介護保険統合問題の詳細情報
- Index
- ○閣議後記者会見概要
- ○新聞2紙に2階建て方式の検討が載りました
- ○第5回(3/2)社会保障審議会障害者部会傍聴報告|傍聴メモ
- ○第6回(3/17)社会保障審議会障害者部会傍聴記録と解説
- ○JILの介護保険と障害者施策特集ページにリンク
- ○統合の結論、延期
- ○「介護保険の利用者負担、引き上げを」
〜財政審分科会方針に拡がる不安(日身連HP にリンク)
- ○障害者の介護保険統合問題は審議会介護保険部会ではなく障害部会で議論--4月2
8日介護保険部会報告
- ○障害者への給付拡大で賛否両論 社保審部会 8月に報告を先送り
シルバー新報 2004年4月30日発行 WAMnetリンク2004/5/10
- ○WAMネットの福祉医療専門誌コーナーへリンク シルバー新報などに介護保険との統合
の関係記事多数 2004/6/15
閣議後記者会見概要
(H16.02.20(金)8:55〜9:11 参議院議員食堂)
中略
(記者)
大臣、宮城県の浅野知事がですね、知的障害者の入所施設をこれを、明日のシンポジウムか何かですべて解体するというような宣言をするというような動きがあるようですけれども、知的障害者の入所施設を解体するということに関して、大臣のご所見をちょっとお伺いしたいのですけれども。
(大臣)
まだ正式には聞いておりません、私もニュースで拝見をしただけでございます。それが全てなのか、一部なのか、まだ今のところはっきりいたしません。おそらく現在の施設という形ではなくて、小規模な施設にしていくということなのだろうと思うのですね、それを大きな施設の中に今までのように障害者を施設の中に入れるということではなくて、地域地域で小さなグループで、その対策を立てていくというお話ではないかというふうに想像いたしております。それは一つの方法だというふうに思いますので、そういうことがあってもいいというふうに思います。しかし中にはそうもいかない障害者の皆さん方もおみえでございますから、その皆さん方をどうするかという問題はあるというふうに思います。
(記者)
今の話に関連して、介護保険と障害者支援費の統合の問題があります。この問題では1月の中旬に厚生労働省の改革本部というものを立ち上げて、もう1ヵ月ちょっとたっていますが、6月か7月くらいには案を出すということをおっしゃってますけれども、未だに統合した場合に、統合するというのは決定したわけではないですけれども、もし統合するとしたら、例えばアセスメントはこうなって、ケアマネがこうなるというような具体的な案が全く出ていないと、これで本当に6月に間に合うのだろうか、その具体的な案がいつ出てくるのだというのが障害者側から出ていますが、大臣として、具体的にもし統合するという選択肢をとった場合にこうなるのだという具体的なものを、ある程度おおざっぱなものでもいいのですが、具体的なものはいつ示されるのですか。
(大臣)
それはそんなに早くは出来ません。やっぱり統合してやっていくか、それとも別々にやっていくかというのは、これは制度の話でございまして、いかなる制度にいたしましても、施策としては進めていかなければいけない話でございますから、その施策はどういう方針でやっていくかということについては、これはその決定とは別に進めていかなければならない問題だというふうに思っております。出来るだけ早くやらなければいけないというふうに思いますが、少なくとも来年度、そういう改正も視野に入れてということであれば、今年中に決定しなければならない話でございますから、急いでいる話でございますけれども、よく議論を尽くしてということになるだろうというふうに思っております。
(記者)
具体的なものがないと議論にならないのですよね。障害者側は全然分からない、具体的なものを示してもらわないと。何で統合に利点があるのかというのもよく分からないという状況なのですよ。
(大臣)
だから統合をするかどうかという話と、障害者の施策をどう進めるかという話とは、私は双方やらなければならない話だと思います。統合してもその施策はやらなければならない。それから統合しなくても、その施策は進めなければならない、そういうことだろうというふうに思いますから、そこはよく縦分けていかなければならないし、しかし今おっしゃるように、統合するのとしないとで、違うこともあるわけですから、そこは何かということの区切りと申しますか、その辺の見分けもちゃんとして進めるべきところから早く進めていくということ大事だというふうに思ってます。
(記者)
その見分けというのは早めに出すと。
(大臣)
そうですね。それは早くやらないといけない。
新聞2紙に2階建て方式の検討が載りました
読売新聞
障害者福祉統合なら、重度障害者介護は税財源で拡充へ
来年に予定される介護保険制度の見直しで、厚生労働省は22日、障害者福祉を 統合した場合、長時間の介助が必要な重度障害者に配慮し、在宅サービスに税による「上
乗せ」の仕組みを作る方針を固めた。 介護保険にはサービス給付に限度額が設定されており、最も重い「要介護5」で も、1か月約36万円が上限。しかし、障害者の中には長時間の介護サービスが欠かせな
