ご注意

 これは傍聴者の個人の要約メモですので、細かい発言内容に間違いや抜けも多いと思います。あくまで全体の流れの雰囲気を感じる参考にとどめてください。

 転用はお断りいたします。順次訂正していきますのでほかの方にお知らせする場合はホームページアドレスのみお知らせください。繰り返しますがこれは短時間で個人がまとめたメモですので、委員各自の発言内容を正確に反映できていませんので、これをもとに各委員に対し抗議や批判を行うようのないようにお願いします。

2004.4.20  10:00〜12:00

第10回社会保障審議会福祉部会・生活保護の在り方に関する専門委員会 傍聴メモ

自薦ヘルパー推進協会本 部事務局

(※このメモは傍聴者のメモであり、議事録ではありませんので、取り扱いご留意ください。)

出席委員

岩田正美委員長(日本女子大学教授)、石橋委員(熊本県立大学総合管理学部教授)、大川昭博委員(横浜市福祉局ソーシャルワーカー)、岡部卓委員(東京都立大学教授)、京極高宣委員(日本社会事業大学学長)、田中亮治委員(全国救護施設協議会会長)、根本嘉昭委員(神奈川県立保健福祉大学教授)、布川比佐史(静岡大学教授)

(最初に岩田委員長より、前回のまとめと今日の議題についての説明を行う。)

事務局(岡田保護課長)

 資料説明。
 p1は稼働能力の活用に係わる論点について。稼働能力活用に係わる用件については、要保護者の病状、資格、職歴、就労阻害要因等の把握に基づいて、より客観的に判断できるようにすることが重要ではないか。 家督能力を具体的に客観的にどう評価するか。自立支援について、単純な金銭給付では自立できない、もう少し踏み込んだサービスがないと自立につながらない。
2pに具体的な問題を表にして掲げた。金銭管理ができない、自分で家事ができない、多重債務を抱えるなどの日常生活の問題。病気、服薬、対人関係、精神障害、アルコールなどの健康面の問題。就労習慣ができていない、朝起きて会社にいけない、就労経験が少ないために技能が身に付いていない、子育て・介護のため就労できないという就労面の問題。金銭給付だけでなく踏み込んだ自立支援をしないといけないのではないか。
 資料のp3。地域で様々な支援サービスをそろえて、要保護者に個別に提供していく視点が必要である。諸外国における公的扶助の見直しは、福祉から就労への流れがある。現金給付から就労支援、社会支援サービスに替わっている。諸外国では普遍的に見られる傾向である。
 生業扶助とともに扶助以外の実施が必要でメニューが不足している。被保護者に応じて具体的に支援することが必要である。各種機関、地域の社会資源を活用する。自立に向けたメニューをそろえていく。
 4pは勤労控除の在り方について、制度の概要を説明している。勤労控除の趣旨は勤労に伴う必要経費を補填するということ。本来の趣旨として、勤労に伴って被服、教養のために経費が必要であるということで設けた。もう一点は勤労意欲の助長という趣旨である。
5pに、勤労控除は4つの種類がある。基礎控除は上限33,190円まで収入に応じて増えていく。
 特別控除は年間の臨時的な需要に対応する。収入額の1割を上限として一定額を認める。
新規就労控除は新たに継続性のある仕事に従事した場合で、6ヶ月間にわたって認定する。
未成年者控除は、20歳未満の人が就労した場合に一定額を控除する。
 この他に、通勤費、社会保険料が実費で控除される。
 6pに計算の方法を書いている。勤労収入は3ヶ月の平均で計算する。収入額に応じた勤労控除額を差し引いて、通勤費・社会保険料などの実費を控除している。
 世帯類型別にみた平均勤労控除額は母子世帯が一番高い。世帯別の平均控除額は総数で約22,000円。母子世帯は25,000円。
 8pの資料は、勤労控除の過去の経緯である。昭和23年に、業種別の基礎控除として創設された。第一類が非稼動の人をもとに算定したため、稼動している人の追加栄養分を考えて作った。収入とは関係なく定額だった。労働の強度の応じて設定する仕組みであった。その他、勤労に伴って必要となる経常的職業経費を差し引く方法だった。 昭和41年から、収入金額別基礎控除の方式に変わった。収入に比例する現在の方式になった。職業別の控除限度額が設けられた。
 61年の改正の内容は、勤労に伴う必要経費を補填するというこれまでの正確を維持ししつつ、職種区分を撤廃し、収入金額比例方式に一元化した。特に、勤労にともなう知識・教養のための経費を反映させた。
 職業関連経費の支出状況から約20%、一定額を超える部分からは7%とした。これはA点からB点までは控除は収入の20%ずつ増える。B点を越えると控除は7%ずつ増える仕組みにしている。
 職種間の経費の差がなくなっているので、職種区分は撤廃した。世帯で2人以上の働く人がいる時は、職業関連経費に共通する部分があることから、2人目以降の控除は減額される。
 保護開始時の要否判定については、これまでの業種別基礎控除に含まれていた追加栄養量補填分を顧慮し、基礎控除額の70%の扱いにした。

