西宮市とのヘルパー上限撤廃運動報告

メインストリーム協会 佐藤 聡

注意:制度が伸びた地域への引越し希望がたまに寄せられますが、そのようなことは行わないで下さい。制度を伸ばし努力した市を財政的に苦しめる結果になり、そうなると、それを見ている周りの市が続いて制度を良くして行けなくなります(財務部が許可しなくなる)。制度は各地域に住む障害者が何年も努力して交渉して作り上げていっています。皆さんの住む市でも制度交渉を行うことで制度を伸ばしていけます。そのノウハウは当会で提供していますので、制度交渉の方法をお問い合わせ下さい。

制度係0037−80−4445(通話料無料)11:00〜23:00

1.

交渉にいたる経過

 

 4月から支援費制度がスタートしました。国は、従来のホームヘルプと同じく「利用時間の上限はつくらず、利用者の実態にあわせて、必要な時間を派遣するように」市町村に指導しています。その結果、近隣の市(尼崎市・宝塚市・神戸市など)では最高600〜720時間の支給決定が出ております。
  しかし、西宮市では最重度の障害者でも月380時間(日常生活支援)という利用上限が設けられてしまいました。これでは介助の必要な重度障害者は生活が成り立ちません。そこで、4月17日から上限撤廃運動を始めました。交渉団体は「西宮市の介助制度を良くする会(以下 良くする会)」です。この団体は、昨年の3月に西宮市在住の重度障害者が集まり、行政交渉を目的に設立されました。旧全身性障害者介護人派遣事業の利用者46人のうち43人が入会しております(自立している障害者は30数名)。

2.

西宮市との交渉の流れ

(1) 4月17日 第1回障害福祉課交渉 要望書提出  障害当事者5名が参加 21日までに6名の重度障害者が、不服審査請求提出。
(2) 4月24日 第2回障害福祉課交渉 障害当事者21名が参加
(3) 5月7日  第3回障害福祉課交渉 障害当事者23名が参加
(4) 5月19日 健康福祉局長との交渉 障害当事者25名が参加
(5) 6月12日 最終回答  このような流れで進みました。

3.

交渉記録

(1) 4月17日 第1回交渉  障害福祉課:課長・課長補佐・係長2名・主査
良くする会:当事者5名
   約10名の障害者が介助派遣時間が足らずに困っており、至急上限を撤廃するように要望書を提出した。緊急を要する問題なので、4月24日に回答を出してもらうよう要望する。
(2) 4月24日 第2回交渉  障害福祉課:課長・課長補佐・係長2名・主査
良くする会:西宮市内で自立生活を送る21名の重度障害者。
 

障害福祉課からの回答は以下の通り。

  • 月380時間の利用上限は撤廃できない。
  • 二人介助は従来どおり月30時間。
  • 深夜帯8時間の介助は従来どおり2時間まで。

 すべて何の進展もなく、従来どおりの内容だった。この回答に納得できなかったため、そのまま交渉に入った。

良くする会: 今回の要望の検討はどこで、誰が行ったのか。
課   長: 福祉局内で、局長を交えて行った。また、サービス調整会議でも取り上げたが、こちらでは討議はしなかった。
良くする会: 月380時間以上介助が必要な障害者がいるということは理解しているのか?
課   長: 理解している。
良くする会: では、なぜ月380時間の上限撤廃が出来ないのか。その理由は何か?
課   長: 予算的な問題である。
良くする会: 他の理由はあるか?
課   長: ない。予算的な問題だけである。
良くする会: では、上限を撤廃すると、具体的に予算はいくら必要になるのか?
課   長: ・・・(無言)。(→具体的な試算をしておらず、回答できず)
良くする会: 支援費が始まる前に、ケースワーカーが利用者を訪問し、生活実態を調査しているので、市は個別何時間必要なのか把握しているはずではないか。
  また、利用時間が足らない人は4月21日までに、不服申請書(審査請求書)を障害福祉課に提出しており、そこには具体的に何時間必要ということを明記している。したがって、何時間アップになるのかは、具体的に試算可能なはずである。    
  西宮市は月380時間の上限撤廃が出来ない理由は予算的な問題と言っているにもかかわらず、具体的に試算もせずに、結論をだしているではないか。いくらかかるか試算もせずに、お金がかかるから出せませんと言っている。全く理解できない。はじめから上限を撤廃するつもりはなく、真剣に討議がされていなかったのではないか。

