厚生労働省は10日、介護保険の保険料負担者とサービス 受給者の対象範囲の拡大について、次期保険料改定である 2009年度からの実施を見送る方針を固めた。
負担増となる企業や、障害者団体などの合意形成が難しく、 法改正、自治体の準備期間などを考慮すると、さらに時間が かかると判断した。
ただし、将来の拡大に向け、引き続き議論していく考えだ。
範囲拡大は、現在40歳以上となっている保険料負担者を、 39歳以下に広げるとともに、サービス受給者も、現行の 原則65歳以上から引き下げる抜本的な制度改正。
保険財政を安定させる狙いがある。
04年から05年にかけて議論された制度改革の最大の 論点で、その際は結論が出ず、06年4月施行の改正介護 保険法には、「検討の結果、09年度をめどに所要の措置
を講じる」との付則が設けられた。 このため、厚労省は昨年3月に有識者会議を設置した。
この日、開かれた有識者会議では、将来的な拡大につい ては賛成意見が多かった一方で、「(負担増となる)若年層 の理解を得られるのか」「障害者へのサービスは(保険料で
はなく現行通り)税で賄うべきだ」などの慎重意見も根強く聞 かれた。有識者会議が夏までにまとめる予定の報告書も、 両論併記にとどまる見通しだ。