岩田座長

 稼動能力にかかわる論点について、自立助長の中で就労支援を行っていく時に、稼動能力の判断基準が必要になる。日常生活や健康にかかわる問題を抱えているケースの場合、どのように支援するかを開発していかなければならない。
 勤労控除に関しては、資産保有の問題がある。自立助長の観点からどのようなことが考えられるか。
 教育扶助などの別の扶助との関係で自立助長を促すような改善がどうあり得るか。
 特に議論の順番はつけないが、そのしきりを意識していただいて発言をお願いしたい。

布川委員

 資料に対する質問したい。p6に世帯別の勤労控除の平均額がでているが、この資料の数字は基礎控除のみなのか、それとも特別控除や新規就労控除などの控除も入っているのか。

事務局

 勤労控除の額は基礎控除だけでなく、実費控除(通勤費・社会保険料)についても含んだ額である。この場合は、12万弱の収入があることの前提で、約26,000円の勤労控除額となる。控除額の内訳の詳細はでていない。

布川委員

 それと関連して。 勤労控除にもいろいろ種類がある。新規就労控除は継続性のある仕事でないとだめだが、今の雇用は不安で、継続できるかどうかわからない。継続性についてどう判断するのか難しい。
 こういった内容についてもデータが欲しい。

事務局

 これは後で、資料をだす。
 新規就労控除については、不安定で一過性の就労については8,000円を控除するという制度もある。

岩田座長

 ご意見を。

京極委員

 議論は全体をアバウトに進めるのか。柱建てに沿ってやるのか。

岩田座長

 自立支援については、今までも、事務局・委員・自治体から資料がでている。今回の資料だけでなくトータルに議論する。
 先ほど説明した枠組みで話をすすめる。まず、扶助の枠組みについて。

大川委員

 教育扶助は高校まで認めるのか。最低生活か、自立助長かの整理が必要である。この間のいろんな動きや雇用状況を見ると、高校は最低生活に位置づけて良い。しかし、生活保護法は義務教育までとしているし、教育基本法も同じである。法との絡みもあるが、最低生活として高校進学を認めて、法を変えるのか、施行規則で対応するのか、それとも生活扶助で位置づけるのか、方法はいくつかある。

岩田座長

 生業扶助と教育扶助を考えると、最低生活と自立助長の関係が難しい。学歴は高い方がいいし、技術も身につけた方がいい。しかし、生活保護でどこまでやるか。その両方を踏まえての発言なのか。

大川委員

 ウェイトとしては最低生活として高校は必要という意見である。

京極委員

 最低生活だけでなく、貧困の再生産をどう防ぐかという視点が大切である。児童擁護施設の育英基金に関わっていたり、残留孤児の調査もした経験から言うと、現状に見合った水準にすることが重要。
 今は昔と違って就業形態が変わっている。仕事を始めるための資金を貸し出すこともあっていいのでは。