 激しく抗議し、局内での再検討を要求した。この問題は障害者の生命に関わる問題であり、一日も早い撤廃が必要であるため、5月7日までに再度討議(@具体的にいくらかかるのか試算する Aその金額を出せないのであれば、その理由)を行い、回答ももらうこととなった。

(3) 5月7日 第3回交渉 障害福祉課:課長・係長2名・主査 
良くする会:西宮市内で自立生活を送る23名の重度障害者
 
課   長: 不服申請は、現在7名の方が出している。要望の出ている時間数を合計し、380時間をこえる時間数を金額に概算すると、年間約3800万円になる。
  現在は不服申請を出している人は7人だが、これはさらに増える可能性があり、3800万円より多くなると思われる。この金額は負担できないので、上限は撤廃しない。利用者の方々にはいままでどおり工夫をして生活してほしい。
良くする会: 工夫とは、具体的に何か教えて欲しい。
課   長: 支援費は、利用者が自らサービスを選んで生活していくもの。ボランティア・支援費の居宅サービス・支援費施設サービスなどを組み合わせてやってほしい。
良くする会: ボランティアを頼って生活することは出来ないという話は前回した。課長も認めたじゃないですか。ボランティアで介助をする人は少なくてほとんど見つけられない。また、責任感に乏しく急なキャンセルもある。たとえば、仕事が入って介助が出来なくなったという場合、障害者は非常に困る。しかし、「仕事をやめてきて欲しい」とは言えない。課長もそれは理解できると話していた。
  支援費の居宅サービスとは、月380時間のこと。施設サービスは、ショートステイなどになるが、ここにいる23名の障害者でショートステイを使いたい人いますか?
会   場: 使いたくない。(全員使いたくないと答える)
良くする会: 先に課長は「利用者が自らサービスを選んで生活する」とおっしゃった。その通り、自らがショートステイは使いたくないと選びました。だからこの選択肢は消えました。デイサービスも同じくみんな選びたくないと言っています。
 結局、課長が言う工夫というものは、居宅サービスしかありませんでしたね。月380時間しかなく、他に使えるサービスはないということがハッキリしたわけです。課長が言う工夫は具体的に何もないということでいいですね?
課   長: ・・・(無言)。
良くする会: 答えてもらわないと話し合いになりません。答えないということは、認めたということでいいですね。
課   長: 認めてはいません。
良くする会: いま課長があげた工夫というものは、全て使えないということがハッキリしたじゃないですか?他にあるのであれば言ってください。
課   長: ・・・(無言)。
良くする会: 具体的にあげれないということは、無いということですよ。無いと認めたということでいいですね。次の話に進みましょう。
 今回の回答でも上限を撤廃しないということですが、では、現在介助時間数が足らずに不服申請している人には、どうされるのですか?代案はあるのですか?
課   長: ・・・(無言)。
良くする会: この人たちが生活できるように、何か方策を検討したのですか?
課   長: ・・・(無言)。
良くする会:  上限は撤廃しない、代案も無しでは、この人たちはどうなるんですか?前回もご説明したとおり、この人たちは介助者がいないと、水も飲めない・トイレもできない・ベットから落ちたら落ちたまま、急に体調が悪くなっても電話もかけれないから救急車も呼べない。介助者がいないということは、常に生命の危険があるということです。西宮市は、市民の障害者の生活に責任はないのですか?
課   長: 責任はあります。
良くする会: あるのであれば、なぜ代案も考えず、ほったらかすのですか。重度の障害者を切り捨てて、貴方たちの生活は知りませんよと言っているわけですよ。改善案を考えてください。
課   長: ・・・(無言)。
良くする会:  障害福祉課が代案を考えないのであれば、今日僕たちは2つの案を持ってきたので提案します。 支援費の身体介助には、日常生活支援と身体介助と2つあります。利用者から見たら内容は同じですね。しかし、市からみたら事業所に払う単価が違います。日常生活支援は時給約2千円。身体介助は約4千円。倍も違うわけですよ。しかし、介助する内容は同じです。そこで、現在西宮市が支給決定している身体介助をすべて日常生活支援に変更したらどうですか? 単価が半分に下がりますので、費用は大幅に削減でき、7人といわず数十人の人に380時間以上の支給が出来るようになります。どうですか?
課   長: それは出来ません。
良くする会: なぜですか?
