第8回介護保険制度の被保険者・受給者範囲に関する有識者会議の報告

自薦ヘルパー推進協会本部事務局

5月21日、第8回介護保険制度の被保険者・受給者範囲に関する有識者会議が開催されました。

今回は冒頭、座長・事務局より中間とりまとめ案が提出され、全文が読み上げられました。
次いで2名の委員から資料の説明があり、その後各委員からこの中間まとめに関する意見が出され、議論されました。

中間報告の内容は要約すると
1.これまでの議論の経緯と、この会議の議論経過
2.「介護保険制度の普遍化」を介護を必要とするすべての人が、年齢や要介護となった理由、障害種別の如何等を問わず、公平に介護サービスを利用できるような制度に発展させること」と定義。
3.普遍化する場合の選択肢を大別して、A類型(=負担のみ引き下げ)、B類型(=全年齢適応)とする。
4.会議では基本的に目指すべきはB類型で一致したが、これについての国民の理解はまだ得られていないため制度設計への検討、国民合意形成へ努力するべきである。 といったものでした。

議論の中では、経済界(経団連)、市長会から出席している委員から、「介護保険制度の普遍化について、この会議の中で必ずしもイメージが一致していない」「将来的方向性についてメンバーすべてが一致ではない」といった意見がありました。
これを受けて、会議は途中25分ほど中断(休憩)に入り、座長、座長代理と事務局が別室で修正文案を急遽作成。
上記両委員、意見書を提出した委員の提案を受け入れ、表現をより弱めた形で最終案がとりまとめられました。

05年の介護保険法改正の附則により、昨年3月に設置されたこの会議ですが、厚生労働省は介護保険拡大派の委員をそろえ、拡大にむけた議論を進めていくように思われましたが、経済界、地方自治体の反対は依然根強く、有識者調査や障害者団体のヒアリングの結果も慎重論が大方を占めたため、拡大へ方向を色濃く示すことができない結果になりました。
04年の社会保障審議会介護保険部会の意見書と比べても、大きな進捗はなく、依然「両論併記」になっています。

今回の中間報告が出たことにより、2009年の介護保険と障害者施策の統合は見送られることがほぼ確実視されています。
しかし、介護保険と障害者施策の統合問題は、「普遍化」という耳障りのよい言葉に姿を変えて、今後も引き続き検討されていきます
(具体的には2012年が次の改正時期とされており、この改正にあわせて動いていくことになります)

この会議はこの中間報告を出したことで、ひと区切りとなり、次回開催、再開の予定などは今のところないようです。

資料を下記にアップロードしました。
会議次第・座席表・資料1〜3
http://www.j-il.jp/jil.files/siryou/kaigo_hani/070521-1.pdf

修正案分(会議中に委員の意見を受けて、事務局・座長が作成し配布されたもので、了承され正案となった)
http://www.j-il.jp/jil.files/siryou/kaigo_hani/070521-2.pdf 

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