介護報酬に係るQ&A

5月30日、介護保険Q&Aが出ました。
 4月から報酬の改定が行われ、身体介護を連続して長時間使う利用者の場合、1.5時間を越えると家事援助単価に下がってしまう改正が行われました。しかも、1回の身体介護がおわって次の身体介護が始まるまでの間は2時間空けるように決められました。これに対し、ALSなど最重度の利用者から「時給2000円で看護士等の介助者を自薦登録しているのに、1.5時間以上の延長が家事単価になってしまい、介助者を頼めなくなった。介助者が辞めても補充できなくなった。」という相談が全国から寄せられていました。
 電話等で直接厚生労働省に電話してもらうほか、当会からも改善を要望しました。結果、以下のような改善がされました。

注目点

Q12 「訪問介護を1日に複数回算定する場合にあっては、算定する時間の間隔は 概ね2時間以上とする。」という「概ね」の具体的な内容について

A12 「概ね」の具体的な内容は特に規定しておらず、利用者個々人の身体状況や 生活実態等に応じて判断されたい。

(解説) このように、概ね2時間の「概ね」は、かなり幅ができることになりました。 (これについては厚生労働省に対し複数の最重度の利用者からの要望がありまし た)。
 各都道府県または市町村で「概ね」の範囲が考えられるようになりま した。 たとえば吸引を必要とするALSなどの場合1時間の間隔でいいという県も出ると思 われます。交渉が必要です。厚生労働省老人保健課は「(概ねの判断で2時間より間 隔を短くできる例として)ALSなどの例示を出すかどうかも検討したが、対象にな る方はいろんなケースがありうるので、例示を出すとかえって正確に伝わらないこと も予想されるので、このような書き方になった」とのことです。

(1)「身体介護」及び「生活援助」の区分
(2)1回の訪問介護において身体介護と生活援助が混在する場合の取扱い
(3)訪問介護の所要時間
(4)生活援助中心型の算定

(5)2人の訪問介護員等による訪問介護の取扱い

(6)特別地域加算
(7)通院等乗降介助

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事務連絡
平成 15年5月30日

都道府県介護保険主管部(局)
介護保険主管課(部)御中

厚生労働老健局老人保険課

介護報酬に係るQ&Aについて

 介護報酬に係る質問のうち、都道府県あら照会の多いものについて、別添野通りQ&Aを作成しましたので送付します。
  各位におかれましては、内容御了知の上、市町村、事業者等への周知等をお願いいたします。
  なお、別添については、社会福祉・医療事業団ホームページ(http://www.wam.go.jp/ca70/ca70b20.html)においても掲載する予定です。

訪問介護

(1)「身体介護」及び「生活援助」の区分

Q1 身体介護について、「1人の利用者に対して訪問介護員等が1対1で行うものをいう(特別な事情により複数の利用者に対し行う場合は、1回の身体介護の所要時間を1回の利用者の人数で徐した結果の利用者1人あたりの所要時間が(4)にいう要件を満たすこと)」とされているが、その具体的な内容について

A1 身体介護は原則として1対1で行われるが、特別な事情により1人の訪問介護員等が複数の利用者に対して同時に行う場合は、全体の所要時間絵を1回の利用者数で徐した結果の利用者1人当たりの所要時間に応じた所定単位数をそれぞれの利用者について算定することとする。全体の所要時間に応じた所定単位数をそれぞれの利用者について算定することはできない。例えば、1人の訪問介護員等が3人の利用者に対して食事介助及び自立生活支援のための見守り的援助を30分にわたり同時に行った場合は、利用者一人当たりの所要時間が10分(30分÷3人)であり、身体介護中心型(所要時間30分未満)の算定要件である「20分程度以上」を満たさないため、それぞれの利用者について算定できない。

  なお、「特別な事情」の具体的な内容は特に規定しておらず、利用者個々人の身体状況や生活実態等に応じて判断されたい。

Q2 通院・外出介助および自立生活支援のための見守り的援助の区分について

A2 通院・外出介助および自立生活支援のための見守り的援助は従来どおり身体介護の区分に含まれる。

 身体介護および生活援助(旧家事援助)の具体的な取り扱いは「訪問介護におけるサービス行為ごとの区分等について」(平成12年3月17日老計10号)を参照すること。

Q3 自立生活支援のための見守り的援助の具体的な内容について

A3 身体介護として区分される「自立生活支援のための見守り的援助」とは自立支援、ADL向上の観点から安全を確保しつつ常時介護できる状態で行う見守りをいう。単なる見守り・声かけは含まない。
例えば、掃除、洗濯、調理などの日常生活の援助に関連する行為であっても、

