西日本のA市で頚椎損傷や筋ジスも対象になる入院介護制度(地域生活支援事業の国庫補助利用)実施の方向へ

 西日本のA市では、障害者団体の交渉により、制度対象者を言語障害者や重度知的障害者だけに限定しない制度にすることで、ほぼ制度化が確定しました。たとえば、言語障害のない頚椎損傷や筋ジスでも、肺炎や高熱などでほとんどしゃべれない状態で緊急入院した場合などは制度が使えるようになります。

 1人暮らしの全身性障害者で毎日長時間の重度訪問介護を使っている障害者が、短期に入院した場合、いつもの慣れたヘルパーが病院の中についてくる制度です。

 ただし、ヘルパーが病院についてくるのは、1日8時間程度で検討されています。

 地域生活支援事業(包括補助金の国庫補助事業)の中のコミュニケーション支援を使った、一時入院中の介護制度は、全国各地で実施する市町村が増えてきています。

しかし、対象者を広くしている自治体は市の名前を公開してない一方、要綱を公開している神戸市や大阪市が、意思疎通が困難な知的障害者を対象とした極端に対象者の狭い制度を実施しています。このため、神戸市の悪い見本を大阪市がほとんどそのままコピーして制度化するなど、悪い見本の制度が広がる危険性があります。実際、現在相談が寄せられている関西の自治体でも、「神戸市や大阪市の悪いところをそのまま採用しようと課長が検討している」との報告が寄せられています。

 そんな中、今回のA市の交渉による制度の改善は、特筆すべき情報です。

 なお、東京都内など、80年代・90年代から入院時の介護制度を交渉して制度化してきた自治体では、地域生活支援事業を使わないで在宅のヘルパーをそのまま病院内で使えるようにしている自治体もあります。それらの自治体のいくつかでは、1人暮らしの全身性障害者が自宅で毎日24時間の重度訪問介護を使っている場合は、入院しても24時間をそのまま同じヘルパーで使うことができます(市町村が入院中もなれたヘルパーの介護が必要と認めた重度の障害者限定)。しかも、言語障害のない頚椎損傷や筋ジスなど、コミュニケーションが取れる障害者も制度の対象です。

 全国各地で交渉を始める場合、現状でまったく入院の介護制度がない市町村で制度を作るための交渉をする場合は、まずは地域生活支援事業の国庫補助を使った制度の交渉をするほうが早道です。交渉のノウハウは、過去の月刊誌の各地の入院の介護制度の記事(ホームページにバックナンバーを掲載しています)をお読みのうえ、制度係にご相談ください。

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