月 刊

全国障害者介護制度情報

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★金沢市で全身性障害者介護人派遣事業が開始

★知的障害者ガイドヘルプ制度が軽度へ拡大(兵庫県尼崎市)

★4月〜6月は全身性障害者介護人派遣事業&ガイドヘルパー(新規)の交渉の時期です 

当会の「介護人派遣事業の交渉の要望書セット」をお使い下さい 

 

5月号

  99.5.27

編集:障害者自立生活・介護制度相談センター

情報提供・協力:全国障害者介護保障協議会

〒188−0011 東京都田無市本町5−6−20 第2和光ビル2F

発送係(定期購読申込み・入会申込み、商品注文) (月〜金 11時〜17時)

        TEL・FAX 0120−870−222(フリーダイヤル)

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制度係(交渉の情報交換、制度相談)(365日 11時〜23時(土日は緊急相談のみ))

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99年5月号 

目次

4・・・・金沢市で全身性障害者介護人派遣事業が開始

6・・・・4月〜6月は介護人派遣事業&ガイドヘルパーの交渉時期

8・・・・武蔵野市が24時間介護保障に(東京都)

10・・・神戸市の介護人派遣事業とガイドヘルパーの現状

18・・・知的障害者ガイドヘルプ制度が軽度へ拡大(兵庫県尼崎市)

24・・・他人介護料大臣承認平成11年度全国基準額

25・・・大臣承認の利用者のいない県に広げるためにご協力下さい

28・・・1回の交渉で大臣承認介護料継続時の立替が実現(札幌市)

31・・・介護保険情報 指定居宅サービス事業者の指定基準の解釈

 

 

 

東京都の全身性障害者介護人派遣事業資料

 40P   1冊300円       

 高知県土佐市では、この資料他を使って、毎日8時間の派遣事業の制度ができました! 平成10年1月から東京都内全市区町村で実施された新しい制度の資料集です。要綱・運用基準など行政資料と、障害者団体と都の話合いの過程、制度の細かい解説、国の補助金のしくみ、都と厚生省の話合いの詳細資料です。都内600人に、毎日(365日)×8時間の制度が国のヘルパーの補助金を使って実施。各地での介護人派遣事業の交渉の際の資料として、市の課長などに見せて使うことのできる資料です。

交渉団体会員への移行を募集中(今年度相談会費を振込済みの方は、追加の費用は不要です

 申込み用紙がありますので、発送係TEL・FAX 0120−870−222(フリーダイヤル)に「交渉団体会員の申込書請求」とご連絡ください。1人でも入会できます。

 なお、全国障害者介護保障協議会の最高決定機関である常任委員会(次回選挙は今年10月)の選挙権を得られるのは交渉団体会員だけです。

 

 

月刊 全国障害者介護制度情報 定期購読のご案内定期購読 月250円

障害者自立生活・介護制度相談センター/全国障害者介護保障協議会では、

「月刊 全国障害者介護制度情報」を毎月発行しています。

 1.3.5.7.9.11月は(40〜52ページ)

 2.4.6.8.10.12月は(20〜32ページ)(このほかに広報版はJIL発行「自立情報発信基地」の中のコーナーとしてお送りする月もあります)

電話かFAXで発送係に申し込みください。

障害者自立生活・介護制度相談センター

の相談会員(元の呼び名=正会員)募集 月500円

 定期購読のサービスに加え、フリーダイヤルで制度相談や情報交換、交渉のための資料請求などができるサービスは月500円(相談会員サービス)で提供しています。フリーダイヤルで制度相談等を受けたい方はぜひ相談会員になってください。(ただし団体での申込みは、団体会員=年1万円(初年度は月833円)になります)。

申し込みは、発送係まで。

発送係の電話/FAXは 0120−870−222(通話料無料)

 なるべくFAXで(電話は月〜金の11時〜17時)

FAXには、「@定期購読か正会員か、A郵便番号、B住所、C名前、D障害名、E電話、FFAX、G資料集2巻3巻を注文するか」を記入してください。(資料集を購入することをお勧めします。月刊誌の専門用語等が理解できます)

 介護制度の交渉を行っている方には、、バックナンバー10ヶ月分も無料で送ります(制度係から打ち合わせ電話します)。「Hバックナンバー10ヶ月分無料注文」と記入ください。

入金方法 新規入会/購読される方には、最新号会員版と郵便振込用紙をお送りしますので、内容を見てから、年度末(3月)までの月数×250円(相談会員は×500円)を振り込みください。内容に不満の場合、料金は不要です。着払いでご返送下さい。

単身等の全身性障害の方には、資料集1巻「自薦登録ヘルパー」を無料で差し上げます(会費入金後申込み)

(*入会者全員にお送りするサービスは99年4月までで終了しました)

★交渉団体会員(月500円)の方は、上記相談会員と同じサービスが無料で受けられますので、2重の申し込みは不要です。

月刊 全国障害者介護制度情報の定期購読(月250円)の申込みは、

電話かFAX・はがきで。 料金後払い。(4月申込みなら、4月〜年度末の3月までの12ヶ月分=3000円)。内容にご不満の場合いつでも返金に応じます。

 

 

 

金沢市で全身性障害者介護人派遣事業が開始

 99年4月から金沢市で、毎日6時間の全身性介護人派遣制度がスタートしました。金沢市の全身性障害者が1人で交渉しました。当会の派遣事業要望書セットを使い、電話で打ち合わせを行いつつ交渉しました。

 以下、交渉した日吉さんから記事をいただきました。

 

金沢市の全身性障害者介護人派遣事業ができるまで

日吉敏子

 障害者夫婦世帯で暮らす私の介助者である主人(障害者)の体調がくずれ始め、ヘルパー派遣を従来の利用範囲だけでは無理になりました。

 必要とする派遣は状況に応じて柔軟に利用できていましたが、午前9時〜午後5時の時間帯以外は夜の10時までの巡回型30分の利用でした。

 一時しのぎのヘルパー派遣に限界を感じ、介護保障協議会に相談をはじめました。

 

1998年4月16日

 朝の起床介助の派遣について、要望し、交渉をはじめました。

この時点で「全身性障害者介護人派遣事業」の要望も行っていましたが、起床時の介助派遣を早急に出来るように、と必要事項の打ち合わせを、障害福祉課の担当者、福祉公社の担当者を交えて行い、5月から自選登録ヘルパー実施となりました。

自選登録ヘルパー利用内容

*月〜土・・・・・・・・・・公社へルパー

*日曜、祭日、年末年始・・・自選登録ヘルパー

*午前8時から1時間

 

1998年7月6日

 障害福祉課に「全身性障害者介護人派遣制度」実施の要望書を提出。

「障害者計画」の策定時期でもあった事が追い風とも感じられるスムーズさでした。

交渉らしき交渉もなく、担当者から市側の経過状況説明を聞きにいく事を心がけました。

 金沢市在住の20年以上の自立生活者から「全身性障害者介護人派遣制度」を情報として聞き、過ぎた年月を思います。

 4人居た自立生活者が3人までも若くして亡くなっている事の重さを含めて、金沢市での「全身性介護人派遣制度」実施に至る交渉として報告とします。

 

1999年4月1日

「全身性介護人派遣制度」実施

利用内容

*午前9時〜午後5時・・・1050円

*平日のそれ以外の時間帯・1310円

*土、日、祭日全時間帯・・1410円

*毎日6時間(ヘルパー併用含む)

*ヘルパー併用可能

(以上)

 

 

*編注:原稿では「交渉らしき交渉もなく」と謙遜されていますが、毎週のように市役所に出かけて担当者と話しを続けていました。また、事前に自薦登録ヘルパーの交渉を継続的に確認を進めつつ行っており、これが派遣事業の交渉の簡略化につながっています。

 

 なお、金沢市の制度は、全国の他市に比べ、1ヶ所問題が残りました。市の担当が姫路市などを事前に見学したため、「ヘルパー利用時間と合わせて毎日6時間まで(ヘルパーを1時間利用したい場合は全身性派遣事業5時間)」という規制が残りました。(姫路市では今年度から、併用規制はなくなり、全身性派遣事業を受けた上に、ヘルパーを利用できるようになっている)。来年度以降に厚生省の指導通り(ヘルパーの派遣時間数の上限撤廃の指示)個々人に合わせて6時間を超える要介護障害者には、超える部分は自薦ヘルパーなどを使えるように改正されることを期待します。

 

 

 

 

4月〜6月は全身性障害者介護人派遣事業&ガイドヘルパーの交渉の開始時期です

やり方のわからない方にはくわしく説明します。お電話下さい。

新規事業の場合、交渉の時期は4月〜6月です。

 全身性障害者介護人派遣事業の交渉とガイドヘルパーは、今まで全く制度のない市町村では、新規事業となりますので、4月から6月にかけ、3回ほど交渉してください。6月までには「大筋で翌年度実施の方向で、秋の予算要求に出す」という事を障害福祉担当課が納得するように進めてください。(大きな「導入の」方針が決まった後、細かい「行き先の制限等」方針については、9月までに詰めていってください)。

交渉の設定方法

 市町村の役所に行き、課長などを呼んでもらいます。名前を名乗り、名刺をもらいます。要望書(当会の要望書セットに名前を書き入れたもの)を渡し、内容を簡単に説明し、来週か再来週に1〜2時間交渉時間を取ってくださいと申し込みます。日が決まったら帰ります(翌日、日を決めますといわれたら翌日電話する)。市のヘルパーとガイドヘルパーの要綱・要領を持っていない方はもらって帰ります。

介護人派遣事業の交渉の要望書セット(無料)

  (東京・静岡・大阪の派遣事業の要綱と厚生省の見解等の解説つき)

 名前・団体名を書き込んでそのまま市の課長などに出せる要望書セットです。

交渉の市への申込み方法等は、要望書セットの1枚目で解説しています。

ガイドヘルパーの交渉の要望書セット(無料)

 名前・団体名を書き込んでそのまま市の課長などに出せる要望書セットです。

 まず発送係に申込みください。無料でお送りします。後日、制度係から説明のお電話をいたします。(お急ぎの方は、ついたらすぐお電話下さい。)必ず説明を聞いてから進めてください。毎月、制度係フリーダイヤル0077−2329−8610に連絡を取ってください。

注文は    発送係 TEL・FAX0120−870−222

            電話は平日11〜17時

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介護人派遣事業や自薦登録ヘルパーをつくるには・・・

制度係と気長に連絡を取り合ってください。

 単身の全身性障害者などで、介護制度の交渉をはじめたいと思っているみなさんへ。気楽に構えて、制度係フリーダイヤル0077―2329―8610にお電話ください。長期間に渡って、すこしずつ連絡をとって情報交換していただけると、必ず、制度が出来上がります。月1回から3回をめどに、毎月暇な時間に電話してください。

