第47回社会保障審議会障害者部会の報告

 

自薦ヘルパー推進協会本部事務局

 

12月3日、第47回社会保障審議会障害者部会が開催されました。

今回は、とりまとめ前の全体議論として
4時間もの時間をとって、これまでのまとめ的な集中的議論が
行われました。
資料は前回のこれまでの議論の整理案に
若干の修正が加えられたものと
先ほど示された経営実態調査の補足資料(収支分布や級地区分ごとの収支など)
が出されています。
(本日は都合により資料の掲載はできません。申し訳ありません。
 尚、明日には福祉医療機構のWAM-NET http://www.wam.go.jp/ に掲載されると思われます)

大きく前半後半にわけての議論でしたが、
前半では特に相談支援体制とケアマネジメント、就労支援について
後半では利用者負担と所得保障、審議会の全体や報告書のまとめ方
についての議論が大きく扱われていました。

前半の相談支援体制とケアマネジメントでは今回の見直しの大きなポイントになることから、
・拠点的な窓口と自立支援協議会との連携が重要である
・都道府県の役割や広域的対応を入れるべき
・拠点的総合相談窓口をつくるべきとあるが、財源・人材面で実際にできるのか疑問
・拠点的なものをと書くとみなそうなっています。身近な相談支援事業所も必要
・拠点的にも身近なところでも、中立性がポイントになる
といった多くの意見があがっています。

就労支援についいては
この間就労継続支援B型が、就労移行支援事業を経た人などのみを
対象としていることが、かなり議論となっていましたが、
今回も、就労移行支援は働きたい障害者や潜在的ニーズに対して有効、障害者の可能性を
広げるもの、そのための職員スキルアップも必要とする賛成論(現状肯定派)と、
移行支援を経ないとB型が利用できないとサービスを受けられない人がいる。全ての人が
移行支援事業にいけるわけではないといった制度の規制緩和を求める両派で議論が平行線を辿りました。
また、今回は福祉的就労や、就労施策、福祉と労働の連携が一向に進まない現状に対して、
根本的な疑問を投げかける声がでて、財源がなければまた先送りになるとの懸念から
検討ではなく、財源を確保して具体的な一歩進めるよう求める声が意見が複数の委員からあがっており、
「早期に検討すべき」と書くべきとの意見がでています。


後半は利用者負担と所得保障の問題に意見があがり、
施設で2万5千円残ると言ったがまったく残らない、軽減策の強化と継続を求める
軽減策の資産要件は撤廃すべきといった事柄から、
今後も検討が必要と抽象的な文言に対して、
負担をしなければ生存さえ維持されないことが本当に福祉に馴染むのか、
応益負担にした合理的説明は一切ない。負担することで対等な立場になると
書かれているが、どの委員がいった言葉か、事務局の見解ではないか、
といった根本的な課題、疑問に対して納得いく説明がされておらず、
この問題が審議会内でも納得も合意もされていないことが印象づけられました。

後半の後半では上記のような根本問題から、
今後のとりまとめ方について
権利条約を踏まえた総論的なまとめが必要ではないか、
次回の見直しの年限を明記すべきではないか、
という指摘もありあました。

また地域生活関連では
国庫負担基準について長期的には撤廃すべきとの意見に対して、
基準は必要ではあるが、その引き上げは重要、実際支給量の上限として捉える市町村が多く、
説明を徹底してほしいという意見がありまました。
また、地域生活支援事業の移動支援で重度視覚障害者の外出支援の個別給付化にふれ
中軽度の知的障害者にも対象拡大が必要であるという意見もあがっています。
また、障害の範囲、サービスの対象について、
手帳要件ではなく難病を持つ人でも医師の意見書と
障害程度区分でサービスを受けられるしくみができるのではないか、
手帳制度については、慎重な検討が必要とあるが、検討をどのようにすすめるのか書くべき、
長期的課題ではこれまでと何も変わらないという強い意見が出されています。

全体的な議論を通して、3年後の抜本的見直しと掲げてはじまった審議会でしたが、
事務局のつくった議論の整理案でやはり「慎重に検討すべき」、「さらに検討すべき」

といった抽象的な表現が多くなっていることから、
委員からも疑問を投げかける意見が多く出ていました。
このままでは具体的な方向性がほとんど見えない、抜本的な見直しとは
ほど遠い報告書が出されかねないという危機感は、委員の中にもあるようでした。
今日の論議を受けて、厚労省側が、どこまで踏み込んだ報告書案を書いてくるか、
次回は注目が集まるところです。

また、12/3日付の報道で与党PTが負担の軽減策の恒常化の方針を示したしめしたと
されていますが、これが次回の議論や報告書案にどのように影響するかも注目点です。

この負担軽減策恒常化、(=厚労省のいう、実質的には応能負担化)によってのみ
「抜本的な見直しが行われる」わけではありません。
自立支援法の見直しに当たっては、他の課題も多く山積しています。
この恒常化策でそうした論点が抜け落ちないようにしなければなりません。

次回は12月10日(水)14時から開催予定で、
いよいよ議論のとりまとめ・報告書案が示されると思われます。

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