度の相談・質問等がありましたらお早めに制度係にお電話ください。制度係 0077−2329−8610(通話料無料)

 

札幌市で自薦登録が一部実現

 

 主婦などが登録する普通の登録ヘルパーのない札幌市で、在宅介護支援センターに登録する方法で「自薦」のしくみをホームヘルプ事業に導入する取組みが成功しました。特別な方法でなく、新しい制度を作ったわけでもありません。どの市町村でもまねできる方法ですので、ぜひ同じように取り組んでみてください。

(今まで、北海道のS市として報道してきましたが、今回、公開の許可を札幌市の交渉団体にいただきました。ただし以下の注意を守ってください。)

注意:札幌市に直接問合わせしないでください。皆さんの市の交渉の都合で、問合わせしたい場合は、必ず当会に電話してください。市に問合わせが可能かどうか札幌市の団体と調整します。問合わせには事前に交渉団体から市への根回しが必要になります。これをしないと迷惑をかけますので必ず守ってください。

以下、札幌市の団体の通信を転載させていただきました。

 

札幌 介助保障NEWS No.4

 

札幌市公的介助保障を求める会

 

今年3月末に行った札幌市障害福祉課との交渉において、「求める会」では、全身性障害者自らが推薦した介助者をホームヘルパーとして、その利用者専属に採用するということを、札幌市として認めてほしいという要望を出しました。

一方的に派遣されるヘルパーでは、全身性障害者の特殊な身辺介助や重度の言語障害がある障害者に対して、十分なケアが提供できないということを、具体的な事例をあげて要望しました。

そして、この問題は現行制度の問題というより、全身性障害者に対して個別の質の高いニーズに対応できるヘルパーをどうすれば派遣できるかという、委託先のヘルパーの採用と、介助コーディネイトの問題であることを強調し、制度を変えることなくできることだと強調しました。

この要望に対して、前障害福祉課長は、札幌市のホームヘルパ−の採用にあたっては、委託先との間に雇用契約があることを述べた上で、

 

 「在宅介護支援センターや在宅福祉サービス協会(札幌市の外郭団体)をはじめとするホームヘルプ事業の委託先さえOKならば、むしろ札幌市としては、そのような全身性障害者に必要なきめ細かなニーズに対応できる人材を採用し、よりよいコーディネートを委託先にしていただくことが望ましい、という立場だ。」

「委託先が採用する人材に対して、札幌市として民間組織や企業に対して、この人を雇えとか雇ってはいけないという権限はない。採用については関知できない。」 「全身性障害者が推薦した手慣れた介助者を、その人専属のホームヘルパー(非常勤)として採用することについては、委託先の雇用条件を満たしており、委託先さえOKならば、札幌市として反対する立場にはない」という返答を得ました。

 

つまり、委託先さえOKならば、自薦ヘルパー採用も可能だということでした。

 

この時の対市交渉をもとに、6月23日にAさんの派遣を委託されている白石区の在宅介護支援センターBの担当者と話し合いを持ちました。参加者は、当事者のAさん、「求める会」のメンバーで、Aさんの推薦する介助者に同行してもらいました。

担当のコーディネイターからは「私としては、このようなシステムが可能ならば、利用時間帯やサービス内容どれをとっても、Aさんにとってはより質の高いホームヘルプサービスになるので、ぜひやらせてもらいたい」という心強い返事でした。

またホームヘルパー2級の採用資格についても、「多くの利用者の介助をかけもちするのであれば必要だが、Aさん専属であり、しかももうすでにAさんからの推薦を受けて介助に手慣れているということであれば別段2級の資格は必要ありません」という回答でした。後は所長と協議した上で、札幌市にも相談して実施にふみきりたい、ということでした。

そして7月3日に支援センターのコーディネーターから返事がきたのですが、その返事は、「札幌市の本庁サイドでOKがでなかったので、(自薦ヘルパー採用と専属派遣は)実施できません。」というもので、3月末の対市交渉の合意をもとに話を進めてきた私たちは、とても驚いてしまいました。

即日、「求める会」のメンバーとAさんとで市役所に駆けつけ、今回の経過と事実確認をし、3月末の交渉での(前課長の)課長見解を無視するのかと、高田課長、大沢係長、嶋田主査に詰め寄りました。

全身性障害者の介助の質は、生命の危険にも及ぶものなので、みんなで真剣に自分たちの切迫した現状を訴えました。(実際に、Aさんは昨年夏、手慣れないヘルパーの介助によって骨折させられました。)

 

そして、「自薦ヘルパー採用と専属派遣」を札幌市が認めるまでは、ここを立ち退かないと言い張り、今回のような私たちと札幌市との信頼関係を損なうようなことが二度とないよう、札幌市の見解を文書にするよう強く求めました。

そして障害福祉課長名で以下の見解を文書にしてもらいました。

 

札幌市公的介助保障を求める会 様

 

本市が委託しております、ホームヘルプサービス事業におけるホームヘルパーの

採用にあたり、現在の利用者が推薦した者を含め各委託先において採用が適当と認められた者の採用について、市はこれを認めます。

 

 

このような経過のもと7月7日には、在宅介護支援センターBと札幌市との調整もすみ、Aさんの「自薦ヘルパー採用と専属派遣」の実施は、OKということになりました。

 その後、Aさんが入院するというハプニングがあり、実施は退院後の10月6日からとなりました。

Aさんによると、実施後は、今まで曜日によって固定されていた利用時間帯も、ヘルパーがAさん専属であるため弾力的な運用ができるし、何よりも介助に手慣れており信頼関係のあるヘルパーが派遣されるために、以前のような身辺介助をされる際の精神的緊張が少なくなったということです。

 

今後は、各委託先にこの方式を導入してもらえるよう、地道に働きかけていき、現在要綱で規定されている派遣時間上限の週24時間を撤廃していくことが、運動の目標となります。

 

 

自立生活サポートネット 安岡菊之進

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連絡先【ベンチレーター使用者ネットワーク事務所】

札幌市白石区栄通16丁目 清栄荘1-1左/Tel:011-852-9747

<E-MAIL> jvun@tky2.3web.ne.jp

<HomePage> http://www.tky.3web.ne.jp/~amanogaw/jvun/

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埼玉県浦和市で自薦登録が一部実現

 

 主婦などが登録する普通の登録ヘルパーのない浦和市で、新しい方法で「自薦」のしくみをホームヘルプ事業に導入する取組みが成功しました。特別な方法でなく、新しい制度を作ったわけでもありません。どの市町村でもまねできる方法ですので、ぜひ同じように取り組んでみてください。

注意:浦和市に直接問合わせしないでください。皆さんの市の交渉の都合で、問合わせしたい場合は、必ず当会に電話してください。市に問合わせが可能かどうか浦和市の団体と調整します。問合わせには事前に交渉団体から市への根回しが必要になります。これをしないと迷惑をかけますので必ず守ってください。

以下、浦和市の虹の会(TEL048−855−8438)に記事をいただきました。

 

解説(虹の会より)

◆現在、浦和市は、24時間の巡回型と滞在型を併用して行っている。が、上限があり、一日5時間程度ということになっている。

◆これまで、ヘルパーの質などについては問題が起こる度に利用者本人と虹の会で市役所に行ったりしており、そのたびに「推薦登録をやればこれら問題はいっさい起こらない」と言うことを伝えていた。

◆今年の4月から、これまでの漠然とした「推薦登録が必要」という要望の仕方ではなくて、「副会長である松沢に対する推薦登録の実現」という具体的な形を提示して話しあいを行っていた。結果、6月下旬には推薦登録派遣を委託業者(民間の会社)を通して行うことが決まった。(介助者は、形式的に会社に時給で雇われている、ということになる。)

◆開始は8月1日。派遣時間などについては、とりあえず7月までの時間と同様という形で始まった。

 

 

(以下は浦和市の「虹の会」の通信より転載)

 

浦和の介助保障施策に関する学習会・報告

ヘルパーの推薦登録を実現させる!

現在の派遣もこのままじゃダメ!