 市役所と話をしたことのない人でも、当会との電話・FAXや資料のやり取りで、順を追って市の課長などと話をして、国や各地の制度資料を出して、課長に理解してもらって制度がどんどんできています。

 もし市役所とのやり取りに疲れてきたらいつでも長期間休憩していただいて結構です。マイペースでお願いします。

*制度係フリーダイヤルは、朝11時から夜11時まで365日受け付けています。

 夜間・土日は制度係担当者4人の誰かに携帯電話への転送電話で対応しています。

 

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平成11年度 厚生省障害保健福祉主管課長会議資料

(障害保健福祉部の企画課と障害福祉課の2冊) 3月中旬発行予定

 この冊子は、毎年解説されている制度の内容が違います。その年に新設や改変された制度の解説のみが掲載されるため、来年度版が出ても、10年度版も必要です。例えば、市町村障害者生活支援事業の詳細の指示文書は、8年度版の課長会議資料にのみ掲載されています。

 3月に全国の都道府県等の課長を集めて10年度の厚生省の施策の方針を説明した全国課長会議の資料です。企画課(社会参加促進室含む)と障害福祉課の2冊組み。厚生省の障害部局の施策全体像がわかります。団体は必ず手に入れてください。

 「同性介護者・在宅の介護経験者ヘルパーに積極的に確保するように」との厚生省のいわゆる自薦推進の指示文書などを含む指示事項・連絡事項です。

 交渉を行っている方、(数年以内に)交渉予定の方、必携です。

11年度冊子1セット、2000円(当会会員の方・定期購読の方は1200円)

10年度冊子と11年度冊子のセットは2500円。(当会会員の方・定期購読の方は1500円)

 

 

 

武蔵野市が24時間介護保障に(東京都)

(都内17番目)

 東京都では97年に小金井市、保谷市、東村山市が24時間保障になってから2年ぶりに、99年5月より武蔵野市が24時間保障になりました。今回は、初の交渉方法として、自立予定の障害者が施設入所中に自立生活センターが交渉し、成功させました。

 交渉した自立生活センター・小平より記事をいただきました。

 

 自立生活センター・小平では、小平市を中心に、小金井市、保谷市、東久留米市、田無市、三鷹市、武蔵野市の身体障害・知的障害者に月4597時間の介助派遣をしています。センターが介護派遣している1人暮しの障害者で最も多いのが24時間介助を使う障害者です。(長期・短期)自立生活プログラム&ピアカウンセリングの個別プログラムを重視して、介助派遣と必ずセットで実施しています。プログラムを継続することで、どんな重度の障害者でも必ず自立できます。

 センターの自立支援の方針として、親と暮らす障害者から自立の希望があった場合に、なるべく地元の市で自立してもらうこと、1つの市に集中させない、ということがあります。複数の市で介護制度をのばす交渉を行ってきた経験から、市の「制度を伸ばすと他市から障害者が集まって財政負担になるのではないか」という不安を取り除く必要があったためです。交渉したすべての市がこのように心配し、そのつど「私たちは1つの市に集中させて自立させたり、他の地域から呼んでくるといったことはしません。」「他の県や市に住む障害者から自立の相談が合った場合は、その地域で自立できるように支援します」と答えることで、24時間の制度を作ってきました。97年には、事務局長が自立生活を開始することになり、すでに24時間保障になっていた小平市ではなく、元から住んでいた小金井市で自立をしてもらうことにしました。当時小金井市には1日3時間の自薦ヘルパーしかなく、全国で最も財政事情が悪い市ということで、どうなるか心配しましたが、1ヶ月で交渉を成功させ、ヘルパーを毎日12時間にし、他の2制度と合わせ24時間保障にしました。

 今年(99年)は1年かけて自立生活プログラムを行っていた12〜24時要介護の3人が春に一度に自立することになり、センターの完全支援で1人は地元の小平市に、もう1人は小金井市に自立してもらいました。残る1人は、施設に入所していたので、新たな市に自立させることにし、小金井市の隣の武蔵野市を選びました。武蔵野市には長時間の介護が必要な単身の全身性障害者は1人もおらず、市でも、「全身性障害者介護人派遣事業とヘルパー制度の両方が必要だという方は初めてです」ということでした。

初めての転入前交渉

 自立させる方が、24時間全介助で全く自分で動けないため、今回、初めての試みで、転入する前に、事前に市と交渉をする方法を取りました。センターとして市に事前に「こういう方が武蔵野市で自立したいといっているので、当センターではその方向で介護派遣等サービスを行っていきたいが・・・」と相談に行き、交渉を継続して行い、市の障害福祉係長が本人に面会に施設に行きました。市と、(1)本人の状態の確認、(2)国や都の派遣時間上限撤廃の指示の確認、(3)すでに交渉して制度化した24時間保障の近隣市の状況の確認、(4)「人材確保やトラブル対応はなどはセンターが行うので問題なし」などの確認を行い、ほぼ市の方針が固まったようなので、本人を転入させました。専従介助者を求人するために求人誌に広告を出し面接を行いました。介護人派遣事業利用者の自薦ヘルパー制度利用実績は0時間でしたから、市にとっては一気に毎日12時間アップということになりますが、自立させた日に市に確認するとヘルパーを毎日12時間出すという回答がありました。

武蔵野市で使える介護制度(24時間要介護の場合)1日あたり

生活保護

介護

4時間

全身性障害者介護人派遣事業

8時間

自薦登録ヘルパー

12時間

 

 これで、はじめて(制度のない市で)自立の初日から完全に介護体制を組んでスタートができました。今までは、介護制度の不足のまま、まず自立して、交渉が終わるまでの1ヶ月は、昼間センターに通い職員に介助してもらうことによって介助者不足をやりくりするしかありませんでした。今後は制度のない市でも自立支援が楽に行える良い事例になると思います。

自立生活センター・小平 川元恭子

 

 

 

神戸市の全身性重度障害者介護人派遣事業とガイドヘルパーの現状

 神戸市では、自立生活センターの交渉により、制度の利用時間が増えてきています。

 現在、全身性障害者介護人派遣事業とガイドヘルパーなどで毎日(平均)12時間分の制度利用実績があります。

 

神戸市でうけられる制度:1日平均12時間

生活保護介護料

4時間

ガイドヘルパー

平均6時間

介護人派遣事業

2時間

 以下、神戸市の自立生活センターより記事をいただきました。

 

 

全身性重度障害者介護人派遣事業とガイドヘルパー

自立生活センター神戸・Beすけっと

職員 ふなはし ひろのぶ

●神戸市における介助料の制度を整理しつつ、この間(主に1997〜98年)自立障害者をはじめとして、24時間介護保障を求める動きをレポートしたいと思います。

●既存の神戸市の諸制度の概略

 神戸市在住の重度障害者が使える介助の制度はいくつかあります。

 具体的には、

@ホームヘルパー(家事援助・介護・巡回型など)

A全身性重度障害者介護人派遣事業(いわゆる介助チケット)

Bガイドヘルパー(盲人・車イス利用者対象)

などがあげられます。

 ※その他にも、生活保護を受給している障害者の場合、もちろんご存知のように他人介護料の請求ができるわけですが、本稿は神戸市の独自制度や、その実際の運用に関してのものなので、省略します。

@ホームヘルパーについて

 最も世間で知られた言葉であり、制度であるでしょう。その実際の運用は自治体によって多少異なります。神戸市の場合、その担い手(ヘルパー)は各福祉事務所づきの職員ヘルパーと、市の外廓団体である「こうべ市民福祉振興協会」の登録ヘルパーに大別されます。詳しいデータをもっていないので、「Beすけっと」周辺の障害者の状況の印象で言うと、まだまだ家事援助中心型で、重度障害者のニーズ(介護・長時間)には充分応えられていないようです。また、ヘルパーの多くは女性であり、男性の職員ヘルパーは一人もいないという問題があります。

A全身性重度障害者介護人派遣事業(いわゆる介助チケット)

 この制度はもともと東京の脳性マヒ者などが、都との交渉のうえ重度障害者の独自の介護料制度として作らせ、ゆるやかに全国に波及してきているもので、まだ全国でも一部の(先進的?)地域にしかありません。神戸市の場合は1993年9月に制度発足しました。何を隠そう私たち「自立生活センター神戸・Beすけっと」もこの制度の発足に伴って、組織を立ち上げましたので、介助チケットと共に歩んできた5年といっても過言ではないと思います。

 「Beすけっと」の障害者の半数以上がこの制度を活用して有料介助者(アテンダントとも呼びます)を生活の中に取り入れています。この介助チケットには多くの利点があります。

 介助者を障害当事者が自由に選べること、介護であればその内容は特に問われないこと、チケットに介助の日付と介助者の名前・押印するだけで報告事項が簡単なことなどがあげられます。何よりも重度障害者の地域での生活を一定程度保障する独自の制度であることは特筆に値します。

 介助チケットは発足と共にゆるやかに、不十分ではありますが時間・単価が増えてきており、

 現在(1998年度)、120時間×1410円=169,200円の金額が介助者に対して支払われるように保障されています。

 ただし、施設入居している障害者の場合、基本的な日常の介助は施設で受けているという考え方らしく、32時間分しか支給されません。

 次に介助チケットの問題点を挙げていきます。

 その1、時間数の圧倒的不足。徐々に増えてきた時間数ですが、95年4月を最後に120時間に据え置かれたままです。これは24時間介助が必要な障害者の場合5日間で使いきってしまいます。兵庫県内の他の市と比較しても少ないのが現状です(例えば西宮市の場合130時間)。

 その2、1時間単価が安い。これは1の問題と連動しますが毎年10円ずつしか増えず、全体として介助料が不足してしまいます。西宮市の場合は夜間料金が設定され1760円と相対的に高額になっています。

 その3、応納分担金制度。最大の問題といえると思います。これはどういうことかというと、利用する障害者の世帯の収入(税金の額で算出)によってランキングされた分担金(自己負担金)を1時間(1枚)使うたびに支払わなければならないという制度なのです。簡単にいってしまえば、障害者の家族の収入が多い場合、その収入に応じて、自己負担金を行政に支払わなければならないということです。社会の公平さを保つため、百歩ゆずって分担金を支払うことを了承したとしても、その場合の計算の根拠が障害当事者本人の収入ではなく、世帯で見られることが問題です。すでに自立している障害者はいいとしても、これから自立しよう、そのために介助チケットを利用しようという障害者の場合、親の収入が大きければ、分担金の額もかさみ、120時間使いきれないケースも出てきます。介助を制限するはめになり、在宅(親などと同居)障害者の自立生活に向けた取り組みに冷や水をあびせかけることになりかねませ

