★人口9万人の広島県X市で24時間介護保障になるまでの交渉経過

★東京都で365日随時ヘルパー研修が可能に

★兵庫県西宮市で24時間介護保障が実現

7月号
2003.7.29
編集:障害者自立生活・介護制度相談センター
情報提供・協力:全国障害者介護保障協議会
〒180−0022 東京都武蔵野市境2−2−18−302
発送係(定期購読申込み・入会申込み、商品注文)  (月〜金 9時〜17時)
  TEL・FAX 0120−870−222 (フリーダイヤル
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制度係(交渉の情報交換、制度相談)(365日 11時〜23時(土日は緊急相談のみ))        
  TEL 0037−80−4445 (全国からかけられます)
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口座名:障害者自立生活・介護制度相談センター  口座番号00120-4-28675
 

2003年7月号    目次

   

4・・・・全国47都道府県のCIL空白地域で、障害者の人材募集
5・・・・秋田市で1人暮らししたい最重度の全身性障害者募集
6・・・・人口9万人以下の広島県X市で24時間介護保障に
17・・・兵庫県西宮市も6月から24時間介護保障に
30・・・全国各地で24時間介護保障が実現
33・・・厚生労働省の検討会報告
34・・・東京都では365日随時障害者団体事務所でヘルパー研修が可能に
38・・・宮城県が支援費制度下で全身性障害者介助人派遣事業要綱を策定
43・・・厚生労働省、生活保護制度の見直しへ審議会に専門委員会設置
44・・・介護保険6月30日Q&A情報
45・・・5月30日付け介護保険のQ&A訪問介護部分の後半



8月までにヘルパー時間数のアップに向けて交渉を!

 支援費の決定はどうだったでしょうか。この決定の後もひきつづき交渉を行うことは可能です。ひどい決定だった場合は、すぐに抗議に行くことが肝心です。今年は新制度になったことから、補正予算が出しやすい年です。抗議後、要望書を出し、課長の予定を聞き、交渉申し込みしてください。

補正予算は9月議会にあわせて行われます
なるべく8月中に何度も交渉を行い、決着してください。

交渉をしたい方、ご連絡ください。制度係 0037−80−4445 11時〜23時。厚生労働省の情報、交渉の先進地の制度の情報、ノウハウ情報、など、さまざまな交渉成功実績のある情報があります。ぜひ自治体との交渉にお役立てください。

交渉のやり方ガイドブック2の抜粋版 限定販売

 ヘルパーの時間数アップの交渉をする方に限り販売します。
 申込みは発送係0120−870−222へFAXか電話で。(交渉を行う方かどうか、制度係から電話させていただいてからお送りします。) 1000円+送料



「15年度生活保護基準額・実施要領等」冊子

3年ぶりに基準額が変わりましたので複製印刷しました。   (全102ページ)
生活保護の方や障害者の1人暮らし支援をしている団体は必ず必要になります。
生活保護課の職員は生活保護手帳(2500円)を見て仕事をしますが、この本の元になっている厚生労働省保護課資料ですので、内容はほぼ同じです。生活保護手帳に載っていない全国家賃基準表なども当会で独自に掲載しています。
申込みは発送係0120−870−222へFAXか電話で。   600円+送料



健常者スタッフ募集(全国障害者介護保障協議会/広域協会)

職種:事務職
勤務:月曜〜金曜 8時間 土日祝休み 月給22万円
資格:大卒者等 30歳くらいまで 男性
お問合せは 通話料無料 0037−80−4455 まで



月刊全国障害者介護制度情報のメール送信 サービスを開始

 相談会員・定期購読・団体会員の方など、有料で紙冊子をお届けしている方で、ページをめくれない障害者に限り、無料で、メールでマイクロソフトWORDファイルでお送りいたします。行政資料は画像ファイルの場合があるのでADSLなどのつなぎっぱなし環境の方にお勧めします。ご利用希望の方はメールで申し込みください。  まで。電話・FAXでの申し込みはできません。 なお、お知り合いなどに会員を広めていただける方にも3か月分の見本をお送りします。



会費の銀行振り込みも開始しました

インターネット振込みをする方が増えましたので、銀行口座による入金も受付開始しました。ご利用希望の方はメールでお問い合わせください。  まで。電話・FAXでの申し込みはできません。新生銀行 http://www.shinseibank.com/ などはネット振り込み手数料無料です。



全国47都道府県のCIL空白地域で、施設や親元から自立してCILを作りたい障害者の人材募集(介護が長時間必要な方)

 全国障害者介護保障協議会と自薦ヘルパー(パーソナルアシスタント制度)推進協会では、全国3300市町村で最重度障害者が運営する自立生活センター(CIL)のサービスが受けられるようになるように、各県で最低10箇所程度のCILを作ることを目標に金銭面や研修等で支援を行っています。
 どんな重度の障害者も地域で自立して暮らせることを理念として掲げたノーマライゼーションの広がりとともに、1970年代から東京や大阪などの大都市を中心として重度障害者が地域生活を始めてきました。初めはボランティアに頼っていた介護も、各地の交渉により現在では公的介護制度が充実し、2003年4月からは支援費制度もスタートしています。現在、都市部や地方の県庁所在地等では自立生活センターなどの地域支援の仕組みが整い始め、重度障害者が地域で生活できるようになってきましたが、まだまだサービスの乏しい地方で暮らすのは難しく、住み慣れた地域を離れ、サービスの整った都市部に引っ越さざるを得ない場合もあります。当会は、どんな重度の障害者でも住み慣れた地域で暮らしていけるような状況が日本全国で作られていくべきだと考えています。そのために、地方で自立して地域で暮らしていきたい、さらにCIL設立につなげたいという障害者に対して情報提供や研修、それにかかる諸費用も含めた全面的なバックアップをし、日本全体の地域福祉の向上を目指しています。
 2001年度〜2002年度は空白県に最低1つのCILを作ることを目標に研修や助成などで支援を行い、目標を達成しました。今年度からは各県に最低2〜3箇所のCILを作る支援を行います。
 現在、24時間介護の必要な全身性障害者が施設や家族の元から1人暮らしし、CILを立ち上げています。こういった最重度の障害者が過疎地の県でたくさん出ています。 近県CILや東京などで何度も研修を行い、介助者の雇い方、指示の出し方、アパートの借り方、介護制度の使い方、CILの作り方、など、1つ1つ研修を受けていくことで、やる気と努力で1つ1つ解決していきます。
 当会では、CIL空白地でCILを作りたいと考えている介護の必要な重度障害者に対して、CILを作るための様々な研修会などの交通費・介護者の費用などを助成いたします。CILを作る目的で施設や親元から出て1人暮らしを始める場合、1人暮らし開始時の介護費用なども(交渉して制度がのびるまでの期間)、助成・貸付します。
 研修は、参加して行う総合研修、ピアカウンセリング、ILP、個別事業研修など実地のもののほか、実地の研修を補完する「通信研修」も行っております。
 募集する地域は、県庁所在地からはなれているCIL空白地域です。(秋田・金沢・宇都宮・群馬・徳島・高知は県庁所在地も募集)。また、これ以外の地域でも、現在すでに立ち上がっている団体で引き続き障害者の人材募集も行っております。(特に募集するのは、青森・山梨)
 自分も参加したい・・という方は、どしどしご相談ください。
 自薦ヘルパー推進協会 0120−66−0009 10:00〜23:00

 自立生活センター(CIL)とは 理念はJILホームページhttp://www.j-il.jp/ などをご参照ください。 障害者が主体的に運営するサービス提供団体です。介助利用者自身がエンパワメントしていく(力をつけていく)スタイルのホームヘルプサービスを行います。24時間介護の必要な方などの1人暮らし支援を行い、介護制度の交渉も行い、地域の制度を改善していきます。

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秋田市で1人暮らししたい最重度の全身性障害者募集

施設や家族のもとから出て、自立生活を始めませんか?

 秋田県内では47都道府県で唯一、1人暮らしの長時間要介護の全身性障害者がいないため、ヘルパー制度も伸びていません。これを解決するためにバックアッププロジェクトを行います。他県では1日16時間や24時間介護の必要な障害者がヘルパーや他人介助者を確保して1人暮らしをしています。このような障害者がいる地域ではヘルパー制度が伸び、それ以外の障害者もヘルパー制度を必要なだけ受けやすくなっていきます。
 当会では、47都道府県のどこに住んでいても、同じようなサービスが受けられるように交渉の方法の支援や、「最初の1人」の自立支援を技術的、財政的に(介護料)サポートしています。
 今回は、特に秋田市かその周辺で1人暮らしをしたい全身性障害者を募集します。1日16〜24時間の介護が必要な方を想定していますが、それ以外の方もお問い合わせください。
 自立のあと、一定期間の介助者の費用のサポートをいたします。
 制度交渉してヘルパー制度を延ばすバックアップをします。 アパートを借りる方法なども研修でサポートいたします(毎日介助がつく場合はきちんと方法を学べば簡単に借りることが可能)。住宅改造も可能です。
 研修参加の交通費や介助費用は助成いたします。
 自立生活をするための技能プログラムを受講していただきます。
 なお、複数募集がある場合は、当会ほかが進めている、公益的な障害福祉活動に参加していただける方を優先いたします。(なお秋田市以外でも募集。詳細は前ページを。)

お問い合わせは 自薦ヘルパー推進協会 0120−66−0009 10:00〜23:00

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人口9万人以下の小規模市でも24時間介護保障が実現 

広島県X市の介護保障交渉の報告

広島県X市の自立生活センター

 最初に
  2003年4月より広島県X市では、支援費制度実施に伴い、長年の障害者自身による地域での自立生活のこだわりと、粘り強い交渉等が功を奏し、交渉の結果、日常生活支援毎日24時間介護保障が認められました(744時間/月)。24時間介護保障が認められたのは2人(共に脳性まひによる体幹機能障害、上肢下肢機能全廃)。ほかに私たちX市の自立生活センター(以下、当会と記す)に関係するその他の障害者11名も一定程度の介護保障の前進が認められました。
  これは、障害当事者によるホームヘルパー派遣時間枠の拡大、ガイドヘルプ制度と全身性障害者介護人派遣事業の実施に向けた交渉によるものです。また、それに応じ取り組んでくれた行政担当者と関係者、またこれまで泊まり介護を中心として多くの障害者と付き合う仲間たちのおかげだと思っています。
  さらなる介護保障の充実が、権利擁護活動やピアカウンセリング、ILP等さまざまな当事者運動に具体的な力をもたらすよう、私たち障害者自立生活センターの働きと真価がこれから問われると思っています。

T.]市の概要

]市は人口9万人弱の小さな町です。広島市とは電車で2時間以上離れています。もともとは造船と商業の町として活気がありましたが、ここ20年間の経済不況の波により市の財政も厳しく、福祉が必ずしも充実しやすいといえない状況があります。 その中で、生活保護受給と他人介護料を使い、長く地域生活を続けている5人の自立障害者(全身性障害者)がいます。その5人が介護保障を要求しながら暮らしていくことに対しての風当たりも強く、大変困難な状況下での自立生活がありました。そのことがX市に障害者問題を提起していく道を作り、障害者自立生活センターの誕生を促したと言えるでしょう。

U.24時間介護保障の成立までの経過

 2000年度当初(これ以前からも交渉はしていましたが、経過説明の関係上省きます)から、支援費制度(まだ当時はこの名前もわからなかったので、2003年度社会福祉基礎構造改革といっていました)の実施を具体的に意識して、今まで以上に介護保障協議会の皆さんや全国の自立生活センターの仲間と連携し、交渉方法の変更も含む取り組みや情報収集を行ってきました。