 

 去る9月10日、埼玉県障害者交流センターで、「浦和市の介助保障施策に関する学習会」を行いました。 当日は浦和市だけでなく、他の市からも来ていただき、総勢26名でヘルパー制度に関して情報交換やこれからどうしたらいいのかといったことを話し合いました。

 内容を取りまとめて報告します。        

 

 

*浦和市の状況について

 

 まず、浦和市の現状についての報告が佐藤・松沢から。

 浦和の介助保障制度は、ヘルパー事業とガイドヘルプ事業のみ。(全身性障害者介護人派遣事業は行われていない) ヘルパーに関してはすべてが委託で行われており、いまだ上限がある。 

 ガイドヘルプは月72時間・単価1280円と、今年度になって県内でもあまりいいレベルではなくなってしまった。(編注:鴻巣・川越・所沢・狭山・入間・朝霞・草加・蓮田などが、今年度より月120時間実施)

 こうした制度が伸び悩む状況の中ではあるが、一つ特筆すべきことがある。8月からヘルパーの推薦登録派遣が、虹の会の副会長である松沢に対して行われているのだ。おそらく県内では初めてのことだろうと思われる。

 松沢は、これまでもヘルパーの質の問題などで委託業者や市へ話をもっていったりしており、主治医からの「障害的にも介助者は固定したほうが望ましい」という指示も合わせて、市とは推薦導入の方向で話合いをしていた。 結局、市は、委託業者(民間)と利用者(この場合松沢)とヘルパー(介助者)の三者で合意がなされている、という約束の上で、松沢に関しては推薦登録派遣を認めたのだ。(どちからかといえば「消極的な導入」、という感じか。)

 

 

*浦和の推薦登録ヘルパー

 

 開始は8月から。

 これまでの行政(=委託業者)が派遣していた時間数がそのまま推薦登録派遣という形となった。(曜日によって時間が違うので一定ではないが月130時間強。)

 時間単価は1280円。

 ヘルパーとして登録した介助者はこれまで介助に来てくれていた人で一人をのぞき、特に資格はない。

 

 

*なぜ推薦登録にこだわるか

 

 次に「なぜ、私たちは推薦登録にこだわるのか」ということについて村山から話があった。

 現状では、24時間巡回派遣についても一回30分とかの単位でしかなく、また決められた時間にしか来ない。その時間には家にいなければならないので、生活が大変制限されている。

 また、内容的にもやってくれない介助があったり(ヘルパー外の介助者にはやらせているごく簡単なことでも)、自分が望まない形でのヘルパー交代があるなど様々な問題がある。もちろん、ヘルパーの質の問題もある。

 こうしたことを解決していける一つの方法が推薦登録派遣である。

 介助者を選ぶことで、介助者に対して、介助の内容に対して、責任を取ることができるし、その分、もっと自由に介助者を使うことができるようになる。

 そういう意味で、推薦登録が松沢にだけという形にせよ認められたことは、大変意義深い。

 

 

*お風呂はやめてくれ

 そして意見交換。出された意見をいくつか要約して報告。

 「私はいいんだが、奥さんが、『これ以上ヘルパーが増えるんじゃよけい気疲れするから週3回でいい』とか言ってて、そういうのが事業自体を縮小させている。」

 「推薦登録はいいと思うが、結局それだけ人を集められるかという問題もあると思う。」(当日はきちんと答えなかったが、事務局としては財源さえあれば人は集められると思っている。現実的に私たちもそれで集めている。これまでのボランティアを募集するのとは『全く』違う、ということは確かだ)

 「お風呂をやめてくれとか、毎日のシャワー浴はやめてくれとか、●●は医療行為だとか、業者が市役所の人を連れてくるという感じで一緒に来て、説得にかかろうとする。だから、私なんかは抵抗するけど、黙ってたら、どんどん禁止されるようになってしまう。」

 「お風呂の付添いがいると言われて、お風呂は結局ヘルパーでは入っていない。それから第一土曜日の午前中はミーティングだからとかで、派遣されない。業者と市と利用者で話し合おうと言っているのになしのつぶて。」

 「虹の会も浦和西部地区の委託業者と市と三者同席で何度か話し合ったことがあるが、結局、話合いが成立しないようなことになってしまった。私たちは、それ以降、市に対してのみの運動ということで動いてきた。」

 「推薦だけじゃなくて、現状のヘルパー派遣についても考えて行かなければならないと思う。」

 「松沢を含め虹の会の場合は、ヘルパー派遣に対する問題点をずーっと指摘してきたという経緯がある。ヘルパーの質が低いとか、もっと細かいことも含めていちいち市に話をしていたという経過がある。その中で、やはり推薦登録という形が一つの解決方法として出てきたんだと思う。」

 「知的障害なんですけど、市のヘルパーに来てもらうとしても、何をやってもらうのかというと…かなり難しい。特に外出とか、そういう援助がほしいと思うけど、現状の制度では拾えていない。推薦が通れば十分使える。」

 「肢体障害より、知的障害者のほうが推薦が必要かもしれない」という意見もありました。

 

 

*「障害者には派遣しない?」

 市内の人だけでなく、他市の人からもヘルパーの状況についての話があった。

 「私は鳩ヶ谷にすんでいるが、親も老齢になって、ヘルパーを派遣しろと言ったら、老人には出しているが障害者には出さないとか言っている。『来年から出す』ようなことを言っていたのに、異動があって、話が振り出しに戻ったりと、なかなか進んでいない。」(この鳩ヶ谷の件については、全く進んでいない市もあるんだ、という驚きとどよめきがあった)

 「春日部でも、推薦を申請したが蹴られた。介助者が学生だからダメとか言われた。」(松沢が登録した介助者のうち、数人は学生)

 

 

*「老人」とは別枠で

 「ヘルプ内容が、老人対象という感じがする。研修に障害者を呼ぶとか、そういうことが必要。」

 「制度の枠自体も、老人と分けさせる。例えば予算についても分けるとか、そういう風に障害者に対するヘルパーと老人に対するヘルパーを分けることが必要。」

 

 

*どんな運動を展開するか

 今回、この話合いを通してわかったことは、現状のヘルパー派遣というのは、かくも使えないものであるということ。

 ヘルパーの質や介助内容など、解決すべき問題は山ほどある。それを解決する一つの方法が推薦登録である。

 浦和市は、松沢に限って、という限定つきで推薦登録を認めている。ある意味では、推薦登録は始まったとはいえるが、まだ始まっていないとも言える。

 推薦登録を、市がきちんと認知し開けたものにすることが必要である。

 加えて、現状のヘルパー派遣を良くしていくために、個々の問題についても、積極的に取り組んでいきたいと思っています。

 当日も話が出ましたが、風呂の件や委託先による格差の問題など、言いたいことがあったら、ぜひ相談してください。一緒に市役所に行きましょう。

 

 

当日の話も含めて、要望書を市に提出します。

 

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相川宗一市長殿

松本五郎福祉部長殿

 

介助保障制度の充実を求める要望書

 

虹の会

会長 工藤伸一

 

 日ごろより障害者福祉の推進にご尽力頂きありがとうございます。

 私たち虹の会は、この浦和で障害者の地域での自立生活を進めるための活動を始めて15年目を迎えます。どんなに障害が重くても地域で暮らしたいという願いを実現させるために、介助保障制度や街づくりの問題にとりくんできました。

 この15年で状況は大きく変わってきています。確かに、以前に比べれば介助保障制度の面も整備されてきているとは思います。

 しかしながら、この浦和で、要介助の障害者が安心して暮らすには、よりいっそうの介助保障施策の充実が必要なのはいうまでもありません。

 現状の障害者の生活実態を基に、以下の点を要望します。

 

 

@ ホームヘルプ事業について。推薦登録派遣を希望する障害者に対しては、推薦登録派遣を実施すること。

 

 現在の浦和のヘルパー事業は、利用者にとって、本当に「一市民としての生活を保障する制度」なのか、というと、そうはなっていません。

 現状の問題をa派遣時間、b介助内容、c介助の質、の3点から述べます。 まずa派遣時間、について。現状の派遣時間は、利用者の要請に従って市が決めるわけですが、利用者の要請する時間の派遣が実現していない例が多くあります。

 これも市としては「利用者と話し合って決めている」というかもしれませんが、「その時間では委託先の会社で派遣できないと言われた。他の利用者との兼ね合いもあるから30分遅らせてくれ」「30分削ってくれ」と言われれば、利用者は「我慢」するしかありません。

 また、巡回や滞在の時間帯など、市の決めた線引によって、介助が分断されたり、本来必要な介助時間が実現しない例もあります。

 つまり、この「派遣時間の決定」に際しては、「利用者の意向」は意向として第一に考えられているとはいえ、決定については、結局「委託先や市の都合」によって決められているといっても過言ではない状況なのです。

 とはいえ、確かに、市の窓口の柔軟な対応で、利用者の希望に近い形での派遣が認められるケースも無くはないのですが、ほとんどは、利用者が「我慢する」ことで解決されているのが現状です。

 

 それに、そもそも、派遣時間を一定に決めるという行為が、市民としての生活を制限しています。

 毎日の生活は、天候や体の調子はもちろん、さまざまな社会生活上のつながりから変化に富むものであります。言い方を変えれば、「お客様」としてでなく社会に参加しながら市民生活をおくっている、ということは、毎日が変化に富んだ生活をする、ということとつながっています。

 逆に毎日が、自ら望まないのに「変化に富まない一定の生活を強いられる」ものであるとすれば、「社会生活・市民生活を制限されている」ということであります。

 そうした観点から、果たして、現状の浦和のヘルパー派遣は、「社会生活を制限していない」と言えるでしょうか。

 「あしたはヘルパーが来るから外出できない」「あしたは風呂の日だから行けない」こんな声は、利用者の間でごく「普通に」交わされています。この状況は、あきらかに「一定の時間にしかヘルパーを派遣しない現在のヘルパー事業」が要介助障害者の社会生活を「制限」しているといえます。

 「●曜日の●時から●時まで、食事の介助が必要」というような考え方での派遣形態は、実は「障害者はおとなしく家にいて、世話をしてくれる人を待って生活する」というノーマライゼーションからは程遠い考え方に基づいた派遣でしかありません。

 私たち利用者は「必要なときに必要な介助が受けられればいい」のです。

「●曜日の●時から●時まで」の介助が必要なのではないのです。

 今後は、市としても、派遣形態について、こうしたノーマライゼーションの考え方に照らして、発想を転換すべき時に来ていると思います。このまま、障害者を家に縛りつけておくのは、人権的観点からも許されるものではありません。

 

