新潟県新発田市で初ALS患者の24時間重度訪問介護
佐藤 舞(本人の娘)
当事者は新潟県新発田市在住の小山__現在64歳。
夫・娘夫婦・孫と同居。
夫と2人で自営業を切り盛りしていたが、2016年8月左足に違和感を感じ始め、2017年5月にALSと確定診断。
退院後の在宅生活では介護保険の身体介護や訪問看護、訪問リハビリなどのサービスを利用するも病気の進行と共に障害福祉サービスの重度訪問介護の利用を開始。
しかし、支給された時間数は月147時間と支給時間内でサービスに入ってもらっても細切れ、医療行為は行えないなど介護頻度と時間数が合っていなく、家族の負担は大きかった。
2018年5月に全国広域協会に相談し、行政との交渉に向け準備を始める。
同年6月に市の担当者や関係者を集め、予め準備していた交渉資料を配布し、現状の介護体制では家族負担が大きく、心身ともに限界が来ており、必要な重度訪問介護の時間数(744時間)を訴える。
事前に各関係者からはある程度、24時間介護への理解を得ることができていたため「寝たきりなのに、外出などする必要があるのか?」とその必要性を全く理解できていない市の担当者との話し合いの中、フォローしていただく場面もあった。
その際、本人や夫も同席し、実際に介護をしている様子を担当者に見て貰う事で、現状の介護頻度やその大変さへの理解を少しでも得る事ができたのではないかと思う。
時間数の支給と同時期に重度訪問介護と介護保険身体介護以外のサービス(訪問看護、訪問リハビリ、訪問入浴、訪問マッサージ)との併用の必要性を説明し、市に承認いただく。
他サービスが入っていてもヘルパーが意思疎通を行ってくれるので安心してサービスを受けることができ、提供側も自薦ヘルパーがいるため円滑にサービス提供ができている。

訪問リハPTさんとヘルパーKさん
また、同行支援制度について4人目ヘルパーを採用した際には、既に1年間の中で3人の同行支援を利用済みだったが、国の通知では、(区分6の利用者への重度訪問介護を提供する新任従業者ごとに120時間とする。ただし、原則として1人の区分6の利用者につき、年間で3人の従業者について算定できるものとする。ただし、地域の重度訪問介護従業者の従業状況等の事情により、市町村が認めた場合には、3人を超えて算定できるものとする。)とある為、同行支援ができない場合、家族が仕事を休むなどして新人ヘルパーに付きっ切りで介護方法を教えて行くしかないこと、ヘルパーが定着しても医療ケアの管理や病状管理などは家族が行っており、ALSのような特殊な介護方法の場合は4人以上の同行支援が必須である事を訴えた。
市としてもその必要性は認めるも、現状難しいといった返答だった為、1人目で使用した同行支援の余った時間数を4人目に充当して貰えないかを交渉し、無事に4人目ヘルパーの同行支援を行う事ができた。
しかし、未だに4人目以降の同行支援については認められていないため、今後
も市と交渉を行っていく必要がある。

先輩ヘルパーKさんと同行支援中の新人ヘルパーYさん
2019年6月 咽頭気管分離術を行い、人工呼吸器を装着する。
約1ヶ月の入院だったが、ヘルパーの院内付き添いがあった為、安心して入院生活を過ごすことができた。

毎月開催される担当者会議の様子。
そして、2019年9月現在は常勤4名、非常勤1名の計5名のヘルパーが稼動中。
週の介護シフトの一例
日勤勤務時間が9:00〜18:30(9.5時間)
夜勤勤務時間が19:00〜翌9:00(14時間)

なお、9:00〜10:00と18:30〜19:00の1.5時間は地元の訪問介護事業所の介護保険身体介護サービスが入っている。

小山家とヘルパーさんとでお花見に
咽頭気管分離術後から半年間禁止されていた経口摂取も再開することができており、もう食べる事はできないと諦めていた母が再び食べる楽しみを見つける事ができた。
今は孫と過ごす日常や、毎晩リビングでテレビを観る事が楽しみとなっている。
体調・天候の良い日はドライブやお散歩にも出かけており、これからもベット上だけでなく県内・県外遠方まで外出して行きたいと考えている。
人工呼吸器を付けたとしても、このように自宅で過ごす事ができているのはヘルパーさん達が母を支え、一生懸命にケアをして下さっているからであり、今後も家族として体制面やヘルパーさんたちのサポートを行って行きたい。