(1)2001年度概要

2001年度は、とにかく支援費制度が始まる前の段階で、なんとしてもあまりにも不足している介護制度を増やさないといけない(そうしないと支援費制度になったとしても以前との比較にあまりにも大きい乖離が生じるため、24時間介護保障のきっかけを失ってしまうのではないかと感じていた)。また、代表Nと副代表M(ともに寝たきり)がたびたび体調を崩すことがあり、まさにこのままでは命にかかわるとして、全身性障害者介護人派遣事業の実施に絞り個別交渉を繰り返しました。 そしてこの間、介護保障協議会からのサポートを何度もうけました。(説明会や個別面談に参加。さらにメール、FAX、電話を使い随時サポート(相当な回数でした)をうけた。)また、各々自らが動いて情報を集めようと、他の自立生活センターに訪問(他のメンバーとも分担し全体としては2001年内で会として計3箇所、その他ピアカウンセリング研修等を通して関係性を広げていった)させていただき、介護保障や団体運営に関しての情報やレクチャーいただきました。

(2)2001年度、行政交渉記録

2000年3月26日  市長宛て要望書提出
  (交渉出席者・福祉保健部長、土木部建築課課長、交通局交通課課長)

 市町村障害者生活支援事業実施と全身性障害者介護人派遣事業実施、交通バリアフリー関連など多岐にわたる内容で交渉。進展なし。

2001年4月13日  第1回交渉(全体交渉)
   (出席者・社会福祉課長、障害福祉係長)

  市町村障害者生活支援事業実施と全身性障害者介護人派遣事業実施を同時要求
※ 進展なしだが、新たな動きに入っていった(交渉方法変更の検討開始)
  以前の全体交渉(任意団体名とCIL併記して交渉していました。本来は任意団体名で行うべき)から、個別交渉(主に当事者1名と事務局スタッフ1名が、自らの生活状況をもって交渉に臨む障害者当事者とその支援者という役割をもって交渉)に切り替え、支援費制度実施まで介護保障を中心に運動を展開していくことを決めました。

5月16日  第2回交渉(全体交渉)
  (出席者・社会福祉課長、障害福祉係長)

前回交渉の継続

6月21日  第3回交渉(全体交渉)
   (出席者・社会福祉課長、障害福祉係長)

 介護保障に関しての取り組みを今後強化していくために、戦略的意図を持ち、相談事業に対しての取り組みに一定の区切りをつけるため、市町村障害者生活支援事業について絞り交渉。地域福祉と在宅福祉の学習と情報交換を目的としたケア会議発足を認めさせた。

7月18日  第1回地域ケア会議
   (行政、社協、支援センター(社福)、精神障害者支援センター(社福)、身体障害者福祉協会(任意団体)、障害者支援センター(社協内にあるデイサービスB型を行っている部局)、当会)

会議の継続開催を確認

7月25日  全身性障害者介護人派遣事業実施に絞っての個別折衝開始

 資料として、代表の生まれてから今までの生活状況や暮らしてきた歴史を書いた「資料:地域生活にかける思い」と詳細な「生活実態例」を障害者の状況理解をすすめるためとして提出。
 介護保障協議会のHowto介護保障別冊資料1〜3巻より、他市の状況や先進地域の状況、厚生省通達などを抜き出して(この種の資料は同じような内容のものを何度も提出しています。そうしないと読んでくれない)提出。

7月末 窓口折衝

 福祉保健部長より「担当課が(全身性障害者介護人派遣事業が)必要だと判断すれば財務部までは必ずあげる。自分のところで止めたりはしない」との発言を得る、これを受けて担当係長から「予算の問題より、必要性がどのくらいあるのかによって判断する」という発言を得る。
 この間、(全身性障害者介護人派遣事業実施の)コンセンサスを維持するため第1回ケア会議の流れをくみ話し合いをした相手社協在宅サービス課、社協地域福祉係、その他社協、支援センター(社福)、精神障害者支援センター(社福)、身体障害者福祉協会(任意団体)に対し、折衝回数では(窓口に出向いた回数)平日はほとんど上記のどこかに出向いた。市福祉係には15回。

8月20日 障害者福祉施策を考える学習会を当会呼びかけで実施
  参加:社協、地域生活支援センター(社福)身障協会、作業所、当会

9月初旬 担当窓口より「実施について前向きに検討する」との話があり実質的な内諾を得る。

9月以降 窓口折衝と事務折衝を年度末まで休まず行った。(月3,4回程度)

2002年2月  

 市からの協力要請を受け、介護保障協議会別冊資料より他市の全身性介護人派遣事業実施要綱を提出。

3月中旬 全身性障害者介護人派遣事業実施決定の連絡が入る。

(3)2001年度まとめ

この年の特徴としては、7月以降に見られるように、交渉や取り組みの中に行政以外の関係団体の名前が挙がっています。このことには理由があります。 地方で特に強いと思うのですが、小さい町では、地域福祉の枠組みが行政と既存の関係団体(社協や身障協会が中心)ですでに固まっていることが多く尚且つ強固です。そのことが公的介護保障の充実を地方で抑えている原因のひとつと思います。 これは、2000年度の交渉の中で出てきた担当者からの発言ですが、典型的だと思いますので書きます。

〔行政担当よりの話〕

  • 財政削減3ヵ年計画の中、新規事業は困難である。その理由は、計画中すでに決定された予算内で、各部署が業務を行うことになっており、そこで、新規事業を行うと言うことは、他の福祉事業予算を削減、もしくは、打ち切りにして予算を作ることになる。そうなれば、打ち切られる側の反発は相当なものであることから困難であるということ。

  • また、国の方針といっても、自治体の感情としては、国はいいことばかり言って実際の苦労は自治体に背負わせているという思いがある。それはどういうことかというと、事業を始めてみたら、国が方針転換をして事業を一方的に打ち切るということがいままであった。そうなったとき結局しんどい思いをしたのは自治体だ。国策国策といわれても自ずと慎重にならざるをえない。(この部分は2002年12月に支援事業の一般財源化があったことを思うと確かに問題)

  • 法人格があるといっても、NPO法人についての行政の認識は任意団体と変わりない。つまり、信頼感の点で実績がないということ。歴史も長く、信頼感も大きい社協や身障協会などと連携をとれないのか。

  • ]市は広島市のように予算規模が大きいわけでもないし、また近隣の在宅福祉環境で言えば、Y市(近隣で人口40万人)のような中核都市でもガイド、介護人派遣事業等の制度はない。これらを考えるとこと、X市だけに何故(ガイドや全身性が)必要なのかという感情が出てくることも否めない。他市への働きかけをあなたたちがやって、もっと広域的に状況整備をアピールされたらどうか。

 これらの発言について私たちは、ただの逃げ口上としてではなく、本音として動きたくても動けない地域福祉の現状があるのかと感じるところがありました。  確かに小さな町ではわずかな動きも目立ちますし、既得権についても、予算が非常に小さい規模で限られている以上、ダイナミックな動きは警戒感が強くなります。
  今までの交渉でも、介護保障がすすんでいる他の市町村の資料も出してきたのですが「そんな大きな市とここでは同じようにできない」という発言が帰ってくるだけでした。(つまり、ある程度地域福祉関係者とのコンセンサスをとることを求められる) 今までであれば私たちも否定的に返すだけだったのですが、このときは(うまくいくかは五分五分だったと思いますが)あえて介護保障の必要性を証明するため「それでは、それらの団体にもわたしたちから話をしますので、(地域福祉に影響力を持つ)各団体が地域福祉に関して意見交換を行う学習会的集まりを持ちましょう」と提案しました。
  この提案に対し、少し意外だったのですが、窓口が非常に好意的に同意してきました。私たちはすぐ開催についての要請に動きました。  社協や支援事業関係の社会福祉法人とは障害者ケアマネジメントに関係する動きでつながりがあったこともあり参加承諾は早く、身障協会もそれらが参加するのであれば問題ないとして参加に同意してくれました。(つまりこの点では、小さい町には小さい町の利点もあるのだと思います。各団体の事務局も近い場所にありますし、場所もすぐわかります。面談申し込みも関係者のネットワークから紹介してもらうことで比較的可能でした。また、ガイドヘルプや移送サービスなど、他の事業体が行っていない必要性の高いサービスを、当会は自立生活センターの必須事業として、障害種別や所属にとらわれず、ずっと引き受けて派遣を行っていましたのでその実績も影響したようです。)
  そして、思惑はいろいろあったにせよ、参加した各団体や行政も、2003年を前に情報不足であったり、財政悪化の状況下で福祉の先行きに不安があったことなど、ある程度このような集まりが望まれたという幸運な面があったこともあり、この第1回目の学習会(名称:障害者ケア会議)は盛況に終わり、その開催について調整に動いたことが評価され、当会の存在が認知されたとの印象を持ちました。このケア会議は現在も継続しています。そして全身性障害者介護人派遣事業が実施され、介護保障についての認知が高まり次年度につながっていきました。

(4)2002年度概要

 とにかく窓口折衝を繰り返し、介護保障協議会から入れていただく支援費制度関連情報を細かく窓口に渡しました(これが非常にインパクトがありました。なぜなら、行政ラインに国の情報が届くより早くこちらから情報が入るということで、前年からの流れを後押しするように信頼関係が強まっていったと思います。)また、団体内では、介護派遣が増えていくことを予想し役割分担して介護者確保を行うコーディネーターや事務機能を強化していきました。

(5)2002年度、行政交渉記録

折衝回数が多くて書ききれませんので個別日程は省略します。

2002年4月〜5月

 全身性障害者介護人派遣事業がスタートしたことによる介護者増やその研修。ケアプラン変更に伴うILPなどが多忙となり折衝は行っていません。ただ、電話でのやり取りは絶えず行い、その印象として、支援費制度に向けて前向きに担当窓口は準備を始めたとの印象を持ちました。おそらく前年度において、代表、副代表の生活実態を隠すことなくケアプランも含めて細かく伝えていましたので、介護保障の必要性に関しての理解がすすんでいたのだと思います。

6月中旬  窓口折衝

 担い手の話が話題となる。「私たちが担い手となり対応するので、サービスがあって担い手が無いということには絶対しないので安心してほしい」と伝える。

6月末

 6月14日付け主管課長会議資料が出たことを受け支援費制度の概要について情報交換。 上限を設けないで、二ーズに基づく支援を中心とする支援費制度の理念について確認

7月    窓口折衝

 勘案整理表についての意見交換と内容についての確認作業。国の勘案整理票参考様式をwordテキスト化して内容を整理したものを持って行き「勘案整理により各自のサービス量を決定するという制度のシステムを確認してほしい」「必要でないサービスまで要求するということは絶対にしない」等の申し出を行った。

8月

  「制度の趣旨として、必要な人に必要な分だけ支援を行うということなわけだから、国の方針がそうである以上そのように行っていくしかない」との見解で行政内部の意見調整がすすんでいるとの情報が入る。実際に必要な一人当たりの予算等について参考資料を提出。

9月

 概算要求を前に詰めの確認作業にはいる。こちらより「必要なサービスの量について、必要であれば障害者からの聞き取りや事前情報の交換ついて協力する」との申し出を行った。また、その準備のため当会から派遣しているケースにおいて障害者当事者とケアプランの確認を行うことを約束した。