いケースもあるため、保険でサービスを給付する“1階”部分だけでは生活できない人向 けに、税財源による“2階”部分を設けることにした。財源は、国が予算の範囲内で最大
50%まで補助し、残りを市町村と都道府県で折半する形になりそうだ。 (2004/2/23/03:10)
朝日新聞
障害者介助費、税財源で上乗せ検討 厚労省が介護保険超過分
05年度の介護保険改革で焦点になっている障害者福祉との統合問題で厚 生労働省は22日、保険のサービス上限を超える長時間介助が特に必要な重度障害者に
は、補助金などでサービスを上乗せする方向で本格的な検討を始めた。障害者団体などか ら「保険の支給限度額では重度障害者が地域で生きられない」との懸念が出ており、厚労
省は、税金を財源とする現行の障害者支援費制度の性格も採り入れることで理解を得たい 考えだ。
地域で暮らす脳性まひなどの全身性障害者は、1日5時間以上の介助を受 ける人が7割近く、生活全般に介助が必要だと月100万円以上かかる例もある、とい
う。介護保険の在宅サービス支給限度額は最高の要介護5でも月約36万円で、訪問介護 の1日3〜4時間分とされ、在宅重度障害者に必要な費用が賄えない点が指摘されてい
た。
在宅障害者の介助費用などを賄う障害者支援費制度は、国と地方が財源を 折半して03年4月に導入されたが、初年度から財政難が深刻だ。小泉首相による補助金
削減方針で、支援費制度の補助金が廃止・縮小される可能性もあり、被保険者を40歳以 上から20歳以上へ拡大することが検討されている介護保険との統合が緊急課題に浮上し
た。
厚労省は「全身性障害者、強い行動障害のある人、ALS(筋委縮性側索 硬化症)などには特別な対応を考えなければならない。今後、自治体などと協議したい」
としている。 (02/23 03:04)
第5回社会保障審議会障害者部会が開かれました。(3/2)
自薦ヘルパー(パーソナルアシスタント制度)推進協会本部事務局
この部会はこれまで、年2〜3回開かれることが通常でしたが、今回は6月までに 5回連続して開催されることになっており、介護保険と障害者施策の関係について議
論がなされるのではないかということが言われていました。
昨年の12月の委員会で委員の任期も終了し、今回は新たな委員も選出されていま す。
まず、障害者部会の審議事項について以下のように示されました。
- 障害者部会の審議事項について
- 審議事項
- ○ライフステージ等に応じたサービス提供の在り方、ケアマネジメントの在り方、雇 用施策等との連携、財源のあり方等、支援費制度や精神保健福祉施策など障害者施策
の体系や制度の在り方に関する事項
- ○「精神保健及び精神障害者福祉に関する法律」の規定により本審議会の権限に属さ れた事項
- ○「心神喪失等の状態で重大な互い行為を行った者の医療及び観察等に関する法律」 の規定により本心議会の権限に属された事項(処遇改善の請求による審査に係わる事
項を除く)
- 当面のスケジュール
- ○3月2日に開催。以後2週間に1回程度のペースで開催を予定。
- ○当面、障害種別を越えた(三障害共通の)障害者施策の体系や制度の在り方につい て介護保険制度との関係を含めて議論し、大きな方向性について6月を目途にとりまとめ
- ○障害種別ごとの個別の法律改正事項等は秋以降に議論。
(参考)これまでの審議事項
- ○平成15年度から実施される障害者福祉サービスの新たな制度(支援費制度)の施行に向けた議論
- ○「精神保健及び精神障害者福祉に関する法律」の規定により本審議会の権限に属さ れた事項
この後、障害者施策の状況について、資料の説明が厚労省よりなされ、具体的な審 議に入りました。
まず、安藤委員(聾唖連盟)から 「障害者部会の審議事項で、”今後の大きな方向性をとりまとめ”とあるが、これは 介護保険への統合の是非をとりまとめるということだと思う。肝心の障害者団体が結
論でていないし、時間的に難しい。支援費制度がはじまって一年で、支援費の理念に そって改善していく事が先決ではないか。介護保険との統合の検討については、余裕
をもって審議していくことが必要である。」 との意見が出されました。
また、福島委員(東大助教授)からも、 「安藤委員がおっしゃったように支援費が始まって一年足らずの状況である。支援費 の制度設計をしてきたが計画性に甘さがあり、審議会のメンバー、行政側、障害者団
体側それぞれに責任がある。今後、新しい制度設計をする時には同じ事を繰り返さな いように慎重にすべきである。結論ありきでなく、きちんと議論する事が必要であ
る。
支援費制度と介護保険との基本的な枠組みの検討がなされるのなら、昨年から障害 者の地域生活支援の在り方検討会で精力的に検討されてきているし、また、障害者8
団体で介護保険の勉強会をしていると聞いている。この部会の中で障害者団体のヒア リングをする場を設けて欲しい。全部の団体が無理なら、少なくともここに委員をだ
していないDPI、JDからヒアリングして、それ以外の団体はヒアリングに相当す る発言をしていただきたい。介護保険との関係は大きな分水嶺である。障害者団体の