  • 利用者と一緒に手助けをしながら調理を行うとともに、安全確認の声かけや疲労の確認をする
  • 濯物を一緒に干したりたたんだりすることにより自立支援を促すとともに、転倒予防等のための見守り・声かけを行う
  • 痴呆性の高齢者の方と一緒に冷蔵庫のなかの整理を行うことにより生活歴の喚起を促す
  • 車イスでの移動介助を行って店に行き、本人が自ら品物を選べるように援助する

という利用者の日常生活動作能力(ADL)意欲の向上のために利用者と共に行う自立支援のためのサービス行為は身体介護に区分される。掃除、洗濯、調理をしながら単に見守り・声かけを行う場合は生活援助に区分される。  
  また、利用者の身体に直接接触しない、見守り・声かけ中心のサービス行為であっても、

  • 入浴、更衣等の見守りで、必要に応じた介助、転倒防止のための声かけ、気分の確認などを行う
  • ベットの出入り時など自立を促すための声かけなど、声かけや見守り中心で必要な時だけ介助を行う
  • 移動時、転倒しないように側について歩き、介護は必要時だけで、事故がないように常に見守る

という介助サービスは自立支援、ADL向上の観念から身体介護に区分される。そうした要件に該当しない単なる見守り・声かけは訪問介護として算定しない。

Q4 「訪問介護の内容が単なる本人の安否確認や健康チェックであり、それに伴い若干の身体介護又は生活援助を行う場合には、訪問介護費は算定できない」とされているが、その具体的な内容について

A4 これは単なる本人の安否確認や健康チェックは訪問介護として算定できないことを規定しており、例えば、訪問介護事業所を併設した高齢者向け集合住宅における訪問介護の利用実態を想定している。

 深夜帯等を含め24時間対応するいわゆる巡回型の訪問介護のサービス内容については、一般的には、身体介護を中心とした介護として訪問介護費(身体介護中心型)を算定できる。

Q5 通院・外出介助における受診中の待ち時間の取扱いについて

A5 通院・外出介助における単なる待ち時間はサービス提供時間に含まない。院内の付き添いのうち具体的な「自立生活支援のための見守り的援助」は身体介護中心型として算定できる。

 なお、院内の付添いなどの居宅以外において行われる訪問介護については、居宅において行われる目的地(病院等)に行くための準備を含む一連のサービス行為とみなし得る場合に限り認められるため、院内の付添い行為だけをもってして単独行為として算定することはできない。

Q6 訪問介護員である整体療術師等が利用者の居宅を訪問してマッサージを行った場合、身体介護中心型を算定できるか。

A6 訪問介護は、「居宅において介護を受ける者の居宅における、入浴・排泄・食事等の介護、調理・洗濯・掃除等の家事、生活等に関する相談及び助言その他の必要な日常生活上の世話」(法7条6項・施行規則5条)とされており、訪問介護におけるサ−ビス行為ごとの区分や個々のサービス行為の一連の流れについては、「訪問介護におけるサ−ビス行為ごとの区分等について」(平成12年3月17日老計10号)に規定されている。

 ご指摘のマッサージについては、当該サービス行為を行う者の資格に関わらず、身体介護サービスに含まない。

Q7 訪問介護を1日に数時間組み込み、24時間のうちの残りの時間を利用者とヘルパーの間で「家政婦」として契約し、いわゆる「住み込み」によるサービス提供を行うことはできるか。

A7 例えば、同一の介護者が同一日に4時間は「訪問介護員」、20時間は「家政婦」として家事や介護サービスを行う場合は、サービス内容が明確に区分できないため、訪問介護を算定できない。


(2)1回の訪問介護において身体介護と生活援助が混在する場合の取扱い

Q8 1回の訪問介護において身体介護と生活援助が混在する場合の算定方法について

A8 身体介護に引き続き生活援助を行うなど、1回の訪問介護において身体介護と生活援助が混在する場合については、30分を1単位として、「身体介護」と「生活援助」を組み合わせて算定することとし、身体介護中心型に生活援助を加算する方式による。身体介護中心型と生活援中心型に分けて、それぞれ算定することはできない。