 また、しかしながら、こうした状況の中でも、自ら介助者を捜し、社会参加をできる限り実現しようと生きている要介助障害者は、浦和の中にもたくさんいます。

 例えば、ヘルパーの風呂の時間に外出が重なって、その時間に入れなかった風呂を、自ら介助者を捜すことで実現している障害者が、御存じのとおりたくさんいるのです。もちろん、風呂に入りたい時間にヘルパーが来てくれればいい(例えば「今日は外出するから、帰宅次第−いつもの3時間後−に来てくれ」というようなこと)のですが、そういう変更ができないために、一回断れば、風呂に入ることはできません。

 しかし、だからといって風呂に入らなかったり食事をとらなかったりするわけにはいかないので、現実には介助者を自ら捜す、ということになるわけです。

 逆にいえば、そういう介助者がいるのです。

 その多くはボランティアであったり、アルバイト(利用者が自腹を切る、とか、ガイドヘルプを利用するなど)的な人であったりします。その財源は細く、不安定で、十分な報酬が払えていません。

 こうした「ヘルパーが利用できないから、捜してお願いしている介助者」の存在を市はどう考えるのでしょうか。こうした「制度が拾えない部分を支えている介助者」−言ってみれば、ヘルパー以上に献身的に、利用者の生活に合わせて介助を行ってくれている介助者に対する処遇です。

 市が、「ヘルパーには金を出すが、同じことをしているこうした介助者に金を出さない」ということは、「障害者は決められた生活をおくって、ヘルパーが来るのを待っていろ」と言っているのと同じことです。それでは障害者の社会参加を進めようとしているとは言えません。(もちろん、現在の派遣上限がある状況では黙って生活することすらできないわけですが。)

 

 次にb介助内容、についてです。

 先に述べたように、介助内容はあらかじめ決められており、変更はできません。

 例えば、「その時間内で外出したい」という場合など、変更はできないので、結局ヘルパーを断って、ヘルパー外の介助者を依頼するという方法を取らざるを得ないのが現状です。

 また、「手足を揉むのは医療行為だからできない」「風呂は危険だからできない」「外出は危険だから、範囲(地理的な)を超えてはできない」などということが、さも当たり前のようにヘルパー派遣の現場では言われています。

 結局これも、ヘルパーではお願いできないので、自ら介助者を捜すなどして風呂に入いったり医療行為と言われることをお願いしているのです。そうした介助者には何の保障もせず、ヘルパーには保障するという市の姿勢は、まったく考え方が逆転しています。利用者にとってどんな人が一番介助者足りうるのかという観点ではなく、利用者をヘルパーに合わせようとしているのですから。

 おかしな話としては、「医療行為だからできない」と言われたために、そのヘルパーのいる時間内に、別の介助者を呼んで、その行為のみをその介助者にしてもらったという話もあります。その介助者はもちろん特別資格があるわけではありませんが、利用者との長年の付き合いで、利用者自身が信頼してお願いできる介助者です。

 ヘルパーの資格云々ではなく、「介助者・利用者の関係の中で、介助内容がその利用者に対してきちんと遂行できるかどうか」が問題なのだということを教えてくれる格好の事例だと思います。

 こういう意味からも、推薦登録は実施されるべきものであります。

 

 また、介助の内容はプライベートにかかわることが多いので、同性介助が基本です。今年夏から男性ヘルパーが採用されたようですが、こちらの希望通りに来てくれるわけではなく、結局、毎月のヘルパーの予定表が届いた後に、ヘルパーが来ない日の介助はヘルパー外の介助者に依頼しているというのが実情です。

 こうしたヘルパー外の人を認めること、これが推薦登録の一つの意味でもあるのです。

 最後にcです。ヘルパーの質については、これまでも何度も話をしてきています。

 「教え諭そうとする」「生活の中身に口を出す」ひどいのになると「幼稚語を使う」といったヘルパーもいるようで、障害者を「対象」としか見ていないヘルパーはまだまだいるようです。

 利用者の中には「時間的にはヘルパーを増やしたいけれど、疲れるから増やさないことにした」といった人も多くいます。

 介助者とは、利用者がプライバシーをさらしてもいいと信頼できる相手でなくてはなりません。そういう意味で、現在のヘルパーの利用者に対する対応は、利用者の立場に立って行われているとは到底思えません。(これはヘルパー個人の問題というよりは、研修の内容が問題だと私たちは思っています。)

 

 加えて、推薦登録派遣は、知的障害者にとっても大変有用な制度であります。

 現状のヘルパーは、質的に、身体障害者の介助すら信頼できる状況ではない

ことは、先に書きました(もちろんいいヘルパーはいるけれども、全体として)。

 こうした状況の中で、知的障害者自身が安心して介助・援助を受けられるヘルパーを確保するには、推薦登録派遣は必要です。

 

 さて、繰り返しになりますが、こうしたさまざまな状況を解決する一つの派遣方法が「推薦登録」であると、私たちは考えています。

 8月から、ヘルシーライフと松沢さんの間で話合いが成立し、ヘルシーライフを通しての推薦登録が実現しています。

 この導入で、ヘルパーとの人間関係で(なにしろ一週間に何人ものヘルパーが入れ替わりたち代わり入っており、また、本人の望まない交代が何度も行われていた。)悩むこともなくなり、また、時間的にも自分のスケジュールに合わせた介助を依頼することができるようになり、介助的には安定したということです。(もちろん、時間数的には足らず、松沢さんが使う全体の介助料は、赤字状態である。これは、昨年までの「ヘルパー派遣」を念頭において市に申請した時間数であり、「ヘルパーじゃなくて自分の推薦する介助者の派遣だったら、もっと時間数は多く申請したはず。」ということ。結局「ヘルパー」では疲れるから現状の時間数で申請していたということである。とはいえ、浦和には派遣上限はあるので、限界はあるが。)

 こうした推薦登録派遣を、希望する場合には松沢さん以外にも実現するようにすることが必要です。

 そのためには、ヘルシー(委託業者)と利用者に任せるのではなく、市がもっとこの推薦登録に関わって、形を整えるなどのことが必要です。

 少なくとも業者を通しての推薦登録は、業者に意味がないばかりか(金は流れるが)利用者にとっても意味がありません。市が直接運営するなり、また他の方法で整備することが必要であります。

 

 障害者自らが推薦したヘルパーを派遣するということは、ヘルパーを増やそうとする市としても十分に検討に値する内容のもののはずです。

 この「障害者自身が自分の抱えている介助者を登録ヘルパーとして推薦し自分用に派遣させる」方法は、東京、大阪、北陸、中国、九州などの全国で行われています。

 そして、この方式について、厚生省更生課(現障害福祉課)は、重度障害者への現状のヘルパー派遣の実施では以下のような問題があると、6年度の主管課長会議資料で言っています。

 1重度の全身性障害者には、障害者一人一人介護の方法が違い、一律の研修で養成された、1〜3級のヘルパーでは対応できない。

 2言語障害など「長期間介護をしている専任の介護人でないと、話が聞き取れない」などのコミュニケーション技術の問題を現ヘルパーでは解決できない。

 3重度障害者の介護には、裸を見せ、入浴、排泄、抱えるなどの重労働介護があるため、男性障害者には男性ヘルパーが必要であるが、現状では、行政が男性ヘルパーを確保することができていない。また、同様に、重労働介護ができるような体力と能力を持ったヘルパーを確保することができない。

 以上のようなホームヘルプ事業の問題を解決するために、厚生省更生課は平成6年3月の主管課長会議資料の指示事項(14ページ〜16ページ)で、上記1〜3のような問題に対処するために、という文の後に、以下のように書いて、いわゆる推薦登録方式のヘルパー制度を公式に「課として」認める形を取っています。

 『こうした者への派遣決定に当たっては、利用者の個別の事情を十分考慮し適任者の派遣をおこなうように努めること(中略)この際、身体障害者の身体介護やコミュニケーションの手段について経験や能力を既に有しているものをヘルパーとして確保するような方策も検討に値する』(この「検討に値する」という文は平成7年度の全国係長会議・平成8年の課長会議の指示事項では「積極的に図ること」に強化されています。)

 

 加えて、今年7月28日には、埼玉県福祉部長から各市町村長(障害福祉主管課)あてに「障害者ホームヘルプサービス事業の実施等について」という通知が出されました。 ここでは、上限の撤廃などとあわせ、「ホームヘルパーの確保に当たっては、介護福祉士等の有資格者の確保に努めるとともに、障害の特性に対する理解や利用者との間におけるコミュニケーションを必要とすることから、過去において障害者の介護経験を有するものの活用を積極的に図ること。」と通知が出されています。

 これは厚生省の動きに連動して、県が推薦登録派遣を積極的に図るよう市に働きかけているものです。

 

 こうした状況の中で、一刻も早く推薦登録派遣を、希望する人に開けたものにすることを私たちは求めます。

 

 

A ガイドヘルプ事業の時間数・単価アップを行うこと。

 

 ガイドヘルプ事業は、県単の介護人派遣事業から移行したものですが、他の市の介護人派遣事業と比べて、時間数がかなり少ない状況です。

 現在、県の介護人派遣事業の要綱からは上限項目は削除されており、128時間というのも、もう昔の話になっています。

 今年度、鴻巣・川越・所沢・狭山・入間・朝霞・草加・蓮田など、少なくとも11の市町村では上限が128時間。各市町村の上限の平均をとると100時間は越えるようです。にもかかわらず、浦和は72時間と、県内では、かなり低レベルということになっています。

