3月19日(金)第5回障がい者制度改革推進会議の傍聴メモ等

JIL作成


政府の推進会議の今後の予定がアナウンスされる

推進会議3月30日(火)障害児・司法手続き・医療について。難病については総合福祉部会の中で議論。

推進会議4月12日(月)は交通・建物情報アクセス・所得保障・障害者施策に関する財政 について。
4月以降、第2・第4月曜日が会議。団体ヒアリングと省庁ヒアリングを第3月曜日に。

推進会議の下の子部会である総合福祉部会(自立支援法を総合福祉法に変える細かなことを話す部会)は、現在調整中。次回推進会議には示される。

------ -----------------------------

                             

■インターネット動画配信(内閣府ホームページ)
 当日資料(内閣府ホームページ)
 http://www8.cao.go.jp/shougai/suishin/kaikaku/kaikaku.html#kaigi

■傍聴メモ

※このメモは傍聴者の速記メモです。正式な議事録ではありません。会場の音声が聞き取れなかった部分や、発言者の趣旨と異なる部分もあります。取り扱いにはご留意下さい。

1.日時:平成22年3月19日(金) 13:00〜17:00
2.場所:合同庁舎4号館 2階 220会議室
3.議題:
 (1)教育について
 (2)政治参加について
 (3)障害の表記について
 (4)その他


(1)教育について
■障害者基本法の総則規定の中に、障害者の教育の権利および求められる教育のあり方を
障害者の権利条約に即して追加して規定すべきか、否か。

<意見>
幼い時から統合した教育を受けるべきである、合理的配慮、必要な支援を規定するべきである。
総則の中には、教育の権利のみではなく、労働、地域生活など様々な権利が同様に規定されるべきである。
主な権利が入るのと同様に教育についても明記されるべきである。


■教育基本法 差別禁止条項の不存在
教育基本法4条1項は、「人種、信条、性別、社会的身分、経済的地位又は門地によって、教育上差別されない」
としつつも、この中に「障害」という文言はない。「障害」という文言を挿入して、障害に基づく差別の禁止を明文化する
必要について、どう考えるか。

<意見>
明文化は必要である。

■学校教育法72条は、特別支援学校(従来の盲、聾、養護学校)について、「幼稚園、小学校、中学校又は高等学校に
準ずる教育を施す」ものと規定している。

◎この普通教育と異なる「準じる」教育という設置目的をどう考えるか

<意見>
 「準じる」の解釈が問題。「準じる」教育というのが、「障害にあわせた教育」を示すのであればよいが、一ランク下の教育を受けると言う誤解を招くような表現ではないか。どんなに重度の障害があっても「必要な支援・配慮のもとに」、「等しく」「同等の」教育を受ける権利がある。重度の障害者を排除するような表現であり弊害が大きいのではないか。」

■障害者の権利条約第24条1項が「この権利を差別なしに、かつ機会の均等を起訴として実現する(政府仮訳)」と規定している点に合致していると考えるか否か。

<意見>
・「障害の有無に基づく分離」となっている
・「準じる」という表現、特別支援学級の現状から、主には合致していないという意見




■特別支援学校の設置
学校教育法80条は、普通学校の場合と異なり、都道府県が「特別支援学校を設置しなければならない」と設置を義務付けており、さらに、同法78条は特別支援学校には「寄宿舎を設けなければならない」と規定している・

◎これらの規定は、居住する市町村から離れて就学せざるをえない辞退を予定するものであるが、障害者の権利条約第24条2項(b)
「障害者が、他の者との平等として、自己の生活する地域社会において。障害者を包容し、質が高く、かつ無償の初等教育を享受することができること及び中等教育を享受することができること(政府仮訳)という規定に違反すると考えるか否か。

<意見>
・保護者の選択権もあり、「本人・保護者の意思に反して」なのかどうかによって異なるのではないか。

・通常教育の問題点、競争の激しさに障害者がついていけない現状。現在の教育のありかた自体をい見直していくことでも変わってくる。

・特別支援教育かインクルージブ教育かの2分化した議論が予想され、急激な変化は児童に大きな負荷がかかる。
 教育の専門性、教師の質も向上も必要。今までの教育を改善しつつ、特別支援教育を尊重しつつ進めていくべき
 本会議では障害児教育の専門家が多くはない。各府省との連携、文科省の声、現場の教員、保護者、当事者の声を聞くプロセスを大事に。
 部会の設置によりさらなる議論を(清川)

・特別支援教育校の充実を障害児の親が多く要望しているが、普通校で障害にあわせた支援が行われていない状況では当然(中西)

・障害があるために教育が不十分で、合理的配慮はないのは差別である。分離が強制されている事実。少なくとも地域の学校に「学籍」を。(大谷)