  例えば、身体介護50分に引き続き生活援助を30分行った場合は、1回の訪問介護の所要時間は50+30+=80分であるため、所要時間1時間以上1時間30分未満の訪問介護を算定することとなる。そのうち身体介護の所要時間は50分であるため、所要時間30分以上1時間未満の身体介護に生活援助を加算することとなる。生活援助の加算については、「所要時間1時間以上1時間30分未満(訪問介護全体)− 所要時間30分以上1時間未満(身体介護部分)」として30分×1となる。

 なお、実際のサービスの提供は身体介護の後ろに引き続き生活援助を行う場合に限らない。1回の訪問介護の全体時間のうち身体介護に要する時間を合計して判断するため、例えば、生活援助の後に引き続き身体介護を行ってもよい。


(3)訪問介護の所要時間

Q9 訪問介護の所要時間について

A9 訪問介護の所要時間については現に要した時間ではなく、訪問介護計画に位置付けられた内容の訪問介護を行うのに要する標準的な時間とされており、利用者の心身の状況等を踏まえつつ設定する。

 訪問介護の所要時間は実際に訪問介護サービスを行った時間に限るため、例えば、交通機関の都合その他訪問介護サービスの必要以外の事由によって利用者の居宅に滞在した場合には、その滞在時間は訪問介護の所要時間に算入しない。なお、身体介護サービスまたは生活援助サービスを提供する際の事前準備等として居宅において行われるサービス準備・記録等(健康チェック、環境整備など)訪問介護の所要時間に含まれる。

Q10 「所要時間30分未満の身体介護中心型を算定する場合の所要時間は20分程度以上とする。」とされているが、その具体的な内容について

A10 これは、所要時間30分未満の身体介護中心型のサービス提供に要する時間の下限が明確に規定されていないが、例えば、訪問介護事業所を併設した高齢者向け集合住宅における訪問介護の利用実態を踏まえ、単なる本人の安否確認や健康チェック、声かけなどごく短時間なサ−ビス提供は所要時間30分未満の身体介護中心型として算定できないことを規定している。

 深夜帯等を含め24時間対応するいわゆる巡回型の訪問介護のサービス内容については、一般的には、身体介護を中心とした介護として所要時間30分未満の身体介護中心型を算定できる。

Q11 「訪問介護を1日に複数回算定する場合にあっては、算定する時間の間隔は概ね2時間以上とする。」とされているが、その具体的な内容について。

A11 今回の改正は、1日に複数回の短時間の訪問をすりことにより、在宅介護のサービス提供体制を強化することを目的としており、在宅の要介護者等の生活パターンに合わせて訪問介護を行うものである。よって、単に1回の長時間訪問介護を複数回に区分して行うことは適切でなく、訪問介護を1日の複数回算定する場合にあっては、算定する時間の間隔は概ね2時間以上とすると規定した。

 利用者の事情により、短時間の間隔で複数回の訪問を行う場合は、それぞれの訪問介護の所要時間を合計して1回の訪問介護として算定できる。

  なお、当該規定は通常の「身体介護中心型」や「生活援助中心型」に適用され、「通院等のための乗車又は降車の介助」に適用されない。

(例)身体介護50分を行い、時間間隔30分の後に、生活援助50分を行う場合は、身体介護中心型(所要時間30分以上1時間未満)に生活援助(所要時間30分×2)を加算する方式により算定する(身体介護+生活援助 所要時間1時間30分以上2時間未満)。身体介護中心型(所要時間30分以上1時間未満)と生活援助中心型(所要時間30分以上1時間未満)に分けて、それぞれ算定することはできない。

Q12 「訪問介護を1日に複数回算定する場合にあっては、算定する時間の間隔は概ね2時間以上とする。」という「概ね」の具体的な内容について

A12 「概ね」の具体的な内容は特に規定しておらず、利用者個々人の身体状況や生活実態等に応じて判断されたい。

Q13 「訪問介護を1日に複数回算定する場合にあっては、算定する時間の間隔は概ね2時間以上とする。」とされているが、複数の事業者により提供する場合の取扱いについて

A13 当該取扱いは同一事業者によるサービス提供に限られなく、複数の事業者によるサービス提供にも適用される。(なお、複数の事業者の場合、訪問介護費の分配は事業所相互の合議に委ねられる。)

Q14 一人の利用者に対して複数の訪問介護員等が交代して訪問介護を行った場合も、1回の訪問介護としてその合計の所要時間に応じた所定単位数を算定する。」とされているが、複数の事業者により提供する場合の取扱いについて