岩田座長

 貧困の再生産を防ぐことは大事である。実態からみると、高校進学を最低生活に認めると貧困の再生産を防ぐことになるのではないか。

根本委員

 生活保護の最低生活は一般との相対的な位置づけであり、現状では高校までは必要である。

岩田座長

 3つの観点がでた。一般の高校進学率との観点、最低生活の保障の観点、貧困の再生産・自立の助長の観点、この3つの観点で高校進学を認めていく。この委員会ではその方向で結論をまとめていく。

岡部委員

 私も教育扶助について意見をまとめてきた。
 生活保護世帯は、教育にかかるコストが一般にくらべて低い。単に高校進学を認めるということでなく、教育費の水準について、補助教材・塾などの経費もトータルで考えてふさわしい水準に設定して欲しい。

岩田座長
 今意見がでた水準についてはどうか。生業扶助にもかかわってくる。
 生業扶助も、その言葉自体も古く、状況がかわってきている。岡部委員は(提出資料で)訓練・教育支援と書いているが、職業訓練をリストアップすること、それと、何かを始めるときに資金を供与する、いくつかの種類がある。一定の経済給付、あるいは貸付もある。

布川委員

 その議論との絡みになるが、教育扶助は高校の進学を認めるという議論の方向だが、現在は一般的に高校も中退が多い。中退して再度教育を受けたくなったときには、教育扶助なのか生業扶助なのか。教育扶助で対応できるのか。

岩田座長

 いろんなパターンがある。高校だけではなく、職業専門学校をどう考えるか。

布川委員

 (教育は)能力訓練なのか、基礎的な教養を身につけるためのものかの整理ができるのではないか。

大川委員

 私の経験では夜間高校を生業扶助で認めたことがある。今の生活保護の仕組みでもできる。高校を最低生活と位置づけると今の話と結びついてくるので。

岩田座長

 生業扶助について。

大川委員

 生業扶助は使いにくいと言われる。枠組みが今の就労状況にあっていない。生活扶助の生業費は小規模の事業を営む場合で、今はこういうケースはすくない。生業扶助で想定している支援のありかたを整理して、それに必要な扶助を考える。
 就労に直接つながるような免許の取得、専門学校について、福祉事務所が認定する用件が厳しいのではないか。仕事に結びつくことが確定していないとお金をださない傾向がある。

岩田座長

 大変難しいが、就労に関する外部環境は大きく変化している。訓練の内容も変貌している。生活保護の中でどこまでできるのか。就労支援のプログラムは外部に委託することになるが。生活保護世帯に関しては、特別な待遇をしてもらって外部サービスを使う。そういうパターンがある。
 一つは制度内で最低やっておいたほうがいいこと、例えば高校進学。
 今は仕事に結びつく時に生業扶助を認めている。それをゆるめて就業への具体的なプランがあれば認めていく。生業扶助の際に計画立案があって、それをワーカーと相談しながら本人が作っていく。社会福祉法の趣旨で行くと本人が計画を作っていく。その中で必要不可欠なスキルのアップ、獲得の必要があったときに検討していく。これも認めよう、あれを認めようと言うのは考え方から難しい。そういうことでなく、見直しを含めて計画を作ってやってみる。自立支援にウェイトをおいて、重心をおいた上で利用する。
 こういう資格は生活扶助でいいとしてしまうと、ケースバイケースの対応ができない。むしろ支援計画を作った上で、生業扶助の表現は抽象的にする。その方が利用しやすい。しかし、整理はしておいたほうがいい。職業上の技能・知識、就労する場合の費用、小さな事業を始めるときの費用。現在もわかれているが、今風にアレンジして。