ん。同時に障害者の「個人としての確立」が遅れてしまうという側面があります。

 以上、大まかに3点の問題を含む介助チケットなのですが、今後「Beすけっと」もこれらの改善を行政に対して強く要求していこうと考えています。

Bガイドヘルパー制度の弾力的運用を認めさせるまで

 Aで述べたように、介助チケット制度は地域での障害者の生活にある程度の貢献をなしているのですが、問題点も残されたままです。

 これらの制度を補完するものとして、ガイドヘルパー制度というものがあります。もともとは視覚障害者を対象に、障害者の外出支援という名目で作られた制度で介助チケットよりもその歴史は古いのです。

 ここでは個別の障害者のケースにしぼってガイドヘルパーの説明を行なっていきたいと考えます。

 「Beすけっと」代表の澤田隆司さんのケースをたどる形を取らせてもらいます。澤田さんの場合、20年以上も自立生活を継続していて、24時間介助が必要な重度障害者です。また震災後「Beすけっと」のアテンダントを利用する機会が増え、月々に支払う介助料も膨大な金額になってきました。

 そのため介助チケットの問題点その1、2で挙げたように、行政から支給される介助料の絶対的不足という事態が生じてしまいました。そこで澤田さんと「Beすけっと」事務局で、神戸市に対して介助料アップの交渉を行なうことが決まったのが1997年2月頃でした。

 当初私たちの目的は、ホームヘルパー制度を使いやすく改善するため、「ホームヘルパー自薦登録制」の要求でした。介助チケットと違いホームヘルパーは福祉事務所に依頼すると選ばれたヘルパーが来るわけです。つまり言ってみれば「現物支給」なわけです。

 ところが、前述したとおり男性障害者・長時間・重介護に対応できるヘルパーは皆無です。そこでこちら(障害者、この場合澤田さん)が、自分で介助者を見つけてきて、その介助者をホームヘルパーとして登録し介助料を行政に保障してもらおうという考えで、東京など先進的な自治体では取り組まれている制度です。

 交渉の過程は大変な困難をきわめました。私たちの印象としては「たらい回し」をされたという感じです。まず神戸市役所・保健福祉局・育成課に行き、澤田さんの生活実態を説明し、介助料が全く足りていないこと、介助チケットの時間数アップが無理ならば、「ホームヘルパー自薦登録制」を認めてほしいこと、などを説明しました。しかし、育成課の担当者は「まず、地域(区)の福祉事務所でニーズをあげてください」と、けんもほろろの対応でした。

 そこで、無駄と知りつつ、澤田さんの住んでる東灘福祉事務所を訪れ、同様に相談を持ちかけました。その結果、「こうべ市民福祉振興協会」のコーディネーターを紹介され、「振興協会」に対してまた同様の説明を行ないました。結果は予想どおり澤田さんの要求する日中8時間の重介護ができる登録ヘルパーはいないとの返答でした。そこで話はもとに戻り、再び市役所本庁を訪問し繰り返し、「ホームヘルパー自薦登録制」の要求を強く行ないました。その際、厚生省の出している通達なども援用しつつ、私たちの要求の正当性を強調しましたが、神戸市側の態度はかたくなで、「そちらの状況も分かるんですが…」といいつつ、肝腎のこちらの要求は認めてくれず、わたしたちが怒声を発する場面もしばしばでした。

 しかし、粘り強く交渉した結果、神戸市も妥協案を提示してきました。それが、ガイドヘルパー制度の弾力的運用でした。

●特例としてのガイドヘルパー利用

 まず、当初私たちが要求していた「ホームヘルパー自薦登録制」に対して、神戸市側の言い分をまとめると、

1介護保険をにらみ、新しいサービスの創設に消極的。

2ホームヘルプ事業を委託している「こうべ市民福祉振興協会」(以下、「振興協会」)のコーディネート権限を障害当事者や、自立生活センターに譲りたくない。

 などの理由で「ホームヘルパー自薦登録制」を認めませんでした。その代替案として出してきたのが、「ガイドヘルパー制度の弾力的運用」です。

 この妥協案を受け入れるかどうかをめぐって、交渉を半年以上行なってきた澤田さんと私たちは、かなり悩みました。しかし、澤田さんの負担する介助料が、のっぴきならないほど増えてきており、切迫した状況のなか、「実を取ろう(名目はともあれ、介助料が増えればいいか…)」という判断をしました。

 ガイドヘルパー制度は外出の際、障害者につきそった介助者に報酬(介助料)を神戸市が払うというもので、明確な月あたりの上限時間はない、とのことでした。

 ガイドヘルパーと全身性の制度(介助チケット)の併用にあたり、チケット120時間のうち、外出(ガイドヘルプ)に相当する部分が削られ、チケットは64枚に減らされました。

 その代わり、実際に「Beすけっと」の介助会員が介助に入っている日中、週5日(火、水、木、金、日)それぞれ8時間のガイドヘルパー料の支給を受けることになりました。1998年の1月より始まり、現在も派遣時間は同じです。週5日×8時間=40時間。月におおよそ160時間以上です。

 1時間単価は当時(98年1月)930円で、プラス1回の派遣にあたり介助者の交通費が上限1200円まで支給されます。その後、単価に関しては、98年4月から一気に上がり、1170円になりました。また、交通費に関しても同年10月から委託先が「神戸市身体障害者団体連合会」(介護チケットの委託先)から、「振興協会」に変わったのをきっかけに、上限がなくなりました。

 澤田さんの介助料の諸制度を整理してみましょう。

1生活保護の他人介護料加算(大臣基準)  月額  15万5600円

2全身性(介護チケット)  64枚    月額   9万 240円

3ガイドヘルパー    160時間以上  月額 約20万    円

 このように、澤田さんの介助料はある程度、金額がアップし、安定もしたのですが、ガイドヘルプを使用していくことで、いくつか面倒くさいことが生じています。

 介助チケットが、介助者の署名・押印だけで済むのに対して、ガイドヘルプは1回あたり、どこに出かけ、何を、何時間したかを報告書にまとめて提出しなければなりません。これはかなり煩雑な作業です。

 また、デイケアセンターなどの場で、澤田さんが自分で介助者(ガイドヘルパー)をつけた上で、日中の時間を過ごすような場合、行政の建前として、デイ・サービスとガイドヘルパーに対して、二重に介助料を払う形になるとのことで、認められませんでした。

 その他、資料にあるように、介助チケットと比較して、ガイドヘルパーは、その派遣対象がかなり制限されています。特に、98年の9月にガイドヘルプ事業の委託先が「振興協会」に移ったことにより、やりにくい部分が出てきています。その最大の問題が、ガイドヘルパーの一括募集(年に1回だけ)と事前研修の徹底です。これまでは介助チケットと同様に適時登録できたガイドヘルパーが年に1回しか登録できなくなってしまいました。澤田さんの場合既得権として春先からのガイドヘルパー(Beすけっとの介助会員)をスライドして「振興協会」に登録できましたが、今後澤田さんにつづく、自立障害者がこの制度を利用していく上でネックになります。今後、神戸市も含め、「振興協会」と交渉をしていかなければなりません。

 (なお、途中書きもれたのですが、介助チケットの問題である「応納分担金」はガイドヘルプにもあるのですが、世帯収入ではなく、本人収入で見ますガイドの素晴らしい点の1つです)。

 以上で介助料制度の大体の説明は終わります。

 (以上は98年の10月、11月の「Beすけっと」の機関誌に掲載した文

章をもとに少し書きなおしたものです。)

追加情報

●Aの全身性重度障害者介護人派遣事業(通称、介助チケット)の問題点である「世帯収入による応納分担金(自己負担金について)。文中に出た澤田さんのケースとは違い、現在両親と同居している重度障害者のYさん。彼も将来自立生活に踏み切りたいと願っているが、介助チケットの利用の際、父親の収入のためかなりの自己負担金を払わなければならない。Yさんの実際の介助は外出援助が中心ということもあり、ガイドヘルパー自薦制度を利用することにより、「世帯収入ではなく、個人収入」で計算され、実質的に自己負担金がなくなった。このケースの交渉は上記の澤田さんと神戸市との交渉をふまえて、比較的円滑に行なわれた。

●同様にAの介助チケットに関して

 毎年の交渉のかいもなく、99年度の時間数(枚数)はすえおきの、 120時間×単価1420円(単価は10円のみアップ)であることがわかった。神戸にも自立障害者が増えてきたこともあり、より一層要望・交渉を強めていく予定である。

●ガイドヘルパー派遣の実質上限時間に関して

 本文で書いたように、澤田さんのケースを特例として、週5日、1日8時間の派遣=月に160時間以上であったが、 介助料不足は深刻で、99年の4月に再度、日数アップ=週6日派遣の交渉・相談を神戸市に行なっている最中である。まだ結論は出ていないが、担当の係長は「もう1日だけ増やせないという根拠はないですね」とコメントしてくださり、実現は間違いないと思われる。

 その場合、ガイドヘルパー自薦登録時間・料金のみで、

 月額  週6日 ×8時間 ×約4週 =約200時間

                    約234000円プラス交通費

 が支給されることになる。24時間介護保障にむけて、多少変則的なかたち

かもしれないが、一歩一歩近づいている最中である。

 ※追加情報は1999年4月20日現在の状況。

                            (おわり)

神戸市の資料

(別表1)外出支援事業(ガイドヘルパー)概要

項  目

内    容

(1)派遣対象者

 市内に居住する原則として18歳以上の身体障害者手帳所持者で、外出時に必要な介助者が得られない者で、次のいずれかに該当する者

@視覚障害者

 障害程度が身体障害者福祉法施行規則第7条第3項に定める別表第5号の視覚障害の1級及び2級に該当する者

A脳性まひ者等全身性障害者

 脳性まひ(乳幼児期以前の非進行性の脳病変による運動機能障害)を有する者及び脳性まひ以外の肢体不自由者で、外出にあたって常時車いすを使用する1級及び2級の者。

(2)派遣の対象となる外出

@社会生活上必要不可欠な外出

ア.官公庁(国民、市民としての権利・義務に係わる諸手続・相談)

イ.福祉事務所(福祉サービスを受けるための手続・相談)

ウ.医療機関・保健所(診察、治療、検査、入退院手続・相談)

A日常生活上必要な外出

ア.保育所、幼稚園、小中学校等(入学式、卒業式)

イ.金融機関

ウ.商店、スーパー等(日常生活上必要な買物)

エ.理容院、美容院(理容、美容)

オ.市民大会等各種行事(国・県・市・区の主催・共催・後援のもの)

カ.点字図書館等の障害者のための利用施設(知識・情報の収集等)

