★東京都内のほとんどの市と区で最高24時間保障  全国展開と国の考え方

★市町村にも勘違いが多い国庫負担基準の再説明

5・6月号
2007.6.30

編集:障害者自立生活・介護制度相談センター
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2007年5-6月号    目次

   

4・・・・東京都内のほとんどの市と区で最高24時間保障
5・・・・運動体の動きと全国展開
6・・・・国の動き(ヘルパー制度の上限撤廃)
7・・・・24時間利用者のサービス利用例(15年度厚生労働省作成資料)
9・・・・国庫負担基準の市町村での計算方法
10・・・移動支援事業で通年長期の通学・通所が可能な市町村
11・・・精神障害者の移動支援各地で利用が進む
11・・・厚生労働省の障害程度区分勉強会
12・・・不服審査を使った交渉の各地の状況
14・・・介護保険制度の被保険者受給者の範囲に関する有識者会議の報告
16・・・CIL(自立生活センター)を作りたい方へ
18・・・全国ホームヘルパー広域自薦登録協会のご案内



東京都内のほとんどの市と区で最高24時間保障

 国の障害ケアマネジメント理念を持つ自治体に

 東京都には23の特別区(福祉分野は市と同じ基礎自治体)と26の市があります(町村は山間部や離島のみに存在)。2003年の支援費制度の始まる前には最重度の全身性障害者の1人暮らしがなかった市や区が4割ほどあり、それらの自治体では最高24時間のヘルパー制度が存在しませんでした。現在では、23区26市のほとんどで最高24時間365日の滞在型ヘルパー制度が実施されています。
 自治体に24時間365日のサービスを受ける障害者が1名いるだけで、市区町村の障害福祉担当職員も、国の障害ヘルパー制度の理念(個々の障害者に合わせて自立した生活ができるように支給決定を行う。時間数の上限はない)を理解して、最重度以外のさまざまな障害者にも、障害ヘルパー制度の理念にのっとり、個々人が自立して生活できるような時間数の決定を行うようになっています。
 たとえば、健常者の家族と同居の場合であっても、個々の家族の状態などを自治体職員がきちんと出向いて聞いて、どのようなプランであれば生活ができるか、適切に判断して支給決定を行っています。最重度障害者で健常者の同居家族が1名だけの場合や家族が疾病や他の障害を持っている場合など、かなり長時間のサービスを認める事例も出てきています。
 自治体職員は平均3年で異動します。特に、24時間の滞在型サービスを使う障害者が出てから3年以上たつと、障害福祉担当課の職員は、着任したときから「ヘルパー制度に上限はない」「個々人の状況に応じて支給決定できる」「自立した生活ができるように支給決定」の原則を実務の中で日々目にすることになりますから、課の全員が障害ケアマネジメントの理念を理解するようになります。それによって、最重度以外のすべての障害者に対しても、同じ原則で適切な支給決定を行う自治体になっています。(注1)
 このような自治体の変化は、90年代中ごろから東京の24時間介護保障の確立した一部の市部を中心に見られました。厚生省は障害ケアマネジメントを作るにあたり、モデル市町村の1つに東京の24時間介護保障の確立している市も選んで作っています。

運動体の動きと全国展開

 当会では、この実績を元に、東京都以外の全国各地で、最重度の全身性障害者の1人暮らしのヘルパー制度交渉のノウハウ支援を行い、現在では北海道から九州まですべての地方で24時間365日の介護保障を行う市町村が点在するようになりました。これらの市町村の中でも、古くから24時間保障を行っている市町村では、最重度の1人暮らしの障害者以外にも、個々人に応じて適切なヘルパー時間数を決定していく自治体になってきています。
 現在、全国の市町村数は平成の大合併により、1800市町村ほどになっていますが、このすべての市町村で最重度の1人暮らしの障害者の自立支援を行い、24時間365日のヘルパー制度を作ることで、日本全国で、障害の重度軽度に関係なく、家族状況にも関係なく、自立した生活ができるような支給決定が行われる自治体になると思います。

(注1)
 東京都内では障害ヘルパー制度は記事のとおりですが、介護保険の担当課では、「介護保険はニーズのすべてをまかなうものではありません」「足りないサービスは役所に頼らず自己責任で」といった考え方で運営されており、ヘルパー制度の細かい運用の方法についても、介護保険と障害で格差が生じています。その中でも、一部の市では、介護保険対象年齢になってから障害を持った高齢障害者でも、最重度で、健常者の家族がいない場合や1名しかいない場合などは、障害ヘルパーの上乗せで最高24時間365日に近いサービスを決定している例もあります。

国の動き(ヘルパー制度の上限撤廃)