岡部委員

 生業扶助の観点、現に生活保護受けている人だけでなく、恐れのある人にも適用する。生業扶助を単給で扶助することは、実態はほとんどやられていない。
 生活保護になりそうな人が利用する場合、今生活保護の人が利用する場合、わけて考える。
 生業扶助は何を指すのか。名称と内容が知られていない。利用者のかたに理解できる仕組みにしていく必要がある。
 3点目は制度的なしばりがあって使い勝手悪い。もう少し緩和、弾力性のある制度にする。
 現行制度の中でやるのか、外でやるのか。現行では制度内で就労支援員の配置をやっていて、成果をあげている。これは拡充して欲しい。
 提出資料の中では訓練と教育支援といういうことで生業扶助を位置づけている。
 生業扶助を使うにあたって、自利支援のノウハウ、プログラムが蓄積されていない。今後重要である。

京極委員

 これまで被保護者は非稼動能力とみなして就労を期待していなかった。これを潜在的な労働力として考えると、自立支援が大きな役割をもつ。就労支援は労働行政でもやっているが、ジョイントがどうなっているのか。一般の救護者に対する職業訓練はどうしているのか。介護保険のヘルパー2級をとって仕事として相当広がっている。
 岩田座長の言った支援計画は賛成。ハローワークと協力して。ハローワークは国家公務員、生活保護のワーカーは市町村職員。立場はちがうが、柔軟な対応ができないか。

岩田座長

 労働行政とのつながりについて。

事務局

 労働部局とは協力してやっている。ハローワークのOBに協力してもらっている地域もある。 ハローワークに行く前に問題抱えている人もある。母子家庭でうつ、ひきこもり、精神的な問題をかかえているかたがいる。ヨーロッパはボランティアが通勤の支援をするNPOがある。精神的な支援、職業訓練をきちんとやらないと仕事につながらなない。
 生業扶助のお金だけでは自立につながらない。生業扶助を出す時の費用対効果も考えないと。就労に行く前に大きな壁があって、そこに手が届いていない印象がある。

岩田座長

 問題解決型の支援に結びつく、そことセットとなって生業扶助が生かされる。こういうものが整ってくると、保護の対象にならなくても、もっと一般的なケースに対応できる。就労のところを支えると生活保護にならないで住む可能性がある。 逆に生業扶助がしっかりすると、貧困のわながなくなる。単給で考えることもあるのではないか。
 全体的な支援のありようと重なってきたので次に移りたい。
 勤労控除と資産保有の問題がある。車の保有など。就労だけでなく社会参加もある。“自立”を社会福祉法の新しい理念でとらえると自立の見方もかわってくる。そういうところも踏まえて議論を。

大川委員

 勤労控除については、現行の考え方では金銭で一律となっている。今後、自立支援を考える場合、福祉的就労と一般就労とをわけて考える必要性があるのではないか。作業所、NPOなど生活保護からの脱却ではなく、社会参加、地域の一員としてかかわる。そういう場合を認めて、高い勤労控除を認めるべきである。
 正規の仕事を探していたが、郵便局のアルバイトが入った。そういうケースも勤労控除を高くすべき。
 能力活用を求める保護者に関しては、保護の開始時から資産を認める。
 新規就労控除も非常に額が限られている。 私の相談の経験では、就労する際に病院で健康診断を受けることが必要だった。その人は生活保護ぎりぎりの基準だったので生活保護は廃止したので、問題にはならなかったが。就労した初期は経済状況は不安定である。新規就労控除額のアップをする、対象についてもゆるめて柔軟化を図る。

岩田座長

 勤労控除の中身を整理してはどうか。難しいけれど、おっしゃることはわかる。技術的な実施の難しさはあると思う。 一時的な就労をどう考えるか。生活保護は一般の社会生活との整合性がでてくる。控除の幅を大きくすると逆に貧困の罠もでてくる。どういう幅の段階にするかもある。安定な就労をするための貯蓄を認めていく。それと生活保護の廃止とセットして。勤労控除で自立支援計画を連動させてやっていく。