(3)派遣対象とならない外出

ア.通勤、勤務、営業に伴う外出イ.通学、通所(施設・作業所)一時的利用は除くウ.趣味、嗜好、ギャンブル等エ.ボランティア活動オ.任意の団体活動(宗教活動、政治活動等)カ.公序良俗に反する活動

(4)派遣地域

原則として市域内に限る

(5)派遣日及び時間

原則として日曜日、国民の祝日に関する法律に規定する12月29日から翌年1月3日までを除く日  原則として午前9時から午後5時までの間で4時間以内

(6)費用負担

本人の所得税額により階層決定(1時間当たりの利用料×派遣時間数) 通常の食費を除いてガイド中に生じる実質経費はガイドヘルパー分も利用者の負担

(7)ガイドに付随する業務

視覚障害

ア.代読や代筆など移動に必要な情報伝達

イ.外出に伴う金銭の援受は、第三者のいるところで本人の確認を得て行う

ウ.外出に伴う身体介助は肩をかす程度まで

全身性障害

ア.メモ、聞き取り、伝言など移動に必要な情報伝達

イ.外出に伴う金銭の援受は、第三者のいるところで本人の確認を得て行う

ウ.外出に伴う身体介助は、食事・着脱衣・排泄の介助は必要な範囲で行う

 

 

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「自薦登録ヘルパー方式で、交渉1ヶ月で知的障害者の外出介護が実現」の記事その後(兵庫県尼崎市)

知的障害者ガイドヘルプ制度ができ、軽度へも拡大

 以前、兵庫県尼崎市を「自薦登録ヘルパー方式で、交渉1ヶ月で知的障害者の外出介護が実現」という記事で紹介しました。尼崎市では、翌年、この利用実績を元に知的障害者のガイドヘルパー制度(国のヘルパー制度の補助金利用)がスタートし、さらに、2年たった99年度から国の補助のつかない軽度の知的障害者を対象に市単で制度が拡大されました。

 以下、尼崎の交渉団体に記事をいただきました。

 

知的障害者ガイドヘルプ制度がA(重度)からB1(中度)、B2(軽度)へ拡大

尼崎障害者問題を考える連絡会(尼、障問連)

99.4.17 浜根一雄

社協のホームヘルプ制度を知的障害者の息子、明が利用して始まった地平がここまできました。

今までの交渉の経過

97.1月  1)社協へ、ホームヘルパー派遣の申し込み。

     2)(自せん)ヘルパーの登録、新人研修受講 健康診断受診

1月末 決定通知書届く。

2月  自薦のヘルパーで外出開始。

3月  障害福祉課長と話し合い。

「知的障ガイドヘルプは必要」と課長発言。

5月 同課長と話し合い。

7月 同課長と話し合い。

10月 同課長と話し合い。

(97年9〜10月ごろ「精神薄弱者ガイドヘルパー派遣事業」の予算要求)

98年3月  尼崎市議会に「精神薄弱者ガイドヘルパー派遣事業」案提出される。

229,4万円の予算つく。

98年7月 ガイドヘルプ事業スタート(Aのみ)。

(98年9〜10月ごろ 知的障害ガイドヘルパーの拡大(B1,B2)の予算要求)

99年3月  市議会へ、行政、知的ガイドの拡大。(B1,B2)の提案する。

市議会にて予算305,8万(98,4〜99,3)つく。

99,4月1日 B1、B2を含む。知的ガイドヘルパー派遣事業スタート。

99,4月4日 統一地方選、兵庫県議会選挙投票所へ、ヘルパーと。

4月 定例「遊びの会」(仮称)企画中。

 

経過(98.7〜99.2)

広がらない利用者

 知的障害者ガイドヘルプ事業が98年7月スタートしましたが、以下の制限がありました。

1).重度の知的障害者(A判定)限りであること。

2).18才以上

3).市外への外出は原則認めないこと。

4).生計中心者の所得により自己負担あり。

 自せんヘルパーは認められましたので、私も信頼し、明のお気に入りの人(介助者)との外出が、公費負担でできるようになり、散策、病院通いと、週2〜3回、5時間〜7時間と使い出しました。

 しかし、後に続く人が出てきません。

私も行政も、知的障害者、その家族に呼びかけました。でも広がりません。

 家族訪問もしました。

 お母さん方は言います。

「うちはB1だから使えないんやろ?」

「子どもの外出に親の自己負担だろ。しんどいわ」

「他人さんに預けたら、お金なんぼ使うかわからへんわ。うちの息子…」

「他人さんに子ども預けられへんわ。心配やわ」

「福祉事務所へ手続きに行ったんやけど、所得証明が不備や言われて帰ってきたんよ。もうしんどいわ。」

           等々と。

 行政は行政で、親の会の集まり等に出かけ、この制度の説明をくり返しました。しかし、広がりません。

 私は「知的ガイドができて、明の生活が広がりとても喜んでいます。本人もやる気満々ですよ。」と行政に報告します。

「B1、B2の人も利用できたらもっといいね」

「身体障害者のリハビリ同様にこの外出介護を考えたら。」ともお願いしました。

行政は制度の存続にかける

 ガイドヘルプを利用する障害者が極端に少なかった98.7〜99.3月でしたが、行政は制度の存続にかけました。

 重度の知的障害があればある程、親ばなれ、子離れができにくい現状を認識し、親による介護に全面依存するのではなく、社会的支援として知的障害者ガイドヘルパー派遣事業の拡大(含むB1、B2)予算案を99年、3月市議会へ提案したのは行政でした。嬉しいかな認められました。(編注:前年秋に障害担当課が財務に予算要求して翌年市の予算案として決定し議会に提出)。

 305,8万が予算化され、すぐさま99年4月1日より実施されています。

 変更された点は

 手帳A 所持者

時間制限なし

 手帳B1、B2所持者

月50時間以内

で、それ以外の制限は旧来のままです。

統一地方選兵庫県議選の投票所へ

 さっそく、統一地方選兵庫県議選の投票所へ、自選のガイドヘルパーと行ってきました。

 以前にも自宅で明を交え話をしたA氏への投票所へ。

 初めての投票でマゴマゴする明と、見守る友人。

 「その投票用紙に名前を書くんやで。」と友人。

 「浜根明」と書いてしまったそうで、投票所の係員も「そのままでは無効になってしまうね」「なんか名前を書いた紙をお持ちでしたね」と。

 それぞれがとまどいながらの投票でしたが無事終わりました。

 友人の大形君もヘルパーと投票所へ行ってきました。大形君はA氏の集会で壇上へも上がりました。大形君の通う作業所の開設パーティーにも来てくれたA氏です。

 「A氏に投票するよ。」と言っていたのが、前日も、当日の朝も、「やめときますわ」と。

 不安が少しづつ大きくなっていくんですね。

 「投票所ってどんなとこ?」「投票ってなに?」って。

 「一緒に行こう!」と投票所へ向かう道々、友人は「係りの人が紙くれるからな、そこに名前書くんやで。」

 「箱があるからな。その中に書いた紙を入れたらええねんで。」と話しかけます。

 投票所に着いたら、係りの人に「初めてですので、よろしく。」とつなぎます。

 スイスイとできたそうで「A氏に入れてきたよ!」と晴れ晴れと出てきた大形君だったそうです。

 友人は「障害者が少しづつ少しづつ経験を積んで自信をつけてゆく、その為に押しつけではなく、側から支える、それがヘルパーの仕事。」と言います。

心強い限りです。

レクレーションを恒常的にやろう!

 ガイドヘルパーを使って多彩なメニューをめざして出発しようと、仲間が動き出しています。

 人の助けを借りて自立すれば良い。その出発点がこのガイドヘルパー制度にあります。

 制度の不十分さは一杯ありますが、実績を積み上げながら行政との話し合いを続けていこうと思っています。

(以上)

尼崎市の資料(手帳Bに拡大する前の98年度のもの)

尼崎市精神薄弱者ガイドヘルパー派遣事業

 単独で外出が困難な重度の知的障害者が外出する場合に、ガイドヘルパーを派遣し、障害者の自立と社会参加を促進します。

◎利用対象となる方は、次の全てに該当する方です。

 @尼崎市在住の人

 A重度の知的障害のため、単独で外出することが困難な18才以上の人

 B市役所・福祉事務所等の公的機関に行く場合等、社会生活上外出が必要不可欠なと

き並びに社会参加を目的として外出するときに、適当な付き添いを必要とする人

◎ガイドヘルパーの方について

 ガイドヘルパーは、利用者ご自身で選んでいただきます。

 (複数のガイドヘルパーを選んでいただいてもかまいません。)

 ガイドヘルパーは次の全てに該当する方です。

 @18才以上の人

A障害者の依頼を受け、尼崎市に登録されている人

  ただし、3親等以内の親族及び同居人は除きます。

◎派遣内容

 利用者が、市役所・福祉事務所等の公的機関に行く場合等社会生活上外出が必要不可欠なとき並びに社会参加を目的として外出するときに、適当な付き添いを必要とする場合の外出時の移動の介護

 外出時の排泄、食事等外出に伴う介護

 ※尼崎市外へ社会参加を目的として外出しようとする場合は、対象となりません。

 (ただし、公的機関によって行われる研修・講座等出席のための外出や社会福祉大会出席のための外出等については派遣可能ですので、その都度ご相談ください。)

 ※通勤・通学・通所等通年かつ長期にわたる外出等での利用は対象外となります。

◎申込み場所

 利用にあたっては、事前登録が必要です。

 利用希望者のお住まいを管轄する福祉事務所にお申し込みください。

◎問い合わせ等

 尼崎市役所障害福祉課      пi489)6352

            ファクシミリ(489)6351

◎申請から決定まで

 @管轄の福祉事務所で「申請書」「ヘルパー承諾書」を提出していただきます。

  その際には利用者と同居されている方の中で生計中心者の所得税額のわかるもの及

び療育手帳を必ず提示してください。

 Aその後福祉事務所による調査を経て決定されます。

  決定されれば福祉事務所から次の書類が送られてきます。

a「ガイドヘルパー派遣決定通知書」(様式第3号)

b「派遣確認書」(様式第6号)

 B実際にガイドヘルパーを利用したい時には、下記の手順でご利用ください。

  a ガイドヘルパーが必要になった場合には、登録したガイドヘルパーに直接連絡

をとり、ガイドヘルパーの方と日程や時間を調整してください。

  b 利用にあたっては、事前に尼崎市役所障害福祉課へご連絡ください。

  c ガイドヘルプが終了すれば、「派遣確認書」(様式第6号)にご記入願います

    (利用者の保護者やガイドヘルパーの代筆可)

d 「派遣確認書」(様式第6号)はガイドヘルパー1人につき1枚ご使用くださ

い。

e 月末にそれぞれのガイドヘルパーに「派遣確認書」(様式第6号)をお渡しく

ださい。

  f 自己負担金については、後日送付する納付書で納付してください。

 