 厚生省は90年からヘルパー制度の上限を撤廃し、94年度から2002年度までは主管課長会議で、毎年厳しい口調で都道府県に対して、「障害ヘルパー制度にいまだに上限を設けている市町村があるが、直ちに撤廃させること」などと指示を出しています。現在も、もちろん変わらず、ヘルパー制度には上限がないことを毎年何らかの方法で自治体に対して周知しています。
 2003年度からは支援費制度に変わり、ヘルパー制度に国庫補助基準が導入されました(自立支援法では国庫負担基準)が、これは、個々人の上限を規定したものではなく、市町村全体で国庫補助の上限を決めるものです。厚生労働省も自治体に対して、何度も個々人のサービスに上限はないし、国庫補助もつくと説明しています。(国庫補助基準を個人の上限額と勘違いして、それ以上のサービスを行うと市町村の全額負担になると勘違いする市町村が支援費制度スタートの2003年度はたくさんあった)。
 ヘルパー利用時間の多い障害者のみにサービス提供していると、市町村全体で国庫補助基準を事業費がオーバーしますが、短時間ニーズの障害者にも満遍なくサービスを出していれば、市町村全体で国庫補助基準を事業費がオーバーすることはありません(24時間365日のサービス利用者がいても、市町村のヘルパー事業費の全額が国庫補助対象になる)。
 事実、最高24時間365日のサービスを行っている全国各地の市町村では、東京都以外では1箇所も国庫補助基準を事業費がオーバーする事態にはなっていません。(東京都内では4市区がオーバーしたが、これは東京都外から最重度の1人暮らしの障害者が多数転居してきている地域のため。このような問題はあるので、引き続き国に国庫負担基準の改善の要望中)。
 厚生労働省は支援費制度スタートと共に国庫補助基準を導入した後でも、ヘルパー制度に上限はないことや、障害ケアマネジメントの理念の周知を図っています。次ページの資料(国の検討会の厚生労働省作成資料)では24時間のサービス利用の事例を掲載しています。   (2ページ先に続く)

厚生労働省作成資料

  障害者(児)の地域生活支援の在り方に関する検討会(第7回)平成15年9月8日 (平日の大学とそのあとの3時間は学生ボランティアに、それ以外は24時間ヘルパー制度利用の事例 http://www.mhlw.go.jp/shingi/2003/09/s0908-6b.html#3 )

(ケース2)  全身性障害者(20才・学生)筋ジス 家族:なし(単身)
 1.  サービスの利用
(1)支援費制度におけるサービス

(2)その他のサービス
補装具、日常生活用具、特別障害者手当、障害年金 各種相談事業

(つづき)
 自立支援法になっても、国庫負担基準の仕組みの基本は同じで、
・国庫補助基準の名称が国庫負担基準になった(50%が確実に国の負担になり、国の予算不足で48%補助になるということはなくなった)。
・国庫補助基準の計算根拠が、一般・移動利用者・全身性の3ランクだったのが、自立支援法の国庫負担基準では16ランクになった。
の2点しかありません。(詳しくは2006年2・3月合併号を)

 なお、自立支援法施行3年後には障害程度区分(区分1〜6)ごと、サービス種類ごとに別計算にするという当初案もありましたが、現在では、政治状況も変わり、3年で今のやり方を変えたいと考えている与党議員も厚生労働省職員もいませんので、区分ごとの別計算になることはない見込みです。

   自立支援法になっても、いまだに国庫負担基準を個々人のサービスの上限と勘違いしている市町村があります。また、国庫負担基準が市町村ごとの合算計算ということを理解できずに、個々人の国庫負担の上限と勘違いして、この基準を超えたサービスは全額市町村負担と考えている市町村もあります。
 厚生労働省も、都道府県などを呼ぶ課長会議等の場で、何度も説明していますが、自立支援法になっても、市町村全体で国庫負担基準総額よりもヘルパー事業費が少なければ、全額が国庫負担対象で、その50%が確実に国の負担になります。全国的には、ヘルパー事業費の全額が国庫負担対象になる市町村がほとんどです。この場合、その市町村の中に毎日24時間のヘルパーを使っている障害者がいたとしても、そのサービスの全額は国庫負担対象です。
 国庫負担基準があるからといって、サービス水準に一律の上限などを設けることは法の趣旨に反することです。(自立支援法では「自立した社会生活ができるような援助を行う責務」が市町村に課せられている)



