★ 入院介護制度の交渉が全国に広がる

★会費・定期購読料を安くしました

8-9月号
2008.9.28
編集:障害者自立生活・介護制度相談センター
情報提供・協力:全国障害者介護保障協議会
〒187−0003 東京都小平市花小金井南町1-11-20花壱番館1階D
発送係(定期購読申込み・入会申込み、商品注文)  (月〜金 9時〜17時)
  TEL・FAX 0120−870−222 (フリーダイヤル)
  TEL・FAX 042−467−1460 (新番号)
制度係(交渉の情報交換、制度相談)(365日 11時〜23時(土日は緊急相談のみ))        
  TEL 0037−80−4445 (全国からかけられます)
  TEL 042−467−1470 (新番号)
電子メール:
郵便
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口座名:障害者自立生活・介護制度相談センター  口座番号00120-4-28675
 

2008年8-9月号    目次

   

3・・・・10月より会費・定期購読料が安くなります
4・・・・北東北・東海・兵庫県で入院介護制度実施へ
6・・・・平成21年度当初予算の概算要求
9・・・・障害者自身でヘルパー時間数の改善交渉を
10・・・社会保障審議会障害者部会と今後の解説
12・・・新聞記事より



重度障害者の研修生募集 

 2〜3年ほど東京の介護保障協議会事務局で介護制度交渉や自立生活センターの立ち上げ方法を勉強して、地元へ戻り、世の中を変える運動に従事したい障害者を募集しています。

対象:24時間介護の必要な全身性障害者車椅子で暮らせる社宅アパート用意します。
24時間の介護制度あり。介護で穴があくことはありません。
面接審査があります

お問い合わせは 0120-66-0009 または(担当:大野)



10月より会費・定期購読料が変更になります

 障害者自立支援法など制度改正がなく情報が少ない時期にあたることや、ホームページで詳細資料を掲載する時代になり、紙の媒体でページ数が減ったなどの理由で、全国障害者介護制度情報の定期購読と相談センターの相談会員等の会費を引き下げることになりました。

  • 定期購読     月100円 年間1200円  ・・・・今までは年間3000円
  • メール定期購読 月30円  年間360円   ・・・・今までは年間1200円
  • 相談会員     月150円 年間1800円  ・・・・今までは年間6000円 (定期購読+フリーダイヤル相談)
  • 相談会員B    月80円  年間960円   (メールで月刊誌を受け取る相談会員)
  • 団体会員     月300円 年間3600円  ・・・・今までは年間1万円 (団体内の誰でも相談電話ができる相談会員)

 すでに今年度会費を振込みいただいている方には、新会費で計算して期間延長で対応いたします。
 昨年度分の会費納入済みの会員様には機関紙発行回数が少なかったため、今年9月末までは昨年度の会費でまかなわれています。今年度(来年3月までが今年度扱い)は安くなった会費で10月からの6ヶ月分の支払いとなります。
 今年度より会費を払い始めた会員様には、古い(高い)会費で今年10月から来年3月までの6か月分をいただいていますが、この6か月分は、新しい(安い)会費で割り、1ヶ月単位で切り上げの上、期間延長の取り扱いにします。(たとえば、定期購読で残り6ヶ月を1500円計算で支払っている方には、新しい会費で15か月分の計算になるので、2010年1月まで支払い済みの取り扱いとします)。不明な点はお問い合わせください。

*メール定期購読と相談会員Bはパソコンメールからの申し込み限定です。



北東北・東海・兵庫県で入院介護制度実施へ

いずれも国庫補助(地域生活支援事業のコミュニケーション支援)を利用

東北

 北東北の小規模市町村2箇所で地域生活支援事業のコミュニケーション支援の国庫補助をつかった入院の介護制度ができることになりました。いずれもALS患者が交渉しています。ただし、1回の入院で80時間までです。(家族と同居のALS患者のためこの程度の時間数までになった)。
 入院初日〜3日目 1日8時間まで。4日目以降は 1日4時間までの制限もついており、神戸市に似た制度になってしまっています。

東海

 東海地方の地方都市で入院の介護制度が開始されそうです。人工呼吸器利用の脳性まひ者がいる障害者団体が交渉していました。地域生活支援事業のコミュニケーション支援の国庫補助をつかった制度ができる予定です。

近畿

 神戸市に影響され、それ以外のいくつかの市でも障害者による交渉が行われ、来年度制度実施の予定で進んでいます。いくつかの市では、言語障害のある脳性まひ者やALS患者などに限定しない全身性障害者全般向けの制度になりそうです。詳しくは追ってお知らせします。