 

 

精神薄弱者ガイドヘルパー派遣事業利用料

 

利用世帯の生計中心者の税額による階層区分

利用者負担/時間

生活保護法による被保護世帯(単給世帯を含む)

0円

前年所得税非課税世帯

0円

前年所得税年額が10,000円以下の世帯

250円

前年所得税年額が10,001円以上30,000円以下の世帯

400円

前年所得税年額が30,001円以上80,000円以下の世帯

650円

前年所得税年額が80,001円以上140,000円以下の世帯

850円

前年所得税年額が140,001円以上の世帯

940円

(注)毎年1月〜3月については前々年所得税年額によるものとする。

 

ガイドヘルパー謝礼(各1時間あたり)

時間内(平日及び土曜日の午前9時から午後5時まで)

1,420円

時間外(平日及び土曜日の上記時間以外及び日・祝日・年末年始)

1,770円

 

 

 

 

生活保護障害者加算他人介護料大臣承認

平成11年度全国基準額

(平成11年4月13日厚生省保護課発出)

都道府県・政令指定都市・中核市

上限額

東京都・千葉県・千葉市・埼玉県・神奈川県・川崎市・横浜市

月18万5600円

大阪府・大阪市・堺市

月17万0000円

兵庫県・神戸市・奈良県・京都市・滋賀県・三重県・静岡市・栃木県・群馬県・茨城県

月15万7800円

札幌市・山形県・福島県・新潟県・新潟市・石川県・金沢市・富山市・長野県・鳥取県・岡山県・岡山市・広島県・広島市・山口県・愛媛県・福岡県・北九州市・熊本県・熊本市・鹿児島市・沖縄県

月13万9200円

◆この制度は全国で受けられます。上記の表に出ていない県(市)は、大臣承認を受けている人がいない県(市)です。この表に出ていない県でも、知事承認(月10万円代)の介護料を受けている人が大勢います。(知事承認と、大臣承認の申請書類の違いは、@大臣承認の申請時に必要な書類から、診断書が不要になります。A障害者側が任意で出す「要求書」の宛先が「厚生大臣殿」でなく「県知事殿」になります。)

◆政令指定都市・中核市は、県と同じ扱い。 (県と同じように、独自の基準額をもつ)。現状は、約80都道府県・市(政令市・中核市)中、41都道府県・市でしか大臣承認を受けている人がいませんが、利用者0人の県・市があるのは、申請方法(又は制度そのものの存在)が知られていないためです。制度を受けるのが難しい訳ではありません。この制度は、基本的に「現状で市のヘルパー制度などが、自分の必要な介護時間数に比べ1日4時間程度以上不足」していれば普通に受けられる制度です。

◆上記表以外の自治体では、県や市町村の福祉事務所が、この制度の申請時の添付書類などの正確な情報を把握していません(利用者がいないため、手続事務を経験していない)。このため、利用者がはじめての市町村でスムーズに申請するためには、当会と連絡を取りつつ行ってください(大臣承認を申請するときには、福祉事務所から(県を通して)厚生省にたびたび問い合わせさせる必要があります)。市や県に問題のある場合は、厚生省から指導してもらいますので、当会に定期的にご連絡下さい。(申請書類は、当会が厚生省と話合いの上、「大臣承認介護料申請書セット」として発行しています)

(詳しくは当会の制度係0077−2329−8610に問い合わせください)

 

 

他人介護料大臣承認の利用者のいない県に利用者を広げるためにご協力下さい

(1日4時間介護の必要な方を知っていたらお知らせ下さい)

 生活保護の他人介護料大臣承認は毎日4時間(1日おきに8時間などでも良い)の介護を受けられる制度です。現在47都道府県の過半数で約200人が受けている制度ですが、制度の情報が知られていない地域では申請者がいません。当会では、利用者のいない地域にもこの制度を広めていきたいと考えています(理由は後述)。この制度は、障害者団体と厚生省の話合いで作られてきた特別な制度のため、制度の利用者のいない県や市の担当者がよく申請方法を知らない状態です。そのため、スムーズな申請処理には、当会にお電話をこまめにいただくことが必要です。新規に障害者が制度を申請しても、その申請が、その県ではじめての場合、県や市の職員が処理に手間取ってすぐに制度を受けられません。お電話をいただきつつ正確な書類を作れば早くて3ヶ月程度で決定されますが、お電話いただかない場合は1年以上かかる場合もあります(書類が何年も放置される場合もあります)。

 なお、すでに制度利用者がいる市の場合は、申請して1〜3ヶ月で制度が受けられるようになります。これから自立する人が利用しやすい市町村にするという意味でも、「現状で市のヘルパー制度などが、自分の必要な介護時間数に比べ1日4時間程度以上不足」している自立生活障害者がいましたら、当会で制度の申請のお手伝いをしたいと考えています。

 以下の県で、で1日4時間の介護が必要な方がいましたら、生保の他人介護料大臣承認を受けられるまでサポートいたします(当会のアドバイスを受けて申請した方でこの制度を受けられなかった方はいません)。下記フリーダイヤルまでご連絡下さい。

まだ申請者のいない県 (この県以外では制度利用者がたくさんいます)

・札幌市を除く北海道・青森県・岩手県・秋田県・仙台市・宮城県・愛知県・名古屋市・岐阜県・福井県・京都市を除く京都府・和歌山県・島根県・徳島県・香川県・高知県・福岡市・大分県・宮崎県・佐賀県・長崎県

おねがい。これらの県に住んでいる「1日4時間以上介護の必要な、一人暮し(または障害者のみ世帯等)の全身性障害者」をご存知の方は、ぜひ、介護制度相談センター・制度係(通話料無料)0077−2329−8610に電話を下さい。資料を無料で送ります。

 

 

生活保護を受けていない方でも・・

 大臣承認介護料を利用するには、生活保護を同時に申請しなくてはなりません。生活保護という言葉に抵抗がある方もいるかもしれませんが、この制度の利用は、憲法で保障されている権利です。「自分の収入で暮らしたい」という方も、十分な収入が得られるようになるまでは、働きながら生活保護を利用してはいかかでしょうか。毎日長時間介護の必要な自立生活者のほとんどは、自立をはじめるときには生活保護を利用しています。自立生活をはじめたときは生活保護を利用していても、自薦のヘルパー制度などをのばし、例えば自立生活センターを設立して数年実績を詰み、市からの助成や委託を受けられるようになれば、給与が得られるようになり生活保護をやめることもできるようになります。(実際そのような方も増えてきています)

生活保護は収入と生活保護基準額の差額を受けられる制度

 単身の全身性障害者は生活保護を受けやすく、全国どこでも、収入が月20万円〜26万円以下なら受けられます(貯金などの資産があれば、生活保護で受けられる額を毎月介護料・家賃などに使い、使い切り次第申請できます)。

 収入とは、@障害年金、A特別障害者手当(この2つ合計で11万円弱)、B仕送りなど、C給与(ただし一定の控除あり)、D保険の受取額、などの合計になります。これらの合計が、(1人暮らしの場合)3級地の2なら月20万円以下、1級地の1なら月26万円以下なら生活保護を受けられます。(給与や年金などと保護基準額の差額が毎月支給される)。

貯金や現金化できる資産がある場合

 資産がある場合、すぐには生活保護は受けられません。例えば、貯金がある場合、アパートを借りる敷金礼金に使う、住宅改造をする、福祉機器や自家用リフトカーを買う、海外への研修旅行、東京などで行われている自立生活プログラムやピアカウンセリングの集中講座などに参加、(いずれも、介護者2人の交通費と介護料も支払えば、かなりの額になります)などに使い切ってください。それでもあまる場合、毎月、「大臣承認介護料+家賃」の額(約20万円)を貯金からおろして、介護料、家賃に使っていってください。(この額は、生活保護が開始されたら受けられます)。ほかにも、さまざまな方法があります。ここでは書ききれませんので、詳しくは、電話で聞いてください。制度係フリーダイヤル0077−2329−8610へ。

家や土地や自営業のための資産がある場合

 家や土地の資産がある場合、基本的には売却して、お金を使い切るまでは、生活保護は受けられません。ただし、現在、住居として使っている家屋は、その地域の生保の家賃基準で借りられる広さ程度の場合、保有が認められます。もっと広い場合は,空いている部屋を間貸しに出す努力をすることで、保有が認められます。(これらの場合、自分の家があるので、生活保護の住宅扶助は受けられません)。耕作に使っている土地や、自営業に使っている機械などは、収入を得るための適正な規模であれば、保有を認められることもあります。(詳しくは、広告の「生活保護実施要領」を参照)。

 

平成11年度 厚生省保護課係長会議資料11年度版 生活保護基準・生活保護実施要領を含む資料

 資料集4巻と合わせてご購入ください。生保利用者はなるだけご購入下さい。

 今年度は3月に係長会議が行われたため、基準額冊子が会議資料に掲載されています。

 生活保護を受けている方、生活保護の相談を行う団体は、必携です。市町村の保護課の係員が保護費算定等の仕事に使う「生活保護手帳」の前半部分(保護課・保護係の主管部分)と同じ内容です。(生活保護手帳後半部分の医療係の主管部分は使わないので入っていません)。家賃扶助の全国基準額表も独自掲載。

1冊、1800円(当会会員の方・定期購読の方は1200円)

生活保護の他人介護料大臣承認申請書セット

相談会員のみ・無料 申込みは発送係へFAXか電話で

初めての申請の市の方は、当会制度係と連絡を取りつつ進めてください。

 (セットがつきましたら制度係に必ずお電話下さい)

 

94年度以降の生活保護制度の介護料の経過

年度

特別基準大臣承認

特別基準

知事承認

一般基準

東京都ほか

大阪府ほか

兵庫県ほか

札幌市ほか

94

177800

163000

150700

125700

103050

68700

95

179200

165000

152000

129400

104180

69450

96

180700

166400

153600

132800

105080

70050

97(H9)

182200

167600

154900

136300

105980

70650

98(H10)

184100

169000

156500

138100

107100

71400

99(H11)

185600

170000

157000

139200

108000

72000

*大臣承認単価は各県の平均賃金により、全国4段階に設定される。

 

 

1回の交渉で大臣承認介護料の継続時の立替支給が実現(札幌市)