課   長: 事業所が困るからです。支援費制度は、介助派遣をする事業所がないと成り立ちません。事業所を守るために、単価を下げることはできません。 それに、ガイドラインとして市議会に説明し決定したことですので、変更することはできません。
良くする会: このガイドラインでは切り捨てられて生活できない人がいるわけです。ということは、このガイドラインに問題があるということです。問題があるのに、なぜ変更しないのですか?
課   長: このガイドラインは、みなさんの合意を得て決まったものです。
良くする会: 誰が合意したのですか?
課   長: 市議会や市内の関係団体、広く市民の方々の合意を得たものです。障害者団体にも話して合意しました。
良くする会: それはウソです。われわれの団体(メインストリーム協会)には「このくらいの時間数になる」という話はありましたが、合意なんて全くしなかったですよ。去年から上限を撤廃するようにずっと要望しているじゃないですか?一体いつわれわれが合意したというのですか?
課   長: ・・・(無言)。
良くする会: 合意などは全くしていません。市民の合意も得ているとおっしゃいましたが、ここにいる23人の利用者の中で、今年のはじめに市からこの話を聞いた人はいますか?
会   場: 聞いていません。
良くする会: 一人も聞いた人はいませんよ。サービスを作るときに、利用者に全く意見を聞かず、行政関係の団体に話し、それで市民の合意を得たと言えるのですか?
課   長: ・・・(無言)。
良くする会: そんなのは合意なんて言えないじゃないですか?
課   長: ・・・(無言)。
良くする会:  二つ目の提案をします。380時間の上限を設けるということは、それを超える時間が必要な人にだけしわ寄せがいっています。380時間以内で足りる人は問題ないです。市は常々「市民に公平に」と言っていますよね。これは公平ではないですよ。一部の人、ここでいうと7人の人だけ切り捨てられているのです。平等というのは、500時間必要な人と200時間必要な人に、同じく300時間提供することではないですよね。500時間必要な人に、499時間提供し、200時間必要な人に199時間提供する、これは平等です。財政の問題で、全員に必要な時間数提供できないのであれば、現在支給決定しいる人たち全員の時間数を1時間減らし、そこで浮いた時間を7人の人に回したらどうですか?これなら予算の総額を変えずに、市民に平等に、7人の時間数をのばすことができますよ。
課   長: それは出来ません。
良くする会: なぜですか?
課   長: ガイドラインで決まったことです。市議会にも説明して決まったことなので、いまさら変更できません。
良くする会: 予算を増やせないのであればこれしか方法はないじゃないですか?ガイドラインに問題があるのだから、すぐに変更すべきですよ。 。
課   長: 今年度は出来ません。
良くする会: では、時間数が足らなくて生命の危険にさらされている7人はどうなるのですか?
課   長: ・・・(無言)。
良くする会: 障害福祉課は代案を何も考えず、われわれが提案したものは出来ないと言う。一体どうするつもりですか。7人はほったらかしですか?どうぞ死んでくださいということですか?
課   長: ・・・(無言)
良くする会: 答えてください。何か方法を考えない限り、この7人は生活できないのです。ほったらかしたら危ないんですよ。何か方法を考えてください。
課   長: ・・・(無言)。
良くする会: 私たちは、市は市民の生活を守る義務があると考えています。課長も先ほど「市は市民の障害者の生活に責任はある」と言ったじゃないですか。7人の人たちが困っているので、これを何とかするために話し合いに来ているわけです。なのに、市は改善策を全く考えず、われわれが出した代案も出来ないという。話し合っても、肝心なことになると課長は黙るだけで、全く話さない。これでは話し合いはできないですよ。前回の話し合いと同じことを繰り返し話しているだけじゃないですか。責任ある回答をください。
課   長: ・・・(無言)。
良くする会: 何か話してください。黙っていては話し合いになりません。
課   長: ・・・(無言)。
良くする会: これでは話し合いになりません。責任ある回答を聞きたいのです。責任ある回答が出来る人を出してください。課長が話せないのであれば、局長との話し合いを申し込みます。早急に局長との話し合いの場を設けてください。
課   長: 局長の予定を聞いて、話し合いの場を設定します。
(4) 5月19日 局長交渉要旨 西 宮 市:健康福祉局長・福祉事務所長・障害福祉課長・係長2名
良くする会:西宮市内で自立生活を送る25名の重度障害者
 