A14 一人の利用者に対して複数の訪問介護員等が交代して訪問介護を行った場合は、訪問介護員の交代の有無に関わらず、1回の訪問介護として算定することとしている。   

  これは複数の事業者からの複数の訪問介護員が交代して訪問介護を行う場合にも適用される。(なお、複数の事業者の場合、訪問介護費の分配は事業所相互の合議に委ねられる。)


(4)生活援助中心型の算定

Q15 生活援助中心型を算定するに当たり、「居宅サービス計画に生活援助中心型の訪問介護を位置付ける場合には、居宅サービス計画書に生活援助中心型の算定理由その他やむを得ない事情の内容について記載するとともに、生活全般の解決すべき課題に対応して、その解決に必要であって最適なサービスの内容とその方針を明確に記載する必要がある。」とされているが、その具体的内容について

A15 居宅サービス計画に生活援助中心型の訪問介護を位置付ける場合には、居宅サービス計画書第1表の「生活援助中心型の算定理由」欄に○を付す(「3、その他」に○を付す場合はその事情の内容について簡潔明瞭に記載する)とともに、居宅サービス計画書第2表の「援助目標(長期目標・短期目標)」、(「長期目標」及び「短期目標」に付する)「期間」、「サービス内容」などについても明確に記載する必要がある。

 こうした適切なアセスメント等が行われない場合、当該居宅サービス計画に係る生活援助中心型の訪問介護については、不適正な給付として返還を求め得るものである。

 居宅サービス計画書の具体的な記載要領については、「介護サービス計画書の様式及び課題分析標準項目の表示について」(平成11年11月12日老企29号)を参照すること。

 


(5)2人の訪問介護員等による訪問介護の取扱い

Q16 2人の訪問介護員等による訪問介護の算定方法について

A16 例えば、体重が重い利用者に入浴介助等の重介護を内容とする訪問介護を提供する場合やエレベーターのない建物の2階以上の居室から歩行困難な利用者を外出させる場合など、利用者の状況等により、2人の訪問介護員等によるサービス提供が必要となった場合は、2人の訪問介護員等によるサービス提供時間に応じた所定単位数の100分の200に相当する単位数を算定するため「二人の介護員等の場合」のサービスコードにより請求する。
  ただし、上記の場合において、例えば、2人の訪問介護員等が入浴介助を行い、その後、一人の訪問介護員等が生活援助を行う場合は、2人の訪問介護員等によるサービス提供時間が全体のサービス提供時間に占める割合が小さく、該当するサービスコードが存在しないため、便宜上それぞれの訪問介護員等のサービス提供時間に応じて訪問介護員等ごとに所定単位数を算定することとする。

(例)

訪問介護員A 身体介護中心型(入浴介助の所要時間)を算定
訪問介護員B 身体介護中心型に生活援助を加算して算定
また、上記の場合において、2人の訪問介護員等のうち1人が3級訪問介護員であるために減算される場合は、該当するサービスコードが存在しないため、便宜上、それぞれの訪問介護員等のサービス提供時間に応じて訪問介護員等ごとに「身体介護中心型」を算定することとする。

(例)

訪問介護員A 所定単位数を算定
訪問介護員B 所定単位数の100分の90を算定

こうした取扱は、該当するサービスコードが存在しないための特例的なのもであり、それぞれの訪問介護員等のサービス提供時間に応じて訪問介護員等ごとに算定する場合も、2人の訪問介護員等による訪問介護の算定にかかる要件(利用者の状況等)を満たすことが必要である。


(6)特別地域加算

Q17 特別地域加算を意識的に請求しないことは可能か。

A17 加算の届出を行っている場合において、利用者負担の軽減を図る趣旨であれば、加算を請求しないということにより対応するのではなく、介護給付費の割引率を都道府県に登録することが原則である。
  ただし、利用者の居宅が特別地域外に所在するなど特別な事情がある場合には、利用者負担の軽減を図るために、当該利用者について特別地域加算を意識的に請求しないことはできる。