10月〜12月

 次々とでる支援費関係の情報について、介護保障協議会から届く情報や資料を編集して必要な部分を随時行政に提出し協議と確認作業。

2003年1月  厚生労働省の国庫補助基準設定の動き。

 代表が東京に赴き抗議行動に参加。また、地元に対し直接的な情報が事務局に伝わる状態を維持し、抗議行動の情報も市に伝えるなどX市や近隣市町村に悪影響が広がらないよう対処した。

2月  窓口折衝

 課長より「制度の趣旨に沿うよう努力するから信頼してほしい」との発言あり

3月  窓口交渉(担当係よりの要請により開催)
     (出席者・障害福祉係長、他職員1名)

「X市内において2名が月744時間の支給料決定を行うことが決まった。また、その他の当事者についても勘案整理に基づいて必要な量を決定する」と話があり、24時間介護保障が成立した。  

3月末  市各担当者にお礼

V.総括

 この3年間の行政交渉を通し自らを取り巻く状況について見えてきたことは、市の福祉係の多くが、障害当事者の実態を知らないだけで、障害者に悪意を持っているわけではないということ。行政も限られたスタッフ(X市は4人。支援費前年にようやく一人増えてようやく5人)で、手順だらけの作業に追われる日常が個別折衝の中で感じられました。また、縦割り行政と同じく、縦割りとなって交われない地域福祉の各団体の現状もその意味では同じですが、障害者の権利保障に向けたケア会議のような取り組みをさらに試みていきたいと思います。
  介護保障の不足だけではなく、この3年間、前代表が急逝したことなど本当にいろんなことがありました。その中で継続してこれたのは、介護保障協議会や自立生活センターが示す「当事者の可能性」について学習したことによります。地元の多くの人たち(行政も福祉団体も個人も)も、既に障害者の自立生活に否定的でないことを知り、また、以前であれば障害者の自立生活が検討もできないとわたしたちでさえ思っていた町(X市よりもさらに小規模な近隣市町村)に住む障害当事者から、X市に移り住むのではなく「自分たちの町にセンターを作りたい」という問い合わせが増えていることなど、自立生活センターの存在が障害当事者に与える大きな影響を実感できたことも、この3年間の大きな力となりました。
  大都市を中心として広がってきた自立生活センターが、地方の小規模市町村に広がる段階に入ったと言うには時期尚早かもしれませんが、次の扉が開きつつあることに期待せずにいられません。どうか多くの皆さんの力を、地域資源のまだ少ない小規模市町村に住む障害者当事者に届けていただきたいと願い、また、私たちもまだ小さな自立生活センターですが、その役割を担えるよう努力していきたいと思います。不十分な報告ですが参考にしていただければ幸いです。この機会を作っていただきありがとうございました。

介護保障協議会事務局より
   X市での交渉回数はものすごい回数で、たとえば、2002年7月には市役所に15回も通っています。24時間介護保障の実現のカギはこのあたりにあります。
 本当に介護の長時間必要な1人暮らしの障害者がいれば、あとは市役所に何回通ったかで制度の伸びは決まります。 みなさんも、市町村にどんどん通って交渉を進めてください。

【参考資料】

2000年度から2002年度までのX市における介護保障の変化

2000年

(1) 制度概要
   ホームヘルプ 週3回1回3時間(自薦ヘルパーを社協に登録して派遣。介護者確保が間に合わないところは社協ヘルパーも入れていました)
 ガイドヘルプ 1回4時間を原則、上限なし(自薦ヘルパーを社協に登録して派遣)生活保護他人介護料大臣承認基準の介護者
(2) 自立障害者の概要(自立障害者の介護保障状況)
   上記介護保障制度をフルに使い、それでも足らない介護は当事者がそれぞれボランティアの介護者を探し埋めていた。また、デイサービスも併用してなんとか入浴介護を確保している当事者多数。
  例(代表Nさん:全身性障害者で寝たきり)


介護者確保がどうしてもできない空白時間帯があったため、その時間帯は、蚊に刺されても刺されたまま(ムカデが体を這ったということもありました)、アテトーゼによる枕からの頭の脱落があってもそのままとなってしまう等、非常に過酷な状況があった。(これらのことは、すべて具体的に交渉の中で担当者に伝えていきました)
(3) 行政交渉の状況
   2000年当事、基本的に自立障害者全員による全体交渉(ガイドヘルプ制度は1997年に抗議行動も含めた全体交渉において獲得した。)毎年4項目から5項目を挙げた要望書を市長宛に提出。年3回から4回程度の定期交渉を持っていたが、ここ数年具体的な進展はなかった。(2001年度初旬までこの方法により継続)

2001年

(1) 制度概要
   ホームヘルプ 週4回1回3時間(自薦ヘルパーを社協に登録して派遣)
 ガイドヘルプ 1回4時間を原則、月上限なし。(自薦ヘルパーを社協に登録して派遣。1人最大で100時間強の利用がありました)
  生活保護他人介護料大臣承認基準の介護者
(2) 自立障害者の概要
   自立障害者の介護保障状況は、基本的には2000年度と1日のプランは変わりませんが、窓口折衝の中でホームヘルプが1枠増えたこともあり、曜日による介護保障のばらつきは2000年に比べて改善しました)


支援費実施前年

2002年

(1)

制度概要

  ホームヘルプ 週の回数上限は無くなり、ホームヘルプ1日最大4時間程度
 ガイドヘルプ 1日原則4時間程度
  全身性介護人派遣事業 1日あたり3時間、月90時間上限
  他人介護料による介護 1日あたり4時間程度を加え
  ガイドヘルプをフル活用(1日4時間程度)したとして、合計一人暮らしの全身性障害者で最大1日15時間の介護保障となる。
(2) 自立障害者の概要
 

 介護保障状況は大きく変わり、まだ空白時間やボランティアの泊まり介護はありましたが、ほぼ毎日、有料での泊まり介護者の確保が可能となりました。

2002年度(支援費制度実施前年)初旬参考例(副代表Mさん:全身性障害者で寝たきり)

2003年

 

支援費制度実施。最大744時間の介護保障(日常生活支援)となる。

例、上記Mさん(現在)

 
朝 9:00〜13:00  パート
13:00〜21:00  専従介護者A
21:00〜翌9:00  専従介護者B
9:00〜13:00  パート
13:00〜21:00  専従介護者C
  完全な24時間介護体制。基本的に、1日3交代で専従介護者3名(ローテーション)、パート介護者3名(平日午前、土日どちらかの昼間と夜間)で介護体制を組んでいる。
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兵庫県西宮市も6月から24時間介護保障に

年度の途中からの交渉で実現

 西宮市では、支援費制度が始まるにあたって、市がヘルパー支給決定時間のガイドラインというとんでもないものを作ってしまい、4月からのヘルパー最高時間が月380時間(1日12.5時間)になってしまいました。このガイドラインは障害者団体からは批判されていましたが、福祉関係者や他の市町村からは評価され参考にされていました。
 4・5・6月と交渉した結果、市はこのガイドラインを見なおし、24時間介護の必要な障害者などに上限を撤廃しました。
 西宮市の団体に交渉経過を書いていただきました。

西宮市との上限撤廃運動報告

メインストリーム協会 佐藤 聡

1.

交渉にいたる経過

 

 4月から支援費制度がスタートしました。国は、従来のホームヘルプと同じく「利用時間の上限はつくらず、利用者の実態にあわせて、必要な時間を派遣するように」市町村に指導しています。その結果、近隣の市(尼崎市・宝塚市・神戸市など)では最高600〜720時間の支給決定が出ております。
  しかし、西宮市では最重度の障害者でも月380時間(日常生活支援)という利用上限が設けられてしまいました。これでは介助の必要な重度障害者は生活が成り立ちません。そこで、4月17日から上限撤廃運動を始めました。交渉団体は「西宮市の介助制度を良くする会(以下 良くする会)」です。この団体は、昨年の3月に西宮市在住の重度障害者が集まり、行政交渉を目的に設立されました。旧全身性障害者介護人派遣事業の利用者46人のうち43人が入会しております(自立している障害者は30数名)。

2.

西宮市との交渉の流れ

(1) 4月17日 第1回障害福祉課交渉 要望書提出  障害当事者5名が参加 21日までに6名の重度障害者が、不服審査請求提出。
(2) 4月24日 第2回障害福祉課交渉 障害当事者21名が参加
(3) 5月7日  第3回障害福祉課交渉 障害当事者23名が参加
(4) 5月19日 健康福祉局長との交渉 障害当事者25名が参加
(5) 6月12日 最終回答  このような流れで進みました。

3.

交渉記録

(1) 4月17日 第1回交渉  障害福祉課:課長・課長補佐・係長2名・主査
良くする会:当事者5名
   約10名の障害者が介助派遣時間が足らずに困っており、至急上限を撤廃するように要望書を提出した。緊急を要する問題なので、4月24日に回答を出してもらうよう要望する。
(2) 4月24日 第2回交渉  障害福祉課:課長・課長補佐・係長2名・主査
良くする会:西宮市内で自立生活を送る21名の重度障害者。
 

障害福祉課からの回答は以下の通り。

  • 月380時間の利用上限は撤廃できない。
  • 二人介助は従来どおり月30時間。
  • 深夜帯8時間の介助は従来どおり2時間まで。

 すべて何の進展もなく、従来どおりの内容だった。この回答に納得できなかったため、そのまま交渉に入った。

良くする会: 今回の要望の検討はどこで、誰が行ったのか。
課   長: 福祉局内で、局長を交えて行った。また、サービス調整会議でも取り上げたが、こちらでは討議はしなかった。
良くする会: 月380時間以上介助が必要な障害者がいるということは理解しているのか?
課   長: 理解している。
良くする会: では、なぜ月380時間の上限撤廃が出来ないのか。その理由は何か?
課   長: 予算的な問題である。
良くする会: 他の理由はあるか?
課   長: ない。予算的な問題だけである。
良くする会: では、上限を撤廃すると、具体的に予算はいくら必要になるのか?
課   長: ・・・(無言)。(→具体的な試算をしておらず、回答できず)
良くする会: 支援費が始まる前に、ケースワーカーが利用者を訪問し、生活実態を調査しているので、市は個別何時間必要なのか把握しているはずではないか。
  また、利用時間が足らない人は4月21日までに、不服申請書(審査請求書)を障害福祉課に提出しており、そこには具体的に何時間必要ということを明記している。したがって、何時間アップになるのかは、具体的に試算可能なはずである。    
  西宮市は月380時間の上限撤廃が出来ない理由は予算的な問題と言っているにもかかわらず、具体的に試算もせずに、結論をだしているではないか。いくらかかるか試算もせずに、お金がかかるから出せませんと言っている。全く理解できない。はじめから上限を撤廃するつもりはなく、真剣に討議がされていなかったのではないか。

 激しく抗議し、局内での再検討を要求した。この問題は障害者の生命に関わる問題であり、一日も早い撤廃が必要であるため、5月7日までに再度討議(@具体的にいくらかかるのか試算する Aその金額を出せないのであれば、その理由)を行い、回答ももらうこととなった。