 一度病院などに外出すれば、大きな病院だと一日仕事になってしまいます。(大きな病院でないと障害者ということで敬遠されてしまいがちであるということもあります)そうした介助を必要とする場合、月72時間というのは少ないことは明らかです。

 一刻も早く、県内トップレベルまで戻してもらいたいと思います。

 単価については、1280円ということですが、厚生省の示すヘルパーの手当基準までは最低引き上げることを求めます。

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(転載は以上)

 

全国障害者介護保障協議会/障害者自立生活・介護制度相談センターが制作する資料集・冊子のご案内

 

平成9年度 厚生省 主管課長会議資料

(障害保健福祉部の企画課130ページと障害福祉課52ページの2冊)

 3月10日に行われた、主管課長会議の資料です。交渉を行っている方、(数年以内に)交渉予定の方、必携です。厚生省資料を把握していないと、効果的な交渉ができません。

2冊セットで、正会員の方は1300円 その他の方は2500円

お手元に冊子が付いたら、外側の表紙を1枚、はぎ取ってください。内側の表紙が、厚生省で配られた資料の表紙です。役所に話し合いのときにもって行けるように、大きさも冊子の形も、元の資料とまったく同じ体裁にしました。

注文は、

発送係 TEL/FAX 0077−2308−3493 (通話料無料)  

 まで。(なるだけFAXでお願いします)。

電話は、月〜金 11時から17時に受付。

 

 

今受けているヘルパー制度を自薦の登録方式に変えていく具体的な方法(改訂版

 市や委託先に主婦などが登録する普通の登録ヘルパーがない市の場合を改定しました。その他の部分も、いろいろわかりやすく改定しました。ぜひ、この改訂版を見ながら自薦登録にする取組みを進めてください。

 

 

 「自薦登録ヘルパー」方式は、「新たな制度を作る」ことではなく、現在のホームヘルパー制度の中で、(自分の介護者をヘルパーに登録して)ヘルパー制度を使っていくことです。

 

 在宅で生活していて介護を必要とする障害者は全国どこでもヘルパー制度を使うことができますが、残念ながらその制度のレベルは、1回2時間の週2回、ヘルパーは年令的には30代〜50代の女性ヘルパーのみというのが平均的な実態となっています。

 そこで、このヘルパー制度を、

@家事援助でなく介護制度とし使えるものにしていくこと。

A(自薦にできた後に)時間数、回数を大幅に増やすこと、

 この2つを実現するために、この特集では、「自選登録ヘルパー」方式の具体的な方法について書きます。

 

 

1 市のヘルパー担当窓口に行く

 

 介護を必要としている障害者のAさんと、ヘルパーとして登録可能な同性の介護者Bさんで一緒に市のヘルパー制度の窓口に行きます。

 この時Aさんの担当ワーカーがいない場合でも、聞くことは一般的なことなので他の地区担当のワーカーや係長などに話をします。

 

 

2 ヘルパーの委託先などについて聞く

 

 現在各自治体で行なわれているヘルパー確保の形態としては

@市の公務員ヘルパー(常勤・非常勤)

A市に登録する市登録ヘルパー

B社協など委託先の常勤・非常勤ヘルパー

C社協など委託先に登録する登録ヘルパー、

 この4つが行なわれています。(登録をやっていない市も4割程度ある)。

 ほとんどの市では、公務員ヘルパーを何人か確保し、あとはどこかの組織に委託をしています。

 そこでまず、担当者に

@市の公務員のヘルパーが何人いるか、

Aヘルパー制度の委託先はどことどこか

この2点を確認(聞く)します。(委託先としては社協、療護施設、特別養護老人ホーム、在宅介護支援センター、厚生省のガイドラインを満たす民間業者、福祉公社(公社の名前は、福祉振興協会、ホームヘルプ協会など色々)などがあります。)

 

 

3 その委託先に介護者が登録できるかどうか聞く

 

 市の担当者に、委託先で(または、市が直接)、主婦などがヘルパーに登録する仕組みがあるか聞きます。

 多くのヘルパー利用者は、自分の市で登録ヘルパー(ヘルパーを広く一般に向けて登録募集し、雇用でなく、契約関係で、臨時のヘルパーに名簿登録しておく方式)があるかどうか知りません。自分の家に派遣されてくるヘルパーが、非常勤のヘルパーか、登録ヘルパーかは、見た目では分からないからです。

 

 登録ヘルパーと 非常勤ヘルパーの違い

 

市や委託先との雇用関係

国の補助基準

(9年度介護単価)

 非常勤ヘルパー(時給型)

 雇用関係あり

 時給1440円

 登録ヘルパー

雇用関係なし

 時給1440円

(登録ヘルパーは、市役所の植木の手入れをする職人と同じように、雇用関係がない)

 

そこで、市の担当者に、委託先で(または、市が直接)、主婦などがヘルパーに登録する仕組みがあるか聞きます。(ここできちんと調べてください。間違うと、次の、アとイ、の分かれ目で間違えた方に進みますので特に注意。)

 

ア:登録する仕組みがあれば、次の4の説明へ進みます。

イ:市や委託先で、登録ヘルパーを行ってなければ、

 今月号の札幌市や浦和市のやり方を参考に、まず市と話をし、次に委託先と話をします。( Howto介護保障別冊資料集「自薦登録方式のホームヘルプサービス事業」の98・99ページの厚生省資料のコピーを持っていく。くわしくは札幌市や浦和市のページを参照の上、当会・制度係にお電話ください。)

 

 

4 登録の方法を聞く

 

 社協や福祉公社などの「登録ヘルパー」はもともと、主婦などの空いている時間を活用するために考え出された方式ですので、基本的には、いつでも、誰でも登録できるようになっています。

 市の担当に登録の方法を聞きます。(ただし最近できた福祉公社などが登録ヘルパーを募集している場合などは「3級研修」修了者という条件を付けているところがあります。この場合、研修を受ければ「登録は可能ですよね」と、確認をとります。)

 市の担当者が(詳しいことを)わからない場合には、その場で委託先に電話をして聞いてもらいます。

 

 「登録はできても、必ずしもBさんがAさんの所へ行けるとは限りません」というようなことを言われるかもしれませんが、「そのへんは委託先に行って直接話してみます」と言ってとりあえず帰ります。

 

 

5 介護者が委託先へ登録に行く

 

(注:なるべく、打ち合わせした介護者が1人で行った方がよいが、介護者が以下のように話をできない場合、障害者がついていく)。

 Howto介護保障別冊資料集1巻「自薦登録方式のホームヘルプサービス事業」の98・99ページの厚生省資料のコピーを持っていくこと。

 

 まず、登録の要件(3級研修修了の条件など)があるかどうか確認します。

 

ア:研修などの要件が無ければ、

    「登録したい」と言って、ヘルパー登録し、6に進みます。

 

イ:研修の要件がある場合には、

「3級の研修は内容的にほとんど高齢者を対象に考えられていて、障害者の介護にはあまり役にたたない。実際に3級を受けた人が重度障害者の介護ができますか? 私は研修は受けていなくても介護経験があるので介護できる。厚生省もこうやって介護経験のある人の登録を考えるように書いているでしょ(上記冊子の98,99ページの厚生省の指示文書を見せる)だから研修については私のような者については例外として考えられませんか?」

 とりあえずこのように言います。(委託先は行政ではないので、怒ったりせずに静かに話をしてください。間違えないように。)

(委託先の職員の頭が固い場合は、ここでがんばっても登録はなかなかすぐには難しいので、市にいって、交渉を行わねばなりません。とりあえず、自薦の場合には特例で、研修の条件を外すか、先に登録して働いて研修は後回しにしてもらうか、派遣事業の対象者のみ研修条件なしにしてもらうか、などの方法があります。くわしくは当会・制度係にご連絡ください。個別に交渉方法をお話しします)。

 逆に研修が要件ということは、研修さえ受ければ登録できるということでもありますので、交渉と同時進行で、研修を受けてしまう・介護福祉士の専門学校の生徒を雇うという方法も行ってください。

 

 

6 今介護をしている障害者Aさんの所へ、ヘルパーとして行きたいという説明をする

 

(引き続き、委託先に一人でやってきた介護者が以下のように説明する)

 「重度障害者のAさんは、

・外出介護、トイレ、入浴介護、ベッドから車椅子への移動、などの介護ができるヘルパーが必要

・トイレや入浴介護では同性のヘルパーが必要

・言語障害があるので慣れている人にヘルパーとして来てほしい

・早朝、夜間、泊りの時間にもヘルパーが必要」

 こういったことを、厚生省の要綱・指示文書(3ページ先・4ページ先をコピーする)も見せながらきちんと説明し、市の公務員ヘルパーや、委託先に現在登録しているヘルパーでは、本人のニーズに合ったヘルパー派遣になっていないことを強調します。

 その上で、自分ならばAさんのニーズに合った介護ができるということで特にAさんの所への派遣を希望します。

 

 「他の人の介護はできますか?」と聞かれた場合、

 「どうしても必要な人がいれば考えますが、今はAさんの介護もあるのでわかりません。いちおうご連絡ください。」ぐらいに答えておいて、とりあえず登録だけします。

 こういった話をして一定の理解が得られればまずは成功です。ただし、結果はおそらく「どこに派遣するかはこちらの判断で決めることですので、介護者の希望にそえるかどうかはわかりません。」という答えだと思います。

 その場合には、「局長(所長)さんなどと検討してご連絡下さい、私の方でも市の方ともう一度話してみますので」と言って帰ります。

 