(7)通院等乗降介助

Q18 「通院等のための乗車又は降車の介助」を算定する事業所の体制等に係る届出について

A18 「通院等のための乗車又は降車の介助」を算定する事業者は新たに体制等の届出を行う必要がある。また、新たに体制等の届出を行わない事業所が「通院等のための乗車又は降車の介助」と同じ内容のサービスを行う場合は「身体介護中心型」を算定することはできない。
  なお、要介護4又は要介護5の利用者に対して、通院等のための乗車・降車の介助を行うことの前後に連続して相当の所要時間(20分から30分程度以上)を要しかつ手間のかかる身体介護を行う場合には、その所要時間に応じた「身体介護中心型」の所定単位数を算定できることとされているが、これは「通院等のための乗車又は降車の介助」を算定する事業者を前提としていることから、この場合も、新たに体制等の届出を行う必要がある。

Q19 「通院等のための乗車又は降車の介助」を算定するに当たり、「介護給付費算定に係る体制等に関する届出」において、事業所の指定において求められる「市町村意見書」を添付しなくてもよいか。

A19  「介護給付費算定に係る体制等に関する届出」において、訪問介護の「施設等の区分」については、事業所の運営規定において定める「指定訪問介護の内容」に従って記載することとされている。
  「介護給付費算定に係る体制等に関する届出」において、「市町村意見書」の添付は求めていないが、届出の内容は事業所の運営規定において定める「指定訪問介護の内容」に合致していなければならない。

Q20 要支援者に対する「通院等のための乗車又は降車の介助」について

A20  「通院等のための乗車又は降車の介助」を算定できる利用者は要介護者に限られる。
ただし、要支援者に付き添い、バス等の公共機関を利用して移送中の気分の確認も含めた通院・外出介助を行った場合には、従来どおり、「身体介護中心型」を算定できる。

Q21 往路は家族等が対応し、復路は「通院等のための乗車又は降車の介助」を算定することはできるか。

A21 「通院等のための乗車又は降車の介助」は片道につき算定する。したがって、所定の算定用件を満たす場合は復路について算定できる

Q22 1日に複数の医療機関を受診する場合に、医療機関から医療機関への移送に伴う介護について「通院等のための乗車又は降車の介助」を算定できるか

A22 居宅以外において行われるバス等の公共交通機関への乗降、院内の移動等の介助などのサービス行為だけをもってして訪問介護として算定することはできない。したがって、医療機関から医療機関への移送に伴う介護については、「通院等のための乗車又は降車の介助」を算定することはできない。

Q23 公共交通機関による通院・外出について

A23 要介護者又は要支援者に付き添い、バス等の交通機関を利用して移送中の気分の確認も含めた通院・外出介助を行った場合には、従来どおり「身体介護中心型」を算定できる。なお、タクシーも公共交通機関に含まれる。

Q24 通院等のための乗車・降車の介助の前後に連続して行われる外出に直接関連する身体介護(移動・移乗介助、整体整容・更衣介助、排泄介助等)は別に算定できるのか。

A24  「通院等のための乗車又は降車の介助」の前後に連続して行われる行為のうち、外出に直接関連する身体介護(移動・移乗介助、整体整容・更衣介助、排泄介助等)については、

  • 居室内での準備や通院先での院内の移動等の介助など、通院等のための乗降介助の前後に連続して行われる身体介護の所要時間や内容に関わらず「身体介護中心型」を算定できず、「通院等のための乗車又は降車の介助」を算定することになる。
  • ただし、要介護4または要介護5の利用者に対して、通院等のための乗車
  • 降車の介助を行うことの前後に連続して、相当の所要時間(20分から30分程度以上)を要しかつ手間のかかる、外出に直接関連する身体介護を行う場合に限り、その所要時間(運転時間を控除する)に応じた「身体介護中心型」の所定単位数を算定できる。この場合には、「通院等のための乗車又は降車の介助」の所定単位数を併せて算定することはできない。

    (例)

    (乗車の介助の前に連続して)寝たきりの利用者の更衣介助や排泄介助をした後、ベッドから車いすへ移乗介助し、車いすを押して自動車へ移動介助する場合。

     

Q25 いわゆる介護タクシーにおける受診中の待ち時間の取扱について

A25 「通院等のための乗車又は降車の介助」は通院等のための外出に直接関連する身体介護の一連のサービス行為を包括評価しているため、通院先での受診中の待ち時間については、待ち時間の長さや待ち時間における介護の内容に関わらず、「通院等のための乗車又は降車の介助」を算定することとなり、別に、「身体介護中心型」を算定できない。