 いずれの地域も、国庫補助事業である、地域生活支援事業のコミュニケーション支援の項目を使って交渉しています。地域生活支援事業は市町村が障害福祉分野の制度なら何をやってもいい事業です。事業内容に関して国の監督は受けません。その代わりに、国からの補助金は包括補助金として一定額までしか受けられない制度です。(一定額とは、人口割と実績割(支援費制度の時代の移動介護などの実績)によって配分される仕組み。このため、たくさんの事業を行って、国庫補助の基準を超えると全額が市町村負担になる。毎年補助金計算で人口割を増やし、実績割を減らしていき、将来は完全に人口比例で配分されるようになる予定)。移動介護の実績が少なかった地域では、地域生活支援事業の補助金は毎年増えていくので、新たな制度を要望すると緊急性が高いものは実施しやすい状態です。全国のほかの地域の皆さんも入院介護制度が必要ならば、急いで要望書を出して交渉してみてください。交渉方法のアドバイスは制度係フリーダイヤルにご連絡ください。
 国の建前では診療報酬との関係で、現段階では「コミュニケーションの支援」のために病院に人が付き添うという部分までしか認めていませんが、対象者が言語障害者に限定されているわけではありません。確かに、言語障害者のある脳性まひ者などは対象になることがわかりやすいですが、頚椎損傷や筋ジスなどで言語障害が無い場合でも、対象にできます。肺炎などで緊急入院した場合は、話すことが困難という理由や、話すことに体力がいるので、自分の適切な介護の方法を病院スタッフに伝えることができないという理由で対象に加えることは、市町村の判断で可能です。
 介護方法が特殊な場合や複雑な場合、初めて介護を行う人がきちんとできるようになるまで時間がかかる障害者の場合、肺炎や痛みなどで緊急に入院した全身性障害者は介護方法を伝えることができません。重度の全身性障害者の場合、横向きの寝返り時に足の重なりでミリ単位の調整が必要など、介護の方法が特殊です。きちんと介護ができるようになるためには、数ヶ月〜数年以上介護に入ったなれたヘルパーが不可欠です。重度の全身性障害者の場合、たとえ日本1の医者や看護師が介護をしようとしても、その障害者にとってのいつものなれた方法での介護は行うことはできません。それができないと、障害者は体力を回復することができず、病気が回復するどころか、どんどん体力を消耗して病気が悪くなっていって最後には死んでしまいます。このため、入院中の介護制度は、言語障害のあるなしに関係なく必要不可欠です。



平成21年度当初予算の概算要求

 厚生労働省は、平成21年度当初予算の概算要求を8月末に財務省に提出し、ホームページ等で公表しました。

  障害保健福祉部の要求額は1兆0238億円(他局計上予算を除く)で、そのうち「個別給付による福祉サービス」(介護給付と訓練等給付の合計、地域生活支援事業や自立支援医療を含まない)の要求額は5231億円(+286億円、+5.8%)です。現段階での厚労省は、この増加分で、サービス利用量の拡大を賄いつつ、平成21年4月の報酬改定をやりくりする考えです(イメージとしては、サービス利用量が5.8%以上伸びる見込みならば、介護報酬が全体平均でマイナス改定となる)。この概算要求を財務省が査定し、年末に政府案として決定されることになります。
  なお、支援費制度の頃と違って在宅福祉と施設福祉が1つの勘定科目で計上されているため、ホームヘルプサービスの内訳金額はわかりません。


最近の予算額の変遷(補正予算を除く)

    障害保健福祉部の全体 介護給付+訓練等給付 地域生活支援事業
19年度 当初予算 9004億円 4473億円 400億円
20年度 概算要求 9532億円 4882億円 450億円
当初予算 9700億円 4945億円 400億円
21年度 概算要求 1兆0238億円 5231億円 450億円
当初予算 ???円 ???円 ???円

 また、国から市町村と都道府県へ配分される地域生活支援事業の統合補助金の要求額は450億円で、前年度400億円に比べて50億円の増額要求です。ただし、平成20年度予算でも50億円の増額を要求したものの、財務省から認めてもらえませんでした。一方で、平成20年度予算は、概算要求から政府案までの間に与党から「抜本的見直しに向けた緊急措置」が提案されて、利用者負担の軽減などで「介護給付+訓練等給付の予算」がさらに増額されたという事情もありました。ですので、今回の増額が政府案で認められるかは不透明です。