大川委員

 今の指摘は事務局の資料4pでもある。
 現行の控除も活用するとかなり解決できる部分もある。

京極委員

 先ほどの扶助の種類と絡むが、自立のためのステップであるなら、期間の限定は重要。原則は6ヶ月、後はないということでがんばってもらう。ずるずるひきずることは、貧困の罠になることもある。
 生活保護制度の幹と枝葉の部分はわけて考えて、枝葉の部分は短期で使う。ケースワークとしてきちんとがんばってもらう。高校教育への扶助を出しても3年で終わる、そういうタイムスパンを明確に示す。

布川委員

 そのへんをどう考えるか。就職して保護を抜けられるように控除を設定する、そのためには期間をくぎって全額を控除して自立にむける。  しかし、仕事そのものが今は不安定である。自立できる金額の仕事なら良いが、多くはそうならない、保護のお金を足しながら暮らしている。そうするとその控除をなくすと厳しい。
 積極的な就労の控除を高めるのはいいが、ぎりぎりのところの仕事で控除がなくなるのはきつい。そこをどうするのか。

岩田座長

 布川委員の指摘は資料の最後の所だと思う。仕事を始めて安定したら抜けられる人には、おもいきって全額控除、貯蓄を認めるということがある。
 しかし、一時雇用、パート・アルバイト的な仕事があって、生活保護の大半の人がそちらのタイプとすると、就労の仕方をどう認めて、エンカレッジしていくのか。たくさん働くことでなくて、少しでも働けることころがあれば、先ほどの福祉的就労とも似てくる。その時に控除の問題をどうかんがえるのか。

岡部委員

 勤労控除は事務局から説明があったように必要経費論と自立助長論が合体して、現在は自立助長論を強めている。これを必要経費に特化させる、もしくは、自立助長に特化する。それがひとつの方策ではないか。
 私のペーパーでも書いたが現在の仕事を継続することで経済的な自立に結びつく時もあるし、そうでない時もある。これをわけて考えられないか。
 勤労控除が自立助長を目的とするなら額を増やして、将来の自立支援のための資金にする。稼動収入は収入認定から除外して自立支援資金にする。 経済的な自立を果たすパターン、就労しながらも生活保護をうけるパターンとあって、それを勤労控除という制度が、どういう位置づけにするかで内容がかわってくる。自立の観点からは、一定の稼動控除を認める。両方をタイアップしてインセンティブを高める。勤労控除の正確付けを明確にして、方向付けをする。

岩田座長

   すでに勤労控除の視点については就労インセンティブに移っている。この委員会としても今はそこが大事だという認識で、しかし、就労のありかたは多様だということで、インセンティブも対応によってちがう。そこを踏まえた上で検討する。多様な差異をもったインセンティブを考える。そうすると一般との均衡もはかれるのか。勤労控除の全額控除も期間限定とすると有効ではないか。その場合、タイプをよく見ることが必要である。
 そうはいってもいろんな問題をかかえている人がいる。就労支援をする人の配置の問題。自立助長をするサービス、どんな方策があるか。

大川委員

 今までの話、生業扶助の話もでていた。全ての人が扶助を使うわけでない。
 就労支援は生活保護を受けている人も誰もが受けられるべきである。生活保護はワーカーがつく。それに就労を含めた支援をうける必要がある。本当は、生活保護になる前にそういう支援、全ての人に就労支援が必要である。
 生活保護の人は、就労の時に生業扶助が受けられる。
 職安、労働行政を中心に就労支援の施策に取り組まれている。障害、母子家庭は優先が明記されている。生活保護についてはこれが明記されていない。現場で配慮しているところはある。労働行政で生活保護を意識していく。社保審の全体部会でも意識して欲しい。
 個別の様々な支援を必要とするかたがいる。職安につれていく支援にエネルギーを使っている。具体的な事例については提出資料としてだした。こういうケースが全てではない。我々にとって小さなことに受給者がつまずいている。それに対して社会的な支援が必要である。
 福祉事務所が積極的に就労支援すると位置づけられていない中で、ワーカー個人が努力して取り組んでいる。就労支援とプログラムをはめこんでいくことが重要である。