国庫負担基準 の市町村での計算方法

 いまだに国庫負担基準の計算方法を理解しない市町村があり、「個々人で国庫負担基準を超えると全額市町村負担となると勘違いしている」という話をよく聞きます。国庫負担基準は個々人の持ち物でも権利でもありません。単に市町村全体で国庫負担額を決めるための計算式で、数字は平均利用実績を元に作られたものです。平均を超える利用者もいれば下回る利用者(こちらの方が多い)もいます。障害者団体は、このページを理解していない市町村に見せて、県を通して国に確認してもらうようにしてください。

A町の例 ヘルパー利用者13人の場合

利用者  区分  サービス 利用したヘルパー事業費  国庫負担基準
A1さん 区分6 居宅介護    5万円      18万6800円
A2さん 区分6 重度訪問   10万円      29万5900円
A3さん 区分6 重度訪問   90万円      29万5900円
A4さん 区分6 居宅介護    5万円      18万6800円
A5さん 区分6 居宅介護    6万円      18万6800円
A6さん 区分6 居宅介護    7万円      18万6800円
A7さん 区分6 重度訪問   12万円      29万5900円
A8さん 区分6 重度訪問   10万円      29万5900円
A9さん 区分6 重度訪問    8万円      29万5900円
(区分6の小計 153万円   222万6700円)
A10さん 区分5 重度訪問   10万円      23万8500円
A11さん 区分5 重度訪問   25万円      23万8500円
A12さん 区分5 居宅介護    3万円      12万9400円
A13さん 区分4 居宅介護    4万円       8万1100円
市町村合計 195万円     279万7740円

 
 A町の場合、利用したヘルパー事業費の合計額より国庫負担基準の合計が大きいため、ヘルパー事業費の全額が国庫負担の対象となる(195万円の50%が国負担となる)。また、区分間流用がなくなり、区分ごとの別計算に制度が改正されたとしても、各区分内でヘルパー事業費の合計よりも国庫負担基準の合計が大きいため、ヘルパー事業費の全額が国庫負担の対象となる。
 A町の場合、個々人ごとで見ると、国庫負担基準を超えている利用者(下線)が2名いるが、これらのサービスも全額が国庫負担対象になる。

・国庫負担基準について詳しくは、2006年2・3月合併号をご覧ください。

国庫負担基準で自治体の欠損が出ないようにする方法

・国庫負担基準は財務省の要求で仕方なく導入したものです。障害者団体も地方自治体も国庫負担基準の廃止(2002年度以前のように、ヘルパー事業費の全額を国庫補助対象にすること)を目指しています。

・国庫負担基準は、1つの市町村にヘルパーを平均よりも多く使う人も、平均よりも少なく使う人も満遍なくいると、事業費が国庫負担基準をオーバーすることがありません。
 市町村は、長時間ニーズの利用者にだけサービス提供するのではなく、月に数時間だけのヘルパー利用のニーズのある障害者にもヘルパー制度を周知して、広く利用してもらうことで、国庫負担基準オーバーすることはなくなります。

・例えば、ヘルパー制度を使っていない障害者が、月に1回通院するのに通院介助を月に1時間だけ使う場合、このような区分6の障害者が10人いれば、国庫負担基準が市町村全体で月182万円アップします。
市町村で国庫負担基準ぎりぎりまで事業費が達しそうな場合は、短時間しかニーズのない障害者にもヘルパー制度の利用を市町村が積極的に進めるなど、いろいろな対策があります。
市の全ての障害者に、病気などのときに使えるように、あらかじめ1人数時間の支給決定を行っておき、緊急時にすぐにヘルパー制度(短時間)が使えるようにしている市町村もあります。
障害者団体も、このような方法を市町村に情報提供することにより、事業費が国庫負担基準をオーバーする市町村が出ないように注意してください。

 なお、小規模の市町村の事業費が国庫負担基準オーバーして、国庫負担が欠損した場合、都道府県の地域生活支援事業で、欠損の全額を補填する制度も行うことが可能です。ただし、予算規模がもともと小さいので、東京都の一部自治体のような1自治体で数千万円を超えるような欠損が出ても、補助は不可能です。数十万円までの補填が可能性のあるラインです。いずれにしても、県にこの補填を実施するように各県の障害者団体が事前に県に交渉をすることが必要です。



移動支援事業で通年長期の通学・通所が対象になっている市町村の情報

 東日本の過疎の地域のA市では、通年長期の通学を移動支援(ガイドヘルプ)の対象にしています。

A市の移動支援制度の概要(通学部分抜粋)

(通学について(通年かつ長期を含む))
・障害者が独居
・家族の就労やその他家族が支援できない社会的な理由がある
これらの場合、利用可能。

また、西日本の過疎地域のB町でも通年長期の通学・通所を対象にしています。ただし、家族が就労していることを理由に利用する場合は、50%の自己負担が発生します。

B町の移動支援制度の概要(通学・通所部分抜粋)