これとは別に、厚労省職業安定局(福祉施策ではなくて雇用施策の担当部局)が、介護の人材確保のために概算要求で110億円を計上しています。
○フリーターや退職者などの未経験者を常勤の介護職員として新たに雇用した場合に、勤続6ヵ月で「25万円×3人まで」、勤続1年で「さらに25万円×3人まで」を事業所に助成(新設)
○雇用管理改善の担当者として、実務経験1年以上の1級ヘルパーを新たに雇用した場合に、勤続6ヵ月で「70万円×3人まで」を事業所に助成(これは従来からあった助成金)

 なお、「骨太の方針2006」の方針に基づき、今回の概算要求でも社会保障費を2200億円切り詰め、(高齢化に伴う自然増8700億円との差し引きで)伸びを6500億円に抑える概算要求基準(シーリング)が課せられています。これに対して厚労省は、政府管掌健康保険に投入する国費1000億円を健康保険組合や共済組合に肩代わりしてもらう、などで対処する方針です。



障害者自身でヘルパー時間数の改善交渉を

 長時間のヘルパー制度が必要な最重度の障害者であっても、市町村には、障害者個々人が自立した生活ができるような支給決定をする責務があります(障害者基本法・障害者自立支援法)。現在、国の障害ヘルパー制度の理念にのっとって、必要なヘルパー時間を個々人ごとに決定している市町村も増えてきた一方、いまだに過半数の市町村では、長時間介護を必要とする重度の障害者に対して、一律のヘルパー制度の上限を設けるなど、制度運営上の違反を行っている実態があります。
 ヘルパー制度の変わり目は交渉で大きく制度を伸ばすチャンスです。2003年の支援費制度開始時にも、多くの市町村で24時間介護保障や大幅なヘルパー制度のアップが実現しました。自立支援法でも、事情は同じです。ヘルパー制度も義務的経費になり、市町村行政の介護の公的責任も高まりました。
 2006年度以降は、自立支援法施行により、ヘルパー制度が義務的経費となったため、1年中、いつの季節からの新規利用開始(施設等からの地域移行によるアパート暮らしなど)でも、国庫補助(正確には国庫負担)がつきます。  市町村と交渉し、命にかかわる状態であることを事細かに説明し、ヘルパー制度の必要な補正予算を組んでもらうまで交渉を続ける必要があります。
 交渉は今から行えます。以前から1人暮らししている方も、今から時間数アップに向けて交渉を行うことが可能です。(たとえば、「学生ボランティアが卒業等でいなくなってしまった」、「障害が進行した」、「制度が不足する部分のヘルパー時間を緊急対応で無料で介助派遣してくれていた事業所が、単価改正で赤字になり介護派遣できなくなったので、他事業所に切り替える」などの理由がある場合は、緊急で交渉が可能です)。
 当会には、人口1万人以下の過疎の町から都会まで、どんな規模の自治体でも24時間の介護制度を作った際のサポートの実績があります。交渉をしたい方は、制度係までご連絡ください。厚生労働省の情報、交渉が進んでいる自治体の制度の情報、交渉ノウハウ情報など、さまざまな情報があります。当会に毎週電話をかけつつ行った交渉で24時間介護保障になった市町村の実績が多くあります。ぜひ自治体との交渉にお役立てください。
 制度係 0037−80−4445(通話料無料)11時〜23時。



社会保障審議会障害者部会と今後の解説

自薦ヘルパー推進協会本部事務局

第36回社会保障審議会障害者部会報告

 8月6日に第36回社会保障審議会障害者部会が開催されました。
 今回は前回に引き続き関係団体からのヒアリングが行われ、主に施設・事業者関係の7団体が出席し意見提起を行いました。限られた時間の中で見直しに向けて様々な課題や意見提起がなされ、ヒアリングの後に部会の委員からの質問が寄せられました。
 前半では知的福祉協会の「障害者自立支援法と介護保険との分離を」という提起に関して、一部委員より統合問題に関する議論がありましたが、今日の部会では団体の意見を聞くことを主眼として、部会内で議論が深まりましませんでした。今後、部会の論点整理の中でこの問題をどのように取り扱うか、着目すべき点かと思います。
 後半では発達障害、障害児、グループホーム、社会資源、利用者負担、などについて委員から質問があがっていました。