 

7 委託先に回答を聞く

 

 一週間ぐらいたったら委託先に回答を聞きます。ダメだった場合にはもう一度市役所へ行きます( Howto介護保障別冊資料集1巻「自薦登録方式のホームヘルプサービス事業」の98・99ページの厚生省資料のコピーを持っていく)。

 

 

8 市役所に障害者A、介護者B一緒に行く

 

 委託先にBさんが登録したのにAさんの所へは派遣できないと言われたことを説明し、Aさんとしては、「Bさんが一番自分のニーズに合った介護をしてもらえる」「全身性障害者特有の介護技術を持っている」のでヘルパーとして是非Bさんを派遣してもらいたい、ということで担当者をつよく説得し、だめならば、上司を出してもらい同じ話をします。(行政の人には厚生省の指示文書(次ページに掲載)は特に有効。必ずコピーして持っていってください。)

 

係長、課長などへの具体的説明方法

 

@Howto介護保障別冊資料集1巻「自薦登録方式のホームヘルプサービス事業」99ページの厚生省要綱を見せ「障害の状況に応じて(略)本人の意向を尊重しつつ、最も適切な便宜を選定(略)に努めること」というところと、A同98ページの厚生省の指示文書を見せ、「利用者の個別の事情を十分考慮し適任者の派遣を行うように努めることは当然」の部分を確認してもらいます。

 そして「ここに書かれているように、もっとも適任な人材を派遣するのは当然ですよね」と確認を取ります(課長が「そうですね」というまで説明する。これを「確認を取る」といいます)。

その上で「私の介護には、全身性障害者特有の特殊な介護があり、特有の介護技術を有している人が必要。介護経験者でなければ無理」

「車椅子からベッド、車椅子から便器、入浴など、抱える介護があり、若い体力のある人が必要」

「私の介護にはトイレや入浴、着替えがあり、同性のヘルパーが必要」

といい、「自分の介護をできる人材をヘルパー派遣してください」といいます。

 課長が「なるほど」となるまで説明をし終えたら、

「現状で派遣されてくるヘルパーが満足な介護をできない以上、私が推薦する人を派遣してください」といっていきます。

(この説明は、委託先が人材を決めている市の場合は、6のところで、委託先でも行ってください)

最終的には、「検討してご連絡ください」と言って帰ります。

 

 

 

9 本人推せんの「自選登録ヘルパー」が実現

 

 市から、AさんのヘルパーとしてBさんを派遣しますという返事があれば「自選登録ヘルパー」実現です。あとは登録者を増やして、第2段階へ入り、ヘルパーの時間数を増やす交渉を重ねていきます。

 ここまでやっても市の担当者がダメと言っている場合には、当会・制度係にご相談ください。

 この続き(制度を「自薦」にできた後は、自薦のヘルパーの派遣時間数を延ばしていく交渉に入れます)は「交渉のやり方ガイドブック2」に掲載しています。

 

 

 ここまでの、市や委託先との話し合いを行うには、Howto介護保障別冊資料集1巻「自薦登録方式のホームヘルプサービス事業」に掲載している厚生省の指示文書、関係全要綱、解説記事などをよく読んで十分な知識をつけてから行ってください。その上で、ここに書いてある文書を参考に話を進めてください。

 

 

 現在、30以上の自治体で、ヘルパーの自選登録が実現しています。ほとんど

が、きわめて簡単な、(市の)窓口での説得だけで、自選登録OKになっていま

す。(厚生省が「そうするのが当然」と言っているから、当たり前のことですが)

 当会・制度係には、この、「全国各地でうまくいった方法」(ノウハ ウ・情報)があります。当会・制度係が交渉の相談を受けて、自選登録 にできなかった自治体はありません。ぜひ、電話をかけてきてください。

制度係 フリーダイヤル 0077−2329−8610

 

 

交渉のやり方ガイドブック2に掲載していた厚生省の資料・解説は、すべて、Howto介護保障別冊資料集1巻「自薦登録方式のホームヘルプサービス事業」に掲載しました。

 

 交渉のやり方ガイドブック2をたくさんの皆さんにお申し込みいただきましたが、「自立生活をしていて介護の必要な当事者」といっしょに交渉を行う予定のない方には残念ながらお送りすることができません。

 そこで、どの方にもお送りできる資料集としてHowto介護保障別冊資料集1巻「自薦登録方式のホームヘルプサービス事業」と、2巻「全国各地の全身性障害者介護人派遣事業」を作りました。厚生省の主管課長会議資料や要綱類・各自治体での成功事例と要綱類はすべて掲載しました。ぜひご購入ください。(発送係にFAXを送っていただければ注文できます。TELでも注文できます TEL/FAX 0077−2308−3493(通話料無料)まで。)

 

 

Howto介護保障 別冊資料 

1巻 自薦登録方式のホームヘルプサービス事業

224ページ 1冊900円(+送料)  好評発売中 申込みは以下へ

この本の中身を紹介↓

第1章 全国各地の自薦登録ヘルパー

全国の一覧表・熊本市・東久留米市・保谷市・大阪府I市・四国のM市・千葉県・埼玉県の通知・兵庫県A市・

第2章 あなたの市町村で自薦登録の方式を始める方法

自薦登録ヘルパー方式のすすめ・自薦方式に変えていく方法 その1・その2・介護人派遣事業と自薦登録ヘルパーの違い

第3章 海外の介護制度 パーソナルヘルパー方式

   デンマークオーフスの制度・スウエーデンの制度・エーバルト・クロー氏講演記録

第4章 ヘルパー制度 その他いろいろ

   費用の保障で人の保障が可能・福岡県の状況・市役所のしくみ・厚生省の情報

資料1 自治体資料(東京都世田谷区の推薦登録ヘルパー)

資料2 厚生省の指示文書・要綱

6年度・8年度・9年度厚生省主管課長会議資料(自薦登録ヘルパーについて書かれた指示文書)・厚生省ホームヘルプ事業運営の手引き・厚生省ホームヘルプサービス事業の要綱・ヘルパー研修の要綱ほか

  全224ページ

 

Howto介護保障 別冊資料 

2巻 全国各地の全身性障害者介護人派遣事業

210ページ 1冊900円(+送料)  好評発売中 申込みは以下へ

この本の中身を紹介↓

 全国の介護人派遣事業一覧表(最新版)・全国各地の全介護人派遣事業の最新情報と要綱や交渉経過など資料が満載。以下の全自治体の資料があります。

1静岡市・2東京都・3大阪市・4神奈川県・5熊本市・6兵庫県 西宮市・7宝塚市・8姫路市・9尼崎市・10神戸市・11岡山市・12宮城県と仙台市・13滋賀県・14新潟市・15広島市・16札幌市・17埼玉県・18来年度開始の4市

 ほかに、介護者の雇い方・介護人派遣事業を使って介護派遣サービスを行う・介護者とのトラブル解決法・厚生省の情報 などなど情報満載  全210ページ

 

 

3巻 全国各地のガイドヘルパー制度

は11月中旬に発売予定 (予約受付中!) 70ページ 400円予定 

 

1、2、3巻とも申込みは

 全国障害者介護保障協議会

 障害者自立生活・介護制度相談センター・発送係へ。

申込みフリーダイヤル TEL/FAX 0077−2308−3493

ご注文はなるべくFAXで(品名、送り先を記入)。料金後払い。郵便振込用紙を同封します。内容に不満の場合、料金不要です。

TELは平日11時〜17時に受付。

 

 

自薦登録ヘルパーや介護人派遣事業、生活保護の他人介護料を使った介護者の雇い方

 

 長時間介護の必要な障害者が、施設や親元から自立するとき、介護派遣を行う事になる自立生活センターなどは、求人情報誌に常勤介護者の求人を出して対応しています。東京では、田無、東久留米、小平、保谷、町田、八王子の自立生活センターなどがこの方法を採用しています。

 

 常勤介護者は、月給払い(時給1400円以上)で雇います。まず、施設からでてくる3日ほど前に求人広告紙に載るように掲載し、施設からでて来た日に当事者を交えて面接して採用します。広告の打ち合わせのあらかじめにできない場合、施設からでて来て1週間は障害者団体の登録介護者が介護に臨時時で入り、雇い終わるまでの穴埋めをします。

 

 田無の自立生活企画の場合、求人は「デイリーアン」(広告申込電話0120−373−212)という求人雑誌を使っています。(次ページにコピーあり)。毎日発行の雑誌で、3日間掲載して4万円です。まず、広告誌を買って来て、自分で外の欄をみてコピーを作り、広告誌に電話してセールスマンを呼び、原稿を持ち帰り、若干の訂正が夕方faxで交わされ、2〜3日後に掲載されます。

 その日から3〜4日間は事務所で電話当番が必要です。時給が高いので、ひっきりなしに電話がかかって来ます。電話で、面接日を伝え、その日に来てもらうようにつたえます。面接は、掲載最終日の翌日から2日間、午前・午後というふうに、計4回くらい行い、1回5人くらいまでにします。

 次ページのコピーの例で言うと、大体30〜40人くらい電話がかかって来ています。面接が終わったら、誰を雇うか決め、採否の電話をします。このとき辞退されたら、補欠に電話します。(電話する日時に家に待機してもらうようにいっておく)。

