新政権へのメッセージ
法改正なしでできる、入院時の介護制度

〜ヘルパー制度を最重度障害者の入院中にも使えるように〜

入院中の介護制度の実現の運動の歴史

・80年代 東京都の単独制度の全身性障害者介護人派遣事業(97年よりヘルパー制度の国庫補助事業)では、入院中も付き添いOKだった(市町村が認める最重度者のみ)  (障害者団体の説明・交渉によって必要性を都が認めていた)

・90年代 東京以外の何箇所かでも市単独制度として入院の介護制度が始まる       

・90年代半ばに出た、完全看護開始時の通知(厚生省の病院を管轄する局の通知)では 「(付添婦は廃止するが)家族の経済的負担にならない方法ならば、児童や知的障害者「等」には付き添いをつけていい」という例外措置あり。 ・・・・ここでいう知的障害者等の「等」には「入院時も介護者が不可欠な全身性障害者も当然含まれる」と厚生省の当時の担当者が当会との交渉の場で回答。

・これを受けて、ヘルパー制度で入院中も病室に入れるように障害福祉課と交渉。
 結果、「ヘルパー制度で病室で介護しても良いが、国庫補助はつかない」 という回答になる(97年ごろ)

・障害者自立支援法開始
 それまでの国庫補助事業であったヘルパー制度が、国庫負担になり、自治体の裁量で制度を運用するのは法的にグレーに。

・また、自立支援法開始で包括補助金の地域生活支援事業で市町村が障害福祉事業なら何でも行ってよくなり、入院介護制度を地域生活支援事業の中のコミュニケーション支援の中で実施する市町村が数箇所出てきた。
(厚生労働省の障害部自立支援室が「コミュニケーション支援でやるのなら看護師の仕事と重複しないからOKです」と自治体に回答したため)  しかし、コミュニケーション支援名目では言語障害の障害者しか対象にならない。1日数時間しか対象にならないなどの問題。  

・「コミュニケーション支援ならよい」と回答した根拠は、診療報酬の通知に「家族の経済的負担にならない方法ならば、児童や知的障害者「等」には付き添いをつけていい」という記述とともに「ただし、看護師の仕事を代替するものであってはならない」との記述があり、さらに同じ通知に看護師の仕事として「体位交換や食事介護」などが列挙されているため。

・やはりヘルパー制度本体を(必要な人には)入院中も制度対象にするのが筋。

・つまり、以下のようにすれば解決する(ヘルパー制度で入院してもヘルパーが病室についていける)  

1 診療報酬の通知の下に事務連絡を出し、「なれたヘルパーの介護が不可欠な最重度の全身性障害者は診療報酬で想定していないので、市町村が認めるような最重度の場合は、障害ホームヘルパー制度のヘルパーが病室で障害者に付き添って介護等を行ってもよい」と書く。  
2 障害福祉課からも事務連絡を出し、「市町村が特に認める最重度の障害者の場合は、重度訪問介護などで病院の中で介護していい」と書く。

  なお、各自治体で行われている入院時の介護制度は、地域ですんでいてヘルパーを長時間使っている障害者が肺炎での入院や呼吸器をつけるための検査入院時に使えるものです。施設の代わりに病院に社会的入院をしている障害者を対象としたものではありません。 肺炎などの場合は長くて数ヶ月の入院になりますが、基本的には短期入院を対象にして、市町村が認める場合は延長OKということになります。

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完全看護の通知とのからみについて
当会のHPには以下の解説記事と通知PDFを以前に載せています。

解説記事 http://www.kaigoseido.net/sienho/07/nyuinkaigo_seidokousyou.htm

昔の通知 http://www.kaigoseido.net/sienho/07/pdf/nyuinkaigo_seidokousyou.pdf

しかし、この通知はすでに廃止されています。

現在は、以下の通知に衣替えになっています。
内容はほとんど変わっていません。

「知的障害を有する患者等の場合」も同じことが書いてあります。

現行通知 http://www.mhlw.go.jp/topics/2008/03/dl/tp0305-1h.pdf#page=18
(原稿通知の対象ページへのリンク)

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この通知の構成は以下のとおりです
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平成20年3月5日保医発第0305002号
「基本診療料の施設基準等及びその届出に関する手続きの取扱いについて」
 別添2 「入院基本料等の施設基準等」
    第2 「病院の入院基本料等に関する施設基準」
       4 「入院患者の数及び看護要員の数等については下記のとおりとする。」
          (6) 「看護の実施は、次の点に留意する。」
             ア
             イ


看護は、当該保険医療機関の看護要員のみによって行われるものであり、当該保険医療 機関において患者の負担による付添看護が行われてはならない。ただし、患者の病状によ り、又は治療に対する理解が困難な小児患者又は知的障害を有する患者等の場合は、医師 の許可を得て家族等患者の負担によらない者が付き添うことは差し支えない。なお、患者 の負担によらない家族等による付添いであっても、それらが当該保険医療機関の看護要員 による看護を代替し、又は当該保険医療機関の看護要員の看護力を補充するようなことが あってはならない。


@病状の観察、A病状の報告、B身体の清拭、食事、排泄等の世話等療養上の世話、C 診察の介補、D与薬・注射・包帯交換等の治療の介助及び処置、E検温、血圧測定、検査 検体の採取・測定、検査の介助、F患者、家族に対する療養上の指導等患者の病状に直接 影響のある看護は、看護師又は看護師の指示を受けた准看護師が行うものである。 看護補助者は、看護師長及び看護職員の指導の下に、原則として療養生活上の世話(食 事、清潔、排泄、入浴、移動等)のほか、病室内の環境整備、ベッドメーキング、看護用 品及び消耗品の整理整頓等の業務を行うこととする。

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(通知の解説は以上)

■入院介護保障関係の診療報酬の通知抜粋.pdf

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