第37回社会保障審議会障害者部会

 8月20日、第37回社会保障審議会障害者部会が開催されました。
 今回は施設事業者等の関係6団体と地方自治体の代表3団体からのヒアリングとそれに関わる質疑が行われました。
 関係団体からのヒアリングは今回が最後となり、次回からは論点整理に入っていくことになります。これまでの議論や団体の意見から多くの論点があがっており、とりまとめに向けての具体的な議論が行われると予想されます。

第38回社会保障審議会障害者部会

 9月10日、第38回社会保障審議会障害者部会が開催されました。
 今回はこれまでの議論、関係団体ヒアリングにおける意見をまとめた論点整理案がだされ、それについての論点の確認と後半はその論点のうち「障害児支援のあり方」についての集中議論がされました。
 障害児支援のあり方については同部会に先行するかたちで「障害児支援の見直しに関する検討会」が開催されており、7月22日には最終報告書が出されています。
 今回はこの報告書をベースに議論がすすめられ、自立支援法を関わりのある部分について、またその周辺領域について委員から意見が出されました。

各回の厚生労働省提出資料と各団体のヒアリング資料、当日の速記録等はホームページに掲載しています。



新聞記事リンク1 http://www.kaigoseido.net/o/20080918asahisinnbunn.pdf

新聞記事リンク2  http://www.kaigoseido.net/o/20080918asahisinnbunn-2.pdf



全国ホームヘルパー広域自薦登録協会のご案内

(介護保険ヘルパー広域自薦登録保障協会から名称変更しました)略称=広域協会
フリーダイヤル  0120−66−0009
フリーダイヤル 

自分の介助者を登録ヘルパーにでき自分の介助専用に使えます
対象地域:47都道府県全域

介助者の登録先の事業所のみつからない方は御相談下さい。いろいろな問題が解決します。

 全身性障害者介護人派遣事業や自薦登録ヘルパーと同じような登録のみのシステムを支援費ヘルパー利用者と介護保険ヘルパー利用者むけに提供しています。自分で確保した介助者を自分専用に制度上のヘルパー(自薦の登録ヘルパー)として利用できます。介助者の人選、介助時間帯も自分で決めることができます。全国のホームヘルプ指定事業者を運営する障害者団体と提携し、全国でヘルパーの登録ができるシステムを整備しました。介助者時給は今までの制度より介助者の給与が落ちない個別相談システムです。

利用の方法
  広域協会 東京本部にFAXか郵送で介助者・利用者の登録をすれば、翌日から支援費や介護保険の自薦介助サービスが利用可能です。東京本部から各県の指定事業者に業務委託を行い支援費の手続きを取ります。各地の団体の決まりや給与体系とは関係なしに、広域協会専門の条件でまとめて委託する形になりますので、すべての契約条件は広域協会本部と利用者の間で利用者が困らないように話し合って決めます。ですから、問い合わせ・申し込みは東京本部0120−66−0009におかけください。
 介助者への給与は介護型で時給1500円、家事型1000円、日常生活支援で時給1300〜1420円が基本ですが今までの制度の時給がもっと高い場合には今までの時給になるようにします。また、夜間の利用の方は時給アップの相談にのります。介助者は1〜3級ヘルパー、介護福祉士、看護士、日常生活支援研修修了者などのいずれかの方である必要があります。ただし、支援費制度のほうは、14年3月まで自薦ヘルパーや全身性障害者介護人派遣事業の登録介護人として働いている場合、県知事から証明が出て永久にヘルパーとして働けます。2003年4月以降新規に介護に入る場合も、日常生活支援や移動介護であれば、20時間研修で入れます。

詳しくはホームページもごらんください http://www.kaigoseido.net/2.htm

東京地区の身体介護時給が1900円にアップ

(身体介護を伴う移動介護も同単価。詳細はお問い合わせください)

自薦介助者にヘルパー研修を実質無料で受けていただけます

 広域協会では、障害当事者主体の理念の3級ヘルパー通信研修も行なっております。通信部分は自宅で受講でき、通学部分は東京なで3日間で受講可能です。3級受講で身体介護に入ることができます。
 日常生活支援研修は、東京会場では、緊急時には希望に合わせて365日毎日開催可能です。2日間で受講できます。東京都と隣接県の利用者は1日のみの受講でかまいません(残りは利用障害者自身の自宅で研修可能のため)。日常生活支援研修受講者は全身性移動介護にも入れます。3級や日常生活支援の研修受講後、一定時間(規定による時間数)介護に入った後、参加費・交通費・宿泊費を全額助成します。