(対象)
1 障害者等の外出時における個別の移動支援
2 通所・通学支援

(個人負担金)
 通所・通学支援については、家族の就労等の保護者の都合によるものに限りサービス単価の2分の1に相当する額とする。

 移動支援が地域生活支援事業(市町村で自由に制度を設計できる)になる前は、国が移動介護の制度を定めていたために、通学や通所自体は対象外ではありませんでしたが、通年長期にわたる通学や通所は制度の対象外になっていました。(予算不足を理由に昔から対象外になっていた)。
 現在では、各市町村が独自にニーズを検討し、制度を改善しています。
 このほか、地域生活支援事業ができたことで、独居最重度障害者の短期入院中の介護の制度をコミュニケーション支援として制度化する動きも各市町村で取り組まれ始めています。



精神障害者の移動支援各地で利用が進む

 障害者自立支援法により、精神障害者も民間の指定事業所でホームヘルプを利用できるようになりました。市町村事業の地域生活支援事業の移動支援においても、民間の指定事業所を自由に契約できる方式がほとんどの市町村でとられています。精神障害者のヘルパーや移動支援に回ってくる予算は確実に増えてきています。支給決定においても、各市町村の支給決定基準で一般的な時間数として定められた時間数までは、精神障害者なら誰でも申請すれば交渉なしに利用できる市町村も増えています。精神障害者で自薦ヘルパーを使う人も出てきています。



厚生労働省の障害程度区分勉強会

 自民党の障害福祉議連の鶴の一声で、障害程度区分の見直し作業(知的・精神だけでなく身体障害も含む)が厚生労働省で行われています。2月より毎月非公開の「障害程度区分勉強会」が(6月までに5回)行われており、主に施設系のいくつかの団体や学識経験者によって議論が進められています。日身連など障害者団体数団体もオブザーバー参加しています。  現在までは、各団体で問題点や議論の方向がばらばらで、あまりまとまってはいません。今後、見直しの大きな方向性が固まってきた段階で、公開の会議に切り替えていくことと思われます。



不服審査請求を使った交渉の各地の状況

 自立支援法では、市町村の支給決定に不服がある場合は、都道府県に不服審査請求を出すことができます。しかし、ヘルパー制度が長時間必要な障害者(非定型サービス利用者)が、ヘルパー時間の不足を理由に不服審査請求を出すと、ほとんどの都道府県では、市町村の支給決定基準に沿っているかどうかしか審査しませんので、支給決定基準を超える非定型の利用者の場合、「市町村の決定に問題なし」という決定が出てしまいます。このため、交渉の手段としては、通常は不服審査請求を出すことはかえってマイナスになります。(市の決定した内容にお墨付きを与えてしまう)。
 このような中、東日本の2箇所の県で、長時間サービス利用者からの不服審査請求に対して、県が市の決定を取り消した事例が出ました。
 X県では、社会参加活動を活発に行っている全身性障害者に対して、重度訪問介護の外出介護の部分について、市の決定した時間数が足りないので見直すようにという県の決定が出ました。  Y県では、24時間の介護の必要な最重度障害に対する市の支給決定があまりにもお粗末なものであったため、県が市の決定を取り消しました。  詳しくはおって掲載します。ほかの県でも、このような情報があれば、お寄せください。なお、県と事前に話し合いを障害者が行うなどをしないで、いきなり不服審査請求を出すのは、現状では危険なので、不服審査請求を考えている長時間ヘルパー利用者は、具体的な方法は制度係に電話でご相談ください。