岩田座長

 生活保護を利用することになると、そうすると差しあたりの生活が安定してくる。そしてその時期を見計らって就労支援の計画を作っていく。ある期間の中で見直しをしながら、ゴールが就労である場合もあるし、高齢者の場合はそうではない。そういうものを本人も自覚する中で、計画を作っていくステップが必要である。
 具体的な問題解決のために、アルコール依存、借金などは福祉事務所での対応は無理で、別の機能に結びつける。その場合は、契約をする。社会福祉法の理念にもとづいて。いついつまでにこうするという計画を作って、契約をして、それを裏付けして。計画は短期で見直す人、長期で見直す人、それぞれある。

布川委員

 私がメモでだした意見もそういうイメージである。ドイツでも職安と福祉の連携は難しい、去年も大きな制度改革をした。私としてはドイツらしくない改革だと思うが。
 一つは総合的支援、就労だけだなく、病気、家事、育児、家庭の問題をどう総合的に、時間をかけてやっていく。まずは保護を受けて生活がおちついて、アセスメント、総合的な計画、支援を受けて実際に能力を発揮する。
 核になるのはどこか、マネジメントを責任ある人がする。
 長期的に計画をもつことがあらためて大事だと今日の議論からもわかった。
 そして、決めたことには受給者、実施期間も責任をもつ。きちんとやっていく。

岩田座長

 布川委員の支援計画はこれをきちんと契約としてやるということ。

布川委員

 同じ対等な立場で。

京極委員

 支援計画はワーカーが作る。生活プランは受け手も支え手の両方が作って、それが生活保護の給付の条件にしてもいい。ただ、ケースバイケースもある。救護施設に行く人、就労に行く人、両方あっていいい。
 これはワーカーの能力が大事。ワーカーのスーパーバイザーをおくことも必要。こうすることで、生活保護から抜けだせる人がふえる。本人にとってもいい。

田中委員

 生活保護世帯の人から相談を受けた。子供の教育について、生活保護で中学をでて、本人は中学をでてすぐ就職するよりも、高校に入って少しでも自分の希望する職につきたいという。 生活保護世帯はつらい生活もしている。このまま生活保護のままで高校にいくというのは、今までの経験から、生活保護を受けながら高校進学するのは忍びないと親は考えている。この場合、返すという前提で、高校へ行く間、育英資金をもらって、働けるようになったら返す。そういう制度があれば。生活保護ではないけれど、育英資金で高校に行く、そうすることでつらい立場にたたなくてもいい。
 施設の立場ではなかなか相談にこたえられない。生活保護で高校にいくのがいいのかどうか。育英資金が有れば別の精神で進学できる。その世帯の生活保護脱退の道が開けるのではないか。
 そういうことも今後の在り方、そういう思想も加味して。今後考えていってはどうか。

岩田座長

 貸付については生活福祉資金貸付制度がある。生活保護の周辺にある低所得者向けの制度がある。利用者にとってもかなり使われてきている。それが上手く使われていないの実態もある。

田中委員

 私もそれもわかるが。収入認定されない、育英資金のようなものがあればいいのではないか。

京極委員

 それはわかる。
 高校が生活保護で認められたら、その後は大学、専門学校の希望になる。
 大学も、今は、学内の奨学金がある。しかし、入学金はまかなえない。入学金に対する補助、そういうのができると意欲がます。
 入学金がないために、進学をあきらめている人がいる。もうちょっとステップアップできる人がいる。これは生活保護でない制度での対応するのが望ましい。

岩田座長

 日本の今までの仕組みは貸付は生活保護の外でやってきた。貸付を生活保護の中にいれるとまた体系を考えないといけない。
 しかし、給付だけでなく貸付という選択もあっていい。