(3) 5月7日 第3回交渉 障害福祉課:課長・係長2名・主査 
良くする会:西宮市内で自立生活を送る23名の重度障害者
 
課   長: 不服申請は、現在7名の方が出している。要望の出ている時間数を合計し、380時間をこえる時間数を金額に概算すると、年間約3800万円になる。
  現在は不服申請を出している人は7人だが、これはさらに増える可能性があり、3800万円より多くなると思われる。この金額は負担できないので、上限は撤廃しない。利用者の方々にはいままでどおり工夫をして生活してほしい。
良くする会: 工夫とは、具体的に何か教えて欲しい。
課   長: 支援費は、利用者が自らサービスを選んで生活していくもの。ボランティア・支援費の居宅サービス・支援費施設サービスなどを組み合わせてやってほしい。
良くする会: ボランティアを頼って生活することは出来ないという話は前回した。課長も認めたじゃないですか。ボランティアで介助をする人は少なくてほとんど見つけられない。また、責任感に乏しく急なキャンセルもある。たとえば、仕事が入って介助が出来なくなったという場合、障害者は非常に困る。しかし、「仕事をやめてきて欲しい」とは言えない。課長もそれは理解できると話していた。
  支援費の居宅サービスとは、月380時間のこと。施設サービスは、ショートステイなどになるが、ここにいる23名の障害者でショートステイを使いたい人いますか?
会   場: 使いたくない。(全員使いたくないと答える)
良くする会: 先に課長は「利用者が自らサービスを選んで生活する」とおっしゃった。その通り、自らがショートステイは使いたくないと選びました。だからこの選択肢は消えました。デイサービスも同じくみんな選びたくないと言っています。
 結局、課長が言う工夫というものは、居宅サービスしかありませんでしたね。月380時間しかなく、他に使えるサービスはないということがハッキリしたわけです。課長が言う工夫は具体的に何もないということでいいですね?
課   長: ・・・(無言)。
良くする会: 答えてもらわないと話し合いになりません。答えないということは、認めたということでいいですね。
課   長: 認めてはいません。
良くする会: いま課長があげた工夫というものは、全て使えないということがハッキリしたじゃないですか?他にあるのであれば言ってください。
課   長: ・・・(無言)。
良くする会: 具体的にあげれないということは、無いということですよ。無いと認めたということでいいですね。次の話に進みましょう。
 今回の回答でも上限を撤廃しないということですが、では、現在介助時間数が足らずに不服申請している人には、どうされるのですか?代案はあるのですか?
課   長: ・・・(無言)。
良くする会: この人たちが生活できるように、何か方策を検討したのですか?
課   長: ・・・(無言)。
良くする会:  上限は撤廃しない、代案も無しでは、この人たちはどうなるんですか?前回もご説明したとおり、この人たちは介助者がいないと、水も飲めない・トイレもできない・ベットから落ちたら落ちたまま、急に体調が悪くなっても電話もかけれないから救急車も呼べない。介助者がいないということは、常に生命の危険があるということです。西宮市は、市民の障害者の生活に責任はないのですか?
課   長: 責任はあります。
良くする会: あるのであれば、なぜ代案も考えず、ほったらかすのですか。重度の障害者を切り捨てて、貴方たちの生活は知りませんよと言っているわけですよ。改善案を考えてください。
課   長: ・・・(無言)。
良くする会:  障害福祉課が代案を考えないのであれば、今日僕たちは2つの案を持ってきたので提案します。 支援費の身体介助には、日常生活支援と身体介助と2つあります。利用者から見たら内容は同じですね。しかし、市からみたら事業所に払う単価が違います。日常生活支援は時給約2千円。身体介助は約4千円。倍も違うわけですよ。しかし、介助する内容は同じです。そこで、現在西宮市が支給決定している身体介助をすべて日常生活支援に変更したらどうですか? 単価が半分に下がりますので、費用は大幅に削減でき、7人といわず数十人の人に380時間以上の支給が出来るようになります。どうですか?
課   長: それは出来ません。
良くする会: なぜですか?
課   長: 事業所が困るからです。支援費制度は、介助派遣をする事業所がないと成り立ちません。事業所を守るために、単価を下げることはできません。 それに、ガイドラインとして市議会に説明し決定したことですので、変更することはできません。
良くする会: このガイドラインでは切り捨てられて生活できない人がいるわけです。ということは、このガイドラインに問題があるということです。問題があるのに、なぜ変更しないのですか?
課   長: このガイドラインは、みなさんの合意を得て決まったものです。
良くする会: 誰が合意したのですか?
課   長: 市議会や市内の関係団体、広く市民の方々の合意を得たものです。障害者団体にも話して合意しました。
良くする会: それはウソです。われわれの団体(メインストリーム協会)には「このくらいの時間数になる」という話はありましたが、合意なんて全くしなかったですよ。去年から上限を撤廃するようにずっと要望しているじゃないですか?一体いつわれわれが合意したというのですか?
課   長: ・・・(無言)。
良くする会: 合意などは全くしていません。市民の合意も得ているとおっしゃいましたが、ここにいる23人の利用者の中で、今年のはじめに市からこの話を聞いた人はいますか?
会   場: 聞いていません。
良くする会: 一人も聞いた人はいませんよ。サービスを作るときに、利用者に全く意見を聞かず、行政関係の団体に話し、それで市民の合意を得たと言えるのですか?
課   長: ・・・(無言)。
良くする会: そんなのは合意なんて言えないじゃないですか?
課   長: ・・・(無言)。
良くする会:  二つ目の提案をします。380時間の上限を設けるということは、それを超える時間が必要な人にだけしわ寄せがいっています。380時間以内で足りる人は問題ないです。市は常々「市民に公平に」と言っていますよね。これは公平ではないですよ。一部の人、ここでいうと7人の人だけ切り捨てられているのです。平等というのは、500時間必要な人と200時間必要な人に、同じく300時間提供することではないですよね。500時間必要な人に、499時間提供し、200時間必要な人に199時間提供する、これは平等です。財政の問題で、全員に必要な時間数提供できないのであれば、現在支給決定しいる人たち全員の時間数を1時間減らし、そこで浮いた時間を7人の人に回したらどうですか?これなら予算の総額を変えずに、市民に平等に、7人の時間数をのばすことができますよ。
課   長: それは出来ません。
良くする会: なぜですか?
課   長: ガイドラインで決まったことです。市議会にも説明して決まったことなので、いまさら変更できません。
良くする会: 予算を増やせないのであればこれしか方法はないじゃないですか?ガイドラインに問題があるのだから、すぐに変更すべきですよ。 。
課   長: 今年度は出来ません。
良くする会: では、時間数が足らなくて生命の危険にさらされている7人はどうなるのですか?
課   長: ・・・(無言)。
良くする会: 障害福祉課は代案を何も考えず、われわれが提案したものは出来ないと言う。一体どうするつもりですか。7人はほったらかしですか?どうぞ死んでくださいということですか?
課   長: ・・・(無言)
良くする会: 答えてください。何か方法を考えない限り、この7人は生活できないのです。ほったらかしたら危ないんですよ。何か方法を考えてください。
課   長: ・・・(無言)。
良くする会: 私たちは、市は市民の生活を守る義務があると考えています。課長も先ほど「市は市民の障害者の生活に責任はある」と言ったじゃないですか。7人の人たちが困っているので、これを何とかするために話し合いに来ているわけです。なのに、市は改善策を全く考えず、われわれが出した代案も出来ないという。話し合っても、肝心なことになると課長は黙るだけで、全く話さない。これでは話し合いはできないですよ。前回の話し合いと同じことを繰り返し話しているだけじゃないですか。責任ある回答をください。
課   長: ・・・(無言)。
良くする会: 何か話してください。黙っていては話し合いになりません。
課   長: ・・・(無言)。
良くする会: これでは話し合いになりません。責任ある回答を聞きたいのです。責任ある回答が出来る人を出してください。課長が話せないのであれば、局長との話し合いを申し込みます。早急に局長との話し合いの場を設けてください。
課   長: 局長の予定を聞いて、話し合いの場を設定します。
(4) 5月19日 局長交渉要旨 西 宮 市:健康福祉局長・福祉事務所長・障害福祉課長・係長2名
良くする会:西宮市内で自立生活を送る25名の重度障害者
 
良くする会:  4月17日から上限撤廃の話し合いは今回で4回目です。前回までは現状維持回答で、なぜ介助時間が延びないのか納得行く回答がもらえなかった。そうであるのならば、局長に直接話をお聞きしたいと思い今回この場を設定していただいた。 私たちの話したいことは380時間で足りない人がいることを理解してもらいたいのと、足らない人から不服申立がでていますが、介助の時間を延ばしてもらいたいということです。3つ要望しましたが、まずは前提として上限380時間を撤廃してもらいたいと考えています。
局   長:  月380時間というのは前年度の240時間と比べて、140時間延び、二人介助加算で31時間、全体で411時間である。これで十分であると思ってないが、15年度のスタートとして理解を得たと考える。支援費制度が始まったばかりなので、執行していく中で問題がでてくると想像していた。 不服申請は個別のケースについて検討し、個別に相談する。今回の要望は障害福祉課長から報告を受けている。前回の交渉までは、課長から「今年度中の変更は難しく、来年度からの変更に向けて取り組む」という話をさせていただいた。しかし、なんとか今年度中に変更できないか、月380時間にどう加算できるか、時期を早めて改善するように検討してゆきたい。
良くする会:  私たちがずっと要望していることは月380時間を超える支給量が必要な人に対して、必要な支給量を提供して下さいということです。月380時間まで延びてきたことは評価しています。月380時間で足りている人に関しては、西宮市で生活できるようになった。このことは西宮市の業績だと評価しています。 今回の話し合いは、月380時間で足りない人に関する問題です。いま、今年度中に改善できるように検討していくという話をいただいた。しかし、生活というものは日々やっていくものです。待てない状況があります。介助というのは生活を支え、それが一日でもないと成り立ちません。早急に改善してほしいのです。局長は月380時間以上必要な人がいるということを理解していますか?
局   長: はい。
良くする会: 今日来ている実際に時間が足りなくて困っている人達になぜ介助が必要なのか話してもらいます。
不服申請者: (介助者がいないときの生命の危険性や、夜間や2人介助など具体的に必要とする時間について、6人が順番に訴える)
良くする会:  介助がないと危険という話もでたが、何かあったときに何もできないのです。介助時間が足りないという状況は生命の危険に脅かされているのです。介助者がいなくなると危険なのは見て分かりますよね? 必要以上の時間数をくれと言っているのではありません。本当に必要で困っている人に対して何とかしてくれと要望しているのです。必要性があるということを理解していただいていると考えてよいですか?
局   長: はい。
良くする会:  具体的に上限の話に入りたい。月380時間の上限撤廃を一日も早くしてほしい。必要性については4月17日からずっと話しています。昨年度からずっと要望しています。しかし、この一ヶ月の間全く進展がなかった。介助が足りない状況で一ヶ月を過ごしてきました。何で月380時間の上限をつくったのですか?
局   長:  14年度までの月240時間の状況を踏まえて、サービス量をどう延ばすか検討してきた。必要な時間数と人数を算定しながら総額を定めて予算議会に諮った。月380時間に加算できる時間が、指摘通り31時間しかないが、今まで行政がサービスを提供できる部分と介助が必要な人を支えてきたグループや事業所がインフォーマルに支えてきた時間があったので、この部分に期待ができる、あるいはしたいと考えた。全体としては、十分ではないかもしれないけど、今の設定でスタートさせていただかざるを得ないと考えた。しかし、4月になり近隣市の月600時間や720時間の状況を受けて、できるだけ早くどう対応するか考えたい。
良くする会: できるだけ早くとはいつですか?
局   長: できるだけ早くとしか言えない。
良くする会: いつになったら具体的に改善できるのですか?生活は日々必要なわけで、その間、足りない人達はどうしたらいいのですか?
局   長: ・・・(無言)。
良くする会: 現在、足りない人はどうするのですか?皆一日一日足りなくて困っています。一日一日危険な日々を過ごしています。これは待てる問題ではありません。改善されるまでの間何とかする方法を考えてほしいです。市は市民の生活に対して責任を負っています。時間が足りなくて生活に困っている人に対しても責任があります。
局   長: 不服申請をした個々人に答えていく。
良くする会: それぞれに答えていくわけですか?
局   長: 要望の100%にこたえるかどうかは別にして、改善できるようなこたえをする
良くする会: 100%こたえてほしい。
局   長: 個々のケアプランに応じてこたえる。
良くする会: いつ回答がでるのですか?
局   長: 今月中に話を始める。
良くする会: 手順としては、話し合いをしてから決定するということですか?
局   長: はい。
良くする会: 今月話し合って、決定がでるのは来月ということですか?
局   長: 来月です。
良くする会: 個別、明記している時間に100%応えられそうですか?
局   長: 4月に出してもらっている分と比較して話をする。
良くする会: 必要な時間がでるのか心配です。
局   長: 当事者の人が困るという主張があるわけですよね。だから話をする。
良くする会: 全部飲めそうですか?
局   長: 改善に向けて努力します。
良くする会: 不透明ということですよね? 
局   長: 姿勢を言っているわけです。
良くする会: 姿勢は大事だけど、生活がかかっています。介助時間が足りなかったら生活できない。
局   長: 協議をする。
良くする会: 具体的に
局   長: 事例ごとにしか対応できない。
良くする会: 必要な時間数をすべて支給決定できるのですか?
局   長: 現行月380時間で不服だということでこの話し合いの場がもたれている。改善できる方向で話をさせていただく。それ以上は個々の話の中で受け止めてもらう。
良くする会: 個々の中で、十分な生活ができない時間数を提供するとしても意味はありません。
局   長: やってみないとわからない。個々に不服申請を出してもらっているので、個々に答える必要がある。
良くする会: 明確な答えを聞きたい
局   長: 不服申請を出している方に関しては、今月ケースワーカーが聞き取りに行き、再度、生活状況を話し合います。その上で、再度検討し、市が必要と認めた時間数はだします。
良くする会: 市が必要と認めないのは、どういう場合か?
局   長: 相談窓口(市町村障害者生活支援事業の事業所のこと。具体的にはメインストリーム協会の「ピア・サポート西宮」)の人が同席してもかまわない。決して押さえ込もうとしているわけではない。使い残した予算のうち運用できるものは運用し、補正予算が必要であれば議会に諮る。それまでの間ほっておけないということだから、対応する。
良くする会: 5月中に話し合いをし、必要だと認められれば出してもらえるか?
局   長: はい。不服申請の人とやりとりをする。
良くする会: 個別の話し合いで、必要だと認めれば出すのですね?
局   長: はい。
良くする会: 理解してもらえたことは喜ばしいです。しかし、本当にでるのか心配です。 いままで3回交渉してきましたが、何の進展もなかったからです。必要だと認められた時間数に、本人と役所の食い違いがないようにケースワーカーと話してほしい。 私たちは他の社会資源はないと考えています。ここに集まっている人は施設等を使いたいと考えていません。ボランティアも難しいです。居宅サービスしかないのが前提です。上限を撤廃することで解決してほしい。ここに集まった人は他人介護料も使った上で申請しています。
局   長: そのことを含めて話し合いをする。
良くする会: 再審査を早くやってもらいたい。再審査がうまくいかなかった場合は再度話し合いをしたい。再審査の決定はいつでますか?
局   長: 6月中に。
良くする会: 1ヶ月先は長いのではないか?
局   長: ・・・(無言)。
良くする会: 待てません。
局   長: (局長と福祉事務所長が耳打ちして打ち合わせる)いまから1ヶ月以内でできるだけ早く決定する。1ヶ月以上はかけない。
良くする会: 不服申請を出したのは、4月21日です。申請から決定まで2ヶ月以上かかるのは遅すぎる。これは不服申請制度の不備である。これからはこのようなことがないように要望します。
局   長: わかりました。
良くする会: ぜひ、再審査してもらい、良い決定が出るように願っています。