良くする会:  4月17日から上限撤廃の話し合いは今回で4回目です。前回までは現状維持回答で、なぜ介助時間が延びないのか納得行く回答がもらえなかった。そうであるのならば、局長に直接話をお聞きしたいと思い今回この場を設定していただいた。 私たちの話したいことは380時間で足りない人がいることを理解してもらいたいのと、足らない人から不服申立がでていますが、介助の時間を延ばしてもらいたいということです。3つ要望しましたが、まずは前提として上限380時間を撤廃してもらいたいと考えています。
局   長:  月380時間というのは前年度の240時間と比べて、140時間延び、二人介助加算で31時間、全体で411時間である。これで十分であると思ってないが、15年度のスタートとして理解を得たと考える。支援費制度が始まったばかりなので、執行していく中で問題がでてくると想像していた。 不服申請は個別のケースについて検討し、個別に相談する。今回の要望は障害福祉課長から報告を受けている。前回の交渉までは、課長から「今年度中の変更は難しく、来年度からの変更に向けて取り組む」という話をさせていただいた。しかし、なんとか今年度中に変更できないか、月380時間にどう加算できるか、時期を早めて改善するように検討してゆきたい。
良くする会:  私たちがずっと要望していることは月380時間を超える支給量が必要な人に対して、必要な支給量を提供して下さいということです。月380時間まで延びてきたことは評価しています。月380時間で足りている人に関しては、西宮市で生活できるようになった。このことは西宮市の業績だと評価しています。 今回の話し合いは、月380時間で足りない人に関する問題です。いま、今年度中に改善できるように検討していくという話をいただいた。しかし、生活というものは日々やっていくものです。待てない状況があります。介助というのは生活を支え、それが一日でもないと成り立ちません。早急に改善してほしいのです。局長は月380時間以上必要な人がいるということを理解していますか?
局   長: はい。
良くする会: 今日来ている実際に時間が足りなくて困っている人達になぜ介助が必要なのか話してもらいます。
不服申請者: (介助者がいないときの生命の危険性や、夜間や2人介助など具体的に必要とする時間について、6人が順番に訴える)
良くする会:  介助がないと危険という話もでたが、何かあったときに何もできないのです。介助時間が足りないという状況は生命の危険に脅かされているのです。介助者がいなくなると危険なのは見て分かりますよね? 必要以上の時間数をくれと言っているのではありません。本当に必要で困っている人に対して何とかしてくれと要望しているのです。必要性があるということを理解していただいていると考えてよいですか?
局   長: はい。
良くする会:  具体的に上限の話に入りたい。月380時間の上限撤廃を一日も早くしてほしい。必要性については4月17日からずっと話しています。昨年度からずっと要望しています。しかし、この一ヶ月の間全く進展がなかった。介助が足りない状況で一ヶ月を過ごしてきました。何で月380時間の上限をつくったのですか?
局   長:  14年度までの月240時間の状況を踏まえて、サービス量をどう延ばすか検討してきた。必要な時間数と人数を算定しながら総額を定めて予算議会に諮った。月380時間に加算できる時間が、指摘通り31時間しかないが、今まで行政がサービスを提供できる部分と介助が必要な人を支えてきたグループや事業所がインフォーマルに支えてきた時間があったので、この部分に期待ができる、あるいはしたいと考えた。全体としては、十分ではないかもしれないけど、今の設定でスタートさせていただかざるを得ないと考えた。しかし、4月になり近隣市の月600時間や720時間の状況を受けて、できるだけ早くどう対応するか考えたい。
良くする会: できるだけ早くとはいつですか?
局   長: できるだけ早くとしか言えない。
良くする会: いつになったら具体的に改善できるのですか?生活は日々必要なわけで、その間、足りない人達はどうしたらいいのですか?
局   長: ・・・(無言)。