岡部委員

 自立支援の積極的なプログラムの話。相談から能力活用の機会の提供の流れをきちんとマネージできる、そういう人的な体制がどう作れるか。現行では福祉事務所のワーカーは平均2〜3年の経験年数。そういう人の体制を考えないといけない。
 社会福祉士という制度の資格の要件は福祉事務所の職員にはハードルが高い。何年経験しても受験資格をえられない。2〜3年で資格を得られるようにする。その中でマネージする経験を積ませる。
 あとは、組織の中でのキャリアアップをするための仕組みが必要である。
 自立支援のためのプログラムは多様である。就労の場に行く前の問題、健康の問題、生活の管理。それに対するプログラムが必要となる。能力の活用、一般就労、福祉的就労、社会参加的なもの、それぞれの人にあったプログラムを確立する。
 生業扶助が就労支援のための扶助なら、地域生活に関わるための扶助を作らなくて良いのか。他の扶助で対応するのか。そういう議論をしないといけない。
 精神障害者が社会復帰する場合、投薬・通院の管理→地域社会に参加する、ボランティアする→一定的な福祉的な就労→一般就労という流れを作る。自立支援の枠組み、それぞれの就労支援、健康支援をどういいうふうにしていくのか。それを整理して、教育扶助、生業扶助で対応し、足りなければ新しいものを作る。

岩田座長

 プログラムとして何らかの計画、支援者・利用者合意の上で、それぞれの自立を探っていく。扶助は経済給付であり、計画に必要な裏付ける費用を扶助で対応していく。プログラムは費用がかからなくてもできるものもある。仕組みが大事。
 私は扶助の種類を増やすのは賛成でない。
 生活保護は権利なので、計画を作らないと受けられないということはできない。しかし、自立のための努力は義務とされているので、お互いが納得できる形の計画を作る。

石橋委員

 随分前に、諸外国の自立支援の仕組みを調べた。生活保護制度の中でどこまで引き受けるのか。自立助長を強調すると生活保護制度の中で支援の範囲が決まってくると思う。勤労控除もそうだが、資産も大幅に緩和していいのではないか。自動車も認めていく。判例も見ると4条に引きずられている。自立のために必要な資産はどんどん認めていいのではないか。
 これまでも契約するという考え方はあった。対等な当事者として契約を結ぶことは賛成。しかし、以前に批判があったのは、契約といって被保護者が一方的に義務を課せられるのではないかという指摘だった。20年前の議論だが。
 職安で、専門の人が対応するわけでない、アセスメントもない、不服申し立てもない。制度を整備して、こういう対応をするというのを明確にする必要がある。
 仕事について、低賃金や保育料などで結局生活保護にもどる場合もある。そういう対応も踏まえて契約するのであればいいと思う。

根本委員

 稼動年齢層を中心とした自立の議論をしている。高齢者層とはきちんとわける。
 今の議論では資産を認める、貯蓄も認めるという話になっていた。貯蓄を認めると今の生活保護基準に余裕があることになる。現行の基準はラインであって、一定の幅があるという確認する必要があるのではないか。生活保護基準については、国民生活との相対性で考えるとされた時から、幅があるということになっている。
 岡部委員の(地域活動・社会参加にかかわる扶助についての)提案については生活扶助の中でそれをカバーするものがある。
 事務局案でうなずけるものが多い、それができるかどうかは福祉事務所の取り巻く環境もある。資源を投入しないと。特区を活用して時限的にやる方法もある。

布川委員

 月に何回か職安にいけばいいということではなく、キャリアカウンセリングが必要である。再就職支援の会社がノウハウを作ってきている。そういう動向をいれていく。
 稼動能力の活用の機会を提起できないままに、ただ職安にいきなさいだけではだめで、キャリアカウンセリングをしないと。労働行政では職安のお金で雇用する会社にお金がでている。一人100万円かけてしっかり就労をやる。その人が2〜3年の仕事につけば、一年の保護費用以下である。稼動能力のある人、アセスメントをしっかりして、手厚くやっていく。費用対効果からもいい。