Q26 「要介護4又は要介護5の利用者に対して、通院等のための乗車・降車の介助を行うことの前後に連続して相当の所要時間(20分から30分程度以上)を要しかつ手間のかかる身体介護を行う場合には、その所要時間に応じた「身体介護中心型」の所定単位数を算定できる。」にいう「前後の所要時間」について

A26 要介護4又は要介護5の利用者に対して、「身体介護中心型」を算定するためには、通院等のための乗車・降車の介助を行うことの前又は後に連続して行われる手間のかかる、外出に直接関連する身体介護の所要時間は20〜30分程度以上を要する。このとき、前後の所要時間を算定できない。
(なお、「身体介護中心型」を算定する場合の算定対象時間は運転時間を控除して所要時間を通算する。)

(例)

例@は乗車前に20分の「外出に直接関連する身体介護」を行っているため、身体介護中心型として算定できる。乗車前及び降車後の所要時間を通算して25分の身体介護として身体介護中心型(所要時間30分未満)を算定する。

例Aは乗車前又は降車後に20〜30分程度以上の「外出に直接関連する身体介護」を行っていないため、身体介護中心型として算定できず、「通院等のための乗車又は降車の介助」を算定する。

Q27 通院等のための乗車・降車の介助の前後に連続して行われる外出に直接関連しない身体介護(入浴介助・食事介助等)や生活援助(調理・清掃等)は別に算定できるのか。

A27 「通院等のための乗車又は降車の介助」の前後に連続して行われる行為のうち、外出に直接関連しない身体介護(入浴介助・食事介助等)については、その所要時間が30分〜1時間程度以上を要しかつ身体介護が中心である場合に限り、外出に直接関連しない身体介護及び通院・外出介助を通算した所要時間(運転時間を控除する)に応じた「身体介護中心型」の所定単位数を算定できる。この場合には、「通院等のための乗車又は降車の介助」の所定単位数は算定できない。
  また、生活援助については、当該生活援助の所要時間が所定の要件を満たす場合に限り、その所要時間に応じた「生活援助中心型」の所定単位数を算定できる。この場合には、「通院のための乗車又は降車の介助」の所定単位数は算定できる。

Q28 通院・外出介助において、利用者の状況等により、2人の訪問介護員等によるサービス提供が必要となった場合の取扱いについて

A28 通院・外出介助において、1人の訪問介護員等が車両に同乗して気分の確認など移送中の介護も含めた介護行為を行う場合は、当該訪問介護員等は「身体介護中心型」を算定するが、このとき、当該車両を運転するもう1人の訪問介護員等は、サービス行為の所要時間や内容に関わらず、別に「通院等のための乗車又は降車の介助」を算定することはできない。
ただし、例えば、重度の要介護者であって、

@体重が重い利用者に重介護を内容とする訪問介護を提供する場合や
Aエレベーターの無い建物の2階以上の居室から外出させる場合など、利用者の状況等によりやむを得ずに2人の訪問介護員等によるサービス提供が必要となった場合に限り、2人の訪問介護員等によるサービス提供時間に応じた「身体介護中心型」の100分の200に相当する単位数を算定できる。

また、上記の場合において、例えば、2人の訪問介護員等が移動介助・乗車介助を行う場合は、2人の訪問介護員等によるサービス提供時間が全体のサービス提供時間に占める割合が小さいため、それぞれの訪問介護員等のサービス提供時間に応じて訪問介護員等ごとに「身体介護中心型」を算定できる

Q29 別に同乗する訪問介護員等が「通院等のための乗車又は降車の介助」のみを行い、移送中に介護を全く行わない場合の取扱いについて

A29  車両を運転する訪問介護員等とは別に訪問介護員等が同乗する場合であっても、当該同乗する訪問介護員等が「通院等のための乗車又は降車の介助」のみを行い、移送中の気分の確認など移送中に介護を全く行わない場合については、「通院等のための乗車又は降車の介助」と実質的に同じ内容のサービスであるので、「通院等のための乗車又は降車の介助」を算定することとし、「身体介護中心型」は算定できない。

Q30 居宅サービス計画に「通院等のための乗車又は降車の介助」を位置付けるときに、アセスメントが適当に行われていない場合の取扱について

A30  「通院等のための乗車又は降車の介助」の単位を算定するに当たっては、適切なアセスメントを通じて、居宅サービス計画に位置付ける必要があると規定されており、こうしたアセスメントが行われていない場合、「通院等のための乗車又は降車の介助」は不適切な給付として返還を求めるものである。




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