良くする会: 現在、足りない人はどうするのですか?皆一日一日足りなくて困っています。一日一日危険な日々を過ごしています。これは待てる問題ではありません。改善されるまでの間何とかする方法を考えてほしいです。市は市民の生活に対して責任を負っています。時間が足りなくて生活に困っている人に対しても責任があります。
局   長: 不服申請をした個々人に答えていく。
良くする会: それぞれに答えていくわけですか?
局   長: 要望の100%にこたえるかどうかは別にして、改善できるようなこたえをする
良くする会: 100%こたえてほしい。
局   長: 個々のケアプランに応じてこたえる。
良くする会: いつ回答がでるのですか?
局   長: 今月中に話を始める。
良くする会: 手順としては、話し合いをしてから決定するということですか?
局   長: はい。
良くする会: 今月話し合って、決定がでるのは来月ということですか?
局   長: 来月です。
良くする会: 個別、明記している時間に100%応えられそうですか?
局   長: 4月に出してもらっている分と比較して話をする。
良くする会: 必要な時間がでるのか心配です。
局   長: 当事者の人が困るという主張があるわけですよね。だから話をする。
良くする会: 全部飲めそうですか?
局   長: 改善に向けて努力します。
良くする会: 不透明ということですよね? 
局   長: 姿勢を言っているわけです。
良くする会: 姿勢は大事だけど、生活がかかっています。介助時間が足りなかったら生活できない。
局   長: 協議をする。
良くする会: 具体的に
局   長: 事例ごとにしか対応できない。
良くする会: 必要な時間数をすべて支給決定できるのですか?
局   長: 現行月380時間で不服だということでこの話し合いの場がもたれている。改善できる方向で話をさせていただく。それ以上は個々の話の中で受け止めてもらう。
良くする会: 個々の中で、十分な生活ができない時間数を提供するとしても意味はありません。
局   長: やってみないとわからない。個々に不服申請を出してもらっているので、個々に答える必要がある。
良くする会: 明確な答えを聞きたい
局   長: 不服申請を出している方に関しては、今月ケースワーカーが聞き取りに行き、再度、生活状況を話し合います。その上で、再度検討し、市が必要と認めた時間数はだします。
良くする会: 市が必要と認めないのは、どういう場合か?
局   長: 相談窓口(市町村障害者生活支援事業の事業所のこと。具体的にはメインストリーム協会の「ピア・サポート西宮」)の人が同席してもかまわない。決して押さえ込もうとしているわけではない。使い残した予算のうち運用できるものは運用し、補正予算が必要であれば議会に諮る。それまでの間ほっておけないということだから、対応する。
良くする会: 5月中に話し合いをし、必要だと認められれば出してもらえるか?
局   長: はい。不服申請の人とやりとりをする。
良くする会: 個別の話し合いで、必要だと認めれば出すのですね?
局   長: はい。
良くする会: 理解してもらえたことは喜ばしいです。しかし、本当にでるのか心配です。 いままで3回交渉してきましたが、何の進展もなかったからです。必要だと認められた時間数に、本人と役所の食い違いがないようにケースワーカーと話してほしい。 私たちは他の社会資源はないと考えています。ここに集まっている人は施設等を使いたいと考えていません。ボランティアも難しいです。居宅サービスしかないのが前提です。上限を撤廃することで解決してほしい。ここに集まった人は他人介護料も使った上で申請しています。
局   長: そのことを含めて話し合いをする。
良くする会: 再審査を早くやってもらいたい。再審査がうまくいかなかった場合は再度話し合いをしたい。再審査の決定はいつでますか?
局   長: 6月中に。
良くする会: 1ヶ月先は長いのではないか?
局   長: ・・・(無言)。
良くする会: 待てません。
局   長: (局長と福祉事務所長が耳打ちして打ち合わせる)いまから1ヶ月以内でできるだけ早く決定する。1ヶ月以上はかけない。
良くする会: 不服申請を出したのは、4月21日です。申請から決定まで2ヶ月以上かかるのは遅すぎる。これは不服申請制度の不備である。これからはこのようなことがないように要望します。
局   長: わかりました。
良くする会: ぜひ、再審査してもらい、良い決定が出るように願っています。