 2日後からコーディネーターと派遣先に同行して介護に入ってもらいます。面接のとき、給料は月末か次月15日までに払うと言っておきます。(生保介護料だけなら月末払でもいいが、登録ヘルパーやガイドヘルパーに雇った人を登録させてそちらからお金を引き出してくる場合、次月の15日頃に銀行振り込みされる場合がある。その場合は、行政からの振り込み日の事情を応募者に話して、給料の半分は月末に、もう半分は翌月15日に、と言うふうに言って了解をもらう)。

生保の介護料一般基準なら、毎月月初めにでるので、それで給料支払いとすることができますが、登録ヘルパーなどで次の月の中頃までお金の入らない場合、給料を遅らせて払うことになりますので、了解してくれた人を雇います。

 介護料は、常に介護料の会計に分離して絶対生活費に使わないように指導します。これらは、ILプログラムで当事者に金銭管理などを身につけてもらうか、団体のコーディネーターを週1回介護派遣してうまく回っているかみてもらうかします。

 

 次頁は、93〜94年の自立生活企画の求人広告です。

 

 93年9月のものは「1日10時間、毎週1回で、月給6万円」(昼)の人の広告。 電話は50件、そのうち35人を面接。

 93年12月のものは「1日8時間、毎週1回で、月給5万5千円」(昼)の人の広告。電話は49件あり、30人を面接。

 94年3月のものは「1日11時間(実働8時間)日給1万1500円」(昼)の人の広告。(月末払) 。電話30人。面接20人。

 

 ・・・・3回とも、4人ずつ雇いました。(24時間要介護の人だったので)

倍率8〜9倍です。これくらいあれば、常に人の確保は心配ありません。

 

 

 

求人紙「デイリーアン」に載せた広告のコピー

 

93年9月

■日常生活アシスタント(身障者の助手)   男女長ア

@日13,950円月30万円 A時950円 西武新宿線田無駅下車

時間 @19:00〜9:00(実働6時間)

8時間睡眠可の専用借室あり

A9:00〜19:00

給与 @週3日=月18万円

週4日=月24万円 週5日=30万円

A時給950円

資格 @週3日以上同じ曜日*要普免

35才迄 22時以降男子A要普免 35才迄

田無市南町4-3-2サウスタウンビル5F 自立生活企画  0424-62-5999

 

93年12月

■日常生活アシスタント(男子身障者の助手) 長ア

@A日12,230円 月22万円   西武新宿線田無駅下車

時間 @19:00〜9:00(身障者の睡眠中は仮眠できます。)

実働7時間

A9:00〜17:00

給与 @週3回=月給17万円

週4回=月給22万円 

資格 週3回以上、同じ曜日できる方

@男性 35歳まで

田無市南町4-3-2サウスタウンビル5F 自立生活企画  0424-62-5999

 

94年3月

■日常生活アシスタント(男子身障者の介助)   長ア

日給@11,500円 A13,000円 西武新宿線田無駅前(事務所)

時間 @9:00〜20:00(実働8h)

A18:00〜翌9:00(実働8h、身障者の睡眠中は仮眠できます。)

給与 月収19万〜23万円以上可能

*週4日以上 Aの場合

資格 週3回以上、同じ曜日できる方

Aは35歳位迄の男子 普免所持者歓迎

応募 рフ上、受細面談/高木、頓所

田無市南町4-3-2サウスタウン5F 自立生活企画  0424-62-5999

94年5月

■日常生活アシスタント(男子身障者の介助)   長ア

日給@A12,000円     西武新宿線田無駅前(事務所)

 

時間 @9:00〜19:00(実働8h)

A19:00〜翌9:00(実働8h、身障者の睡眠中は仮眠できます。)

勤務日 水・土曜のみ

資格 要普免 *35才位迄の男子

上記の曜日で長期できる方

勤務地 東久留米市内

応募 рフ上、受細面談 担当/頓所

田無市南町4-3-2サウスタウン5F 自立生活企画  0424-62-5999

求人情報誌に掲載希望の電話をかけると、営業マン(たいていバイト)がすぐとんでくる。すぐに広告をつくり、3日後には掲載される(こちらで作っておいた方がいい。)自立生活企画など、東京都内の自立生活センターが求人に使っている「デイリーアン」は、平日のみの日刊(今は週3刊)で3日間掲載で4万円。

 

 

 

自薦登録ヘルパーや全身性障害者介護人派遣事業等で介護者をどう活用していくか

 

1 自立生活をしている障害者と介護者の関係

 

 自立生活をしている障害者は、施設や親元にいる障害者とは違って、自分の生活を自分なりに組み立てその生活全般に責任を負っています。

 その日にどこへ出かけるか、お風呂にいつ入るか、掃除、洗濯はどういうペースでどのようにやるか、毎回ごとの食事で何を食べるか、そういった生活上の基本的にその障害者の意志によって決まってきます。

 従って介護者(ヘルパー)との関係でも当然、今日は何と何をどういうふうにやってもらうかという指示が障害者からなされます。ここが基本的に施設や親元と、自立生活が違うところです。自立生活をしている障害者の介護者(ヘルパー)はこのことを十分に理解した上で、自分から積極的に世話をするという意識ではなく、生活の主体である障害者の援助者として受け身的に関わるという意識が大切です。

 自立生活をしている障害者が自分で介護者を見つけてきて、その介護者を「自薦登録ヘルパー」や「介護人派遣事業」の介護者(ヘルパー)として活用する場合や、自立生活センター等から介護者の派遣を受ける場合にはこの関係が第一の基本です。この関係を一言で言えば「障害者の指示に基づく介護」ということになります。

 

2 介護者は技術をどうやって身につけていくか

 

 一言で「障害者の指示に基づく介護」と言っても、介護というのはそんなに簡単な事ではありません。自立生活をしていると1から10まで完璧に指示を出せる障害者はそんなに多くないし、逆に介護者の方も最初は言われたことを1つ1つどうやっていいのかとまどうはずです。

 ところがなぜか介護というものは何回かやっていくうちに、お互いに慣れてきて介護者も指示どおりにやっていくことができるようになります。

 この時間の流れの中で介護者として大切なことは、1に「技術」を身につけていくこと。2に「関係」をつくっていくことです。これはどちらが大事かということではなく単に順番の問題で、とにかく技術は一回目の介護の時から必ず必要になってきます。

 ここでの「介護」は施設や作業所なんかの介護とは違って1対1で介護をすることになります。従って介護技術というのも1人1人の障害の違い、生活の違い、経験の違いなどに対応したものでなくてはなりません。

 その介護の技術を「どうやって身につけていくか」ということですが、これは例えばヘルパーの研修を何十時間か受けるというような事とは全く違っています。逆に最初は経験や資格は全く必要ない。まず障害者の家に行ってその人から指示されたことをとりあえず「やっていく」。もともと介護者に経験や技術があって「こうしましょうか」という順番ではなく、障害者から「これをこうやって下さい」という指示があってそれを受けて「やってみる」という順番になります。

 この順番は非常に大切で、障害の重い人や知的障害者で指示が細かく出せない人に対してもこの順番をふまえておかないと介護者のペースで、介護者の方が先に考えてやってしまうということになります。

 例えば昼食なんかでも介護者から「何にしましょうか?」と聞く必要はない。聞かれると障害者の方は昼食について考えなくてはいけなくなってしまいます。本人がお腹がすいてきて何か思いついたら「お昼は○○食べるから○○買ってきて」などと指示がでるのでそれを待っているのが基本です。

 こうやってまず指示を待ってその上でわからないことは「どこで買ってきますか?」とか「どれぐらい買いますか?」とかわからないことは聞きながらやっていきます。例えばベッドから車イスへ移る場合などもとりあえず言われたとおりの抱え方でやってみる。それでうまくいかなければ障害者からさらに説明があったり、介護者が自分なりに抱えやすいようにやってみる、そういう1つ1つの繰り返しの中で介護技術というのは身についていきます。

 

3 関係をどうやってつくっていくか

 

 介護というのは生活のなかで、毎週、多い場合には週に2回から3回顔を合わせる関係ですので、技術の次には当然人間関係というものが大切になってきます。ここで言う人間関係というのは別に友だちのように仲良くなるという意味ではなく、お互いが相手に慣れていって介護のパターンみたいなものができていくということです。介護者(ヘルパー)にとって介護は仕事ですから少しは緊張しているぐらいの方がいいのですが、障害者にとってはそれが毎日の生活ですから介護者と一緒にいるからといって、毎日固くなってもいられないわけで、やはり慣れてお互いのことがわかってきて楽な関係になっていくというのは大切なことです。

 外出、トイレやお風呂介護、掃除、洗濯、食事どれをとっても慣れによってお互いかなり楽にやれるようになります。それでその介護のパターンというものをお互いにどうつくっていくかということですが、それは1つ1つの事についてお互いに、「ちょっと違う」と感じたことを言っていく。掃除が思い通りになっていなければ「そこをもう少しきれいに」と障害者が言うとか、移動の場面で障害者から指示された方法が負担な場合、「こういうふうに抱えたほうがやりやすいのですがそれでもいいですか?」と介護者が言うというようなことです。言い方というのは結構難しくて、お互いに気まずくなったりすることもありますが、それを乗り越えてお互いに望ましい介護の関係がつくられていけばいいと思います。

 

4 介護者の雇い主は障害者だと考える

 