第8回介護保険制度の被保険者・受給者範囲に関する有識者会議の報告

自薦ヘルパー推進協会本部事務局

 5月21日、第8回介護保険制度の被保険者・受給者範囲に関する有識者会議が開催されました。今回は冒頭、座長・事務局より中間とりまとめ案が提出され、全文が読み上げられました。次いで2名の委員から資料の説明があり、その後各委員からこの中間まとめに関する意見が出され、議論されました。 中間報告の内容は要約すると
1.これまでの議論の経緯と、この会議の議論経過
2.「介護保険制度の普遍化」を介護を必要とするすべての人が、年齢や要介護となった理由、障害種別の如何等を問わず、公平に介護サービスを利用できるような制度に発展させること」と定義。
3.普遍化する場合の選択肢を大別して、A類型(=負担のみ引き下げ)、B類型(=全年齢適応)とする。
4.会議では基本的に目指すべきはB類型で一致したが、これについての国民の理解はまだ得られていないため制度設計への検討、国民合意形成へ努力するべきである。
 といったものでした。
 議論の中では、経済界(経団連)、市長会から出席している委員から、「介護保険制度の普遍化について、この会議の中で必ずしもイメージが一致していない」「将来的方向性についてメンバーすべてが一致ではない」といった意見がありました。これを受けて、会議は途中25分ほど中断(休憩)に入り、座長、座長代理と事務局が別室で修正文案を急遽作成。上記両委員、意見書を提出した委員の提案を受け入れ、表現をより弱めた形で最終案がとりまとめられました。05年の介護保険法改正の附則により、昨年3月に設置されたこの会議ですが、厚生労働省は介護保険拡大派の委員をそろえ、拡大にむけた議論を進めていくよ うに思われましたが、経済界、地方自治体の反対は依然根強く、有識者調査や障害者団体のヒアリングの結果も慎重論が大方を占めたため、拡大へ方向を色濃く 示すことができない結果になりました。
 04年の社会保障審議会介護保険部会の意見書と比べても、大きな進捗はなく、依然「両論併記」になっています。今回の中間報告が出たことにより、2009年の介護保険と障害者施策の統合は見送られることがほぼ確実視されています。しかし、介護保険と障害者施策の統合問題は、「普遍化」という耳障りの良い言葉に姿を変えて、今後も引き続き検討されていきます(具体的には2012年が次の改正時期とされており、この改正にあわせて動いていくことになります)。
 この会議はこの中間報告を出したことで、ひと区切りとなり、次回開催、再開の予定などは今のところないようです。

当日資料はホームページに掲載しています。



CIL(自立生活センター)を作りたい方へ

自薦ヘルパー(パーソナルアシスタント制度)推進協会

通信研修参加希望者を募集中(受講料無料です)

 障害当事者が主体的にCIL(事業&運動)を行うための研修システムとして、通信研修と宿泊研修を組み合わせた研修を準備しています。エンパワメント方式の自立支援サービスを行いながら地域の制度を変える運動を行うという理念にそった当事者団体を作るという方は受講料無料です。内容は、団体設立方法、24時間介助サービスと個別自立プログラム、介護制度交渉、施設等からの自立支援、団体資金計画・経理・人事、指定事業、運動理念などなど。現在、通信研修の参加者を募集しています。(通常、CILの立ち上げには、古参のCILでの数年の研修(勤務)が必要で、運動経験や社会経験がある人でも2年2000時間ほどの研修時間数が必要です。しかし、大都市部から離れた地域でCILを作るためには、数年間の勤務研修は難しいため、地元で生活しつつ、通信研修や合宿研修で基礎を学んだ後、実地で少しずつ小さなCILを始めながら、毎週連絡を取りつつ5〜10年ほどかけてノウハウを覚えて成長していく育成方法を行っています)。
くわしくはお問合せ下さい。フリーダイヤル0120−66−0009(推進協会団体支援部10時〜22時)へ。

 

通信研修参加申込書(参加には簡単な審査があります)

団体名(            )

郵便番号・住所 名前 障害者/健常者の別&職名 Tel Fax メール
           
           
           
           
           
           

推進協会団体支援部 FAX 042-452-8029まで (次ページも参照してください)

各団体からの研修参加者の人数について

 通常、推進協会の主催する合宿研修には、障害者の役員・中心的職員で長時間要介助の方と、健常者の介護コーディネーターの両方の参加が希望です。団体ごとに2〜5人は参加してほしいと考えています。

参考資料:推進協会が通信研修を行う団体・個人の理念の条件です
(今すぐできなくても、力がついてきたら、必ずやるという理念を持っていただけるのでしたら対象になり得ます。研修を行い、出来るようになるまでバックアップします。)