4.

6月12日 交渉結果の回答 月380時間上限撤廃される!

   6月12日10時に、西宮市障害福祉課長と係長がメインストリーム協会に来所し、上限撤廃交渉の結果について報告があった。回答内容は下記の通り。
(1) 最重度の人の泊まり介助(現状は 深夜帯8時間うち2時間/日のみ)
  深夜帯8時間で4.5時間分だします。 140時間/31日 → 2.5時間増えました!
(2) 月380時間上限の撤廃  (現状は、日中320時間/月)
 

日中の時間{24時間−8時間(泊まり分)=16時間(これが日中の最大の時間)}は、個別に判断し、必要な時間を支給します。→これで上限がなくなりました!
一人介助の部分だけで見ると、
{16時間(日中)+4.5時間(夜間)}×31日=635.5時間/31日
  最大635.5時間まで支給されます。

 現在西宮市には、24時間介助を求めている人がいません(家族同居や、一人の時間が欲しいといった理由で)ので、この時間数の支給決定はされていませんが、今後24時間介助が必要な人が出てきたら、635.5時間支給されます。また、生活保護の他人介助料も加えれば、24時間介助が可能となりました。

(3) 二人介助(現状 31時間/31日 1日1回1時間の利用制限あり)
  @お風呂介助 31時間/31日 回数と1回あたりの時間制限なし。
Aその他の二人介助は、個別に判断します。
  たとえば、今回不服申請を出していたS.Cさんは、81時間/31日出ました。
(4) 今年度、生活保護の他人介助料を受給してる最重度の人は、そのお金を夜間介助の増えた分(2.5時間)に当てて欲しい。来年度からは、夜間も支援費で支給しますので、他人介助料は無くなる方向です。

この決定を受けて、7月1日現在、西宮市で一番多い支給決定は630時間(家族同居 二人介助80時間含む)です。

5. 今後の課題
   4月から行ってきた上限撤廃運動は、こちらの要求をほぼ達成することが出来ました。当事者が力をあわせ、結束して行動した成果だと思います。
  また、その影には今年1月の厚労省120時間上限撤廃運動の成果もあったと思います。西宮市からも多くの障害者が参加し、経験を積みました。その経験が生かされたのです。
  しかし、全面的に解決したわけではなく、課題も残っています。今後は、@夜間介助を8時間に認めさせること、A二人介助の利用制限の簡素化、B入院中の介助利用を認めさせること、などに取り組んで行きたいと考えております。
  西宮にメインストリーム協会が設立されたのは1989年の11月です。24時間介助保障の実現は、設立からメンバー全員の長年の夢でした。「いまごろかよ?」と言われるくらい時間がかかってしまいましたが、ようやく実現することができました。この運動に携った一人として、これ以上の喜びはありません。あきらめずに、行動し続ければ、実現するんだなぁと実感いたしました。
  今回の上限撤廃運動は、携った一人一人の障害者に大きな達成感を与えてくれました。これは、今後の西宮の障害者運動に必ずや良い影響を及ぼしてくれると確信しております。
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