 自薦登録ヘルパーや介護人派遣事業、あるいは生活保護の他人介護加算、いずれの場合にも介護者に支払われるお金は行政から出ています。しかも生保の他人介護加算以外は、形の上で介護者(ヘルパー)は行政からの派遣ということになっています。

 しかし、介護者(ヘルパー)が障害者の必要と選択に基づいて派遣されている場合には事実上雇い主は障害者だと考えることができます。こう考えることによって介護者(ヘルパー)は自分にお金を出している市役所の意見よりも、生活の主体である障害者の立場に立って「介護」というものを考えることができます。例えば、外出の際ヘルパーは○○市の外には出てはいけないと市役所から言われていてもそんなきまりはおかしいと考えることができます。

 もう1つ障害者の中には、介護者を自分の手足代わりに使おうと思っている人もいますが、介護者を雇われ人と考えれば、それなりにうまく使っていかないとすぐにやめられてしまうことになります。食事をする時間もなくハードに動き続ける、時間が無くて結果的にそうなってしまうこともあると思いますが、毎回そういうことを続けていると介護者もきつくなってやめてしまいます。そういう意味で障害者には雇う側の責任感というのが必要になってきます。

 一方介護者の方も雇われて「介護」を仕事としてやっていく以上責任というものが出てきます。それは時間を守る、介護に穴をあけないといったことだけではありません。例えば障害者から急な坂道を車イスを押して登ってほしいと指示された場合、それが無理だと判断したらきちっと断って「タクシーを使いませんか?」などと別のやり方を提案する、そういうことでもあります。逆に「私は障害者にこうしてくれと言われたから」ということで、坂道を一生懸命登って腰を痛めて翌週から介護に入れなくなってしまったら、それは介護者として責任を果たしたことにはならないのです。

 このように、雇う側(障害者)と雇われる側(介護者)の双方に責任があると考える方が、行政が派遣しているのだから責任は行政にあると考えるより介護関係ははるかにうまくいくと思います。

 介護制度をつくる責任は行政にあります。しかし介護関係の中で起こることについて行政に責任を取らせようとすると、例えば外出は危険だからという理由で制限されてしまうことになります。

 自立生活をしている障害者は介護関係も含めて生活の中で起こることについて自分で責任を取ろうと考えています。それが一番自分の生活を誰かに制限されない方法だからです。介護人派遣事業という制度や自薦登録ヘルパーという方式は非常に自立生活をしている障害者やこれから自立しようとしている障害者に合っていると言えると思います。

 

 

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自立生活センターの資料(施設や親元から自立したばかりの障害者へ介護派遣する場合等について書いた文書)

 

介護という仕事と介護者の位置に関して

  介護関係のトラブルについて (介護者の悩みから)

 

 介護コーディネーターの仕事の中で、比較的大きな比重を占めているのが障害者と介護者のトラブルの間に入ることです。

 障害者か介護者のどちらかから相談を受ける、まずはそこから始まります。具体的に何かの話がこじれてけんかになったなど、それが一回限りのことであればそれこそコーディネーターが間に入って2人から事情を聞いて問題を整理すれば解決ということもあります。 しかしトラブルや事件というのは、ほとんどの場合もともとあまり関係が良くない2人の間で起きます。そしてさらに難しいのは、事件というほどの大きなトラブルは起きないけれども、とにかく関係がうまくつくれないという場合です。

 例えば、障害者の立場から、Aさんを介護者として使っていると非常に疲れる、うまく指示通りに動いてくれない、自分のすることにいちいち口出しされる……など。 逆に介護者の立場からは、Bさんの指示通りにやっていると体がきつい、指示に疑問を感じてしまうことが多い、指示がはっきりしなくてなんとなく判断を任されてしまう……など。

 こういう関係が毎週繰り返されて、だんだんつらくなってくるというパターンが非常に多い。相手に対して何か言ってしまうとその後、関係がギクシャクするので言わずにがまんする、それは誰でもそう思うわけですが、そのがまんが少しづつ積もるとどんどんつらくなっていきます。

 だから、基本的には関係のきつさは相手に言うことでお互いに話し合って解決するしかない、まあそういうことなんですが、それを言っては身も蓋もない、コーディネーターなんて必要ないという話になってしまうので、今回は最近一番多くて困っている1つのパターンについて書いてみます。

 介護者が障害者の問題点を直そうとしてしまう、障害者はそれに反発してますます問題を大きくしてしまう、このパターンです。

(以下の事例は悩める介護者の視点から書きますのでそのつもりで読んでください。)

 

@例えば、障害者が3時に所沢で誰かと待ち合わせをした、しかしその後指示通りに動いているとそれに間に合わせる気は無いらしい、それで「さっき3時に約束してたよね、行かないの?」と少し責めるような口調で介護者が言う、それに反発して障害者は「○○に買物に行く」と指示を出す、介護者は困ってぶつぶつ言いながら車イスを押していく。介護者はこういう場合でもただ指示に従わなくてはいけないのかな?と思う。次には「やっぱり約束は守ったほうがいいんじゃない」などと言ってしまう。こういうことが何度かあると障害者はコーディネーターなどに「Aさんは私が○○に行きたいと言っても連れていってくれない」というふうに相談してくる。

 

A障害者が「Aさん(介護者)はご飯作ってって頼んでもめんどくさがってちっとも作ってくれない」というように他の介護者の悪口をかなり大げさに言う。聞いている介護者はその話をあんまり聞きたくないので「そうやって介護者の悪口を言うのはあんまり良くないから、もしほんとうにそうならコーディネーターにでも相談してみれば」などと話を切り上げる。自分のことも他の人に悪く言われてたらいやだなあと後で思う。障害者はこのように愚痴を聞いてくれない介護者の悪口をまた他の介護者に言う。

 

 確かにどちらの場合も障害者に問題はある。しかしその問題を介護者が直そうとしてしまうことにさらに問題があります。

 介護者は雇われている身なので黙って指示に従っていればいいというのではありません。社会的な常識を身につけたほうがいいという介護者の一方的な思いやりと、思い込みはほとんどの場合障害者の反発をかって逆効果になるだけだということです。

 介護者も人間ですからどうしてもいやなことをがまんしてやる必要はない。いやな事はいやと言って別にけんかになってもいい。ただその場合、自分を守るという姿勢を基本に持っている必要があります。相手を良くしようという一方的な思いやりは非常に良くありません。

 

 とにかく障害者と介護者のトラブルの場合には、両者ともが相手に問題があって自分は悪くないと思っていることが多い。その視点をやめて相手が自分のどこを問題だと思っているか?と考えるようにして、まず自分の問題を先に直すようにする。相手の問題に対しては、まず自分を守る方法を考えてその上で相手の問題は時間をかけて共有していく。

 難しいことですが、介護関係で悩んでいる方は、いったん踏みとどまって視点を変えてみてください。

 

 それでは、さっそく例題を1つ。

 車イスの障害者と介護者、外を歩いていて雨が強く降ってきた。カッパは持っていない、たまたま近くに傘が売られていた。障害者から、「傘を買って私にさしてください」という指示がありました。車イスを押しながらでは傘は1本しかさせない。さて介護者の立場だったらどうするか?

 

 正解1

 それだと私が濡れちゃうので、カッパを買わせてもらうか、少し小降りになるまで待つとかしませんか?と何らかの提案をする。

 

 正解2

 自分は雨に濡れても別にどうということはないので指示どおりに障害者が濡れないようにして家に戻ってから体をふく。

 

 正解3

 私だけ濡れるのはいやなのでどうせならこのまま一緒に濡れて行きましょうといって、けんかを始める。

 

 正解4

 それだと私は濡れちゃうけどどうしたらいいかな?と聞き返す。

 

 正解は他にもいくつもあります。

 

 不正解

 いやいやながら指示どおりに障害者に傘をさして自分は濡れながら帰る。帰りながらだんだん相手のことが嫌いになっていく。

(おわり)

 

 

 

 

(静岡障害者自立生活センターの通信より転載)

 

静岡市の「全身性障害者登録ヘルパー制度」が発足して2年

 

 全身性障害者登録ヘルパー制度が発足して2年、自立生活センターの介護派遣システムを利用し、24時間介護者を入れて自立生活を始めた障害者は、昨年から今年にかけて3人おります。しかし、自立生活をしている重度障害者が一旦入院してしまうと介護制度(登録ヘルパーや、生活保護の他人介護料)が使えなくなってしまうという大きな問題があります。病院内の基準看護では、点滴・注射・投薬等、医療処置が中心でその他の入院生活に関すること殆ど出来ません。

 

 SK病院は、1病棟40人程の患者数に対して看護婦の数は、日勤6〜7人、夜勤数2人。これでは、いくら献身的に看護婦が対応しても多くの介護を必要とする重度障害者が入院した場合、絶対介護者が必要になります。それも日常的に、介護に入っている介護者が必要になります。

 筋ジストロフィーのK氏は、5月中旬に自立生活を始めた矢先、肺炎で5月26日入院、そして、肺の機能低下のため血液中の2酸化炭素量が増え危険な状態になり、やむをえず気管切開の手術を行い、人工呼吸器を使用する状態になりました。K氏の入院前の介護体制は、2交代制で、入院中も同じ体制で、介護に入ってもらいました。介護の内容は、体位交換、食事介護、排尿、排便等で、痰の吸引は基本的には、当初看護婦がやっていましたが、退院後の生活も考え自立生活当初からの専従介護者は、看護婦の指導のもと人工呼吸器の取り扱いと、痰の吸引も行なうようになりました。