田中委員

 次回は、保護施設の問題がでてくる。
 保護施設の在り方というより関連の制度の問題として、救護施設は生活保護法の中にあり、入所から地域の流れにある。個別支援計画をつくりながら、自立・地域生活への努力している。その中でどうしても、その流れを阻害する要因がある。救護施設は県で1ヶ所しかないところが多い。入ってくる人は幅が広く、他県の人が入ってくることも多い。救護施設の性格上、長い間でそういう実態が生まれてきた。地域生活、通所に戻すという努力をしたときに、実施機関の変更の問題がおこる。施設を出る人は結果的に施設のある地域に集中する。スムーズに受けられない。
 我々も一人でも、二人でも地域にだしたい。市町村は地域にだした後は我々が受ける、どんどんだすのは辞めて欲しいと言われる。今の制度では負担の問題が大きい。今後、市町村への補助率が下がってくる。一層そういう問題がおこってくる。
 地域にだして、その地域で一定の期間、保護を受けざるをえない。制度全体への悩みがある。そういう問題に補助率での若干の調整ができるのか。
 いずれ保護施設の問題はやるが、関連してそういう問題がある、この問題も検討をお願いしたい。

岩田座長

 その問題については、地域間の移動もある。公営住宅、就労のための移動などで、類似の問題が起こっている。
 地域に生活保護利用者が集中する。均等にばらついているわけではない。この問題はいずれ議論する。
 根本委員の言うように特区で良いプログラムを走らせる。今の状況だと自治体は保護者が地域に増えることは望まない。良いプログラムを作って自立できるようにする。生活保護にネガティブにイメージがある。それをかえていきたい。

岡部委員

 根本委員より社会参加に対する扶助のはなしがあった。
 現状でどの程度の社会参加できているのか。その把握をして欲しい。
 高齢者が一日中テレビをみている。外に行くとお金がかかる。地域社会でひっそりと生きている。望ましくない。一定の社会参加、ボランティア、社会にとって有用なことを無償でやっている。社会参加的な費目を今の中で、どうみるのか。そこは少し考えていただきたい。
 今の制度の中では移送費があるが、そこでは社会参加は含まれていない。そういうことを移送費の目的にいれて欲しい。

京極委員

 資産保有の問題。現代生活の中で望ましいものであるなら認める。自動車、パソコンなど。
 住宅などのやむを得ない資産保有は、今では被保護者がなくなったあと親族が相続している。これはきんとやったほうがいい。高齢者で資産をもっている人が生活保護を受けるのがいい、しかし亡くなった後は国が回収する。ここはきっちりやって欲しい。

岩田座長

 それは扶養義務のところでも、きっちりやるという議論になった。
 今日は、就労支援をどのように進めていくのか。自立支援を積極的に考えると保護基準に幅がでてくることを自覚せざるをえない。そうでないと自立支援はありえない。しかし、幅がどこまでも開いていくことには、最低生活保障の考えからはいかない。両方をどうするのか。扶養義務のところでもでてきたが、常識的な判断になる。最低生活は普通の生活と言うこと。その中でどのくらいの幅がありうるか。

 今日の議論では、高校進学を認めていく、また、支援計画を作ってそこに生業扶助をつける。
 高齢者のような稼動能力のない人の社会参加も考えていく。個人にとってのぞましい支援を明確にして、その中で福祉事務所が柔軟にやっていく。
 今後は、その支援はだれがやるのか。ケースワーカーの体制の議論が必要。

 それでは時間オーバーしたが本日の議論を終わります。次回以降の日程について。

事務局

 5/18(火) 15:00〜17:00 厚労省会議室にて。

布川委員

 もともとのスケジュールからすると進行が一ヶ月おくれになっているが。  

岩田座長

 どこかで、1ヶ月に2回行う。
 まとめも時間かかりそうなので、後半はスケジュールを調整させていただく。

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