推進協会支援団体基準について

(1) 運営委員会の委員の過半数が障害者であり、代表及び運営実施責任者が障害者であること。
 介助保障の当事者団体(介助を必要とする方自身で運営する団体)ですから、なるだけ介助ニーズの高い方を運営委員会にいれていくようにしてください。団体設立後数年たち、より重度の方が自立した場合などは、なるだけ運営委員会に加えて下さい。
(2) 代表及び運営実施責任者のいずれかが原則として長時間要介助の障害者であること。
 代表者及び運営実施責任者(事務局長)は、なるだけ、介護ニーズの高い方がなり、介護ニーズの低い方は例えば事務局次長としてバックアップする等の人事を可能な限り検討して下さい。また、団体設立後数年経ち、より重度の方が自立した場合などは、可能な限り役員に登用して役職としてエンパワメントしていってください。
(3) 24時間介助保障はもとより、地域にいる障害者のうち、最も重度の人のニーズに見あう介助制度を作ることを目的とする組織である。
 例えば、24時間の人工呼吸器を使って一人暮らししている方、24時間介助を要する知的障害者の単身者、重度の精神障害者の方、重複障害者、最重度の難病の方、盲ろう者など、最も重度の方に対応していくことで、それ以外の全ての障害者にも対応できる組織になります。
(4) 当事者主体の24時間の介助サービス、セルフマネジドケアを支援し、行政交渉する組織である、もしくはそれを目指す団体である。
 24時間の介助サービスを行うには、市町村のホームヘルプサービスの利用可能時間数上限を交渉して毎日24時間にする必要があります。交渉を行うには一人暮らしで24時間つきっきりの介助を要する障害者がいる事が条件となります。このプロジェクトではホームヘルプ指定事業の収益を使い、24時間要介助障害者の一人暮らしを支援、実現し、市町村と交渉することを義務づけています。ただし、その力量のない団体には時間的猶予が認められています。この猶予の期間は相談の上、全国事務局が個別に判断します。
(5) 自立生活運動及びエンパワメントの理念を持ち、ILプログラム、ピアカウンセリングを今後実施すること。
 介助サービスは利用者自身が力をつけていくというエンパワメントが基本です。具体的には介助サービス利用者に常に個別ILプログラム+個別ピアカウンセリングを行います。
(6)

身体障害に限らず、今後研修を積み、他の障害者にもエンパワメント方式のサービスを提供することを目標にしていること。

(注:個別ILプログラム等のエンパワメント方式のサポートや研修を行わずに、単にヘルパー派遣のみを知的・児童・身体・精神の各障害向けにすることは推進協会としては禁止しています。誤解がおきやすいので特に注意)

 



全国ホームヘルパー広域自薦登録協会のご案内

(介護保険ヘルパー広域自薦登録保障協会から名称変更しました)略称=広域協会
フリーダイヤル  0120−66−0009
フリーダイヤル 

自分の介助者を登録ヘルパーにでき自分の介助専用に使えます
対象地域:47都道府県全域

介助者の登録先の事業所のみつからない方は御相談下さい。いろいろな問題が解決します。

 全身性障害者介護人派遣事業や自薦登録ヘルパーと同じような登録のみのシステムを支援費ヘルパー利用者と介護保険ヘルパー利用者むけに提供しています。自分で確保した介助者を自分専用に制度上のヘルパー(自薦の登録ヘルパー)として利用できます。介助者の人選、介助時間帯も自分で決めることができます。全国のホームヘルプ指定事業者を運営する障害者団体と提携し、全国でヘルパーの登録ができるシステムを整備しました。介助者時給は今までの制度より介助者の給与が落ちない個別相談システムです。

利用の方法
  広域協会 東京本部にFAXか郵送で介助者・利用者の登録をすれば、翌日から支援費や介護保険の自薦介助サービスが利用可能です。東京本部から各県の指定事業者に業務委託を行い支援費の手続きを取ります。各地の団体の決まりや給与体系とは関係なしに、広域協会専門の条件でまとめて委託する形になりますので、すべての契約条件は広域協会本部と利用者の間で利用者が困らないように話し合って決めます。ですから、問い合わせ・申し込みは東京本部0120−66−0009におかけください。
 介助者への給与は介護型で時給1500円、家事型1000円、日常生活支援で時給1300〜1420円が基本ですが今までの制度の時給がもっと高い場合には今までの時給になるようにします。また、夜間の利用の方は時給アップの相談にのります。介助者は1〜3級ヘルパー、介護福祉士、看護士、日常生活支援研修修了者などのいずれかの方である必要があります。ただし、支援費制度のほうは、14年3月まで自薦ヘルパーや全身性障害者介護人派遣事業の登録介護人として働いている場合、県知事から証明が出て永久にヘルパーとして働けます。2003年4月以降新規に介護に入る場合も、日常生活支援や移動介護であれば、20時間研修で入れます。

詳しくはホームページもごらんください http://www.kaigoseido.net/2.htm

東京地区の身体介護時給が1900円にアップ

(身体介護を伴う移動介護も同単価。詳細はお問い合わせください)

自薦介助者にヘルパー研修を実質無料で受けていただけます

 広域協会では、障害当事者主体の理念の3級ヘルパー通信研修も行なっております。通信部分は自宅で受講でき、通学部分は東京なで3日間で受講可能です。3級受講で身体介護に入ることができます。
 日常生活支援研修は、東京会場では、緊急時には希望に合わせて365日毎日開催可能です。2日間で受講できます。東京都と隣接県の利用者は1日のみの受講でかまいません(残りは利用障害者自身の自宅で研修可能のため)。日常生活支援研修受講者は全身性移動介護にも入れます。3級や日常生活支援の研修受講後、一定時間(規定による時間数)介護に入った後、参加費・交通費・宿泊費を全額助成します。