このような仕組みを作り運営しています
仕組み図

お問合せは TEL 0120−66−0009(通話料無料)へ。受付10時〜22時 
みなさんへお願い:この資料を多くの方にお知らせください。 介護保険ヘルパー広域自薦

登録保障協会 発起人(都道府県順、敬称略、2000年4月時点)

名前 (所属団体等)
花田貴博 (ベンチレーター使用者ネットワーク)
篠田 隆 (自立生活支援センター新潟)
三澤 了 (DPI日本会議)
中西正司  (DPIアジア評議委員/全国自立生活センター協議会)
八柳卓史  (全障連関東ブロック)
樋口恵子  (全国自立生活センター協議会)
佐々木信行 (ピープルファースト東京)
加藤真規子 (精神障害者ピアサポートセンターこらーる・たいとう)
横山晃久  (全国障害者介護保障協議会/HANDS世田谷)
益留俊樹  (NPO自立生活企画/NPO自立福祉会)
川元恭子  (全国障害者介護保障協議会/CIL小平)
渡辺正直  (静岡市議)
名前 (所属団体等)
山田昭義  (DPI日本会議/社会福祉法人AJU自立の家)
斎藤まこと (名古屋市議/共同連/社会福祉法わっぱの会)
尾上浩二  (障害者総合情報ネットワーク)
森本秀治  (共同連)
村田敬吾  (自立生活センターほくせつ24)
光岡芳晶  (特定非営利活動法人すてっぷ)
栗栖豊樹  (CILてごーす)
佐々和信  (香川県筋萎縮性患者を救う会)
藤田恵功  (土佐市在宅重度障害者の介護保障を考える会)
田上支朗  (NPO重度障害者介護保障協会)

全国ホームヘルパー広域自薦登録協会の理念

47都道府県で介助者の自薦登録が可能に 障害施策の自薦登録ヘルパーの全国ネットワークを作ろう

 2003年度から全国の障害者団体が共同して47都道府県のほぼ全域(離島などを除く)で介助者の自薦登録が可能になりました。

 自薦登録ヘルパーは、最重度障害者が自立生活する基本の「社会基盤」です。重度障害者等が自分で求人広告をしたり知人の口コミで、自分で介助者を確保すれば、自由な体制で介助体制を作れます。自立生活できる重度障害者が増えます。(特にCIL等のない空白市町村で)。

 小規模な障害者団体は構成する障害者の障害種別以外の介護サービスノウハウを持たないことが多いです。たとえば、脳性まひや頚損などの団体は、ALSなど難病のノウハウや視覚障害、知的障害のノウハウを持たないことがほとんどです。

 このような場合でも、まず過疎地などでも、だれもが自薦登録をできる環境を作っておけば、解決の道筋ができます。地域に自分の障害種別の自立支援や介護ノウハウを持つ障害者団体がない場合、自分(障害者)の周辺の人の協力だけで介護体制を作れば、各県に最低1団体ある自薦登録受け入れ団体に介助者を登録すれば、自立生活を作って行く事が可能です。一般の介護サービス事業者では対応できない最重度の障害者や特殊な介護ニーズのある障害者も、自分で介護体制を作り、自立生活が可能になります。

 このように様々な障害種別の人が自分で介護体制を組み立てていくことができることで、その中から、グループができ、障害者団体に発展する数も増えていきます。

 また、自立生活をしたり、自薦ヘルパーを利用する人が増えることで、ヘルパー時間数のアップの交渉も各地で行なわれ、全国47都道府県でヘルパー制度が改善していきます。

 2003年度、支援費制度が導入されることにあわせ、47都道府県でCIL等自立生活系の障害当事者団体などのNPO法人が全国47都道府県で居宅介護(ヘルパー)指定事業者になりました。全国の障害者団体で共同すれば、全国47都道府県でくまなく自薦登録ヘルパーを利用できるようになりました。これにより、全国で重度障害者の自立が進み、ヘルパー制度時間数アップの交渉が進むと考えられます。47都道府県の全県で、県に最低1箇所、CILや障害者団体のヘルパー指定事業所が自薦登録の受け入れを行い、全国47都道府県のどこにすんでいる障害者も、自薦ヘルパーを登録できるようになりました。(支援費制度のヘルパー指定事業者は、交通2〜3時間圏内であれば県境や市町村境を越えて利用できます)。

全国で交渉によって介護制度が伸びている全ての地域は、まず、自薦登録ヘルパーができてから、それから24時間要介護の1人暮らしの障害者がヘルパー時間数アップの交渉をして制度をのばしています。