・小学校を養護学校・施設ですごしたが、中学校は家から5分ぐらいの地域の学校へ通学した。
 「通っても良いが友達の手を借りない」という念書を書くようにとのことだった。自分と同じ経験を20年後の現在でもさせてしまっている現状に
 胸がつまる思い。東大阪市では、障害があってもなくても全員に就学通知が発送され、就学時検診の時に必要な支援、教育に関する希望を
 相談できるような仕組み、入り口を分けない流れとなっている。これを当たり前に(尾上)

・特別支援教育は大切。特に視覚・聴覚についてインクルージブ教育の中で他の子と同じベースの教育は困難。
 教科の学習に時間がかかり、ペース。視覚障害者は集団でのスポーツは難しい。
 特別支援学校と普通校に席を置き、交流を深める。保護者・本人が選べること、選択権の問題(角川)

・教育で重要なのは理念の明確化。教育委員会に障害当事者がいない現実。教育に当事者の声は反映されていない
 盲学校で点字を知らない先生が半数。現状の教育の分析と子供に必要な教育支援を(竹下)

・多様な子供・ニーズに応じた教育が提供される必要性。幼い時から障害者が身近にいることが重要。
 学校・親・本人の3者の合意形成によってではなく、望むのであれば必要な支援は提供されないといけない。
 合理的配慮が提供される教育がインクルージブ教育である(関口)

・教育の場面でのコミニケーション問題。大学や専門学校では、コミニケーションで解決しても良いが中学小学校などでは、
 小学校3年くらいまでは言葉の学習の支援は、教育そのもの。0.5%が聴覚障害で6万人ぐらいいる。
 全部が特別支援学級にいっているわけではない。60デシベルできっている。軽い難聴者は普通学校に行っている。
 聞こえの配慮なし。聞こえがあいまいな子供たちの文章を見るとかわいそうな文章。あいまいなまま国語や算数を教わっている。
 言語力をきちんと支援しないと。専門的な言語力の養成とテーマを絞ってもらわないと。推進会議は福島大臣から法的根拠をもつ会議にしていくと 
 言う発言があったが、文科省では、20数回教育に関する議論が非公開で行われている。
 推進会議での議論がどのように反映されていくのかが心配。法的根拠を明確に(新谷)




・小学校3年まで普通学校。S41年から特殊学級にいかされた。普通学校⇒特殊学級へ分け隔てられてきた。
 自分たちの困難さを理解して欲しい。体力づくりや作業などを中心だったけど一緒に勉強したかった。
 入所施設の二の舞になるのではないか。(土本)

・学校教育法、廃止するべき。就学通知を全ての子供が受け取れる仕組みにして学籍はその学校におくべき、
 就学時検診の時に、必要な物理的な障壁を取り除き、合理的配慮の中身を相談する場として就学時検診はするべき
 都道府県立の特別支援学校は段階的廃止。市町村立の特別支援学級に移行していく。



 視覚聴覚・虚弱児教育は現行体制を維持する必要性がある。
 点字・手話の先生、言語療育士を配置し、地域でみんなで障害児を育てていく理念のもとに教育を。(堂本)

・教育を普通学校・普通学級に一元化するというであれば、ニーズに対応をもてない。



 本人の希望保護者の希望であればそのたの形式の教育を受けることができるようにするべき。
 障害者権利条約に即して考えているため、地域での教育を基本としつつニーズ応じた教育を。
 予算はかかるが権利条約に基づいて、地元で他の子供たちと一緒のの教育を基本に。(佐藤)

・清原さんが三鷹でやっている教育やボランティア教員をリザーブしするなど、いろいろな工夫を。
 お互いの幸せを高めるためには、予算をつければすむという話だけではないとも思う。



 推進会議が運営にあたっていろいろ配慮されていること。このような会議や形式が普通いろんなところで行われていくように期待(鳩山)

・教育の専門家が少ない、いない。専門家の意味についてもう少し議論を。
 ヨーロッパ・アメリカの専門家は当事者が多い。
 日本は、専門家とよばれる人の中に当事者がほとんどいない。当事者が参画できない点が反省点。
 そもそも「特別支援教育」という言葉は適切なのか?
 普通と言うう言葉が、議論の中で良く使われるが、自分は「普通の人ではないのだ」と言う意識から劣等感を感じてきた。
 普通教育という言葉は適切なのかについても議論が必要。
 聾であるというアイデンティティ。(久松)

・学籍は、基本的には普通学級の中で一元化が基本。
 その上で、特殊な支援が必要な障害児にはどのような支援が必要なのかを本人親を含めて
 望む支援を与えていくことでないとインクルーシブ教育とはいえない。呼吸器をつけている千葉のけい損児童。
 親が吸引をしていて配慮はない。分離のない教育にもっていくこと、スピード感をもってやって欲しい。(大濱)

・強制された分離教育は、劣等性をつくる。国民性の形成、協働性のアイデンティティの形成に影響を与える。北野

・私は、重度の知的障害児の親でもある。普通学校へ行ったが、ほとんど配慮もなく、養護学校へ入れたほうが良いと判断した。
 中学卒業間近に、作業所ができたが、なかなか入れない。子供のライフステージに応じた教育を。
 親や子供に選択権を与えないということはありえない。(森)