4.

6月12日 交渉結果の回答 月380時間上限撤廃される!

   6月12日10時に、西宮市障害福祉課長と係長がメインストリーム協会に来所し、上限撤廃交渉の結果について報告があった。回答内容は下記の通り。
(1) 最重度の人の泊まり介助(現状は 深夜帯8時間うち2時間/日のみ)
  深夜帯8時間で4.5時間分だします。 140時間/31日 → 2.5時間増えました!
(2) 月380時間上限の撤廃  (現状は、日中320時間/月)
 

日中の時間{24時間−8時間(泊まり分)=16時間(これが日中の最大の時間)}は、個別に判断し、必要な時間を支給します。→これで上限がなくなりました!
一人介助の部分だけで見ると、
{16時間(日中)+4.5時間(夜間)}×31日=635.5時間/31日
  最大635.5時間まで支給されます。

 現在西宮市には、24時間介助を求めている人がいません(家族同居や、一人の時間が欲しいといった理由で)ので、この時間数の支給決定はされていませんが、今後24時間介助が必要な人が出てきたら、635.5時間支給されます。また、生活保護の他人介助料も加えれば、24時間介助が可能となりました。

(3) 二人介助(現状 31時間/31日 1日1回1時間の利用制限あり)
  @お風呂介助 31時間/31日 回数と1回あたりの時間制限なし。
Aその他の二人介助は、個別に判断します。
  たとえば、今回不服申請を出していたS.Cさんは、81時間/31日出ました。
(4) 今年度、生活保護の他人介助料を受給してる最重度の人は、そのお金を夜間介助の増えた分(2.5時間)に当てて欲しい。来年度からは、夜間も支援費で支給しますので、他人介助料は無くなる方向です。

この決定を受けて、7月1日現在、西宮市で一番多い支給決定は630時間(家族同居 二人介助80時間含む)です。

5. 今後の課題
   4月から行ってきた上限撤廃運動は、こちらの要求をほぼ達成することが出来ました。当事者が力をあわせ、結束して行動した成果だと思います。
  また、その影には今年1月の厚労省120時間上限撤廃運動の成果もあったと思います。西宮市からも多くの障害者が参加し、経験を積みました。その経験が生かされたのです。
  しかし、全面的に解決したわけではなく、課題も残っています。今後は、@夜間介助を8時間に認めさせること、A二人介助の利用制限の簡素化、B入院中の介助利用を認めさせること、などに取り組んで行きたいと考えております。
  西宮にメインストリーム協会が設立されたのは1989年の11月です。24時間介助保障の実現は、設立からメンバー全員の長年の夢でした。「いまごろかよ?」と言われるくらい時間がかかってしまいましたが、ようやく実現することができました。この運動に携った一人として、これ以上の喜びはありません。あきらめずに、行動し続ければ、実現するんだなぁと実感いたしました。
  今回の上限撤廃運動は、携った一人一人の障害者に大きな達成感を与えてくれました。これは、今後の西宮の障害者運動に必ずや良い影響を及ぼしてくれると確信しております。

月380時間の上限撤廃 支援費制度で西宮市

神戸新聞2003/07/18

 四月から始まった障害者の支援費制度で、西宮市がホームヘルパーの利用時間を最大月三百八十時間と設定したことに対し、重度障害者らが「長時間の介護が必要な人もいる」として上限撤廃を要望していた問題で、同市は十七日までに、上限を無くし、必要な時間数分の支援費を支給することを決めた。
 支援費制度は、障害者の福祉サービスにかかる費用を国や県、市が支給し、障害者自らが事業者と契約して希望するサービスを選択する。個々の利用時間や支給額などは市町村が決める。西宮市は、最重度の障害者の生活を支援するホームヘルパー派遣について、支援費の支給基準を月額三百八十時間までとするガイドラインを定めていた。
 しかし、重度障害者らでつくる「西宮市の介助制度を良くする会」(下地勉代表)は「上限を超える介護が必要なケースでは、大きな自己負担を招いている」と、市に再考を求めていた。
 これを受け、同市障害福祉課は「深夜のヘルパー費用がかさみ、利用者には切実な問題となっている」と判断、上限の撤廃を決めた。この結果、十人以上の障害者が、利用時間を増やすことができ、最も多い人で月六百三十時間の介助が可能になったという。
 また、一日当たりの深夜帯ヘルパーの介助費用支給を従来の二時間から四・五時間に増やしたほか、二人介助の利用基準も弾力化し、利用しやすくした。
 同会は「これで、重度障害者も自立した生活を送れるようになる。年度途中で改善してくれた市の姿勢を評価したい」と話している。

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全国各地で24時間介護保障が実現

 支援費制度開始に伴い、長らく交渉を行ってきた地域で、日常生活支援でヘルパー毎日24時間(月744時間)の決定が相次いで出るなど、24時間介護保障の地域が大幅に増えています。
 また、身体介護型で時間数アップ交渉を行っている地域では、日常生活支援の24時間と同等以上の単価が出ている地域も増えています。これらの地域も実質的に24時間介護保障が出来たと言えます。

注意:制度が伸びた地域への引越し希望がたまに寄せられますが、そのようなことは行わないで下さい。制度を伸ばし努力した市を財政的に苦しめる結果になり、そうなると、それを見ている周りの市が続いて制度を良くして行けなくなります(財務部が許可しなくなる)。制度は各地域に住む障害者が何年も努力して交渉して作り上げていっています。皆さんの住む市でも制度交渉を行うことで制度を伸ばしていけます。そのノウハウは当会で提供していますので、制度交渉の方法をお問い合わせ下さい。

制度係0037−80−4445(通話料無料)11:00〜23:00

日常生活支援で交渉している各市町村の状況

実際のヘルパー利用者の1日あたり最高時間数

広島市 24時間 (いままでは生保大臣承認とあわせても13時間保障だった)
愛知県 A市 24時間 (いままでは生保大臣承認とあわせても13時間保障だった)
島根県 B市 24時間  
広島県 C市 24時間  
兵庫県 D市 24時間  
兵庫県 E市 24時間  
兵庫県 F市 24時間  
兵庫県 G市 24時間  
東京都10市区 24時間  
島根県 H市 23時間 (生保介護料とあわせて24時間介護保障実現)
神戸市 20時間 (生保大臣承認とあわせて24時間介護保障実現)
東京都25市区 20時間 (生保介護料とあわせて24時間介護保障)
岡山県 I市 17.1時間  
香川県 J市 17時間  
愛媛県 K市 16時間  
大阪府 L市 15.4時間  
滋賀県 M市 15時間   
北海道 O市 14時間  
宮崎県 P市  12.5時間  
静岡県 Q市  12時間  
広島県 R市  12時間  
奈良県 T市  8.3時間  
佐賀県 U市  8.2時間  
岩手県 V市   11時間  
高知県 W市  10時間 (身体介護と移動介護を平均2時間含む)
静岡県 X市  10時間  
神奈川県Y市  10時間  
兵庫県 Z市    10時間  
福島県 A市  10時間  
岐阜県 B市  10時間  
宮城県 C市  9.3時間  
青森県 D市  8.7時間  
山形県 E市  8.2時間  

身体介護型で交渉している市町村の状況

埼玉県 A市 17時間  (身体介護と移動介護と家事援助)
福岡県 B市 14時間  (身体介護と移動介護)
山口県 C市 13.7時間  (身体介護と移動介護)
長崎県 D市 13時間  (身体介護と移動介護)
熊本県 E市 12時間  (身体介護と移動介護)
鹿児島県F市 11時間  (身体介護)
和歌山県G市 9時間  (身体介護)
山口県 H市 8.5時間  (身体介護)
奈良県 I市 8.3時間  (身体介護と一部日常生活支援)
大分県 J市 7.6時間  (身体介護)
新潟県 S市 7.5時間  (身体介護と移動介護)
三重県 K市 7.5時間  (身体介護と一部家事援助)
千葉県 L市 7.3時間  (身体介護と移動介護)
茨城県 M市 7.2時間  (身体介護と一部家事援助)
静岡県 N市 7.1時間  (身体介護と一部家事援助)
静岡県 O市 7時間  (身体介護5+家事2)
岐阜県 P市 7時間  