 大臣承認介護料は特別基準(一時的な特別需要に対する制度)を使って制度化してきた歴史があるため、毎年度初めに再度継続申請を行わなくてはなりません。そのため、多くの自治体では、毎年4月は一般基準のみに戻り、5月ごろから知事承認額になり、その後数ヶ月たって大臣承認が決定するまでは知事承認額で推移します(いずれも決定され次第、4月にさかのぼって差額分がまとめて数ヶ月分支給されます)。

 これでは、介護料を主な収入とする専従介護者などは給与の遅配が発生してしまいます。そこで、東京都、大阪府、山形県、千葉県、静岡市などでは、新年度額が決定するまでは、昨年度額の大臣承認介護料を4月初めから支給する方法を取っています。生活保護は機関委任事務といい、国の制度です。県や市は手続などの業務を委託されているだけで制度を変える決定権はありません。しかし、緊急性の判断は現場の県や市町村で行えることになっています。上記の自治体は緊急性の判断で昨年度額をとりあえず支給する形を取っています。他の自治体でも同じようにさせる方法があります。県や市の保護課と利用者が話し合いをすることにより可能です。

 以下に、札幌市で交渉1回で改善に成功した報告を札幌市の交渉団体からいただきました。

札幌市の交渉例

 3月11日に保護課と交渉をもちました。毎年4月に申請を上げる生保他人介護大臣承認ですが、認定されるまでに前年度(98年度)は10ケ月もかかり、実際に支給されたのは今年の2月でした。その間は市長承認との差額月額約3万円あまりを生活費から立替えて介助者に支払いをしなければならず、とても困っているのが現状です。そこで、このような現状と、全国では東京都、山形県、千葉県、静岡県、大阪府の5つの自治体が大臣承認が出るまでの間、補填して大臣承認分の他人介護料を支払っていることなどを盛り込んで、要望書を提出しました。

 交渉を申し込んだとき(2月初旬)、当初は、年度末にはいることと「地域振興券」の配布の作業が立て込んでいて、交渉には応じられないという返事でしたが、代表の高山がガンと受け付けずに、とにかく交渉の日程を早急に調整してほしいということで押し切りました。

 ようやく3月11日に交渉の予約をとりつけました。交渉では、「10ケ月以上も遅れて支給するなんて、どんな行政手続きにもないし、その間、介助者には無報酬で働いてもらうことになる。これでは、介護契約書はほとんどあってないようなものだ」「また、4月の申請で翌年2月の支給だったら、結局、次年度に提出する介護料の実績の領収書も、(ほんとうは翌月に支払うことになっているのに)実際には日付なんて全然あわなくなるし、こういうずさんなことを札幌市が率先してやっているということを知ったら、市民はどういう反応をするでしょうか。100人の市民がこの問題を知れば、100人そろって不可解な行政手続きだ考える問題です」「これは本当に緊急を要する問題で、生活保護法の現場主義と照らし合わせてみても、せめて継続申請の人にだけでも札幌市が一時的に立て替え払いすることは、何ら問題ではないはずだ。実際に立て替え払いしている自治体に問い合わせをして、札幌市としてもそれができるように早急に検討をしていただきたい。」と申し入れました。

 担当の保護指導係長は「当然な要望であると認識している。札幌市としても、厚生省の事務処理はあまりにも遅すぎることをことある度に要望しているが、現段階としては、国の特権事項になっている大臣承認を、厚生省の決定の前に先に札幌市が決定することはできない。みなさまの要望を聞いて、札幌市としてどういう対応をするかという結論はまだでていないが、まずは他の自治体がどういうふうにやっているかということを調査研究したい。」と述べました。

 その後何度か電話を入れたりした結果、4月下旬に保護指導課から連絡があり、今年度より札幌市でも厚生省の承認がおりるまで、立て替え支給をすることになりました。(これは継続申請者のみで、新規分については従来どおり、厚生省の承認をまたなければなりません)。もし万が一、厚生省で認められなかったら大臣承認支給分を返還してもらうということで、保護指導課の内部でまとまったようです。たった1回の交渉で改善されたので、みんなでよろこんでいるところです。

(札幌からの原稿は以上)

98年12月号の記事再掲載

県交渉の方法と厚生省への問合せのさせ

 東京都、千葉県、静岡市、大阪府、山形県ほかでは継続の障害者は、毎年4月になっても一般基準に戻らずに、昨年度の大臣承認の額がそのまま出ます。それ以外の県では、4月になると7万円台の一般基準に戻ってしまい、知事承認が5〜6月に受けられるまでそのままです。5〜6月から大臣承認の承認される12月ごろまでは知事承認額のままです。

 これでは困るので、前回厚生省交渉で、全国を東京など5都府県の様に変えられないか交渉しました。保護課の判断は、「特別基準という性格上、各県に積極的にやりなさいとは言えない。ダメとも言えない」(ただし、前年度額支給を行う自治体があるのは、現場で緊急性の判断でやっているということで違法ではない)ということでした。

 そこで、今回は以下のようにして解決方法を作りました。

当会:「現在、東京都、千葉県、静岡市、大阪府、山形県の5都府県で、4月から継続申請が認可されるまでの間、昨年度の大臣承認額が出ていることは承知しているわけですね?」

厚生省保護係長:「はい。承知しています」

当会:「では、道府県から電話で問合せがあって、『東京都、千葉県、静岡、大阪府、山形県の5都府県で、4月から継続申請が認可されるまでの間、昨年度の額が出ているのはほんとうですか』と問合せがあったら、『情報として把握しています』と答えていただけますか?」

厚生省保護係長:「はい。」

当会:「その上で、道府県から『その法的根拠はどこを見れば良いですか』と聞かれたら『緊急性の判断は現場の権限なので、それで出しているのでは』と答えることはできますよね?」

厚生省保護係長:「はい。」

 このように確認できました。必要な方は上記を踏まえ、以下のように県交渉を行うことで解決できます。

 

県交渉の方法

 県の保護課に交渉を申込み、以下の内容を各県から厚生省保護課の保護係長に電話して確認するように交渉で確認(約束)してください。

@『他人介護料の大臣承認のことだが、東京都、千葉県、静岡県、大阪府、山形県の5都府県で、4月から継続申請が認可されるまでの間、昨年度の大臣承認の額が出ているのはほんとうか』

A『その法的根拠としては「緊急性の判断は現場の権限」なので、それで出していると理解して良いか』

    (この枠内を切りとって要望書に入れてください)

*決して「やって良いかどうか」を厚生省に正面から聞かないように(それには立場上、回答できないため)、よく県の担当に打ち合わせをしてください。(また、当然ですが、介護料が4月に1度減ることによって、介護者の確保がどれほど大変か、30分以上、県の保護課長に説明してください。)

 

 

 

介護保険情報 99年5月 

厚生省より指定居宅サービス事業者の指定基準の解釈が示される

 厚生省は4月20日の全国介護保険担当課長会議(年に数会開催されている)で、訪問介護(ホームヘルプ)など12種類の「指定居宅サービス」と「指定居宅介護支援」(ケアプランを作る事業者)の指定基準に関する解釈(案)を示しました。

 すでに、3月31日に事業者の指定基準に関する省令が交付されていますが、今回は、その中でも、特に指定の手続上、重要な点の解釈が示されました。

 99年の夏〜秋にかけて、介護保険の準備は以下のスケジュールで行われます。

7月から  居宅介護支援(ケアプランを作る事業者)の初回の指定が始まる

9月から  訪問介護(ホームヘルプ)など訪問通所系サービスから指定が始まる

      (居宅介護支援もあわせて行う事業者を先に指定を開始)

10月から 高齢者等の要介護認定が開始

 障害者団体で、ホームヘルプサービスを介護保険対象者に行う団体は、9月までに準備を進めてください。指定は都道府県が行います。なお、各市町村が行う「指定該当サービス」の事業者の指定は、指定事業者の数などを見て、各市町村が後から指定の準備に入ります(指定事業者が十分な場合は、指定該当サービスの指定を行わない場合もありえます)。

指定スケジュールの事例(東京都の場合)

 東京都では、居宅介護支援事業者(ケアプランを作る事業者)については、申請受付が6月14日から、指定が8月2日からとなっており、訪問介護(ホームヘルプ)などについては、8月2日から申請受付、指定は10月1日からです。指定は、以後、毎月行われ、月末締切りで翌々月1日に指定を行います。

 5月14日に東京都から市町村向けの説明会が行われ、5月24日〜25日に事業者向けの説明会が行われました。手続の流れは、1事前相談(都の外郭団体の地域福祉財団で事前相談を予約して行います)、2申請書類の準備、3申請書類の提出(上記財団に提出)、4受理・審査(東京都が受理し、人員や設備、運営基準を満たしているか具体的審査があり、実地確認を行います)、5指定(申請の翌々月の1日に、行います)、6指定通知・公示(東京都広報等に記載されます)、となっています。

 

訪問介護(ホームヘルプ)の項目と

指定居宅サービス(全般)の項目を掲載

 当紙面には、指定居宅サービス(全般)の項目と訪問介護(ホームヘルプ)の項目のみを掲載します。(「指定居宅介護支援」(ケアプランを作る事業者)の指定基準については、紙面の都合で掲載しませんので、障害者団体で必要な方は発送係にご請求下さい。)

 

A.訪問介護(ホームヘルプ)

1 人員に関する基準

(1)訪問介護員等の員数(基準第5条第1項)

 @訪問介護の担当者については、介護福祉士及び訪問介護員養成研修1〜3級課程を修了した者とし、介護保険法施行前に当該研修に相当する研修を修了した者も、同様に取り扱うものとする予定である。(これに関しては、現在、国会提出中の「地方分権の推進を図るための関係法律の整備等に関する法律案(以下「地方分権一括法案」という)において、介護保険法の一部を改正し、同法第7条第6項の「厚生省令で定める者」を「政令で定める者」に改めることを盛り込んでいる。このため、地方分権一括法案の成立を待って、これに基づく関連政令の整備の中で、都道府県知事が指定する研修を修了した者を訪問介護の担当者として定めることとしている。)

 ここにいう「相当する研修」には、「ホームヘルパー養成研修事業の実施について」(平成7年7月31日社援更第192号・老計116号・児発第725号社会・援護局長、老人保健福祉局長及び児童家庭局長連名通知)に基づく指定を受けたホームヘルパー養成研修1〜3級課程のほか、同通知に基づく指定を受けていないが、当該研修を修了した者が老人福祉法第5条の2第2項に規定する老人居宅介護等事業に現に従事しているなどの実績があるなど、同通知に基づく指定を受けた研修と同等以上の内容を有すると認められる研修であって、原則として介護保険法関係法令の規程に基づく都道府県知事の指定を受けることを予定しているものが含まれる。この場合においては、訪問介護にかかる指定居宅サービス事業者の指定を受けた者が専らその従業者を養成するために行う研修(いわゆる「自社研修」)も、「相当する研修」に該当し得る。