 

 一番困ったことは、本人がナースコールが押せないため常に誰かが付き添っていなければならないことでした。又、気管切開をしているため、コミュニケーションがうまくとれず、口の動きか、又、50音の片仮名の表を介護者が一つ一つ指差し言葉を拾って行くしかなく、体位交換と吸引は常に必要で、介護者は昼夜休む暇がありません。しかし、利用する障害者にとっては、入院する前から介護に入っていて、介護について方法とかコミュニケーションも十分にとれ安心した介護を受けれる、自ら推薦した介護者が中心でしたので、なんとか入院生活を送る事ができました。しかし、入院中は登録ヘルパーも利用できない。又、制度上有料の介護者を入れることも出来ず、先に述べたように重度障害者の介護の特殊性もあり、普段から介護に入っている、登録ヘルパーでなければ、安心した入院生活をおくれません。入院生活も日常生活の延長線上にあるものです。登録ヘルパーも専従として入っている以上、入院中は制度が使えないからといって、ボランティアというわけにはいきません。

 

 介護者捜しには、つねに頭を悩ませており、ローテーションを組むのには本当に苦労をしていました。

 介護制度が利用できないことについては、全ての障害者の介護保障を実現することを目指して設立された、静岡公的介護保障要求者組合の内部で緊急の話し合いが持たれ、以下のことを確認しました。

1、介護支援基金の設立

2、介護料の緊急カンパを募る

3、この現状を打開するために、行政や、社会福祉協議会、病

院に働きかけ協議の場をもうける。という内容でした。

 

「3」については、6月18日に話し合いが持たれましたが、制度の壁があり、「現状では入院中の介護料を出すことは出来ない」という答えでした。しかし、この中で重度障害者の介護の大変さは、お互い確認することが出来たので、「現状の中で最善をつくし、今後検討していく」ということで、確認されました。

 

 他都市の入院中の介護制度においては、北海道の札幌では、96年6月、すでに市単独事業で全身性重度障害者介護料助成事業として制度化され、上限1ヵ月38時間まで利用できます。制度化の背景は、在宅障害者からの「入院中の介護は劣悪で生命の危険すらある」との指摘がありました。これは、当事者と行政・病院側との粘り強い話し合いにより出来た制度で、自立生活をしている重度障害者が、入院した場合、生命を維持し、身の回りの事や、介護に関して、コミニュケーションを自由にとるには、常に介護をしている介護者しかいません。こんな当たり前のことをその度訴えていったそうです。

 介護費用が支払われないというのは、介護者の仕事がなくなり、解雇されなければならないということです。あまりにも不安定です。介護者の保障も考えて行かなければなりません。専従として、登録ヘルパーを職業とする人達もだんだん増えてきております。全身性障害者登録ヘルパー制度が出来たきっかけは、今までのホームヘルプ事業では、重度障害者の自立生活の視点に欠け、利用しにくいと以前から当事者が訴えて来ていました。それを受けて厚生省は、94年3月2日、社会福祉関係主幹課長会議で、以下のような指示を出しています。

(オ)同性ヘルパーを派遣してほしい。 これを受けて厚生省は次のように指示しています。「重度の身体障害者の中には、身体介護やコミュニケーションに当たって特別な配慮を必要とするものが少なくない。こうした派遣決定に当たっては、利用者の個別の事情を十分考慮し適任者の派遣を行なうように努めることは当然であるが、こうした対応が可能となるよう実施体制について十分な検討が必要であること。この際、身体障害者の身体介護やコミュニケーションの手段について経験や能力をすでに有している者をヘルパーとして確保するような方策も検討に値すると考えられる」 

 この指示でもわかるように、重度障害者の介護者は、障害を持った人自身が選んだヘルパーが一番適任ということを厚生省が認めていることになります。しかし、入院してしまうとこの制度も利用できません。それに変わるべき内容の介護が用意されているのなら、なんら問題ないのですが、先に述べた、現状の基準看護は「病院または、診療所においてその施設の‥‥‥‥‥家族が付き添う必要がないと認められる程度の看護を行なうこと」とあります。しかし、現状の基準看護では、K氏をはじめとする重度障害者は、対応できないのは明らかです。私たちはこの問題をきっかけに誰もが安心して、入院生活を送れるように、又、登録ヘルパーが継続して、登録ヘルパーの仕事が行なえるように、制度の改革に向けて粘り強く運動を続けていきます。今後とも皆様の支援をよろしくお願いします。

 

 私事ですが、昨年半年ほどの長期入院したおり感じた事を少し書きたいと思います。入院は、県外のあるリハビリ病院です。私は、頸髄損傷という障害で四肢麻痺ですので床擦れになりやすく、昨年3月入院し、その間4度手術を行ない、一度は退院したものの再度入院、12月に退院するまで、計6カ月の入院となりました。一度手術をすると、1カ月以上車椅子に乗れないので、ほとんどベッドに寝たきりの毎日でした。看護体制も、患者の付き添いの家族は、20時には帰らなくてはならず、その後は、すべて、病院側の対応になります。私は、場所が県外でしたので、家族も面会に来れませんでした。入院中の1日の日程は、3度の食事中心に、その間の体位交換、排便、医療処置といった、生命を維持するための最低限の看護の繰り返しでした。そんな中たった一つの心の支えは入院する前まで入ってくれていた介護者が週に1度、遠路面会に来てくれたことです。この時とばかり、ジュースや雑誌等、必要なものを売店に買いに行って貰ったり耳掃除、爪切り、髭剃りの掃除等頼んでいました。医学的な恩恵は絶大ですが、実は、これがある意味で私の長期の闘病生活を支えてくれたのです。K氏の介護量と私の介護量とはだいぶ違いますが私も毎日介護者を必要としていました。

 いずれにせよ、入院中にも介護費用が支給されるよう行政側の速やかな対応が望まれます。

 

 

編注:東京都でも97年度後期(注)から全身性障害者介護人派遣事業が改正され、入院時でも必要がある場合、制度が使えるようになりました。(これまでは、各市区町村で使えたり使えなかったりバラバラだった。もちろん交渉を行ったところだけ使えるようになっていた。いままでも都は実施主体の判断があれば認めるという立場だった。今後は全自治体で使えるようになる)

 

 

 

自立生活センターが介助派遣をやり始めて丸2年

 

 静岡全身性登録ヘルパー制度が出来て丸2年。自立生活センターが介助派遣をやり始めて、丸2年経った事になる。試行錯誤の2年でいまだに試行錯誤している途中である。

 が、そんな事をしているうちに自立生活を始めた人が去年から今年にかけて3人、他に家族と一緒に暮らしながら、家族の中で自分の役割を果たす為に介助者を入れた生活を始めた人が1人、そして家族の介助力軽減を目的として介助派遣を利用している人が1人というように利用者が増えた。という事で介助者も増えた。最近では口コミやビラで介助者を見つけていく事も難しくなっているのでアルバイト情報誌を利用して介助者を募集している。

 そして面接の段階で自立生活センターの説明と介助者としてのスタンスを説明する。「利用者は単にお世話されるべき対象者ではなく、介助者を雇っている雇用主である。利用者の意思決定を最優先してほしい。そして失敗する事も一緒に付き合っていける方を望んでいる。」といった説明の後2、3回実際に介助を経験し、ローテーションを組んでいく。

 

 利用者は筋ジストロフィーの人が多く、2人が気管切開をしている為24時間の介助が必要である。今のところ介助者を確保していくことが最大の課題になっている。何とかローテーションが組めるくらいの介助者では、急に介助者が病気とかでこれなくなった時、代わりに入れる人が少ない。泊まり介助が特に大変なのでなり手がいない。その分、介助料金を増やす事が出来ればいいのだが、財源がない。

 全くナイナイ尽しなのだ。

 そんな中で苦労している事務所と利用者、介助者であるが、今まで障害者に接した事がなかったり、福祉にあまり関心がなかったりする人達が介助者をやってみて、『障害者が地域に生きるって当たり前の事なんだ』と多くの人に肌で感じてもらえればそれが一番の財産なのかもしれない。

 

(転載は以上)

 

 

 

 

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不明な点はお問合わせください。

 

 

 

 

 

 

(自立生活支援センター・新潟の通信より転載)

新潟市

「全身性障害者ホームヘルパー夜間派遣モデル事業」始まる

 

介護保障を考える会・たんぽぽ

代表 広川キミ子

 

 この10月から新潟市のモデル事業として始められる制度です。

 これは、まず在宅の全身性障害者が、自分の介助者を市に推薦し、ヘルパーとして登録します。登録された介助者は、推薦を受けた障害者のところへ、ヘルパーとして派遣されます。時間帯は夜間(pm7時以降)と早朝(am8時まで)と限定付きですが、それでもようやく実施にまでこぎつけることができました。

 私達はこの制度を作るために、1年半に渡り新潟市と話し合いを続けました。他の都道府県では「全身性障害者介護人派遣事業」という形で実施されており、ヘルパー制度とは別の制度です。私達も本来この制度を望んでおりましたが、新潟市では夜間巡回型ヘルパー派遣も実施されており、新しい制度を作ることはなかなか困難でした。従って静岡などを参考にしてヘルパー制度にのせた制度として開始されることになりました。

 在宅障害者が地域で暮らすには、よりよい制度を作る必要があります。だれもが当たり前に暮らせる社会にしていきたいと思います。

 

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