注:いずれも、24時間介助が必要な1人暮らしの全身性障害者に対する実際の利用者の最高時間数です。誰もがこの時間数を利用できるわけではありません。実際の支給決定月時間数は上記時間の30倍または31倍です。

 知的障害者の1人暮らしの場合は東京都で毎日10時間のヘルパー利用があるのが最高時間です。
 また東京都では3市区で健常者の複数の家族と同居のALS等最重度障害者に24時間介護保障が行われています(介護保険と支援費のヘルパーを合わせて毎日24時間)。脳性まひや頚椎損傷では、障害者1人+健常者1人の2人世帯では、最高毎日14時間のヘルパー利用の例があります。これらはいずれも、1人暮らしの全身性障害者が交渉して5年以上前に24時間介護保障を実現している地域に限って実現しています。(まず、1人暮らしの障害者がヘルパー制度の上限をなくすことで、徐々に1人暮らし以外の人にも必要なだけのヘルパー時間が出るように変わっていきます)。

注意:制度が伸びた地域への引越し希望がたまに寄せられますが、そのようなことは行わないで下さい。制度を伸ばし努力した市を財政的に苦しめる結果になり、そうなると、それを見ている周りの市が続いて制度を良くして行けなくなります(財務部が許可しなくなる)。制度は各地域に住む障害者が何年も努力して交渉して作り上げていっています。皆さんの住む市でも制度交渉を行うことで制度を伸ばしていけます。そのノウハウは当会で提供していますので、制度交渉の方法をお問い合わせ下さい。

制度係0037−80−4445(通話料無料)11:00〜23:00

 

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厚生労働省の検討会報告

今までの流れと今後の予定は以下のとおりです。

第1回目 5月26日   座長選出・各委員自己紹介・今後の進め方について
第2回目 6月9日   当事者委員7人と事業者と行政委員7人のうち前半7人の発表
第3回目 6月24日   当事者委員7人と事業者と行政委員7人のうち後半7人の発表
第4回目 7月17日   ヒアリング第1回目(重症心身障害児の親の会・知的障害当事者(ピープルファーストと育成会本人)、地域ケアの実践例(滋賀県)ヒヤリング)
第5回目 7月30日   ヒアリング第2回目(地域ケアの実践例2箇所(横浜市・長野県北信地域)ヒアリング、自閉症児の親の会ヒヤリング)
第6回目 8月26日  ヒアリング第3回目(アメリカ、イギリス、スウェーデン、ドイツについて国内研究者からヒアリング)
第7回目 9月8日  各論(議論)
第8回目 9月26日  各論(議論)

9月以降は各論(議論)に入るという案になっています。
 知的障害者本人については、第1回から中西委員(DPI)、大田委員(JD)、大熊由紀子委員(元朝日新聞)などから正式委員に入れるよう意見があり、第3回からオブザーバーとして入ることになりました。第3・4回の検討会でも意見が出され、オブザーバーではなく正式委員として入れるように、ほかの委員からも意見が出ています。再度座長と事務局で検討することになりました。この件では福祉新聞も社説で知的障害者本人が委員に入っていないことを批判しています。
 また、ヒヤリングは当初案では、委員に入れなかった団体に対しては、さまざまな団体に対してヒアリングを行うという説明が厚生労働省からされていましたが、8月までに3回の検討会でヒヤリングは終わります。身体障害者の当事者委員は6人の当事者が入っていますが、検討会の第2回目と3回目の各委員の発表は、1人15分しかなく、ほとんど説明ができていません。
 地方で1人暮らしで24時間介護が必要でありながらヘルパー制度がその半分も受けられていない全身性障害者本人のヒヤリングや、1人暮らしの人工呼吸器利用者のヒヤリングなども、今後行っていくべきです。まさに、今、生きるか死ぬかの瀬戸際に立ってぎりぎりの生活をしているのは、こういった人たちであり、1月の全国でのヘルパー上限問題で主に動いたのはこれらの最重度の長時間要介護の1人暮らし等の障害者です。その結果、今回の検討会につながったことを忘れてはなりません。 

 なお、検討会の全資料や各委員の資料のほか、独自編集の議事要旨録・解説は、介護制度情報ホームページ www.kaigoseido.net に掲載しています。

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東京都では365日随時ヘルパー研修が可能に

障害者団体事務所や自宅で随時、研修が行えるようになる

 今年度から、障害ヘルパー研修は民間企業や団体が実施し、都道府県等が研修1回ごとに指定を行う方式に変わっています。(介護保険のヘルパー研修は2000年度からすでに変わっている)。民間企業や団体は研修1回ごとに必要な書類をそろえて都道府県等に指定申請をして、指定を受けてからでないと研修を実施できません。
 昨年度までは東京都内では全身性障害者介護人派遣事業の利用者約1000人のほか、自薦登録ヘルパーの利用者約1000人が、ヘルパー研修を受講していない介助者を自薦登録ヘルパーとして行政などに登録し自分で介助方法を教えるなどの方法で自分専用のヘルパーとして利用していました。東京都障害福祉部ではこれらの利用者の生活を変えないように、介助者確保ができる環境が早急に必要と考えており、日常生活支援と移動介護研修を急いで申請受付開始したいと考えています。しかし、都ではヘルパー研修の指定申請受付・審査事務は障害福祉部でも高齢福祉部でもない、在宅福祉部が担当しており、指定申請事務の要綱作成などが遅れています。
 東京都では東京都自立生活センター協議会がヘルパー研修問題の交渉を行っています。交渉では、「これからは介助者は無資格者を求人し、面接・採用後すぐにその都度ヘルパー研修を(定員1〜2人程度で)2日間で行い、3日目には介助に入れていく時代になる」という考え方を東京都障害福祉部に伝え、今までの大規模定員のヘルパー研修のイメージから頭を切り替えてもらっています。(日常生活支援や移動介護は20時間以下ですので2日間で研修実施できます)。交渉の中で、いくつかの重要な点が確認され研修指定申請事務の要綱に反映される予定です。

 まず、障害者団体などは日常生活支援などのヘルパー研修を、1年間、毎週(たとえば毎週土日に)行うとします。その場合1年52週、52回分の研修の申請書を1年の始めに1回にまとめて申請できます。定員を1〜2人に少なくすれば、狭い事務所や障害者の自宅でも研修実施できるので、会場の予約などは不要です。また、研修実施の5日前までに変更届を出せば日程やカリキュラムの変更も可能です。(つまり365日いつでも実施可能)。研修参加者がいない場合は開催しなくてもかまいません。研修の報告書は1ヶ月に1回まとめて出せばよいことになり、事務負担も少なくなりました。(変更届では、指定を1度受けた研修について、日程、カリキュラムの変更のほか、講師の変更、会場の変更、実習先の変更、受講料などの学則の変更などが5日前までの届出で変更可能です)。
 通常、20時間の日常生活支援研修は2日間で研修終了します。50時間の3級研修は4〜5日間で研修終了します。このため、毎週実施の申請内容で毎年度始めに52回分の申請をしておけば、変更届とあわせ、365日いつでも研修を随時行えることになります。なお、日常生活支援と移動介護では厚生省基準どおり、実技は実習で変えられることになっています。このため、日常生活支援の場合は、9時間が講義(うち8時間は通信研修も可能)、11時間は障害者の自宅で実習とすることが可能です(注:都では実習は1日8hまでしか認められない)(支援費のヘルパー指定事業者の実習受け入れ証明書添付でOK)。
 ほかに改善した点などは、講師基準が都の当初の案より若干緩和されました。日常生活支援では「医学等の関連する領域の知識」の講義を1時間行う必要があります。東京都は1〜3級研修ではこの講義は看護師や医師が必要ですが、日常生活支援では、3年以上の実務経験のある介護福祉士もできるようになりました。ほかの部分の講義は、介護福祉士が団体に1名いれば研修実施可能です(一部は3年経験の日常生活支援の介助者でも可)。
 移動介護の場合は、「障害者福祉に係る制度とサービス」という講義項目があります。1〜3級研修ではこの講義は担当行政職員や社会福祉士や施設管理者などが必要でしたが、移動介護では支援費のヘルパー指定事業所の管理者でもかまわないように改善されました。ほかの部分の講義は、介護福祉士が団体に1名いれば研修実施可能です。
 なお、介護福祉士がいない団体の場合は、講義部分を通信研修で行い、他の介護福祉士のいる障害者団体に添削講師を依頼するなどすれば、自前で研修を行うことが可能です。レポート課題の内容や模範回答、テキスト・サブテキストは各団体の理念で設定できます。
 今回は、3級研修については従来から要綱があったため、講師基準などは変更されていません。これからの交渉課題となります。

今後、東京都内の障害者団体では介助者補充時にはこのような流れになると思われます。

今後の介助者補充時の流れはこうなる

1週前  求人広告
5日前  研修の日程や講師の変更届提出
1日目  面接・採用
2日目  日常生活支援研修1日目 講義9時間+実習3h(障害者自宅可)
3日目  日常生活支援研修2日目 実習8時間(障害者自宅可) (修了書発行)
4日目  支援費のヘルパーとして介護に入る

(3級研修の場合は研修期間が4〜5日になります)

 15年度については、特例で申請から1ヶ月で日常生活支援と移動介護の研修を行えることになっています。16年度からは申請から開始までに4ヶ月(2回目以降は2ヶ月)かかるので、年度の始まる前に(1月末に)事前に52回分などの一括申請をしておかねばなりません。年に1回も研修を行わなかった場合、団体の指定も取り消されますので、また新たに行うには4ヶ月かかります。このため、各団体とも、日常生活支援などの研修は15年度中に1回以上行っておかないと大変です。
 他の道府県でも、365日随時ヘルパー研修ができるように交渉を行ってみてください。

参考に厚生労働省令110号の障害ヘルパー研修のカリキュラムを再掲載します (解説:各講義の大まかな「科目」だけが定められており、研修内容は各団体や講師の理念や流儀にまかされています。このため、研修は各障害者団体が主体的に行うことをお勧めします。外部の講師を呼ぶのはお勧めできません)

別表第五(第四号関係)  (編注:全身性障害者ガイドヘルパー研修)

  科目 時間数 備考
講義 障害者福祉に係る制度及びサービスに関する講義 移動の介護に係る制度及びサービスに関する講義を行うこと。
身体障害者居宅介護等に関する講義 居宅介護従業者の職業倫理に関する講義を行う事。
全身性障害者の疾病、障害等に関する講義  
基礎的な移動の介護に係る技術に関する講義  
障害者の心理に関する講義  
演習 車いすでの移動の介護に係る技術に関する演習  
合計 16  

別表第七(第六号関係)  (編注:日常生活支援研修)

  科目 時間数 備考
講義 身体障害者居宅介護等に関する講義 居宅介護従業者の職業倫理に関する講義を行う事。
  全身性障害者の疾病、障害等に関する講義  
  基礎的な介護技術に関する講義  
  家事援助の方法に関する講義  
  医学等の関連する領域の基礎的な知識に関する講義  
演習 全身性障害者の介護技術に関する演習 11 車いすでの移動の介護に係る技術に関する演習を行う事。
合計 20  

別表第三(第二号関係)  (編注:3級ヘルパー研修)