 なお、訪問介護にかかる指定居宅サービス事業者の指定を受けようとする者は、当該訪問介護に従事させることとなる者が修了した研修が「相当する研修」に該当するかどうかについて疑義があるときは、当該指定の申請をするに当たっては、その旨を都道府県知事に申し出る。

 A指定訪問介護事業所における訪問介護員等の員数については、2.5人以上と定められたが、これについては、職員の支援体制などを考慮した最小限の員数として定められたものであり、各地域における状況や利用者数及び指定訪問介護の事業の業務量を考慮し、適切な員数の職員を確保する。

 B勤務日及び勤務時間が不定期な訪問介護員等(以下「登録訪問介護員等」についての勤務延時間数の算定については、次の通りの取り扱いとする。

イ 登録訪問介護員等によるサービス提供の実績がある事業所については、登録訪問介護員等1人当たりの勤務時間数は、当該事業所の登録訪問介護員等の前年度の週当たりの平均稼働時間(サービス提供時間及び移動時間をいう)とする。

ロ 登録訪問介護員等によるサービス提供の実績がない事業所または非常に短期の実績しかないなどのため、イの方法によって勤務延時間数の算定を行うことが適当でないと認められる事業所については、当該登録訪問介護員等が確実に稼働できるものとして勤務表に明記されている時間のみを勤務延時間数に算入する。なお、この場合においても、勤務表上の勤務時間数はサービス提供の実態に即したものでなければならないため、勤務表上の勤務時間と実態が乖離していると認められる場合には、勤務表上の勤務時間の適正化の指導の対象となる。

 C出張所などがあるときは、常勤換算を行う際の事業所の介護職員の勤務延時間数とは、出張所などにおける勤務延時間数も含める。

 

(2)サービス提供責任者(基準第5条第2項)

 事業の規模に応じて1人以上の者をサービス提供責任者としなければならないとされたが、その具体的取り扱いは次の通りとする。なお、サービス提供責任者の事業規模に応じて配置すべき員数の考え方については、追って通知する。

 @管理者がサービス提供責任者を兼務することは差し支えない。

 A次のいずれかに該当する常勤の職員から選任する。(これに関しては、都道府県知事が指定する研修を修了した者を訪問介護の担当者として定めるのに合わせて、所要の規定を整備する)

イ 介護福祉士

ロ 訪問介護員養成研修1級課程を修了した者

ハ 訪問介護員養成研修2級課程を修了した者であって実務経験が3年以上のもの

 BAのハの3年以上の実務経験者は、社会福祉士及び介護福祉士法(昭和62年法律第30号)第40条第2項第1号に規定する「3年以上介護等の業務に従事した者」と同様とし、その具体的取り扱いについては、「指定施設における業務の範囲等及び介護福祉士試験の受験資格に係る介護等の業務の範囲等について」(昭和63年2月12日社庶第29号厚生省社会局長、児童家庭局長連名通知)の別添2「介護福祉士試験の受験資格の認定に係る介護等の業務の範囲等」を参考とされたい。

 なお、3年間の実務経験の要件が達成された時点と2級課程修了時点との前後関係は問わない。

(3)管理者(基準第6条)

 指定訪問介護事業所の管理者は常勤であり、かつ、原則として専ら管理業務に従事するものであること。ただし、以下の場合であって、管理者の業務に支障がないときは、他の職務を兼ねることができる。

 @当該指定訪問介護事業所の訪問介護員等としての職務に従事する場合

 A同一敷地内にあるまたは道路を隔てて隣接するなど、特に管理者の業務に支障がないと認められる範囲内に他の事業所、施設などがある場合の、当該他の事業所などの管理者または従業者としての職務に従事する場合(この場合の他の事業所、施設などの事業の内容は問わないが、例えば、併設される入所施設において入所者に対しサービス提供を行う看護・介護職員との兼務は管理者の業務に支障があると考えられるが、施設における勤務時間が極めて限られている職員の場合には、例外的に認められる場合もありうる)

 

2 設備に関する基準(第7条)

 (1)指定訪問介護事業所には、事業の運営を行うために必要な面積を有する専用の事務室を設けることが望ましいが、他の事業の用に供するものと明確に区分される場合は、他の事業と同一の事務室であっても差し支えない。なお、同一事業所において他の事業を行う場合に、業務に支障がないときは、それぞれの事業を行うための区画が明確に特定されていれば足りるものとする。

 (2)専用の事務室または区画については、利用申し込みの受付、相談などに対応するのに適切なスペースを確保する。

 (3)指定訪問介護に必要な設備及び備品などを確保する。特に、手指を洗浄するための設備など感染症予防に必要な設備などに配慮する。ただし、他の事業所及び施設などと同一敷地内にある場合であって、 指定訪問介護の事業及び当該他の事業所及び施設などの運営に支障がない場合は、当該他の事業所及び施設などに備え付けられた設備及び備品などを使用することができる。

 

3 運営に関する基準

 (1)利用料などの受領

 @基準第20条第1項は、法定代理受領サービスとして提供される指定訪問介護についての利用者負担として費用の1割(法第50条または第60条の規定に基づき保険給付の率が拡大されている場合については、それに応じた割合)の支払いを受けなければならないことを規定したものである。

 A同条第2項は、利用者間の公平及び利用者の保護の観点から、法定代理受領サービスでない指定訪問介護を提供した際にその利用者から支払いを受ける利用料の額と、法定代理受領サービスである指定訪問介護にかかる費用の額の間に、一方の管理経費の他方への転嫁などによる不合理な差額を設けてはならないとしたものである。

 なお、そもそも介護保険給付の対象となる指定訪問介護のサービスと明確に区分されるサービスについては、次のような方法により別の料金設定をして差し支えない。

イ 利用者に、当該事業が指定訪問介護の事業とは別事業であり、当該サービスが介護保険給付の対象とならないサービスであることを説明し、理解を得ること。

ロ 当該事業の目的、運営方針、利用料などが、指定訪問介護事業所の運営規程とは別に定められていること。

ハ 会計が指定訪問介護の事業の会計と区分されていること。

 B同条第3項は、指定訪問介護の提供に関して、前2項の利用料のほかに、利用者の選定により通常の事業の実施地域以外の地域の居宅において指定訪問介護を行う場合の交通費の支払いを利用者から受けることができることとし、保険給付の対象となっているサービスと明確に区分されないあいまいな名目による費用の徴収は認めないこととしたものである。

 C同条第4項は、指定訪問介護事業者は、前項の交通費の支払いを受けるに当たっては、あらかじめ、利用者またはその家族に対してその額などに関して説明を行い、利用者の同意を得なければならないこととしたものである。

 (2)運営規程

 基準第29条は、指定訪問介護の事業の適正な運営及び利用者に対する適切な指定訪問介護の提供を確保するため、同条第1号から第7号までに掲げる事項を内容とする規定を定めることを指定訪問介護事業所ごとに義務づけたものである。特に次の点に留意されたい。

 @指定訪問介護の内容及び利用料その他の費用の額(第4号)

 「指定訪問介護の内容」としては、身体介護、家事援助などのサービスの内容を、「利用料その他の費用の額」としては、法定代理受領サービスである指定訪問介護にかかる利用料(1割負担)、法定代理受領サービスでない指定訪問介護の利用料及び基準第20条第3項により徴収が認められている交通費の額並びに必要に応じてその他のサービスにかかる費用の額を規定するものである。

 A通常の事業の実施地域(第5号)

 通常の事業の実施地域は、客観的にその区域が特定されるものとする。なお、通常の事業の実施地域は、利用申し込みにかかる調整などの観点からの目安であり、当該地域を越えてサービスが行われることを妨げるものではない。

 

 (3)勤務体制の確保など

 基準第30条は、利用者に対する適切な指定訪問介護の提供を確保するため、職員の勤務体制などを規定したものであるが、次の点に留意すること。

 @指定訪問介護事業所ごとに、原則として月ごとの勤務表を作成し、訪問介護員等については、日々の勤務時間、職務の内容、常勤・非常勤の別、管理者との兼務関係、サービス提供責任者である旨などを明確にする。

 A同条第2項は、当該指定訪問介護事業所の従業者たる訪問介護員等によって指定訪問介護を提供するべきことを規定したものであり、当該事業所の管理者の指揮命令下にない者により指定訪問介護を行うことは認められない。

 

 (4)苦情処理

 指定訪問介護事業者は、相談窓口、苦情処理の体制及び手順など当該事業所における苦情を処理するために講ずる措置の概要について明らかにし、利用申し込み者にサービスの内容を説明する文書に苦情に対する措置の概要についても合わせて記載するとともに、事業所に掲示する。

 

 

B.指定居宅サービス(訪問介護・訪問看護・短期入所等全般に関係する項目)

1 基準の性格

1、指定居宅サービス等の事業の人員、設備及び運営に関する基準(平成11年厚生省令第37号。以下「基準」という)は、指定居宅サービスの事業がその目的を達成するために必要な最低限度を定めたものであり、指定居宅サービス事業者は、常にその事業の運営の向上に努めなければならない。

2、基準を満たさない場合には、指定居宅サービスの指定は受けられず、また、運営開始後、運営基準違反が明らかになった場合には、都道府県知事は必要な指導などを行い、必要に応じて当該指定を取り消すことができる。

3、運営に関する基準に従って事業の運営をすることができなくなったことを理由として指定が取り消された直後に再度当該事業者から当該事業所について指定の申請がなされた場合には、運営に関する基準を順守することが見込まれないものであり、その改善状況などが確認されない限り指定を行わない。

 

2 総論

1、事業者指定の単位

 事業者の指定は、原則としてサービス提供の拠点ごとに行うものとするが、例外的に、待機や道具の保管、着替えなどを行う出張所などであって、次の要件を満たすものについては、一体的なサービス提供の単位として「事業所」に含めて指定することができる取り扱いとする。

 @利用申し込みに係る調整、サービス提供状況の把握、職員に対する技術指導などが一体的に行われること。

 A職員の勤務体制、勤務内容などが一元的に管理されること。事業所内において、必要な場合に、従業員相互の間で支援が行える体制にあること。

 B苦情処理や損害賠償などに際して、一体的な対応ができる体制にあること。

 C事業の目的や運営方針、営業日や営業時間、利用料などを定める同一の運営規程が定められること。

 D人事、給与・福利厚生などの勤務条件などによる職員管理が一元的に行われていること。

2 用語の定義

 基準第2条において、一定の用語についてその定義を明らかにしているところであるが、以下は、同条に定義が置かれている用語について、その意味をより明確なものとするとともに、基準中に用いられている用語であって、定義規程が置かれていないものの意味を明らかにするものである。

