茨城県北茨城市におけるALS患者の24時間介護の難病患者の在宅介護支援の取り組み

重度訪問介護1488時間(常時2人介護)支給の事例

 

         NPO広域協会 茨城担当コーディネーター

 

 

北茨城市は、人口38000人の過疎地で、茨城県庁からは車で高速道路を使って1時間半ほどかかる県の北端にあります。

2025年1月、北茨城市社会福祉協議会より、「重度訪問介護を利用したい難病患者さんが複数いる。しかし、市内には重度訪問介護のヘルパー派遣を行う事業所がなく、皆さん家族介護で何とか生活している状態。すでに限界がきている」という内容で、NPO法人広域協会の茨城担当コーディネーターへ相談がありました。

 

北茨城市では、それまで重度訪問介護を利用できる体制がほとんどなく、重度障害者の地域生活を支える社会資源が不足していました。

そのため、多くの方が、

・家族による全面的な介護

・長期入院

・遠方施設への入所

といった限られた選択肢の中で生活せざるを得ない状況に置かれていました。

そこで、市社協と協力しながら、複数の難病患者さんへの自薦ヘルパー導入支援を開始しました。

また、隣接県である福島県のいわきCILからもコーディネーターを派遣してもらい、地域を越えて支援に協力していただきました。

 

その支援の中で、市民病院に入院中のALS患者さんから、「退院後は地域で一人暮らしをしたい」という希望がありました。

重度障害があり、しかも過疎地域という状況の中で、一人暮らしの実現は簡単なことではありません。

退院後に住むアパート探しも難航しましたが、市社協や、すでに支援に入っていたヘルパーの皆さんも一緒に探してくださり、最終的には住まいを見つけることができました。

また、市役所には、人工呼吸器装着前の段階から24時間常時2人体制(1488時間/月)の重度訪問介護について支給決定をしていただきました。

さらに、市民病院にも大きなご協力をいただきました。

入院中からヘルパーが24時間病院内に入れるよう調整していただき、新人ヘルパーの同行支援や、医療的ケアに関する第3号研修についても、病院内で実施できるようにしてくださいました。

 

Yさんと自薦ヘルパー、いわきCILのコーディネーターの集合写真】

 

※写真掲載についてはご本人の了承を得ています。

 

 

こうした地域全体での協力体制によって、支援を開始してから約8か月後、この地域では初めてとなるALS患者さんの一人暮らしが実現しました。

今回の取り組みは、市役所、市社協、市民病院、いわきCIL、ヘルパー、地域支援者など、多くの方々の協力があったからこそ実現できたものだと思います。

社会資源が少ない地域では、「家族が介護するしかない」「重度障害者になると地域では暮らせない」と言われることも少なくありません。

しかし、支援者が連携し、本人の思いを中心に据えて動いていくことで、地域で暮らすための道をつくることは可能です。

どんな過疎地であっても、どんな重度障害があっても、「どう生きたいか」「どこで暮らしたいか」という思いを諦めなくていい。

今回の取り組みが、同じように悩んでいる当事者の方、ご家族、支援者の皆さんにとって、少しでも希望につながれば幸いです。

 

現在、そのALS患者さんは、24時間2人体制のヘルパー支援を利用しながら、地域で安心して一人暮らしを続けることができています。

今回、そのご本人よりコメントをいただきましたので、ご紹介します。

 

 

 

 

【一人暮らしを始めたALS患者Yさんからのコメント】

病気・・・特に難病ともなれば、自分の中にいろいろと不安を抱えると同時に、周りにいる家族等々の方々にも手を煩わせてしまうのでは、という思いにも駆られてしまう事もあると思います。

そんな悩みや思いを少しでも解消したいなら、こちらの協会を利用してみてはいかがでしょうか?

病気であっても自分らしく生きる・・・それを心身ともにサポートしてくれるのがこちらの協会だと思います。

僕自身、ALSという難病になり、たくさんの葛藤がありましたが、このめぐり合わせを糧に、一人暮らしをしながら身内とも程よい距離を取りつつ、穏やかに生活しています。

悩んで憂鬱なまま過ごす事にならないためにも、一歩踏み出して環境を変えてゆくことに、協会へ相談することをおすすめします。