⇒文科省や関係団体へのヒアリングを。今日の議論を出発点に。部会の設置(東室長)






(2)障害の表記のあり方について
 ■法令等における「障害」の表記のあり方については、「害」の字がマイナスイメージを与えることから、
  「障害」の表記を見直すべきとの意見があるが、これについてどう考えるか

・表記についてなぜ議論するのか。何を狙いとし、何を変えようとしているのか?
 この議論を通じで、教育・権利全てにかかわってくるという認識を。
 日本における障害者・障害というものへのイメージ・考え方に影響する。(竹下)

・障害とは「環境の相互作用」から生まれているという捉え方に変わってきた。
 そういう目的をもった表記の変更である。障害者団体やマスコミなど一定の期間の議論が必要。
 1年から2年をかけて議論していくプロセスが、大事(佐藤)

・表記を変える目的は「障害者に対する差別をどうしたらなくしていけるのか」という点で一致している。
 「害」を変えたら、差別をなくすことができるのか、平行線の議論のように思う(大谷)

・正直、変えたい趣旨がよく分からない。「害」がマイナスイメージを与えているのなら、「障」も同じ。
 障害者というイメージが変わっていけば、今の言葉のままでも良いのではないかと思う(角川)

・今問題となっているのは、障害者が通う学校は特別なもの・劣ったものであり、一般的なことの対極に特別があること。
 障害を持っている人は、特別な人、劣っている人。対極にあるのではないということで表記を変える必要性はない(中西)

・三鷹市では表記を変更した。当事者を含めてまずは議論を。結論がすぐに出なくても議論していくことが大事(清原)

・日本語がどのように変わろうとも手話は変わらない。今の社会で、障害者と呼ばれている存在・立場が存在すると言うことを自覚し
 今の社会を変えようという意識をもっているものが障害者(久松)

・変える必要はないと書いた。精神分裂病⇒統合失調症に変更。
 このようにまるっきり単語をかえたら少しは意味があるかもしれないが、漢字をひらがなに変えればすむのかというところを考えるべき(関口)

・他に多くの課題がある中、また当事者が変更に積極的でない中、おおきなエネルギーをかけるポイントではない(佐藤)


⇒一般社会が障害者をどのように表現するのか、当事者がどう発信するのかは違う。
 表示の選択の幅という意味で、石偏の「碍」が使えないのは差しさわりがある。
 自分をどうアピールするかの選択肢として。それぞれの表現方法は、自由。
 石偏の「碍」が良いと言う主張をすることも自由。
 30年に一度の常用漢字の見直し時期なので、「碍」を使えるようにするべきではないか。
 一般に広く意見を聞いて、再度この点については4〜5月に中間とりまとめとしてどうするかを図りたい。(東室長)


(3)政治参加
 ■選挙に関する情報の保障
 ◎選挙公報などの行政の提供する情報についてどう考えるか

<意見>
・合理的配慮が特別ではなく社会のどこでも当たり前になることが本来の制度改革である。
 7月の参院選に向けて、推進会議で行われた合理的配慮を世間に広めていく動きを。



 財産管理の得意不得意を支援するのが成年後見人制度であるのに、働くことや選挙権など、生活に影響がある。
 選挙権が奪われる成年後見人制度について一刻も早い対応を。(尾上)

・政見放送、国会中継・記者会見の字幕についてNHKは、生字幕がつけられないとのスタンス。
 政治的発言だけがなぜ生字幕がダメなのか。手話・字幕ともに認めていくべき(新谷)




・公職選挙法は、手話通訳者の扱いを運動員としているが、被選挙権を行使する立場からは、
 これだと運動員の数に制約があるため聾唖者が立候補した際に必要な選挙運動ができない。
 またFAXやインターネットでの呼びかけが認められておらず、聴覚障害者の立候補する環境がない<久松)

・合理的配慮:知的障害者の立場から記号投票の導入を。投票所で候補者の写真・名前が一致・認識が難しい場合がある。
写真を掲示するなどのちょっとした配慮。不可能なことではない。(大久保)

・精神病院に入っていると、例えば中野区住民票があり、青梅市内の病院に入院中だとしたら選挙のはがきは来ない。
・理念を実現化するためにマイノリティを一定の割合候補者とし、供託金を保障するなどの支援をするべき(関口)


(4)その他
今後の予定
3月30日(火)障害児・司法手続き・医療について。難病については総合福祉部会の中で議論。

総合福祉部会は、現在調整中。次回には示したい。

4月12日(月)交通・建物情報アクセス・所得保障・障害者施策に関する財政

4月以降、第2・第4月曜日が会議。団体ヒアリングと省庁ヒアリングを第3月曜日に入れていく。

HOMETOP戻る