(1)「常勤換算方法」

 当該事業所の従業者の勤務延時間数を当該事業所において常勤の従業者が勤務すべき時間数(32時間を下回る場合は32時間を基本とする)で除することにより、当該事業所の従業者の員数を常勤の従業者の員数に換算する方法をいうが、この場合の勤務延時間数は、当該事業所の指定にかかる事業のサービスに従事する勤務時間の延べ数であり、例えば、当該事業所が訪問介護と訪問看護の指定を重複して受ける場合であって、ある従業者が訪問介護員等と看護婦等を兼務する場合、訪問介護員等の勤務延時間数には、訪問介護員等としての勤務時間だけを算入することとなる。

(2)「勤務延時間数」

 勤務表上、当該事業にかかるサービスの提供に従事する時間または当該事業にかかるサービスの提供のための準備などを行う時間(待機の時間を含む)として明確に位置付けられている時間の合計数とする。なお、従業者一人につき、勤務延時間数に算入することができる時間数は、当該事業所において常勤の従業者が勤務すべき勤務時間数を上限とする。

(3)「常勤」

 当該事業所における勤務時間が、当該事業所において定められている常勤の従業者が勤務すべき時間数(32時間を下回る場合は32時間を基本とする)に達していることをいう。同一の事業者によって当該事業所に併設される事業所の職務であって、当該事業所の職務と同時並行的に行われることが差し支えないと考えられるものについては、それぞれにかかる勤務時間の合計が常勤の従業者が勤務すべき時間数に達していれば、常勤の要件を満たすものである。

例えば、一の事業者によって行われる指定訪問介護事業所と指定居宅介護事業所が併設されている場合、指定訪問介護事業所の管理者と指定居宅介護支援事業所の管理者を兼務している者は、その勤務時間の合計が所定の時間に達していれば、常勤要件を満たす。

(4)「専ら従事する」「専ら提供に当たる」

 原則として、サービス提供時間帯を通じて当該サービス以外の職務に従事しないことをいう。この場合のサービス提供時間帯とは、当該従業者の当該事業所における勤務時間(指定通所介護及び指定通所リハビリテーションについては、サービスの単位ごとの提供時間)をいうものであり、当該従業者の常勤・非常勤の別を問わない。ただし、通所介護及び通所リハビリテーションについては、あらかじめ計画された勤務表に従って、サービス提供時間帯の途中で同一職種の従業者と交代する場合には、それぞれのサービス提供時間を通じて当該サービス以外の職務に従事しないことをもって足りる。

(5)「前年度の平均値」

 @基準第111条第4項(介護老人保健施設である指定通所リハビリテーション事業所における医師、理学療法士もしくは作業療法士または支援相談員の員数を算定する場合の利用者の数の算定方法)、第121条第3項(指定短期入所生活介護にかかる生活相談員、介護職員または看護職員の員数を算定する場合の利用者の数の算定方法)、第142条第2項(老人性痴呆疾患療養病棟を有する病院であって介護療養型医療施設でないものである指定短期入所療養介護事業所における看護職員または介護職員の員数を算定する場合の入院患者の数の算定方法)、第157条第2項(指定痴呆対応型共同生活介護にかかる共同生活住居における介護従業者の員数を算定する場合の利用者の数の算定方法)及び第175条第2項(指定特定施設における生活相談員、看護職員もしくは介護職員の人員並びに計画作成担当者の人員の標準を算定する場合の利用者の数の算定方法)における「前年度の平均値」は、前年度の各月末日または各月の最後のサービス提供日における利用者数をそれぞれ合算し運営月数で除して得た数とする。

 A新規指定、再開または定員の変更に際しては推定数によることとするが、当該推定数は、地域の実情などを勘案して当該事業所が示したものとし、その根拠を明確に示すものとする。

 B@、Aにかかわらず、利用者数が急激に増加している場合においては、事業者は当該増加に応じた員数の従業者を確保する。

 

申請書類について

 ホームヘルプの指定を受けるにあたって、申請書類一式として必要な書類は以下の通りです。申請や事前相談は、都道府県の担当課にて行います(都道府県によって6月から開始するところもあります。早めに都道府県にお問い合わせ下さい)。

指定(許可)申請にかかる添付書類一覧 (訪問介護)

 

種別

 

申請者の定款、寄付行為等及びその登記簿謄本または条例等

従業者の勤務体制及び勤務形態一覧表

事業所の管理者の経歴

サービス提供責任者の経歴

事業所の平面図(備品概要を含む場合「◎」)

13

運営規程

14

利用者からの苦情を処理するために講ずる措置の概要

15

当該申請にかかる資産の状況

21

当該事業所の所在地以外の場所で、当該申請にかかる事業の一部を行うときの名称・所在地

 

 

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注意:交渉をされる方、生保介護料申請される方は、必ず制度係にお電話を。追加資料や説明が必要です。

 

 

 

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1巻 自薦登録方式のホームヘルプサービス事業

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第1章 全国各地の自薦登録ヘルパー

全国の一覧表・熊本市・東久留米市・保谷市・大阪府I市・四国の松山市とT市・千葉県・埼玉県・大阪府の通知・兵庫県A市・札幌市・浦和市・千葉県柏市と市川市

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第3章 海外の介護制度 パーソナルヘルパー方式

デンマークオーフスの制度・スウェーデンの制度・エーバルト・クロー氏講演記録

第4章 ヘルパー制度 その他いろいろ

費用の保障で人の保障が可能・福岡県の状況・市役所のしくみ・厚生省の情報

資料1 自治体資料

東京都世田谷区の推薦登録ヘルパー料

資料2 厚生省の指示文書・要綱

6年度・8年度・9年度・10年度厚生省主管課長会議資料(自薦登録ヘルパーについて書かれた指示文書)・厚生省ホームヘルプ事業運営の手引き・厚生省ホームヘルプサービス事業の要綱255号・260号・ヘルパー研修の要綱・97年度の通知・ホームヘルプサービス事業実務問答集・ホームヘヘルプ個別援助計画・ホームヘルプ補助金要綱

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2巻 全国各地の全身性障害者介護人派遣事業

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1静岡市・2東京都・3大阪市・4神奈川県・5熊本市・6兵庫県 西宮市・7宝塚市・8姫路市・9尼崎市・10神戸市・11岡山市・12宮城県と仙台市・13滋賀県・14新潟市・15広島市・16札幌市・17埼玉県・18来年度開始の4市・19フィンランドの介護制度資料・20東京都の新制度特集・21千葉県市川市・22兵庫県高砂市・23静岡県清水市・24大津市+99年度実施の市

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3巻 全国各地のガイドヘルパー事業

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 全身性障害者のガイドヘルパー制度は現在3300市町村の1割程度の市町村で実施されています。このうち、特に利用可能時間数の多い(月120時間以上)数市についての解説を掲載。また、これから制度を作る市町村が要綱を作る場合の参考になる要綱事例などを掲載。厚生省の指示文書も掲載。 交渉の要望書セット(ガイドヘルパー用)も掲載

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4巻 生活保護と住宅改造・福祉機器の制度 

170ページ 1冊2000円(+送料)  99年1月発行改定第2版 

 生活保護、生活福祉資金、日常生活用具などを紹介。このうち、生活保護内の制度では、介護料大臣承認・全国の家賃補助・敷金等・住宅改造・高額福祉機器・移送費・家財道具の補助・家の修理費、の制度を詳しく紹介。各制度の厚生省通知も掲載。 生活保護を使って自立したい方は必ず読んでください。

Howto介護保障 別冊資料 

5巻 障害当事者団体の財源の制度

134ページ 1冊1400円(+送料)   好評発売中 

<この5巻のみ、障害者主体の団体・障害者本人のみに限定発売とします>

 全国で使える労働省の障害者雇用促進制度助成金の詳細・ホームヘルプ事業の委託を受ける・市町村障害者生活支援事業の委託を受ける・障害低料第3種郵便の方法・資料(NPO法・介護保険の指定・重度障害者を自立させるマニュアル)など。

Howto介護保障 別冊資料 

6巻 介護保険と関係情報

 160ページ   1冊1400円(+送料)   99年3月発行

 介護保険の総合解説、障害者団体が介護保険でヘルパー派遣等ができる指定団体になる方法・基準、介護保険関連で障害者団体と厚生省の話合いの経過等

 東京都作成資料「介護保険指定団体の基準」を掲載。

(上記の資料集1〜6巻は介護保障協議会・介護制度相談センターの会員・定期購読者は3割引サービス   1・2・3巻の案内は前ページをご覧ください。

 

すべての資料集とも、注文は、発送係へ。

 申込みTEL/FAX 0120−870−222

ご注文はなるべくFAXで(@住所A名前B注文品名C郵便番号DTELE会員価格か一般価格か をご記入ください)。料金後払い。郵便振込用紙を同封します。内容に不満の場合、料金不要です。着払いで送り返しください。TELは平日11時〜17時に受付。

 

 

当会の電子メールアドレスは  @ インターネット:

A NIFTY  :CYR01164

B BIGLOBE:dpm82831

です。なお、ABは、定期的には見ていないので、TEL/FAXにも「送った」とご連絡を。

 

障害者の職員募集中(専門職候補者)

全国障害者介護保障協議会/介護制度相談センターでは

全身性障害者の「制度相談員」(専門職)候補生を募集します

 

選考期間 問合せは随時受付。1人の希望者に対し、数ヶ月かけて選考を行う予定。

募集人数 1〜2名募集します

対象者  介護制度が毎日必要な全身性障害者(できれば、すでに単身生活されている方)

年  齢 20〜40歳

収 入  給与+年金+特別障害者手当+東京都の手当で月30万円以上。

住 宅  アパートを探すサポートをします。普通1〜2日で見つかります。

     住宅改造の制度(6項目で2百数十万円上限)があります。

介 護  長時間の介護制度がありますので、介護体制は安定しています。

労働時間 基本は週休2日。土日に全国的な障害者団体の行事や、集中講座などがある場合は出席します(代休あり)。1日6〜7時間勤務(障害に対応できるように時間数を決める)。

選考ポイント

@やる気のある人、自分の知識や仕事の方法の技術を高めていける方

A体力のある人、

B同僚との間で良いコミュニケーションと協力関係を保つことができる方

 ご質問・お問合せはお気軽に 通話料無料0077−2329−8610 制度係まで。 11時〜23時

 

入会申込み、定期購読申込み方法は3ページをご覧下さい。

資料集1〜6巻の案内は前ページをご覧下さい。

 

 

 

編集人 障害者自立生活・介護制度相談センター

〒188−0011 東京都田無市本町5−6−20 第2和光ビル2F

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