意見を聞く事は重要である。」 との意見が出されました。
このように、最初は介護保険との統合については、支援費の現状分析を踏まえ慎重 に審議する必要があるという意見が出される一方で、続いて高橋委員(立教大学教
授)からは
「支援費が導入された時点と、今とは全く判断が異なる。三位一体の改革を過小評価 した発言が多い。今後、一般財源化の方向に支援費が行くことは支援費の発足時には
認識されていなかった。支援費の情勢判断、実態把握が甘かったということもある が、何よりも大きなのは三位一体改革であり、この認識を皆で共有したい。」
との発言があり、 京極部会長
「三位一体改革では国は金をださず、市町村が全てやれということである。支援費を 充実するといっても根本がなくなる。これを急いで議論していかないといけない。当
初はここまで厳しい認識が無かった。三位一体改革と介護保険はリンクしている。三 位一体改革が終わって障害者福祉について何かしようとしても、財源が国から市町村
に移った後になってしまう。ただ、支援費のエンジンが苦しいから、介護保険のエン ジンをということではない。」
間課長補佐(企画課)
「三位一体の改革は、3年間で4兆円を地方に税源委譲し、地方交付税も減らすとい うことで、自治体が裁量をもってできるようにすることである。民主党のマニュフェ
ストでは18兆円全てを地方に移管すると主張している。市町村からも一般財源化の 希望がある。現在のサービスの地域格差をそのままに、一般財源化するとこれがどう
なっていくのか。差が拡大するのか縮小するのか。そういった観点でのご議論をお願 いしたい。」
などの三位一体改革に関する発言がなされ、議論が財源論から介護保険の検討をせざ る得ないという方向に流れました。また、精神障害者の関係者からは、三障害で介護
保険に入って安定的な財源確保を望む声がでました。
このような議論の中、安藤委員から再度、
「審議事項のスケジュールとして6月をめどにとりまとめるというタイムリミットが ある。いろんな立場からの意見を集約しないといけない。介護保険の見直しもあり、
法改正も必要である。これは政府全体で考えないといけない問題であり、三位一体改 革との関連も考えないといけない。介護保険との統合を一年、二年延ばすという選択
はなくて、統合決定ということで迫ってきているように感じる。支援費も見切り発車 という反省があり、介護保険も見切り発車にならないか不安である。」
という意見が出され、これに対して、村木企画課長より
「大きな方向を6月にと申し上げたので、委員に圧迫感を与えたことはお詫びする。 仮に介護保険統合になったと仮定すると、介護保険部会でも6月までに方向性を決定
する。両方が並行して進めている。6月をめどに区切って、その後、高齢と障害と共 通の場の議論をし、そこから経済団体などの声も聞きながら、議論をすすめていく。
法律は来年の通常国会にだす。6月は区切りであるが最終決定ではない。
三位一体改革で財源委譲される残りの2兆円の内容については、夏の予算編成の前 に経済財政諮問委員会からでてくる。障害者福祉の方向が固まっているかが重要で、
三位一体改革で地方に財源を渡していいのか、そうではないのか。できるだけ皆さん のコンセンサスを作っていただいて、6月をめどに議論いただきたい。」
とのやりとりもありました。
また、高齢者と障害者のサービスを同じベースで考えるべきか否か、三障害のそれ ぞれの障害に固有な部分と共通する部分についての意見も交わされました。
今回の議論は各委員の一巡の議論を経て終了し、厚労省に現在設けられている各種 の検討会についての報告が障害福祉課、精神保健福祉課からなされて終わりました。
次回は、今回委員からでた問題を事務局が整理し、また要望された資料も用意する ということで、今後の議論を進めていくこととなりました。
福島委員から出た障害者団体からのヒアリングの提案も厚労省で検討されることに なりました。
次回は3月17日水曜日10時から、経済産業省別館1111号室で開催の予定です。
※詳細は添付の傍聴メモをごらんください。あくまでも傍聴者のメモですので、取り 扱いご留意ください。
■傍聴メモへ
介護保険と支援費の統合の結論、延期
1月には、厚生労働省障害保健福祉部長は、「3月までに結論を出したい」との発 言を行っていましたが、主要障害者8団体の合意が得られず、時期がずれ込んでいま
す。審議会の障害部会や介護保険部会のスケジュール、介護改革本部のスケジュール から、6月までが、めどと考えられています。
審議会の障害部会では、介護保険統合賛成の委員(精神障害関係の事業者など)が 大幅に増員され、月2回ペースの集中審議が行われています。
国会では、現在は年金の保険料負担問題で手一杯で、とても介護保険料負担拡大の話を できる 状況ではないため、参議院選挙後の秋に大きく事態が動く可能性が高くなってき
てい ます。それまでは水面下の動きしか見えてこないかもしれません。
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