  科目 時間数 備考
講義 福祉サービスを提供する際の基本的な考え方に関する講義  
障害者福祉及び老人保健福祉に係る制度及びサービス並びに社会保障制度に関する講義  
居宅介護に関する講義 居宅介護従業者の職業倫理に関する講義を行うこと。
障害者及び老人の疾病、障害等に関する講義  
基礎的な介護技術に関する講義  
家事援助の方法に関する講義  
医学等の関連する領域の基礎的な知識に関する講義  
演習 福祉サービスを提供する際の基本的な態度に関する演習  
基礎的な介護技術に関する演習 10  
事例の検討等に関する演習  
合計 50  


研修申請書の見本をWORDファイルで提供します

  • 日常生活支援の研修の申請書の一式(実技11時間のうち半分程度を実習で行う内容の例です。すべて実習にしたい場合は変えて使ってください)
  • 移動介護研修の申請書の一式
  • 3級研修(通信)の申請書の一式

 パソコンメールで申し込みください web@kaigoseido.net まで

 都道府県に対して研修問題で交渉を行う団体か、障害当事者団体に限ります。団体プロフィールをつけてください。住所、電話、団体プロフィール、交渉予定をつけてお送り下さい。 交渉を行って頂ける団体には無料で提供します。その他は有料です(月刊誌封筒の注文表を参照)。

 
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宮城県が支援費制度下で全身性障害者介助人派遣事業要綱を策定

 宮城県は支援費制度になっても全身性障害者介助人派遣事業をのこせないか検討していましたが、支援費制度に対応した要綱を作りました。市町村は障害者から全身性障害者介助人派遣事業の利用申請があった場合、ヘルパー指定事業者に介助者の自薦登録を斡旋するという内容になっています。支援費制度になってこのような要綱を作ったのは宮城県が初めてで、大変ユニークな取り組みといえます。ただ、公益活動を行っていない営利法人の指定事業者に斡旋すると事業所に利益が入ってしまい隠れワイロのような状態になってしまいます。行政が自薦登録を斡旋するべき指定事業所は、収益の全額を公益活動に還元するような非営利法人を公開審査・認定し、その上で斡旋すべきではないでしょうか。


宮城県全身性障害者介助人派遣事業運営要綱
(趣旨)
第1  県は,身体障害者福祉法に定める支援費制度において障害者の生活の安定を図るとともに自立と社会参加を促進するため,常時介助が必要な在宅の全身性障害者に対し,障害者自らが選定した介助人を居宅介護従業者として派遣し,必要なサービスの提供を行うものとし,その派遣及び運営に関しては,指定居宅介護及び基準該当居宅介護の提供に当たる者として厚生労働大臣が定めるもの(平成15年3月24日厚生労働省告示第110号。以下「告示」という。)及び居宅介護従業者養成研修等について(平成15年3月27日障発第03270011号厚生労働省社会・援護局障害保健福祉部長通知)によるもののほか,この要綱の定めるところによる。
(実施主体)
第2  本事業は,市町村長が実施するものとし,身体障害者福祉法に規定する指定居宅支援事業者又は基準該当居宅介護事業者(以下「指定事業者」という。)との連携の下に別紙に定める日常生活支援に必要なサービス(以下「サービス」という。)を提供するものとする。
(対象者)
第3  派遣の対象者は,宮城県内(仙台市を除く。)に居住する常時介助を必要とする在宅の全身性障害者で,次の各号のいずれにも該当し,市町村長が派遣の必要性があると認めた者とする。
  (1) 身体障害者手帳の交付を受けた18歳以上の者
  (2) 両上肢,両下肢(又は体幹)のいずれにも障害が認められる肢体不自由1級の者
  (3) 単身者,夫婦ともに障害者又は同居家族が高齢等の理由により家族の介助が得られない者
(事業の内容)
第4  市町村長は,障害者の推薦する介助人を指定事業者にあっせんする。
2 指定事業者は,身体介護やコミュニケーション等に特別な配慮を必要とする対象者に対し,サービスを提供するために,対象者が推薦し,市町村長から斡旋受けた者を介助人として派遣するものとする。
(介助人)
第5  介助人は,対象者が推薦する、告示に定める居宅介護従業者であって,市町村長が適当と認める者とする。ただし,対象者の3親等以内の親族は除くものとする。
(サービス利用の手続)
第6  サービスの利用の手続は,次に掲げるところによる。
  (1)  派遣サービスの利用を希望する者は,全身性障害者介助人派遣事業申請書(様式第1号)に,推薦する者の同意書(様式第1号の2)を添えて市町村長に提出するものとする。
  (2)  市町村長は,申請者の身体その他の状況及びその置かれている環境を十分に勘案の上適否を決定して,申請者に通知(様式第2号)するものとし,適当と認めたときは,指定事業者に斡旋するものとする。
  (3)  推薦した者が市町村長から介助人として適当と認められ,指定事業者に対しあっせんを行った旨の通知を受けた申請者は,当該介助人が指定事業者との間に雇用等の契約が締結されたことを確認した後,あっせん先の指定事業者との間に,サービスの利用契約を締結することができるものとする。
(費用)
第7  当事業を利用することによる新たな費用負担は,生じないものとする。
(介助人の研修)
第8  市町村長は,あっせん先の指定事業者との連携の下,介助人に対し研修を実施するなど,介助人の身体障害者福祉への理解と介助を適切に実施する能力の向上に努めるものとする。
(他事業との一体的かつ効率的な運営)
第9  市町村長は,指定事業者との連携の下,当該事業と他の在宅福祉サービスとの十分な調整を行い,一体的かつ効率的な運営を図ることとする。  
(関係機関との連携)
第10  市町村長は,常に保健福祉事務所,民生委員,身体障害者相談員等との連携を密にするとともに,この事業において介助人をあっせんしている指定事業者との連携・調整を十分に行い,事業を円滑に実施するものとする。
     
附 則
 この要綱は,平成15年4月1日から施行する。
 宮城県全身性障害者介助人派遣事業運営要綱(平成12年8月1日施行)は,廃止する。
 宮城県全身性障害者介助人派遣事業事務取扱要領(平成12年8月1日施行)は,廃止する。
     

別紙

 日常生活支援サービスとは,次に掲げるサービスのうち,必要と認められるものを供与することにより行うものとする。

 身体の介護に関すること。
  (1) 入浴の介護
  (2) 排せつの介護
  (3) 食事の介護
  (4) 衣類着脱の介護
  (5) 身体の清しょく,洗髪
  (6) 通院等の介助その他必要な身体の介護
 家事に関すること。
  (1) 調理
  (2) 衣類の洗濯,補修
  (3) 住居等の掃除,整理整とん
  (4) 生活必要品の買い物
  (5) 関係機関との連絡
  (6) その他必要な家事
 相談,助言に関すること。
    生活,身上,介護に関する相談,助言
 外出時における移動の介護
    外出時の移動の介護等外出時の付添いに関すること。
 見守り等に関すること。
    日常生活における見守り等に関すること。
 1から5に掲げるサービスに附帯するサービス
    1から5に付帯するその他必要な介護,家事,相談及び助言
編注:要綱添付の様式集はホームページ http://www.kaigoseido.net/ に掲載しています
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厚生労働省、生活保護制度の見直しへ

審議会に専門委員会設置の方針

 厚生労働省社会・援護局は生活保護の本格的な見直しを始める方針です。社会保障審議会福祉部会に「生活保護に関する専門委員会」を設置する方針を決め、準備に入りました。6月には社会保障審議会でも検討の必要性が確認されています。7月1日からの厚生労働省保護課主催の生活保護担当ケースワーカー全国研修会(毎年開催)でも、岡田太造・保護課長は「生活保護の見直しの動き」について言及しました。
 介護保険開始時や社会福祉基礎構造改革の際に自己負担の問題等から低所得者層の対策が必要で、生活保護制度の見直しを行うべきとの意見もありました。しかし、現在、国の財政は逼迫しており、社会保障費全体には厳しい時期となっています。高齢者関係などは予算の自然増を一定の額に押さえる来年度予算方針を政府が出すなど、全体としてかなり社会保障費を抑制する流れです。生活保護費についてもこの情勢の中で見直し作業を進めれば、各種加算などの低下は確実です。新聞一般紙では、母子加算などの1部カットの方針が報道されています。
 このような中で、障害者団体としては、「支援費等で必要な介護が足りないときに生活保護でその介護の穴をうめる」という他人介護料制度の上限撤廃など、必要なところには加算を増やすような運動が必要です。それとともに、申請書を出さなかったり、親を申請に同伴するように1人暮らしの障害者に求めるなど、脱法行為をする市町村の窓口が野放しになっている問題、扶養義務の問題など、改善を求めることが必要です。
 海外では、重度障害者の場合、収入が規定の額以下ならば、日本の年金なみの手続きで生活保護を受けられる国もあります。生活費などの保護基準額がわずかに上がることよりも、このような事の方がはるかに大切です。  この情報は、今後も掲載していきます。

生活保護の他人介護料(新規申請)大臣承認申請書セット

無料・相談会員のみに配布 申込みは発送係へFAXか電話で
初めての申請の市の方は、当会制度係と連絡を取りつつ進めてください。 (セットがつきましたら制度係に必ずお電話下さい)

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介護保険6月30日Q&A情報

 先月号で紹介した、5月30日のQ&A(Q7)では、家政婦をヘルパーとして介護保険で請求できないという回答になっていましたが、早くも訂正が出ています。
   今回の回答では、住み込みでない、通勤してくる家政婦は、時間帯を明確に分ければ、ヘルパーとして介護保険で請求できるとなっています。
 家政婦への規制は、障害者が確保している自薦の介護者にも同じ規制としてかかってきますから、大問題です。

6月30日 Q&A vol.2

訪問介護

Q1 同時に3人以上の訪問介護員等が1人の利用者に対して訪問介護を行った場合は、それぞれの訪問介護員等について訪問介護費を算定できるか。

A1 例えば、体重が重い利用者に入浴介助等の重介護を内容とする訪問介護を提供する場合やエレベータのない建物の2階以上の居室から歩行困難な利用者を外出させる場合など、利用者の状況等により、複数の訪問介護員等によるサービス提供が必要になった場合は、同時に2人の訪問介護員等によるサービス提供に限り、訪問介護費を算定できる(このとき、所定単位数の100分の200に相当する単位数を算定する)。同時に3人以上の訪問介護員等が1人の利用者に対して訪問介護を行った場合は、それぞれの訪問介護員等について訪問介護費を算定できなく、2人の訪問介護員等に限り算定できる。

Q2 午前中に「訪問介護」を実施し、午後に利用者と当該ヘルパーの間の契約による「家政婦」としてのサービス提供を行った場合に、訪問介護費を算定できるか。

A2 いわゆる「住み込み」ではなく利用者宅ヘ通勤する勤務形態の家政婦について、1回の訪問に係る滞在時間帯において、介護保険による「訪問介護」と個人契約による「家政婦」としてのサービスが混合して行われる場合、訪問介護のサービス内容が明確に区分して居宅サービス計画に位置付けられ、「訪問介護」と「家政婦」としてのサービスが別の時間帯に別のサービスとして行われる場合に限り、当該訪問介護に要する所要時間に応じて訪問介護費を算定できる。 また、この際、できるだけ個人契約による「家政婦」としてのサービスも居宅サービス計画に明記することとする。