このような仕組みを作り運営しています
仕組み図

お問合せは TEL 0120−66−0009(通話料無料)へ。受付10時〜22時 
みなさんへお願い:この資料を多くの方にお知らせください。 介護保険ヘルパー広域自薦

登録保障協会 発起人(都道府県順、敬称略、2000年4月時点)

名前 (所属団体等)
花田貴博 (ベンチレーター使用者ネットワーク)
篠田 隆 (自立生活支援センター新潟)
三澤 了 (DPI日本会議)
中西正司  (DPIアジア評議委員/全国自立生活センター協議会)
八柳卓史  (全障連関東ブロック)
樋口恵子  (全国自立生活センター協議会)
佐々木信行 (ピープルファースト東京)
加藤真規子 (精神障害者ピアサポートセンターこらーる・たいとう)
横山晃久  (全国障害者介護保障協議会/HANDS世田谷)
益留俊樹  (NPO自立生活企画/NPO自立福祉会)
川元恭子  (全国障害者介護保障協議会/CIL小平)
渡辺正直  (静岡市議)
名前 (所属団体等)
山田昭義  (DPI日本会議/社会福祉法人AJU自立の家)
斎藤まこと (名古屋市議/共同連/社会福祉法わっぱの会)
尾上浩二  (障害者総合情報ネットワーク)
森本秀治  (共同連)
村田敬吾  (自立生活センターほくせつ24)
光岡芳晶  (特定非営利活動法人すてっぷ)
栗栖豊樹  (CILてごーす)
佐々和信  (香川県筋萎縮性患者を救う会)
藤田恵功  (土佐市在宅重度障害者の介護保障を考える会)
田上支朗  (NPO重度障害者介護保障協会)

全国ホームヘルパー広域自薦登録協会の理念

47都道府県で介助者の自薦登録が可能に 障害施策の自薦登録ヘルパーの全国ネットワークを作ろう

 2003年度から全国の障害者団体が共同して47都道府県のほぼ全域(離島などを除く)で介助者の自薦登録が可能になりました。

 自薦登録ヘルパーは、最重度障害者が自立生活する基本の「社会基盤」です。重度障害者等が自分で求人広告をしたり知人の口コミで、自分で介助者を確保すれば、自由な体制で介助体制を作れます。自立生活できる重度障害者が増えます。(特にCIL等のない空白市町村で)。

 小規模な障害者団体は構成する障害者の障害種別以外の介護サービスノウハウを持たないことが多いです。たとえば、脳性まひや頚損などの団体は、ALSなど難病のノウハウや視覚障害、知的障害のノウハウを持たないことがほとんどです。

 このような場合でも、まず過疎地などでも、だれもが自薦登録をできる環境を作っておけば、解決の道筋ができます。地域に自分の障害種別の自立支援や介護ノウハウを持つ障害者団体がない場合、自分(障害者)の周辺の人の協力だけで介護体制を作れば、各県に最低1団体ある自薦登録受け入れ団体に介助者を登録すれば、自立生活を作って行く事が可能です。一般の介護サービス事業者では対応できない最重度の障害者や特殊な介護ニーズのある障害者も、自分で介護体制を作り、自立生活が可能になります。

 このように様々な障害種別の人が自分で介護体制を組み立てていくことができることで、その中から、グループができ、障害者団体に発展する数も増えていきます。

 また、自立生活をしたり、自薦ヘルパーを利用する人が増えることで、ヘルパー時間数のアップの交渉も各地で行なわれ、全国47都道府県でヘルパー制度が改善していきます。

 2003年度、支援費制度が導入されることにあわせ、47都道府県でCIL等自立生活系の障害当事者団体などのNPO法人が全国47都道府県で居宅介護(ヘルパー)指定事業者になりました。全国の障害者団体で共同すれば、全国47都道府県でくまなく自薦登録ヘルパーを利用できるようになりました。これにより、全国で重度障害者の自立が進み、ヘルパー制度時間数アップの交渉が進むと考えられます。47都道府県の全県で、県に最低1箇所、CILや障害者団体のヘルパー指定事業所が自薦登録の受け入れを行い、全国47都道府県のどこにすんでいる障害者も、自薦ヘルパーを登録できるようになりました。(支援費制度のヘルパー指定事業者は、交通2〜3時間圏内であれば県境や市町村境を越えて利用できます)。