自薦ヘルパーを利用することで、自分で介助者を雇い、トラブルにも自分で対応して、自分で自分の生活に責任を取っていくという事を経験していくことで、ほかの障害者の自立の支援もできるようになり、新たなCIL設立につながりがります。(現在では、雇い方やトラブル対応、雇用の責任などは、「介助者との関係のILP」実施CILで勉強可能)

例えば、札幌のCILで自薦登録受け入れを行って、旭川の障害者が自分で介助者を確保し自薦登録を利用した場合。それが旭川の障害者の自立や、旭川でのヘルパー制度の時間数交渉や、数年後のCIL設立につながる可能性があります。これと同じことが全国で起こります。(すでに介護保険対象者の自薦登録の取組みでは、他市町村で自立開始や交渉開始やCIL設立につながった実例がいくつかあります)

自薦登録の受付けは全国共通フリーダイヤルで全国広域協会で受付けます。全国で広報を行い、多くの障害者に情報が伝わる様にします。

自薦登録による事業所に入る資金は、まず経費として各団体に支払い(各団体の自薦登録利用者が増えた場合には、常勤の介護福祉士等を専従事務員として雇える費用や事業費などを支払います)、残った資金がある場合は、全国で空白地域でのCIL立ち上げ支援、24時間介護制度の交渉を行うための24時間要介護障害者の自立支援&CIL立ち上げ、海外の途上国のCIL支援など、公益活動に全額使われます。全国の団体の中から理事や評議員を選出して方針決定を行っていきます。

 これにより、将来は2000市町村に全障害にサービス提供できる1000のCILをつくり、24時間介護保障の全国実現を行ない、国の制度を全国一律で24時間保障のパーソナルアシスタント制度に変えることを目標にしています。

全国ホームヘルパー広域自薦登録協会の利用者の声

★(関西) 24時間介護の必要な人工呼吸器利用者ですが一般事業所はどこも人工呼吸器利用者へヘルパー派遣をしてくれないので、広告で募集した介助者に全国広域協会の紹介でヘルパー研修を受講してもらい、全国広域協会を利用しています。求人紙での求人募集方法のアドバイスも受けました。介助者への介助方法を教えるのは家族が支援しています。

★(東日本の過疎の町) 1人暮らしで24時間介護が必要ですが、介護保障の交渉をするために、身体介護1日5時間を全国広域協会と契約して、残り19時間は全国広域協会から助成を受け、24時間の介助者をつけて町と交渉しています。

★(東北のA市) 市内に移動介護を実施する事業所が1か所もなく、自薦登録で移動介護を使いたいのですが市が「事業所が見つからないと移動介護の決定は出せない」と言っていました。知人で介護してもいいという人が見つかり、東京で移動介護の研修を受けてもらい全国広域協会に登録し、市から全国広域協会の提携事業所に連絡してもらい、移動介護の決定がおり、利用できるようになりました。

★(西日本のB村) 村に1つしかヘルパー事業所がなくサービスが悪いので、近所の知人にヘルパー研修を受けてもらい全国広域協会に登録し自薦ヘルパーになってもらいました。

★(北海道) 視覚障害ですが、今まで市で1箇所の事業所だけが視覚障害のガイドヘルパーを行っており、今も休日や夕方5時以降は利用できません。夜の視覚障害のサークルに行くとき困っていましたら、ほかの参加者が全国広域協会を使っており、介助者を紹介してくれたので自分も夜や休日に買い物にもつかえる用になりました。

★(東北のC市) 24時間呼吸器利用のALSで介護保険を使っています。吸引してくれる介助者を自費で雇っていましたが、介護保険の事業所は吸引をしてくれないので介護保険は家事援助をわずかしか使っていませんでした。自薦の介助者がヘルパー資格をとったので全国広域協会に登録して介護保険を使えるようになり、自己負担も1割負担だけになりました。さらに、今年の4月からは支援費制度が始まり、介護保険を目いっぱい使っているということで支援費のヘルパーも毎日5時間使えるようになり、これも全国広域協会に登録しています。求人広告を出して自薦介助者は今3人になり、あわせて毎日10時間の吸引のできる介護が自薦の介助者で埋まるようになりました。求人広告の費用は全国広域協会が負担してくれました。介助者の時給も「求人して介助者がきちんと確保できる時給にしましょう」ということで相談のうえ、この地域では高めの時給に設定してくれ、介助者は安定してきました。

 
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