次ページから5月30日付Q&A vol.1の後半を掲載します

先月号で掲載した5月30日付け介護保険のQ&A訪問介護部分の前半に引きつづき後半を掲載します


事務連絡
平成 15年5月30日

都道府県介護保険主管部(局)
介護保険主管課(部)御中

厚生労働老健局老人保険課

介護報酬に係るQ&Aについて

 介護報酬に係る質問のうち、都道府県あら照会の多いものについて、別添野通りQ&Aを作成しましたので送付します。
  (中略)

訪問介護

(5)2人の訪問介護員等による訪問介護の取扱い

Q16 2人の訪問介護員等による訪問介護の算定方法について

A16 例えば、体重が重い利用者に入浴介助等の重介護を内容とする訪問介護を提供する場合やエレベーターのない建物の2階以上の居室から歩行困難な利用者を外出させる場合など、利用者の状況等により、2人の訪問介護員等によるサービス提供が必要となった場合は、2人の訪問介護員等によるサービス提供時間に応じた所定単位数の100分の200に相当する単位数を算定するため「二人の介護員等の場合」のサービスコードにより請求する。
  ただし、上記の場合において、例えば、2人の訪問介護員等が入浴介助を行い、その後、一人の訪問介護員等が生活援助を行う場合は、2人の訪問介護員等によるサービス提供時間が全体のサービス提供時間に占める割合が小さく、該当するサービスコードが存在しないため、便宜上それぞれの訪問介護員等のサービス提供時間に応じて訪問介護員等ごとに所定単位数を算定することとする。

(例)

訪問介護員A 身体介護中心型(入浴介助の所要時間)を算定
訪問介護員B 身体介護中心型に生活援助を加算して算定
また、上記の場合において、2人の訪問介護員等のうち1人が3級訪問介護員であるために減算される場合は、該当するサービスコードが存在しないため、便宜上、それぞれの訪問介護員等のサービス提供時間に応じて訪問介護員等ごとに「身体介護中心型」を算定することとする。

(例)

訪問介護員A 所定単位数を算定
訪問介護員B 所定単位数の100分の90を算定

こうした取扱は、該当するサービスコードが存在しないための特例的なのもであり、それぞれの訪問介護員等のサービス提供時間に応じて訪問介護員等ごとに算定する場合も、2人の訪問介護員等による訪問介護の算定にかかる要件(利用者の状況等)を満たすことが必要である。


(6)特別地域加算

Q17 特別地域加算を意識的に請求しないことは可能か。

A17 加算の届出を行っている場合において、利用者負担の軽減を図る趣旨であれば、加算を請求しないということにより対応するのではなく、介護給付費の割引率を都道府県に登録することが原則である。
  ただし、利用者の居宅が特別地域外に所在するなど特別な事情がある場合には、利用者負担の軽減を図るために、当該利用者について特別地域加算を意識的に請求しないことはできる。


(7)通院等乗降介助

Q18 「通院等のための乗車又は降車の介助」を算定する事業所の体制等に係る届出について

A18 「通院等のための乗車又は降車の介助」を算定する事業者は新たに体制等の届出を行う必要がある。また、新たに体制等の届出を行わない事業所が「通院等のための乗車又は降車の介助」と同じ内容のサービスを行う場合は「身体介護中心型」を算定することはできない。
  なお、要介護4又は要介護5の利用者に対して、通院等のための乗車・降車の介助を行うことの前後に連続して相当の所要時間(20分から30分程度以上)を要しかつ手間のかかる身体介護を行う場合には、その所要時間に応じた「身体介護中心型」の所定単位数を算定できることとされているが、これは「通院等のための乗車又は降車の介助」を算定する事業者を前提としていることから、この場合も、新たに体制等の届出を行う必要がある。

Q19 「通院等のための乗車又は降車の介助」を算定するに当たり、「介護給付費算定に係る体制等に関する届出」において、事業所の指定において求められる「市町村意見書」を添付しなくてもよいか。

A19  「介護給付費算定に係る体制等に関する届出」において、訪問介護の「施設等の区分」については、事業所の運営規定において定める「指定訪問介護の内容」に従って記載することとされている。
  「介護給付費算定に係る体制等に関する届出」において、「市町村意見書」の添付は求めていないが、届出の内容は事業所の運営規定において定める「指定訪問介護の内容」に合致していなければならない。

Q20 要支援者に対する「通院等のための乗車又は降車の介助」について

A20  「通院等のための乗車又は降車の介助」を算定できる利用者は要介護者に限られる。
ただし、要支援者に付き添い、バス等の公共機関を利用して移送中の気分の確認も含めた通院・外出介助を行った場合には、従来どおり、「身体介護中心型」を算定できる。

Q21 往路は家族等が対応し、復路は「通院等のための乗車又は降車の介助」を算定することはできるか。

A21 「通院等のための乗車又は降車の介助」は片道につき算定する。したがって、所定の算定用件を満たす場合は復路について算定できる

Q22 1日に複数の医療機関を受診する場合に、医療機関から医療機関への移送に伴う介護について「通院等のための乗車又は降車の介助」を算定できるか

A22 居宅以外において行われるバス等の公共交通機関への乗降、院内の移動等の介助などのサービス行為だけをもってして訪問介護として算定することはできない。したがって、医療機関から医療機関への移送に伴う介護については、「通院等のための乗車又は降車の介助」を算定することはできない。

Q23 公共交通機関による通院・外出について

A23 要介護者又は要支援者に付き添い、バス等の交通機関を利用して移送中の気分の確認も含めた通院・外出介助を行った場合には、従来どおり「身体介護中心型」を算定できる。なお、タクシーも公共交通機関に含まれる。

Q24 通院等のための乗車・降車の介助の前後に連続して行われる外出に直接関連する身体介護(移動・移乗介助、整体整容・更衣介助、排泄介助等)は別に算定できるのか。

A24  「通院等のための乗車又は降車の介助」の前後に連続して行われる行為のうち、外出に直接関連する身体介護(移動・移乗介助、整体整容・更衣介助、排泄介助等)については、

  • 居室内での準備や通院先での院内の移動等の介助など、通院等のための乗降介助の前後に連続して行われる身体介護の所要時間や内容に関わらず「身体介護中心型」を算定できず、「通院等のための乗車又は降車の介助」を算定することになる。
  • ただし、要介護4または要介護5の利用者に対して、通院等のための乗車
  • 降車の介助を行うことの前後に連続して、相当の所要時間(20分から30分程度以上)を要しかつ手間のかかる、外出に直接関連する身体介護を行う場合に限り、その所要時間(運転時間を控除する)に応じた「身体介護中心型」の所定単位数を算定できる。この場合には、「通院等のための乗車又は降車の介助」の所定単位数を併せて算定することはできない。

    (例)

    (乗車の介助の前に連続して)寝たきりの利用者の更衣介助や排泄介助をした後、ベッドから車いすへ移乗介助し、車いすを押して自動車へ移動介助する場合。

     

Q25 いわゆる介護タクシーにおける受診中の待ち時間の取扱について

A25 「通院等のための乗車又は降車の介助」は通院等のための外出に直接関連する身体介護の一連のサービス行為を包括評価しているため、通院先での受診中の待ち時間については、待ち時間の長さや待ち時間における介護の内容に関わらず、「通院等のための乗車又は降車の介助」を算定することとなり、別に、「身体介護中心型」を算定できない。

Q26 「要介護4又は要介護5の利用者に対して、通院等のための乗車・降車の介助を行うことの前後に連続して相当の所要時間(20分から30分程度以上)を要しかつ手間のかかる身体介護を行う場合には、その所要時間に応じた「身体介護中心型」の所定単位数を算定できる。」にいう「前後の所要時間」について

A26 要介護4又は要介護5の利用者に対して、「身体介護中心型」を算定するためには、通院等のための乗車・降車の介助を行うことの前又は後に連続して行われる手間のかかる、外出に直接関連する身体介護の所要時間は20〜30分程度以上を要する。このとき、前後の所要時間を算定できない。
(なお、「身体介護中心型」を算定する場合の算定対象時間は運転時間を控除して所要時間を通算する。)

(例)

例@は乗車前に20分の「外出に直接関連する身体介護」を行っているため、身体介護中心型として算定できる。乗車前及び降車後の所要時間を通算して25分の身体介護として身体介護中心型(所要時間30分未満)を算定する。

例Aは乗車前又は降車後に20〜30分程度以上の「外出に直接関連する身体介護」を行っていないため、身体介護中心型として算定できず、「通院等のための乗車又は降車の介助」を算定する。

Q27 通院等のための乗車・降車の介助の前後に連続して行われる外出に直接関連しない身体介護(入浴介助・食事介助等)や生活援助(調理・清掃等)は別に算定できるのか。

A27 「通院等のための乗車又は降車の介助」の前後に連続して行われる行為のうち、外出に直接関連しない身体介護(入浴介助・食事介助等)については、その所要時間が30分〜1時間程度以上を要しかつ身体介護が中心である場合に限り、外出に直接関連しない身体介護及び通院・外出介助を通算した所要時間(運転時間を控除する)に応じた「身体介護中心型」の所定単位数を算定できる。この場合には、「通院等のための乗車又は降車の介助」の所定単位数は算定できない。
  また、生活援助については、当該生活援助の所要時間が所定の要件を満たす場合に限り、その所要時間に応じた「生活援助中心型」の所定単位数を算定できる。この場合には、「通院のための乗車又は降車の介助」の所定単位数は算定できる。

Q28 通院・外出介助において、利用者の状況等により、2人の訪問介護員等によるサービス提供が必要となった場合の取扱いについて

A28 通院・外出介助において、1人の訪問介護員等が車両に同乗して気分の確認など移送中の介護も含めた介護行為を行う場合は、当該訪問介護員等は「身体介護中心型」を算定するが、このとき、当該車両を運転するもう1人の訪問介護員等は、サービス行為の所要時間や内容に関わらず、別に「通院等のための乗車又は降車の介助」を算定することはできない。
ただし、例えば、重度の要介護者であって、

@体重が重い利用者に重介護を内容とする訪問介護を提供する場合や
Aエレベーターの無い建物の2階以上の居室から外出させる場合など、利用者の状況等によりやむを得ずに2人の訪問介護員等によるサービス提供が必要となった場合に限り、2人の訪問介護員等によるサービス提供時間に応じた「身体介護中心型」の100分の200に相当する単位数を算定できる。

また、上記の場合において、例えば、2人の訪問介護員等が移動介助・乗車介助を行う場合は、2人の訪問介護員等によるサービス提供時間が全体のサービス提供時間に占める割合が小さいため、それぞれの訪問介護員等のサービス提供時間に応じて訪問介護員等ごとに「身体介護中心型」を算定できる

Q29 別に同乗する訪問介護員等が「通院等のための乗車又は降車の介助」のみを行い、移送中に介護を全く行わない場合の取扱いについて

A29  車両を運転する訪問介護員等とは別に訪問介護員等が同乗する場合であっても、当該同乗する訪問介護員等が「通院等のための乗車又は降車の介助」のみを行い、移送中の気分の確認など移送中に介護を全く行わない場合については、「通院等のための乗車又は降車の介助」と実質的に同じ内容のサービスであるので、「通院等のための乗車又は降車の介助」を算定することとし、「身体介護中心型」は算定できない。

Q30 居宅サービス計画に「通院等のための乗車又は降車の介助」を位置付けるときに、アセスメントが適当に行われていない場合の取扱について

A30  「通院等のための乗車又は降車の介助」の単位を算定するに当たっては、適切なアセスメントを通じて、居宅サービス計画に位置付ける必要があると規定されており、こうしたアセスメントが行われていない場合、「通院等のための乗車又は降車の介助」は不適切な給付として返還を求めるものである。

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