全国で交渉によって介護制度が伸びている全ての地域は、まず、自薦登録ヘルパーができてから、それから24時間要介護の1人暮らしの障害者がヘルパー時間数アップの交渉をして制度をのばしています。

自薦ヘルパーを利用することで、自分で介助者を雇い、トラブルにも自分で対応して、自分で自分の生活に責任を取っていくという事を経験していくことで、ほかの障害者の自立の支援もできるようになり、新たなCIL設立につながりがります。(現在では、雇い方やトラブル対応、雇用の責任などは、「介助者との関係のILP」実施CILで勉強可能)

例えば、札幌のCILで自薦登録受け入れを行って、旭川の障害者が自分で介助者を確保し自薦登録を利用した場合。それが旭川の障害者の自立や、旭川でのヘルパー制度の時間数交渉や、数年後のCIL設立につながる可能性があります。これと同じことが全国で起こります。(すでに介護保険対象者の自薦登録の取組みでは、他市町村で自立開始や交渉開始やCIL設立につながった実例がいくつかあります)

自薦登録の受付けは全国共通フリーダイヤルで全国広域協会で受付けます。全国で広報を行い、多くの障害者に情報が伝わる様にします。

自薦登録による事業所に入る資金は、まず経費として各団体に支払い(各団体の自薦登録利用者が増えた場合には、常勤の介護福祉士等を専従事務員として雇える費用や事業費などを支払います)、残った資金がある場合は、全国で空白地域でのCIL立ち上げ支援、24時間介護制度の交渉を行うための24時間要介護障害者の自立支援&CIL立ち上げ、海外の途上国のCIL支援など、公益活動に全額使われます。全国の団体の中から理事や評議員を選出して方針決定を行っていきます。

 これにより、将来は2000市町村に全障害にサービス提供できる1000のCILをつくり、24時間介護保障の全国実現を行ない、国の制度を全国一律で24時間保障のパーソナルアシスタント制度に変えることを目標にしています。

全国ホームヘルパー広域自薦登録協会の利用者の声

★(関西) 24時間介護の必要な人工呼吸器利用者ですが一般事業所はどこも人工呼吸器利用者へヘルパー派遣をしてくれないので、広告で募集した介助者に全国広域協会の紹介でヘルパー研修を受講してもらい、全国広域協会を利用しています。求人紙での求人募集方法のアドバイスも受けました。介助者への介助方法を教えるのは家族が支援しています。

★(東日本の過疎の町) 1人暮らしで24時間介護が必要ですが、介護保障の交渉をするために、身体介護1日5時間を全国広域協会と契約して、残り19時間は全国広域協会から助成を受け、24時間の介助者をつけて町と交渉しています。

★(東北のA市) 市内に移動介護を実施する事業所が1か所もなく、自薦登録で移動介護を使いたいのですが市が「事業所が見つからないと移動介護の決定は出せない」と言っていました。知人で介護してもいいという人が見つかり、東京で移動介護の研修を受けてもらい全国広域協会に登録し、市から全国広域協会の提携事業所に連絡してもらい、移動介護の決定がおり、利用できるようになりました。

★(西日本のB村) 村に1つしかヘルパー事業所がなくサービスが悪いので、近所の知人にヘルパー研修を受けてもらい全国広域協会に登録し自薦ヘルパーになってもらいました。

★(北海道) 視覚障害ですが、今まで市で1箇所の事業所だけが視覚障害のガイドヘルパーを行っており、今も休日や夕方5時以降は利用できません。夜の視覚障害のサークルに行くとき困っていましたら、ほかの参加者が全国広域協会を使っており、介助者を紹介してくれたので自分も夜や休日に買い物にもつかえる用になりました。

★(東北のC市) 24時間呼吸器利用のALSで介護保険を使っています。吸引してくれる介助者を自費で雇っていましたが、介護保険の事業所は吸引をしてくれないので介護保険は家事援助をわずかしか使っていませんでした。自薦の介助者がヘルパー資格をとったので全国広域協会に登録して介護保険を使えるようになり、自己負担も1割負担だけになりました。さらに、今年の4月からは支援費制度が始まり、介護保険を目いっぱい使っているということで支援費のヘルパーも毎日5時間使えるようになり、これも全国広域協会に登録しています。求人広告を出して自薦介助者は今3人になり、あわせて毎日10時間の吸引のできる介護が自薦の介助者で埋まるようになりました。求人広告の費用は全国広域協会が負担してくれました。介助者の時給も「求人して介助者がきちんと確保できる時給にしましょう」ということで相談のうえ、この地域では高めの時給に設定してくれ、介助者は安定してきました。

 
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